三里木区  たわらや酒店  宇野功一D

821号 2016年8月4日

(121)菊の節句・お月見に「菊姫」

◆重陽の節句とお月見
  歴史的な地震に見舞われた熊本にとって、今夏の酷暑はたいへん厳しいものでありました。9月になり、早く涼しくなって欲しいものです。古来より、9月にはお酒を飲む風習の日があります。
 一つは9月9日の重陽の節句で、もう一つは十五夜です。(年によっては10月の場合もある)9月9日の重陽の節句は、菊の節句ともいいます。9は最も大きな数で、江戸時代ごろまでは、収穫の喜びを兼ねて最も盛大に節句を行っていたそうです。菊を酒に浮かべて飲み、不老長寿を願ったと言われています。
 十五夜は旧暦8月15日の夜の満月をめでる行事です。今年は9月15日が中秋の名月です。新暦と旧暦はズレがあるため、15日に十五夜になるのはなかなかマレです。次回、9月15日が中秋の名月となるのは、30年後の2046年です。

◆太閤秀吉も菊姫ファンだった
 9月にぴったりの日本酒、「菊姫」の創業は天正年間(1573
〜1591年)ごろ。石川県白山市鶴来町にある菊姫は、霊峰「富士山」・「立山」と並ぶ日本三名山の一つである白山連峰の麓に酒蔵があります。古来より、芳醇な美酒と呼ばれてきた「加賀之菊酒」は、「太閤記」が伝えるところによると、太閤秀吉が醍醐の花見に、是非にといってわざわざ取り寄せたという誉れ高き天下の銘酒です。

◆9月は「菊姫特選純米」純米酒の最高峰
 菊姫の酒は、山廃酒母を使用した濃厚で飲みごたえのある酒と、速醸酒母を使った口あたりの良いまろやかなタイプに大別できます。この特選純米は後者のタイプで、山田錦ならではの、たっぷりとした旨みを味わうことができます。とくに、濃い目に味付けされた料理との相性は抜群で、ついつい飲みすぎてしまう美味しさ!菊姫純米酒シリーズの中では最高峰に位置する酒です。ラベルは昭和初期からのデザインのものを踏襲しています。
 夏の時期はさっぱりした香味の酒を好んで飲んでいた方も、秋の時期には芳醇で旨みのある酒がおいしく感じるようになります。秋の夜長、重陽の節句や中秋のお月見に「菊姫」のお酒はきっとおいしく飲めると思います。500年の歴史を超えて銘酒「菊姫」で乾杯。

【菊姫 特選純米酒】
合資会社菊姫 石川県白山市鶴来町
酒米:兵庫県三木市吉川町・特A地区産
精白歩合:65%
日本酒度:非公開    酸度:非公開
2〜3年熟成酒・複数年ブレンド
1800m l3100円(税別) 720ml 1550円(税別)


824号 2016年10月2日

(122)地酒途中下車・肥薩線嘉例川駅
究極の芋焼酎を目指す「佐藤」の蔵をたずねる

◆悠久の時を重ねる嘉例川駅
 熊本・八代駅から球磨川を縫うように走り人吉へ。人吉から加久藤峠を越えて吉松。
 そして日豊本線隼人を結ぶ全長124.2qが肥薩線だ。実は現在の鹿児島本線ができるまで、この路線はれっきとした鹿児島本線であった。全線開通は1909年(明治42年)11月21日。明治時代、物資の輸送はもっぱら鉄道であった。新政府の偉人を輩出した薩摩へ、鉄道を繋げる執念が感じられる明治の幹線だ。9月のある日、嘉例川駅に降り立った。最近「百年駅舎」としてテレビなどに登場して、鉄道ファンの間ではかなり有名になった駅だ。

◆究極の芋焼酎を目指す佐藤
 霧島連山の麓、牧園町に佐藤酒造はある。佐藤酒造の歴史は1906年(明治39年)に創業。ちょうど、肥薩線の開通の頃に創業を開始したのもおもしろい。芋焼酎一筋に醸造を続けるが、戦時中に一時休業を余儀なくされた。
 1952年(昭和27年)に創業を再開。再開と同時に清冽な水の湧き出る現在の牧園町へ移転。
 1970年(昭和45年)に加治木酒造協業組合(現在の国分酒造協業組合)の立ち上げとともに加盟するが、その間、佐藤酒造独自のブランドを世に出すことは無くなった。
 1984年(昭和59年)に協業組合を脱会。代表銘柄「さつま」を世に出す。

◆芋の旬の時期だけ・・・
 蔵の中をくまなく案内してくれたのは鳥越真二氏。見るからに薩摩隼人の蔵人である。
 芋焼酎の仕込みは、さつま芋が収穫される8月下旬から始まる。そして、霜が降りる12月に仕込みが終わる。霜が降りると、芋は甘味を増す。食すには美味しい芋だが、芋焼酎には向かない。昨今の芋焼酎ブームで、冷凍した芋を使い、年中仕込む蔵が大半を占めるようになったが、仕込む前日に掘った新鮮なコガネセンガン(芋の品種名)で芋焼酎を仕込む。
 芋を回転する円形の籠に入れて、水で丁寧に洗う。洗われた芋はベルトコンベアーで運ばれる。ベルトコンベアーの両脇には左右8人ずつの蔵人が片手に包丁を持ち、片手に芋をつかんで、目視で芋を確認。包丁でヘタを切り落とし、傷んだ箇所を取り除き、芋蒸し釜へとつながる別のベルトコンベアーへ移す。16名の蔵人は実に手際がよい。未熟な芋や芋全体が傷んだものは、廃棄される。整った芋だけが芋焼酎の原料となるのだ。一日に4.5トン×2回=9トンもの芋を処理するという。一人平均560sの芋を、午前中で処理するのであるからとても重労働。芋は水で洗った瞬間から劣化が始まるので、いかに早く処理して、芋を蒸し、モロミの中に入れるかが、おいしい焼酎になるかどうかが決まるという。まさに、時間との勝負の現場を見た。(次回に続く)


829号 2016年11月6日

(123)地酒途中下車・肥薩線嘉例川駅
究極の芋焼酎を目指す「佐藤」の蔵をたずねる 2日目(前回の続き)

◆真摯な姿勢で焼酎づくり
 佐藤酒造を訪問して目についたのが額に入った社是と社訓。

・社是
 私たち佐藤酒造は、本格焼酎を生んだ鹿児島の歴史と我が蔵と焼酎を支えてきた人たちの思いに誇りを持ち、高い意識と意欲を持って、常により良い焼酎造りに励み、揺るぎない信頼のもとに世の中を支える企業としてあり続けます。

・社訓
 私たちは向上心と情熱を持って、誠実に造った焼酎を世の中に問う姿勢を貫きます。私たちは蔵を支えてきた人たちとその歴史に敬意を払い、造りに携わる喜びと誇りを胸に真摯な姿勢で社業に取り組みます。私たちは真心を込めて造った焼酎を人の心の通い合う流通によって世の中に広め、飲む人に喜んでいただくことから得られる揺るぎない信頼を蔵に築き、継承していくことで社会に対し貢献します。

 朝礼の終わりに、社是と社訓を唱和して佐藤酒造の一日が始まる。実は、前日の夜は、佐藤社長と蔵を案内してくれている鳥越さんと飲みに出かけた。その日に蒸留したばかりの焼酎を飲んだ。度数は40度程度。少し白濁して、芋の匂いもきつい。しかし、複雑な香味ながらも甘〜い味がして口の中で心地よく広がる。芋飴をなめた時のような、あの味わいである。どことなく、懐かしく感じた香味であった。
 今朝は、仕込み蔵を見学させていただいた。原料処理が完璧なコガネセンガン(原料の芋)を蒸かして、粉砕したものを、モロミタンクに入れる。数時間後に、酵母の働きが旺盛になりはじめ、モロミの中からぷつぷつと細かい気泡が沸きはじめる。醗酵は、約10日間かかるが、仕込んでから2〜3日目のモロミが最も香ばしい。ちょうど、ケーキ屋さんのスィートポテトケーキを彷彿させる甘い香りだ。昨日飲んだ、焼酎の香りを思い出した。
 妥協のない原料選び、妥協のない原料処理、そして丁寧な仕込み。案内をしてくれた鳥越さんが自信に満ちた言葉で「蒸留したての芋焼酎がおいしく飲めるのは、仕込み水の良さと、妥協のない仕込みの成果です。鹿児島に芋焼酎蔵が多いと思うが、そうそうあるものではありません 」と…。
 蒸留した焼酎は、原酒の状態で2年間タンクで熟成させる。そして25度に和水して半年熟成。その後、瓶詰めして約半年熟成。およそ3年の熟成期間を経て製品として出荷される。真摯な姿勢で、誠実に造った芋焼酎は、多くの方を魅了している。その理に触れた2日間でした。

 

 

【佐藤 黒麹】
1800ml 3,269円
 720ml 1,629円


833号 2016年12月4日

(124)究極の日本酒をめざして八海山・金剛心

◆1年に一度のぜいたくな酒
 普段はなかなか口にすることができない、とびっきりの日本酒が師走に発売されます。お客様から「一番、ぜいたくな日本酒はどれですか?」という質問がきます。難しい質問です。一年に一度、クリスマスやお正月にとびっきりぜいたくな日本酒を飲むとするならば、私は迷わず、八海山・金剛心(こんごうしん)純米大吟醸をおススメ致します。

◆新潟の銘酒・八海山
 米どころとして名高い魚沼。霊峰八海山の麓、清らかな伏流水で醸す酒蔵があります。戦前、灘酒が有名だったころから灘酒を越える美味しい酒を醸そうと意気込んだ当主・蔵人がいました。現在、八海山は全国的に銘酒として名高いブランドになりましたが、当時は300石程度の小さな酒蔵でした。
 灘酒の味わいのある男酒に対抗するために、淡麗辛口の酒質を追求しました。スイスイといくらでも飲め、料理の邪魔をしない、そんな八海山の清らかな伏流水のごとき酒質を目指しました。
 この酒質が受け入れられるようになったのは昭和50年代以降。酒がベタベタに甘かった時代、米を磨き冷温で長期醗酵した八海山の酒は、東京を中心に人気を集めました。日本酒ファンの間で、口コミで酒名は一躍有名となり、新潟酒ブーム、地酒ブームの引き金となりました。

◆究極の日本酒・金剛心について
 限定純米大吟醸「金剛心」は、そんな純米造りに挑戦するために原料米の選定から始めました。兵庫県特A
地区口吉川産(くちよかわ)の山田錦と、日本一の米どころとして有名な地元六日町城内地区産の五百万石の長所を融合させるべく、両者の高度精白米の絶妙な配合と大吟醸造りの手法を駆使して醸し上げました。
 氷点下(−3℃)の条件で2年間、穏やかに貯蔵熟成させたもので、若すぎることもなく上品でまろやかに成熟したものと思っております。

◆ゆるぎない心は八海山の酒づくり姿勢(心)です
  「金剛心」の意は、「ゆるぎない一元の心」と聞いておりますが、まさに八海山が創立以来迷うことない酒造方針の信条として守り続けている心と相通じるものとの考えから、その名を拝借させてもらったものであり、酒を仲立ちとしてこの思いをお客様にお届けできればと願っているそうです。一年の締めくくりのこの季節、ぜひ飲んでもらいたい究極の日本酒です。

【八海山 金剛心】800ml 11,880円(税込)
※限定6本入荷します

たわらや酒店  232−3138


838号 2017年1月15日

(125)地酒途中下車 東北本線蓮田駅
純米づくりの活性にごり酒 「神亀にごり酒」

◆純米酒一筋・神亀酒造
 上野駅から東北本線・蓮田駅を降りる。都心から近く閑静な住宅地の中に神亀酒造はある。蔵の周りは欅などの高い樹木があり、住宅地の中の杜といった感じだ。
 神亀酒造の創業は嘉永元年(1848年)。江戸時代末期。酒名は蔵の脇にある天神池に神の使いである亀がすんでいたという伝説から「神亀」と命名したという。
 神亀酒造が現在、日本じゅうの酒ファンや蔵元から注目を集めるには理由がある。日本じゅうの蔵元が普通酒を造っていた昭和58(1983)年に普通酒の製造をきっぱりと止めた。さらに、昭和62(1987)年からは製造される清酒の全てを純米酒以上とし、酒造業界でも異端ぶりを発揮。そればかりではなく、基本的に新酒で出すのではなく、熟成させたうま味の乗った酒を発売した。業界ではまだまだ特級酒、一級酒、二級酒という普通酒が台頭していた時代であり、かなり異端児的な行動に見えたのでは。これが30年経った今では、日本じゅうの蔵が神亀の行ってきたことを、ようやく評価するようになってきた。時代が神亀の先駆的な行動を認める・理解するに至ったといえよう。また、純米酒と熟成酒の旨さ、すばらしさは多くの酒ファンを魅了してきた。「関東に神亀あり」という誉れは今や全国に波及。

◆ 大好評・日本酒のシャンパーン神亀 活性にごり酒
 昨年暮れ、菊陽町内のあるところで日本酒の会を開催。そこで神亀・活性にごり酒を開けた。開栓までの約20分間の奮闘の様子をご紹介しよう。

@栓の虫ピンで穴を開ける
 一升瓶についている虫ピンを使って栓のシールを取らないまま(取ったら一気に吹き出るのでやめてください)、1カ所を開ける。すると写真@のようにその小さな穴を目指して、酒が吹き出ようとする。わずか1mm程度の小さな穴。布巾と親指でしっかりと押さえる。物凄い圧力だ。活性にごり酒は、発酵中のもろみを粗い目の袋で濾し、そのまま瓶詰めし、完全に栓をした状態で出荷する。発酵が止まっていないため、瓶内で発酵が続く。
 糖分はアルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)に分解され、炭酸ガスは瓶外に逃げることができないので自然に瓶内の圧力が上がる。栓を開けると、瓶内の加圧状態が1気圧になろうとして勢いよく噴出するのだ。

Aグラスに弾ける泡
 格闘すること20分、ようやく落ち着いてきた。90ml程度は吹きこぼれた。上部にはまだまだ勢いよく炭酸ガスが発生している。写真Aでお分かりいただけると思う。
 ようやくシールをはずして、グラスに注ぐことができる。弾ける泡は、まさに日本酒のシャンパーンといったところだ。熟成すること、瓶内で約2年。こなれた落ち着いた香味が心地良い。お肉料理からお魚料理まで万能の食中酒である。新春、日本酒のシャンパンで乾杯するのも乙なものでは〜。


【神亀 活性にごり酒】
1800ml 3600円(税別) 
720ml 1800円(税別)

 


841号 2017年2月5日

(126)地酒途中下車 
沖縄都市モノレール ゆいレール 小禄駅下車
君知るや、銘酒泡盛「春雨」

 2月3日は節分、4日は立春。春はそこまで来ています。今回は、泡盛の森伊蔵と評される「春雨」のことを書きたいと思います。

◆今、琉球泡盛の幻の酒が甦った希望と恵の酒「春雨」
 20年の時を越えて、琉球泡盛の幻の銘酒として名を馳せた「春雨」が今、甦った。
  春雨の創業は戦後間もない昭和21年。酒蔵は那覇市小禄にある。現在はすっかり住宅地になってしまったが、酒蔵が生まれたころは辺り一面焼け野原であったという。戦後間もないことであり、物資が少ないころにできただけに、素朴な感じの木造の蔵で、赤茶けたレンガ屋根に漆喰のスタイルはいかにも琉球をほうふつさせる眺めだ。酒蔵は道路沿いに面しているが、一段下がったところにひっそりとたたずんでいるため、案外酒蔵とは気が付かず通り過ぎてしまう。
 酒名は創業当時の蔵元が願った思いが付けられている。「春」は希望を意味して、「雨」は恵みを意味している。昭和50年に開催された沖縄国際海洋博覧会の際に、当時の皇太子さま(今上天皇)に献上された泡盛は実は「春雨」宮里酒造所の泡盛であった。公には公開されていないが事実である。しかし30年前に小売業を止め、他のメーカーや、酒造共同組合への桶売販売のみの酒造りに変わり、単独で「春雨」の泡盛を口にすることはできなくなった。幻の銘酒になってしまった。本来、宮里一族は泡盛を醸(かも)す杜氏・職人として天才的な技術を持ち、各蔵元の泡盛製造技術向上に大いに貢献していた泡盛業界の名門である。それが、平成9年(1997年)に「春雨」の味わいを忘れられないファンからの強力で熱い要望によって「春雨」の泡盛が一般に販売されるようになったのだ。だから、甦った幻の酒と評されるのだ。

◆花が咲くように醸す・春雨
 2代目・宮里武秀さんは「こだわりとは経験だけ」と語った。現在は、酒造りは三代目・宮里 徹さんに引き継がれているが、泡盛づくりの経験をデータ化して、伝統的な製法で泡盛を醸しつつ、最高の状態で熟成酒を造る。三代目は、「寝かせたからクースー(古酒)いうのではない。5年、8年、10年、15年と飲む時に蕾をつけるように泡盛を仕込む。花が咲く時に飲んでもらうような泡盛づくりが『春雨』の泡盛だ」と。

◆この酒に惚れた
 「春雨ゴールド」は、クースーのような熟成感のある味わいを、気軽に楽しんでもらいたいというコンセプトで誕生した泡盛です。熟成期間は約2年。クースーとは呼べませんが、まるく深みのある味わいは、まさにクースーそのもの。ナッツや果実を連想させる香りと、ほんのりとした甘味が印象的。宮里 徹さんが長年研究を重ねて完成させた「クースーのような気軽に飲める泡盛です」と。
 立春大吉。泡盛の銘酒、「春雨」を飲んでみてはどうでしょうか。

原料米  タイ国 ィンディカ米
精米歩合 約90%
熟成期間 2年程度
飲み方  ロック、水割
度数 30.0%
価格 2760円(税込)1800ml 

 


845号 2017年3月5日

(127)地酒途中下車 奥羽本線 天童駅下車
発砲清酒「咲」まさに日本酒のシャンパン

◆さくらの国の発砲清酒「咲(さく)」    
 「出羽桜 スパークリング日本酒 咲(さく)」。グラスに注いだ瞬間、シュワーッと軽やかな音が心地よく耳に入ってきます。軽快なクリアで爽快な飲み口は、その名の通り、一斉に咲き誇る桜のようです。しかし、爽快なだけではありません! 日本酒らしいコクと旨みも十分に楽しんでいただける味わいになっております!

◆約20年がかりで開発・発売
 日本酒業界で「にごり」や「澱(おり)」が絡んだ発砲性の酒はこれまでに発売されていました。出羽桜が開発した発泡清酒「咲」は、常識を覆した全く新しい発砲清酒です。「にごり」や「澱」がなく、澄み切った発砲清酒です。まさに、日本酒のシャンパンが誕生しました。
 この酒を発売するまでには、長年の研究の積み重ねがありました。出羽桜酒造が発砲清酒の市販化を目指し研究をしていることを、私が知ったのは平成8年2月でした。この時、出羽桜酒造を訪問して、夜、宿泊先で飲んだのが微発砲清酒でした。
 泡(ガス)を閉じ込めたまま瓶詰めするというのは簡単ではありません。約20年間に及ぶ試行錯誤が繰り返されていました。瓶ごとにガスの圧力が違い、香味がなかなか均一にできないことなどから、市販化には至りませんでした。
 製造過程は極秘。圧力がかけられるタンクの中で発酵させ、炭酸が抜けないように濾過(ろか)、瓶詰めしたとのことでした。それから13年…。2010 (平成22)年3月から出羽桜特約店の中で厳選された専門店で発売が開始されました。今や静かなブームとなっています。

◆発砲清酒「咲」の原料米
 原料米は山形県が開発した酒造好適米「出羽の里」。特長は大きく二つ。心白の発現率が約90%と非常に高く(山田錦は約80%)、タンパク質の含有量が低いこと。結果、米をあまり磨かなくとも、アミノ酸度が低く、すっきりした酒に仕上がります。
 使用酵母も山形県が開発した「TY−24」。酒にコク味をもたらす成分「チロソール」を多く生成する酵母で、アルコール分が低くとも、旨みとコクが十分に味わえます。「咲」は、これらの原料を用い、「純米」仕込みの“モロミ”を圧力密閉タンク内で二次発酵させ、炭酸ガスを封じ込めます。その後、炭酸ガスを吹き込み、発泡圧力を調整した後に瓶詰めし、瓶火入れします。なお、「咲」は炭酸ガスを添加するため、純米酒の表記は認められておりません。すべての炭酸ガスが、酵母に由来する場合のみ、特定名称酒表記が可能です。
 今年の花見には、新しい香味の日本酒はいかがでしょうか。入荷数量が少ないため、お早めに!

【出羽桜 「咲」 発砲清酒】
原料米 山形県産 出羽の里(米・米麹)
精米歩合 65%   日本酒度 −9.0
酸  度 1.2ml  アミノ酸度 度数 9.0%
酵  母   ●チロソール酵母 ●高生産性酵母TY-24酵母
価  格 250ml 税込 486円

≪オリジナルカクテルを造ろう≫
・「咲」3:100%オレンジジュース1
・冷た〜く冷やした「咲」にレモンやライム、シークワーサーなどを搾って。

 
 

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