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上津久礼区 古川医院 古川まこと C
菊陽町津久礼868−5 рO96−232−1566
診察時間(月〜金) 9:00〜18:00(昼休み12:30〜14:00)
土曜日 9:00〜13:00 休診:日曜祝日
内科・外科・耳鼻咽喉科・小児科
http://www.dr-mako.net/ |
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552号 2011年3月20日
(91)健康長寿は可能かN 〜身体機能を取り戻すV 歩くこと〜
歩くことが体にも頭にもいいことを昔から言われています。歩くという運動は、筋肉を大いに使って、脳へ刺激を送っていることと脳への血流量や酸素の供給量も増えるため、脳の巡りがよくなります。すなわち、歩くことが脳を活性化するのです。また、歩くことによりセロトニンなどの脳内ホルモンが分泌されますます脳の働きがよくなります。
歴史上の芸術家や学者達は、いつも歩きながら構想を練ったそうです。古代ギリシャのヒポクラテス、哲学者プラトン、弟子アリストテレスは歩くことでアイデアを生み出し、歩きながら講義をしたようです。モーツアルトは「歩く達人」といわれ、歩いているうちに色々なものが心に見えてきて、それが美しい音符になったとのことです。まさに歩くことで文化をつくり出すのです。
一方、老化は足からきます。足腰には全身の筋肉の3分の2が集まっています。歩行不足、運動不足は、これらの筋肉をみるみるうちに衰えさせていきます。上半身の筋肉に比べ下半身の筋肉は衰えていくスピードがとても速いのです。歩くことが少ないと、血行が悪くなり、脳への酸素と栄養の補給が不足してきます。もともと『人間は血管とともに老いる』ということばがあるように、血管も動脈硬化を招きやすくなり、老化が早まるのです。足には静脈弁があり「第2の心臓」と呼ばれています。歩行は足の筋肉を収縮させ同時に静脈を圧迫・収縮させます。心臓から送られてきた血液を上へ押し戻す“ポンプ”の役割を果たしているのです。歩くと全身の血行がよくなり、血管がリズミカルに動き、全身の新陳代謝が活発に行なわれ、老化を予防します。皆さん、歩きましょう。
伊能忠敬は「人は夢を持ち、前へ歩き続ける限り余生はいらない」と言っています。彼は地球の大きさを知りたいと思い、人生50年の時代に、50歳で家業を長男に譲り、天文学の高橋至時の門下生になり猛勉強を開始しました。北極点の高さを2つの地点で観測し、2地点間の距離がわかれば地球の外周が割り出せます。彼は蝦夷(北海道)から江戸までの距離を測るため、地図を作るという名目で幕府の許可を得ました。彼は55歳(1800年)に江戸を出発、3年かけて東日本の測量を終え、地球の大きさは約4万キロと計算しました。この数値は当時のオランダの天文学書と一致していました。幕府は、この地図の精密さに驚き、日本全土の地図の作成を命じ、1815年2月19日、彼がすべての測量を終えた時、70歳でした。彼が15年かけて歩いた距離は、実に4万キロ(4千万歩)つまり地球を一周したことになります。彼にとって「歩く」ことは彼の夢を実現する人生そのものだったのです。
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556号 2011年4月17日
(92)講演会のご案内
講演会のご案内
ガンで1年間30万人以上!の患者さんが亡くなっています。今もなお100万人以上の方々がガンのため苦痛と哀しみの中で闘病中です。日本中のガンの臨床医・研究者が総力をあげ、莫大な研究費・医療費を費やしてもガンを克服することができていません。
ガンの専門家の言動や仕事を信用し、自分のいのちを預けても安心はできません。ガンになったら、ガンが治るためのあらゆる情報を集め、比べ、選び取り、自ら治すための努力をしなければなりません。
路頭に迷い、わらにもすがりたい患者さんや家族は「ガンの免疫療法」や代替療法に救いを求めることもあります。しかし、さまざまなサプリメントや治療薬を購入したり、数百万円もの高額な治療費を支払い「免疫療法」を受けてもガンが治らず亡くなることが多いようです。
しかし、末期ガンでも治ることもあります。末期ガンを治した方が、その方法を多くのガン患者さんにお伝えしようとNPO法人をつくり全国的に活動されています。この方法は高額な治療費はかかりませんが、ガンの患者さん自身がガンに対する理解を深め、大変な自助努力をしなければなりません。すなわち、自らのガンを自覚し、食べ物や生活習慣を切り変え、自分自身でガンを治さなければならないからです。全国各地でこの方法で百人以上のガン患者が自らのガンを克服し、元気に生活されています。患者さんが中心となり、この団体の活動を広めています。
たったひとつの貴重な大切ないのちです。ガンを治し人生を楽しく生きていきましょう。ガンの方やご家族には講演会にぜひご参加をおすすめします。皆様方のお知り合いの方にガンでお悩みの方がおられたら講演会参加をおすすめ下さい。
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560号 2011年5月22日
(93)大地震と原発事故@ 地震と原発で私たちのいのちが危ない!
3月11日(金)大地震と大津波が東北地方を襲い、多くの市町村が壊滅し、死者・行方不明者の総数は2万4千人以上、そして15万人以上の方々が戦後最大・最悪の自然災害にあわれるという未曾有の被害をもたらしました。さらに福島原発事故もおこり、史上最悪のレベル7の規模となり、放射能汚染の広がりは関東にも及びつつあります。日本はまさに地震列島ですが、突然の大災害により平和な日常生活がいかにもろく壊れてしまう現実に呆然とし言葉もありません。悲惨な原発事故は、玄海原発・川内原発が稼動している九州でも起こりうる可能性があり、私たち一人ひとりのいのちが危機的な状況にあると思います。
東京電力・福島第1原子力発電所で発生した大事故は、現在も終息のメドさえついていません。事故の解決まで長い時間がかかりそうです。今回の原発事故は、さまざまな事実から明らかに人災と思われます。そして、この事故による放射線障害の規模はヒロシマ・ナガサキの原爆投下に匹敵するとも言われています。この3発目の「原爆」は日本人自らの手でおとしたようなもので、地震の被害に遭われ、さらに放射能汚染のため数十年もの長い時間ふるさとを離れざるを得ない被害者の方々の哀しみと怒りはいかほどのものでしょう。原発は安全だという安全神話をつくった科学者や専門家、国によるいい加減な安全審査、安全対策を怠った電力会社、原子力基本法(1955年)・電源3法(1974年)を制定し原発建設を推し進めてきた政府の責任は重大です。
今まで日本の電力会社は、原発事故時には当初事故を隠し情報非公開にすることが多かったようです。今回も、政府・東電の発表は二転三転し、事故の真相や放射能被害の状況が正しく伝えられていません。地震・津波の自然災害は予測困難ですが、人間が引きおこす大災害である戦争や原発事故は未然に防ぐ方法があるはずです。実際、大震災と原発の大事故が同時に発生する破局的大災害「原発震災」の危険性は、少なくとも10年以上前から警告され続けてきました。しかし、その警告は無視され、実際の対策に活かされることのないまま、現実の大災害になってしまいました。災害や事故の検証は明日の失敗を防ぎます。今回の災害と事故について検証してみようと思います。
参考文献
「原子炉時限爆弾」大地震におびえる日本列島 広瀬 隆著 ダイヤモンド社
「大地震による原発事故で日本破滅を予測」 2010年8月26日発行
「原発崩壊」増補版 〜想定されていた福島原発事故 明石昇二郎著 (株)金曜日
「原発から風が吹く」 〜地震・事故・立地に揺れる南の辺境 橋爪健郎編著 南方新社 |
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564号 2011年6月19日
(94)大地震と原発事故A 大地は動く、地球のしくみ
ある科学史家は、科学の理論において「99.9%は仮説 」であると述べています。すなわち、大自然・地球・宇宙について本当にわかっていることは、ほんのわずかにすぎません。地震予知も現在では不可能です。しかし、少しずつ世の中の事象が解明されるようになっています。中学・高校生が学ぶ地球科学をもう一度おさらしてみましょう。
1912年にドイツのアルフレート・ヴェーゲナーが大陸移動説を提唱しました。1929年アーサー・ホームズがマントル対流説で「大陸移動の原動力は地球内部の熱対流である」と唱えました。その後1960年代にロバート・ディーツが海洋底拡大説を唱え、それら全てをまとめたテュゾー・ウィルソンが1968年プレートテクトニクス(plate tectonics)として完成しました。プレートテクトニクスは、プレート理論(仮説)ともいいます。地球の表面が15〜16枚の固い岩板(プレートと呼ぶ)で構成されており、このプレートが対流するマントルに乗って互いに動いています。プレートが絶えず動くことによって起こるのが地震です。
地球を卵に例えた時、ちょうど卵の殻の厚さの固い岩が地球の表面を覆っています。これがプレートで70〜150キロの厚さです(地球の赤道半径は6378km)。プレートの下にはマントル(厚さ2900km)と言う高温の柔らかい岩(1000℃〜4500℃)があり、粘り気の強い液体のように、ごくゆっくり、プレートを上に載せたまま流れています。プレートの動く早さは年に1〜10cmのようです。中心には金属の鉄・ニッケルからなる核があり、固体である内核と液体である外核に分かれています。
海嶺は海底にある巨大な火山の列ですが、山頂から溶岩が出てきて、海水で固まり岩になりプレートになるのです。太平洋の中央海嶺は中南米の沖にありますが、新しいプレートが次々と作られ太平洋プレートとなり、日本列島が作られたようです。日本列島は4つのプレート(太平洋プレート・ユーラシアプレート・北米プレート・フィリピン海プレート)の境界線上に乗っています。日本列島は4つのプレートがぶつかりあいながら沈み込んでゆく複雑で巨大な力がかかる場所に位置しています。プレートが生まれる時と消え去る時に地震が起きます。日本に地震が多い原因のひとつです。
日本海によって大陸から分離した日本列島の原型が3000万年前につくられたようです。この4つのプレートがぶつかりあう場所で、激しい火山活動と造山運動によって生まれたのが日本列島です。この活動は現在でも続いていて、日本の地下には複雑な力がかかり、多くの亀裂と断層が生まれているため、地震が多発するのです。日本は世界でも有数の地震国です!日本の陸地の面積は地球の陸地表面のわずか0.28%、まわりの海は0.6%ですが、世界中でこの90年間に900回ほど起き、M7を越える地震の10%、M6以上で22%もの地震が日本で起きています(1995〜2004年)。
参考文献
1)「99.9%は仮説 」光文社新書
2)「大地震はなぜ起きる」 花伝社
3)「福島原発メルトダウン」 朝日新書 |
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568号 2011年7月17日
(95)大地震と原発事故B 地震発生のメカニズム
3.11東北の巨大地震・大津波以来、私たちは変わったと思います。自然災害や原子力発電所に対する考え方だけでなく、人生観や世界観も変わったようです。地震・津波・原発事故で仕事や住まいや財産そして平和な日常生活をすべて失い、おまけに命まで失ってしまった被災者の方々は、明日の私たちかもしれません。1995年頃より日本列島は地震活動期に入り全国各地で地震・噴火が続いています。この日本に生きていく限り、私たちのいのちと健康と生活に深く関わる巨大地震や火山噴火について理解しておかねばならないと思います。また原発事故の放射能汚染についてももっと詳しく理解しなければなりません。
日本列島は地質学的に非常に不安定な場所にあり、世界的に大きな地震が頻発する地域となっています。地震の発生するメカニズムは大きく二つに分けて、先述の「プレート境界型地震」と「内陸直下型地震」があります。今回の東北の地震は「プレート境界型地震」の典型です。この地震は沖合の海底で発生するため、大きな津波の被害をもたらすことは歴史の事実としてよく知られています。
断層も地震の原因です。断層とは岩の中の割れ目で、割れ目を境にお互いにすべると地震となります。柔らかい地盤は地震の揺れを増幅します。「内陸直下型地震」は、いつどこで起こるかまったく予測できない地震です。しかし、過去に大きな動きがあり断層が表面に出ている部分は、次に歪(ひずみ)がたまった時に動きやすいようです。過去170万〜180万年前以降に動いた断層を「活断層」と呼び、地震が起こりやすい危険な地域だとしています。しかし、断層の大部分は地表から見えていないので、活断層の有無だけでは危険性を判断できません。阪神淡路大震災でも震源のほとんどで活断層は見えなかったようです。
大地震にはナワ張りがあり、その中で同じような大地震が繰り返し起きています。1707年の南海・東海地域を襲った宝永地震は、ナワ張り5個を道連れにしたM8.4規模の巨大地震でした。今回の大地震も少なくとも4つの大地震がドミノ倒しのように続いて起き、最初の岩手沖の地震から最後の茨城沖の地震まで約5分間という長い時間がかかり、M9の巨大地震となりました。きたるべき東海地震も宝永地震のように南海地震と連動して、超巨大地震として起きる可能性を専門家は指摘しています。
日本で死者が1000人を超す地震に襲われたのは、福井地震(1948年)までの450年間に30回もありました。平均して15年に1回地震があった計算になります。その後阪神淡路大震災(1995年)まで、戦後50年間大地震のない静穏期にあったようです。阪神大震災を境に「日本列島は地震激動期に入った」ことを知るべきです。
参考文献:「巨大地震はなぜ起きる」 花伝社 |
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572号 2011年8月14日
(96)大地震と原発事故C 今後、巨大地震の起きる可能性?
1995年頃より日本は地震や火山噴火が活発化していますが、主なものは次です。
1991年 雲仙普賢岳噴火
1995年 阪神大震災M7.3
1997年 川内地震(鹿児島)M6.8
2000年 三宅島大噴火
2004年 新潟県中越地震M6.8
浅間山噴火、新潟県中越沖地震M6.8
2008年 岩手・宮城内陸地震M7.2
2009年 駿河湾地震(静岡)M6.5
桜島噴火
2011年 新燃岳噴火(鹿児島)
東北三陸沖地震M9.0
今回の東北の大地震の特徴は異常と見えるほど余震活動が激しいことです。本震はM9.0の巨大地震のため、余震でもM7以上の大地震が次々と発生、何週間も続いています。いったんM9クラスの巨大地震が発生すると、最大規模の余震が1年以上もたってから起きることもあります。地球科学には「過去は未来を知る鍵」と言われていますが、今回の地震と酷似する2004年スマトラ沖地震が今後の地震の予測につながります。スマトラ沖地震の3ヵ月後の2005年3月、震源域の南方でM8.6の巨大地震が起きています。震源域の拡大は6年後まで断続的に続き、2010年10月M7.7の地震を起こしています。
今回、東京を襲う巨大地震の可能性も否定できません。昔から地震が多発している東京は、今最も危険な地域です。1603年江戸に幕府が置かれてから400年間、30回近くも震度5や震度6の地震に襲われています。東京付近は3つのプレートが衝突しています。関東から中部地方の地下には太平洋プレートとフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込んでいます。プレートのどこか1ヵ所が跳ね上がると、それが引き金になって、次々と地震を誘発することがあります。1923年関東大震災発生前の40年間に関東地方全域で中小規模の地震が頻発していました。そして、1922年にM6.8の浦賀水道地震を引き金にするかのように、翌年M7.9の関東大地震が発生しました。
海域で巨大地震が発生した後、遠く離れた内陸部の活断層が活発化し、M7クラスの直下型地震を誘発した例は、過去にも多数報告されています。今まで江戸・東京を襲った地震は海溝型(プレート境界型)だけでなく、直下型地震もあり、東京を襲う巨大地震の可能性も否定できません。
海域で巨大地震が発生すると、数ヵ月から数年以内に活火山の噴火を誘発することがあります。江戸時代に1703年元禄関東地震(M8.2)の4年後1707年に宝永地震(M8.6)が発生し、その49日後に富士山の大噴火が起こっています。今回の巨大地震の4日後、3月15日富士宮市で震度6強の地震が発生しました。その後、その一帯で群発地震が始まったので、マグマの圧力が原因となった地震と考えられ、富士山大噴火の予兆だと考える専門家もいます。
参考文献 「巨大地震はなぜ起きる」 花伝社
「今そこにある富士山噴火・東海・日本大地震」 文芸春秋6月号
「超巨大地震に迫る」 NHK出版新
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576号 2011年9月18日
(97)大地震と原発事故D 大災害に対する備えを!
専門家は巨大地震が西日本の太平洋沿岸で必ず起きると予測しています。西日本の沿岸に沿った海底に、南海トラフと呼ばれる1000キロメートル以上も続く細長い窪地があります。ここにフィリピン海プレートが沈み込んでおり、三つの区間に分かれた巨大地震の震源域があります。これらは東海地震・東南海地震・南海地震に対応しており、この3つの地震が同時に発生する「連動型地震」が起これば今回のようなM9クラスの巨大地震になり、首都圏から九州までの広範囲に地震と津波の大災害をもたらす可能性があります。南海トラフ沿いの巨大地震は90〜150年おきに周期的に発生しています。安政東海大地震(1854年)からすでに157年が経過しています。地震学者は数年以内、遅くても十数年以内に超巨大地震が起きる可能性を予測しています。
この西日本大地震が起きれば太平洋ベルト地帯の経済活動を直撃します。また、人口密集地の現在の大都市で巨大地震が発生すると最も悲惨な被害をもたらすものと思われます。特に、政治・経済・文化などすべてが集中し、日本国家の中枢の東京や大阪が壊滅すると日本は国家として機能しなくなる可能性もあります。また日本経済が破綻するだけでなく世界金融危機を招くと予測する専門家も少なからずいます。
6月10日にNHKTVの「熊本の風」で「熊本の地震・津波の対策の見直し」が放送されていました。熊本には九州最大の活断層の布田川・日奈久断層(全長101km)があります。この断層は南阿蘇村から御船町まで東西に貫く布田川断層から日奈久まで3つの断層で構成されています。これらの断層による地震が連続して起きればM8クラスの巨大地震になる可能性があります。特にこの断層の西側に地震の揺れが激しくなり、沖積平野の上の熊本市は激しい揺れに襲われると思われます。また、地表から見えない無数の断層が全県下にあり、まさに「熊本の地下は地震の巣」とのことです。今年に入り県内でも地震が多くなっていますが、今後熊本に巨大な直下型の地震が起こる可能性があります。その時、熊本は耐震化をしていない木造家屋が多いため被害は甚大になると思われます。
地球科学的にも日本全土が本格的な変動期に突入したことは間違いがなく、今回のような巨大地震が日本全国どこにでも発生するかもしれません。国・地方問わずすべての機関が危機管理体制を早急に確立し、突然の巨大災害への備えや災害後の対策等々について過去の政策を見直し、新たな施策を直ちに始めなければならないと思います。
また、小中高の学校の防災教育を常に行い、生徒たちが自らの判断で行動できるようにすること、同時にすべての市民に対する防災教育も必要です。私たち自身も、各家庭での危機管理対策を行ない、突然の大地震発生に備え防災対策を行い、パニックにならないように心の準備をしておきましょう。そして地震直撃で生き残ったあとのサバイバル生活に耐えることができるような準備も必要かもしれません。
参考文献
「巨大地震はなぜ起きる」花伝社
「超巨大地震に迫る」〜日本列島で何が起きているのか〜 NHK出版新書 |
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580号 2011年10月16日
(98)大地震と原発事故E 史上最悪の原発事故による放射能汚染
3月11日の未曽有の大災害を経験した被災地の人々は、すべてを失い、東北の寒空の下でただ震えるばかりでした。日本のすべての人々は、恐るべき惨状を映像で見て自然に対する畏怖と脅威を感じ恐れおののき、人間の無力さを思い知りました。被災者は少しずつ日常を取り戻しつつありますが、政治家・官僚の動きが悪く、国の支援の手が遅い。国への不信感、怒りは日々に高まっています。
3月11日の原発事故について研究者も政府も人災と認めています。世界最悪のレベル7の原発事故でありながら、政府・東京電力・原子力の専門家たちは事故を過少評価するための「うそ」をつきつづけています。政府・会社の情報をそのまま発表するだけの大手メディア(新聞やテレビ)からは真実を知ることができなくなっています。3月12日の水素爆発から数日でレベル7に達していたにも関わらず、政府は1ヵ月後の4月12日に「レベル7」と発表しました。政府は事故を「小さく見せよう」とした結果、すぐに避難が必要だった放射能汚染地区の住民は放置されました。
事故から5カ月もたってから、原発に近い地域での「積算放射線量」が文部科学省から発表されました。「最高で508.1ミリシーベルト!(人体へ影響を与える放射線量のシーベルトは、1年間の被曝の基準は1ミリシーベルト、50ミリシーベルト以上は避難、100ミリシーベルト以上はがん発症率0.5%上昇)」このデータは3月中にでも発表できたのに5ヵ月も遅れたことは、政治家や官僚の責任は重大で、東北・関東に広がる被災国民のいのちと人権に対しての重大な犯罪であると言わざるを得ないと思います。
7月27日、東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授は、参考人として出席した衆院の厚生労働委員会で「放射能の健康への影響」について意見を述べたとき、声を荒らげ、政府や国会の怠慢を激しく非難しています。児玉氏によれば、今回の事故は熱量換算で広島原発の29.6個分、ウラン換算では20個分もの放射能が漏出し、関東・東北に放射能が広がり、空気も水も大地も汚染されています。野菜から始まった農畜産物などへの影響は広範囲に及び、岩手・宮城の東北各県や関東各県で何らかの食品の出荷停止となっています。10万人近くに上るとみられる「原発避難民」は帰郷のメドすら立っていません。現在もなお事故は収束せず、メルトダウンした3基の原発からは放射能は出続けています。政府・東電・メディアはこの放射能汚染の実態を隠そうとしていますが、この放射能汚染のひろがりをみると原発周辺の地域は人間が安心して住めるところではなくなったと言っても過言ではないようです。
(8月26日経済産業省原子力安全・保安院公表「福島放出セシウムは広島原爆168倍相当」)
参考文献
週刊ダイヤモンド「原発」5月21日号 ダイヤモンド社
月刊誌「世界」6月号 岩波書店
別冊宝島「原発の深い闇」 東電・政治家・官僚・マスコミ・文化人の大罪 宝島社 |
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585号 2011年11月20日
(99)大地震と原発事故F 原子力とは何か(1)
1945年に米国は日本に原爆を投下し数十万人を殺戮し多数の被曝者を生み出しました。今回東電は福島原発事故を引き起こし広範囲の放射能被害をもたらしています。原爆・原発は、ともに原子力のエネルギーを利用していますが、人類を絶滅させるほどの核兵器を米英ロ仏中国インドパキスタンイスラエル等が保有し、世界中で原発が稼働しています。どちらも人類の存亡にかかわる恐ろしい兵器・施設であり、強力な放射能と大量の放射性廃棄物を生み出します。
原子力とは何でしょうか。私たちが日常的に接しているのは原子ではなく、原子が結びつきあった分子です。生物の細胞やタンパク質、鉄や木材は分子の集まりです。原子は中心にある原子核と、その周りを回っている電子によって構成されています。分子の構成し形づくる化学結合は、原子と原子の間の電子の作用によります。ものが燃えたり、金属がくっついたり、壊れたりする変化は、分子間の化学反応で、電子のさまざまな作用によって起こっています。日常世界は化学的な変化の世界であり、生き物の世界でも同じです。
原子そのものは1ナノメートル(10億分の1メートル)か、それ以下、つまり、原子のまわりの電子の広がりも1ナノメートルから0.1ナノメートルぐらいです。原子核はさらに小さく原子の10万分の1くらいです。原子核の中身は核子と言い、陽子と中性子が同じ数で非常に硬く結びついています。
1938年、ドイツのオットー・ハーンらが核分裂という現象を発見し、膨大な核エネルギーの解放と利用の可能性を考えました。ウラン235に中性子をあててこの原子核を揺すると原子核が不安定化して、二つのかけら(ストロンチウムやキセノンなどの死の灰)になり、同時に2個〜3個の余分な中性子とエネルギー(熱)が出ました。この余分な中性子がまた次のウランの核分裂をおこし、核分裂反応が連鎖的に持続的に起こる状態「臨界」となります。1993年9月300日東海村のウラン加工工場で「臨界事故」は1ミリグラムのウランが核分裂反応を起こし大事故になりました。1キログラムのウラン235が燃えたのが広島の原爆です。現代では、はるかに強力な威力を持った核兵器となっています。
原子核は常に安定しています。原子核のまわりの電子のさまざまな結びつきの変化で、日常生活での必要なエネルギーが、工業的に、また人体の生命活動の中で、生まれたり消滅したりしています。ところが原子核の安定性を崩し、不安定化することで膨大な核エネルギーを取り出したとき、私達の日常生活に脅威になるような現象がそこから起こってくることになりました。まさに「*パンドラの箱」を開けてしまったのです。原子核を不安定化させると、大量の放射性物質「死の灰」という不安定な原子核が出てきて、私たちに死をもたらすほどの悪い影響を及ぼします。これが核反応の本質であり、致命的な欠陥なのです。
参考文献
「原子力神話からの解放〜日本を滅ぼす九つの呪縛」高木仁三郎 講談社+α文庫
*パンドラの箱
ギリシャ神話でゼウスより「絶対蓋を開けてはならない」と厳命されていた箱をパンドラが蓋を開け、ありとあらゆる厄災が飛び出してきて、火と技術をもっておごり高ぶる人間を懲らしめます。そして「見通し」が全くないまま混乱がひろがっていくばかりとなります。 |
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589号 2011年12月18日
(100)大地震と原発事故G 原子力とは何か(2) 大量に放出された放射能の行方
今年の3月、地震と津波によってすべての電源が失われた福島第1原発。3月12日1号機建屋の中に溜まった水素による爆発を起こし、14日には3号機建屋、15日には4号機建屋、2号機建屋にも水素爆発が起こりました。これらの一連の爆発は、大量の放射性物質を大気中に放出させました。その結果、一帯を放射能で汚染し、日本全体そして地球規模にも放射能汚染が広がりました。11月25日文部科学省の発表によると、沖縄県を含む45都道府県でセシウムが観測され、福島原発事故で放出された放射性物質が日本全土に降り注いだことが確認されました。事故前には検出されなかった半減期が2年のセシウム134が全地域で見つかったことから、文科省は原発事故からの降下物と判断し、セシウム134と137の降下物の汚染マップを発表しています(朝日新聞11月26日)。気象庁気象研究所などの研究チームは、福島原発事故で大気中に放出された放射性物質(ヨウ素131、セシウム134・137などの核種)は太平洋を横断し約10日間でほぼ地球を1周し、その結果として半分以上は海洋に落下したとするシミュレーションを公表しました(熊日新聞11月17日)。
もし、水蒸気爆発による圧力容器爆発が起これば大量の高濃度の放射性物質が放出され、急性放射性障害で大勢の人々の命があっというまに奪われる大惨事になるところだったようです。以前、原子力学者瀬尾健氏が福島第1原発6号機の事故をシミュレートしたことがあります。「原発から半径10キロ以内での急性死亡率99%、風向き次第では東京都内での癌死亡者200万人以上、本州のほぼ半分にあたる関東以北は今後人間が住めない土地になる…」。
原子力専門家の小出裕章氏が述べています。「8ヵ月が過ぎても、1・2・3号機の原子炉内で損傷し溶け出した核燃料が圧力容器や格納容器のどこに、どういう状態で存在するのかさえ東京電力には全くわからない。圧力容器の底が抜けてメルトダウンしているので、とにかく圧力容器に水を入れているだけ。水は格納容器に落ちていくが、そこにはドロドロになった溶融体があり2800度を超える崩壊熱を出しているので、入れた水は蒸気になって噴き出している。溶け落ちた炉心は格納容器を溶かし、原子炉建屋に落ち、さらに建屋の下の地面にめりこんでいっているかもしれない。とにかく蒸発しないように、100度を超えないように水を入れるしかない状態だ。高濃度の放射能の汚染水はたまり、地震で破壊されたコンクリートの裂け目から汚染水はどんどん漏れ出ている。2、3号機はいまだに原子炉建屋の中に入ることすらできない。4号機の中に膨大な量の使用済み燃料が入っている燃料プールを支えている壁や下の階も吹き飛んで、プールが宙ぶらりんになっている。もし、地震などでこのプールが落っこちたらもうおしまい。東京電力は補強工事をしたとしているがどこまでできているか不明。土壌や下水道汚泥から高濃度の放射性物質は処理ができないので、原発近くの広大な土地に集め、核の墓場にするしかない…」
参考文献
・「地震と原発・今からの危機」 宮台真司・飯田哲也・河野太郎他 扶桑社
・「週刊 金曜日 868号」 10月21日 株)金曜日
・「原発・放射能 子どもが危ない」 小出裕章・黒部信一 文春新書 |
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593号 2012年1月2日
(101)大地震と原発事故H 放射能汚染とは?(1)
原発事故以来、さまざまな情報が公開され原子爆弾や原子力発電の恐ろしさを知ることができ愕然とします。しかし、時の経過とともに、その恐怖感がうすれ、何事もなかったかのような日常生活に戻っていきます。しかし、全国で50以上の原発があり、今はすでに地震活動期であることを忘れてはならないと思います。3.11原発事故以来、放射能汚染が連日報道されています。放射能とは何か、放射能が人体にどのような影響をもたらすのかを述べてみます。
私たちのからだは、60兆個の細胞が集まってできています。赤血球の寿命は120日、白血球9日、頭髪4年等々各細胞の寿命は異なっていますが、それぞれの細胞には寿命があり、一秒間に約50万個死滅し、約50万個再生すると言われています。すべての細胞の中にDNAがあり、体のすべてのパーツや働きの情報が書き込まれています。直径100万分の1ミリの細胞の中に46本の染色体があり、その中にDNAの糸が対になって、らせん状に巻いて入っています。DNAは、4種類の分子が繰り返し30億個も連なっています。4つの分子は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)と呼ばれ、このA、T、G、Cの4文字から3文字を選んで一つの単語をつくり、それらをつなぎあわせて文章を作ります。たとえば、CAT-ATT-CGT-AGT…の情報がタンパク質や酵素を作り、細胞の再生を促し、人間の体をつくり、人間としての働きとなるのです。DNAの中の文章は、RANという分子に読み取られ、体の各部分にDNAの情報が伝えられます。
放射能を浴びるとどうなるのでしょうか。放射線を出す作用を放射能と呼びますが、放射線は物質を通り抜ける強い力を持っています。放射能を持つ原子は、放射線を出して壊れて別の原子になり、ついに放射線を出さなくなります。原子の集団の半分が壊れる時間が半減期ですが、あとの半分は壊れるまで放射線を出し続けます。ヨウ素131の半減期は8日、ストロンチウム90・セシウム137は30年、プルトニウム239は2万4千年です。放射線には、アルファ―線、ベータ―線、ガンマー線があります。私のからだの細胞は、分子からできていますが、その分子は原子からできていますが、放射線がひとつの原子にあたると、その原子からは電子が大きなエネルギーをもって飛び出します。飛び出した電子は、いく先々で無数の分子にぶつかって、エネルギーを少しずつ分け与えていきます。エネルギーを受け取った分子は、興奮状態になり、電子が飛び出します。電子を失った原子を電離原子と呼びますが、放射線の影響のほとんどが、からだの中に生じた電離原子による複雑な化学反応の結果引き起こされるものです。
人間が短時間に強い放射能をあびると、吐き気、だるさ、血液の異常、消化器障害などがあらわれ、死ぬ人もいるでしょう。弱い放射能を浴びても病気をもたらします。放射線はDNAに傷をつけたり、切断したりして、突然変異を引き起こし、細胞がガン化したりその他の病気になることもあります。
参考文献
「いのちと放射能」 柳澤桂子 ちくま文庫
「放射線の話」 大朏博善 WAC BUNKO |
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597号 2012年2月19日
(102)大地震と原発事故I 放射能汚染〜被ばくとは?〜
「知らぬが仏」ということわざがあります。本来の意味は「真実を知れば、心配したり、悲しんだり、腹を立てたりするが、知らずにいれば仏のような平静な心でいられること」のようです。しかし、今の時代は「知らぬが仏(死人)」かもしれません。なぜならば、さまざまな出来事の真実を知らないで生きていると、いつのまにか病気になり、ほんとうに仏(死人)になる時代だからです。
原発事故の情報をブログで発信している方が熊本市内におられます。インターネットで「院長の独り言」を検索してみてください。彼は東大工学部卒業後、東電に入社、福島第二原発に5年、本店原子力技術課安全グループに2年の勤務後退職、熊大医学部に入学し卒業後、熊大附属病院勤務、現在市内で開業しています。彼はブログをたびたび更新していますが、多い日は何と50万のアクセスがあります。熊本県の人口180万人より多い人々がこのブログをみているのです。公開されている様々な情報(1、3号機の爆発の動画や放射能汚染問題など)も発信しています。皆様もぜひともご覧ください。
放射能汚染について少し述べてみます。福島原発事故後、政府や電力会社は、膨大な量の放射能汚染の拡大があるにも関わらず、その事実の公表を遅らせ、放射能の人体への影響について本当のことを言っていません。そして、御用学者がさかんにテレビや新聞で放射能安全論を展開しています。しかし、ヒロシマ・ナガサキ原爆による放射能の健康被害、被ばく大国アメリカの実態(後述)、劣化ウラン弾が使用されたイラク・ボスニアの放射能汚染と健康被害などの事実から放射能汚染の恐ろしさを知ることができます。
「被ばく」とは、放射線《高速で発射される物質:アルファ線(ヘリウム原子核)とベータ線(電子)とガンマ線(高エネルギーの光)》を浴びることを言います。放射線による被害を考える場合、放射線がからだを貫通する「体外被ばく(直接被ばく)」と、放射性物質が鼻・口・皮膚から体内に入り、長期にわたって体内から放射し続ける放射線による「内部被ばく」があります。放射線は、物質を構成する原子の電子を吹き飛ばすことがあり、これを「電離」と言います。アルファ線とベータ線は高密度で電離を行い、内部被ばくでは大きな被ばく被害を与えます。ガンマ線は透過性が大きいので、体外被ばくが主です。低線量の放射線でも、からだに取り込まれると細胞に大きな変化をもたらします。なぜなら、細胞近くで発射される放射線は巨大なエネルギーを持つからです。生命活動を作り出す細胞内の活動は、酸素(O)・水素(H)・窒素(N)・炭素(C)など多数の分子が行う化学反応によって維持されていますが、そのエネルギーはすべて電子ボルトという単位(0.25〜7.9電子ボルト)です。これに対して、放射性物質は100万倍のメガ電子ボルト(アルファ線は420万電子ボルト)の巨大なエネルギーを至近距離から発射するため、低線量放射線でも、重大な障害をひきおこすのです。
参考文献
「内部被曝の真実」 児玉龍彦 幻冬舎新書
「内部被曝の脅威〜原爆から劣化ウラン弾まで〜」 肥田舜太郎・鎌仲ひとみ ちくま新書 |
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601号 2012年3月18日
(103)大地震と原発事故J 放射能汚染 〜内部被ばくの恐ろしさ1〜
世の中にはわからないことがたくさんあります。宇宙やミクロの世界でも、人間がわかっているのはごく一部にすぎません。原子やDNAに関しても、まだまだ人間の理解できないことが多いようです。放射線による内部被ばくについても、同じです。核兵器保有国や原発推進国の日本政府そして電力会社は「科学的な根拠がない」として認めていないようです。したがって国や企業のメディア戦略により、内部被ばくへの無知と無理解と無関心が一般的な世論の流れになっています。しかし、内部被ばくは静かに進行中の現実の大きな問題です。
除染(身体などに付着した放射性物質を除去すること)をしても、放射能は消えないので放射能汚染は続きます。内部被ばくの人体への悪影響を真剣に考えると福島原発周辺の放射能汚染地区では生活することはできません。
内部被ばくとは次の通りです。放射性物質の微粒子が空中や水中に浮遊し、また食物に取り込まれ、人間の呼吸、飲水、食事を通じて体内に摂取されます。そして放射性物質は放射線を発しながら肺と胃から血液に運ばれ、全身のどこかの組織に沈着し、アルファ線、ベータ線などを長時間、放射し続けます。そのため、体細胞が傷つけられて慢性の病気や癌をゆっくり進行させ、生殖細胞が傷つけられると子孫に遺伝障害を残します。内部被ばくでは、放射線が低線量(微量)でも重大な被害が起こるのです。
人類史上最大の人体実験とも言われる広島・長崎の原爆被災による被ばく、戦後の核開発での研究者・工場労働者の被ばく、劣化ウラン弾による被ばく、チェルノブイリ原発事故による被ばく、世界中の原発周辺の放射能の環境汚染による地域住民の被ばく等々、今日まで全世界で膨大な数の被ばく者が増え続けています。これらの多くは内部被ばくが原因です。ヒロシマ・ナガサキ原爆でも、爆発時の熱線・爆風と強力な放射線による外部被ばくで約20万人が即死の状態で亡くなり、その後も内部被ばくも加わり、さまざまな病気になり亡くなっています。そして67年たった現在でもなお“原爆病”で苦しまれています。福島原発事故による放射能の広がりが、今後どのような健康被害をもたらすかはわかりません。しかし、政府は今後30年間、福島県では健康調査を行う予定です。政府も内部被ばくについて苦慮していると思われます。政府は内部被ばくの恐ろしさをもっと国民に伝えるべきだと思います。
参考文献
「内部被曝の真実」 児玉龍彦 幻冬舎新書
「内部被曝の脅威〜原爆から劣化ウラン弾まで〜」
肥田舜太郎・鎌仲ひとみ ちくま新書
「放射性物質の正体」
PHPサイエンス・ワールド新書 |
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605号 2012年4月15日
(104)大地震と原発事故K 放射能汚染 〜内部被ばくの恐ろしさ2〜
なんと人類はおろかな生き物でしょう。太古より紛争の解決の手段として戦争が行われてきました。近代から現在まで、戦争遂行のために、科学技術の発達に伴い飛行機・ロケット・レーザー・コンピューター等々を開発し進化させました。この軍事技術は民間の社会生活に応用され人類の文明発展に寄与してきました。しかし、核兵器やミサイル等の大量破壊兵器の出現により、世界大戦による人類絶滅の可能性も現実となっています。そして原子力の利用による原発は、安全性の問題や増え続ける猛毒の放射能廃棄物の問題も抱えたまま、私たちの日常生活の脅威ともなっています。すなわち、原子力を兵器や原発として利用することを決定した時点で、人類は滅亡への道を歩み始めたのかもしれません。
アメリカ政府は、第2次世界大戦で日独伊3国に勝利するために大量に人間を殺戮し建物などを破壊できる大量破壊兵器・原爆製造を行うマンハッタン計画を開始しました。この計画により、ワシントン州、シアトルから350km東方に広がる砂漠の真ん中に世界ではじめて大型原子炉が建設されました。この地域はハンフォード・エリアと呼ばれ、リッチランドの町がつくられ、大戦中に13万人の労働者が働き、3基の原子炉が建設されました。この原子炉で長崎に投下された原爆のプルトニウムが抽出されていました。旧ソ連との核軍拡競争が展開された冷戦期に、さらに6基の原子炉が建設され、1987年の全面的生産停止までに約55トンの兵器用プルトニウム(核弾頭25000発分)が製造されました。
ラジウムの発見者の物理学者キューリー夫人や研究者が放射線障害で死亡して以来、放射線を浴びる人々(被ばく者)は増え続けています。1941年カリフォルニア大学の研究室で天然ウランからプルトニウムがつくられてから、原爆に使用するプルトニウム製造事業に従事する研究者や労働者から多数の被ばく者が出始めて、原爆製造に携わった科学者の多くが癌で早世しています。当局は原爆製造の初期段階ですでに内部被ばくの危険性を知っていました。そして安全許容量を課題としてかかえ、さまざまな人体実験が行われてきたようです。マンハッタン計画を主導した科学者、オッペンハイマーとエンリコ・フェルミは作業をすると必ず、ロス・アラモスのマンドール医師のところで「キーレーション(重金属を排出させる治療)」という点滴を受けていたようです。彼らは、自分たちが内部被ばくしていることを知っていたのです。現在も、この治療はリッチランドの住民に行われています。これは大量のビタミンを配合した点滴治療で、体内のフリーラジカル(活性酸素)を消し、重金属を体外に排出させる効果があると言います。リッチランドの住民の毛髪には重金属が多く、「プルトニウム工場に就職した同級生の多くは癌で死んでしまった」と54歳の住民が言っています。
参考文献
「内部被爆の真実」 児玉龍彦 幻冬舎新書
「内部被爆の脅威〜原爆から劣化ウラン弾まで」 肥田舜太郎・鎌仲ひとみ ちくま新書 |
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609号 2012年5月20日
(105)大地震と原発事故L 放射能汚染 〜内部被ばくの恐ろしさ3〜
1987年アメリカ政府はハンフォードに関する機密書類を公開しました。その書類から、驚くべき事実が明らかになりました。9基の原子炉の日々の操業から、様々な種類の放射性物質を放出し、その総量はスリーマイル島の原発事故の1万倍に相当し、西側世界で最大の放射能汚染が引き起こされていたことがわかりました。しかも、そこに住んでいた住民はその事実を何一つ知らされていなかったのです。1950年代、ハンフォ−ド核施設の風下に広がる広大な砂漠が、政府のプロジェクトで開拓されました。第2次世界大戦や朝鮮戦争で闘った兵士に格安のローンで土地を分け与え砂漠を緑化する基盤整備が行われ、砂漠は緑の穀倉地帯になりました。
この地域の住民の間で白血病や癌や多くの病気にかかる人が多く、ほとんどの女性は甲状腺障害を患い、流産が多発し、障害を持って生まれる子どもが多いとのことです。放射能汚染された土地に住み、そこで採れる作物を食べていた住民たちに起きていたのは、食物連鎖による微量放射性物質の生体濃縮、すなわち内部被ばくだったのです。植物や動物や魚介類の体内に日々取り入れられた放射性物質は蓄積し、数百万倍にも濃縮されることはよく知られた事実です。すなわち、人工の放射性物質はそれぞれ決まった臓器に集中して蓄積される性質(臓器親和性)があります。ストロンチウム90は主に骨に沈着し、造血機能を破壊して白血病を引き起こす元凶になり、セシウム137は骨、肝臓、腎臓、肺、筋肉に多く沈着します。ヨウ素131は甲状腺に集まり、甲状腺機能障害、甲状腺癌を引き起こします。ヨウ素は空気中から植物体内に200〜1000万倍に濃縮され、ミルクの中には62万倍濃縮されます。空中のガンマ線が微量でも、生体内で濃縮されると被ばく線量は飛躍的に増大します。
ハンフォード地区はアメリカ有数の穀倉地帯で、あらゆる作物が生産され、輸出されています。りんご、じゃがいも、小麦、コーン、牧草、蕎麦などです。その大部分を買っているのがファーストフード産業と日本の商社です。私たち日本人は、このような農作物を食べ、放射性物質の内部被ばくによる病気になっても気が付きません。
核大国アメリカは被ばく大国です。1945年、アリゾナのトリニティサイトで行われた世界初の原爆実験以来、大気圏内原爆実験は1200回!!行われました。放射性降下物質による放射能汚染は広範囲にひろがり、アメリカでは多くの市民がそれとはわからないまま内部被ばくによる被ばく者になっています。そして、十分すぎるほどのプルトニウムを生産し、圧倒的な数の核弾頭をつくった後、プルトニウム余剰の時代がやってきました。次に兵器から商業的な利用へと核エネルギーの用途は変貌しました。2005年には、アメリカ国内で111基の原発が操業しています。
参考文献
「内部被曝の真実」 児玉龍彦 幻冬舎新書
「内部被曝の脅威〜原爆から劣化ウラン弾まで〜」 肥田舜太郎・鎌仲ひとみ ちくま新書 |
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613号 2012年6月17日
(106)大地震と原発事故M
放射能汚染 〜内部被ばくの恐ろしさ4 低線量放射線で細胞膜破壊〜ペトカウ効果〜
1945年ヒロシマ・ナガサキ原爆、1954年ビキニ環礁の水爆実験、1986年チェルノブイリ原発事故等々により多くの方が被ばくし、私たちは放射能への恐怖は消えていません。しかし、きわめて低レベルの放射能については科学的には解明されず、今まで、科学界・医学界は健康診断の低線量X線等の低線量放射線は無害であると信じてきました。また、地球創生から40億年の間、宇宙線と地球上の放射線(ラジウム、トリウム等々)からの放射線による植物や樹木に対する影響の調査では、明らかな変化を見つけることはできませんでした。
しかし、1950年代以降、真摯な研究者たちにより、低線量の放射線による健康被害について報告されてきました。1972年カナダの医師で生物物理学者のアブラム・ぺトカウ(Abram Petkau)長年にわたる実験と人に対する研究を経て、低線量の放射線による生物学的障害について驚くべき発見をしました。すなわち、上記X線放射線よりはるかに低い放射線照射を長時間続けると細胞膜が壊れることを発見しました(ペトカウ効果)。
生きている細胞は細胞膜・細胞質・細胞核から成り立ち、細胞膜自体は生命活動に重要な働きをしているため、健康な生命には不可欠です。細胞膜を破壊するにはX線の大装置から毎分260ミリシーベルトで、全量35ミリシーベルトの高線量率照射が必要でした。しかし、水に溶かした放射性食卓塩(塩化ナトリウム22)から毎分0.01ミリシーベルト低線量率を長時間照射すると、全量わずか7ミリシーベルトで細胞膜は破壊されました。この原因は放射線の作り出す活性酸素・フリーラジカルによって間接的に起こされるのです。すなわち、酸素が溶け込んだ細胞液の中で、放射線は酸素分子に衝突して毒性の高い不安定な酸素(活性酸素・フリーラジカル)を作ります。この活性酸素が細胞膜に引き寄せられ、細胞膜を次々酸化する連鎖反応を起こし、細胞膜を弱らせ破壊させるのです。この活性酸素の数が少なければ少ないほど細胞損傷を起こす効率は高くなります。1974年スターングラスによると、死の灰や原発から放出される放射性物質からのごく微量で長期にわたる被ばく線量は、高線量での動物実験の被害より、100倍、1000倍も危険であることが指摘されています。
したがって、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)も述べているように放射線は全くないことが理想です。(少量の線量でも被ばく後に生物学的障害があらわれる)。しかし、今回の福島原発事故で日本国中にひろがった放射性物質の少量を体内に取り込んでも、低レベルの放射線を持続的に放出します。ごくわずかの核分裂物質(放射性物質)も体内に長くとどまれば、健康被害をもたらします。ストロンチウム90は骨や骨髄に免疫力を低下させ、ガンや白血病を引き起こし、セシウム137は筋肉に蓄積され、心不全、心筋梗塞、突然死、不妊症、歩行困難等の原因となります。放射性ヨウ素131は甲状腺への悪影響と胎児の脳障害と、精神発達遅延の原因となります。
参考文献
「人間と環境への低レベル放射能の脅威」〜福島原発放射能汚染を考えるために
ラルフ・グロイブ/アーネスト・スターングラス(肥田舜太郎 訳) あけび書 |
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617号 2012年7月15日
(107)大地震と原発事故N 放射能汚染のひろがり〜
ガレキ受け入れで放射能汚染拡大〜
ほんとうのことは世の中全体に伝わらないものです。一番重要な内部被ばくが全国民の周知の事実になっていません。政府は国民のための政治をおこなわず、国民のいのちを軽視しています。政治家・官僚は「内部被ばく」を知っているにも関わらず、国民に本当のことを伝えていません。
原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、述べています。 「少量の線量でも被曝後に生物学的障害があらわれる」。国際放射線防護委員会(ICRP)も「内部被ばくに関してはしきい値はない」と述べています。内部被ばくでは、放射性物質が体内に取り込まれ周辺の細胞と密着した状態で放射線を放出し続けるので、ごく微量でも深刻な健康被害をもたらします。今回、食品の放射線に関する暫定基準値が決められました。しかし、全国の海も陸も放射能汚染されている現状ではむずかしいが、本来は放射性物質ゼロの食品が理想です。
2006年経済産業省原子力安全・保安院が2004年のスマトラ沖大地震を受け、原発が津波で全電源喪失する恐れを東京電力に指摘していましたが、東電が地震や津波に対する安全対策をとらず、最悪の原発事故を起こしました。放射能汚染の責任は東電と間違った原子力政策を進めてきた政府にある事を忘れてはなりません。
現在、政府の方針で、また御用学者やマスコミの放射能安全説にだまされて、多くの住民の方々は放射能汚染地域に住まざるを得なくなっています。さらに、政府は放射能汚染ガレキを全国の自治体にお金を出して引き受けさせ、放射能汚染を日本全体に拡大させようとしています。そうなれば日本に住むすべての人々が被ばくすることになるでしょう。宮城県、岩手県のガレキも放射能汚染されていることは下記の放射性セシウムの降下量の調査結果をみれば明らかです。放射性物質をわずかに含んだガレキも燃やせば大気中に広がり、降雨で大地と地下水に入り、最後にはあらゆる生物の食物連鎖の中で濃縮された放射性物質が人間の体内に取り込まれていきます。
参考文献「人間と環境への低レベル放射能の脅威」
〜福島原発放射能汚染を考えるために
ラルフ・グロイブ/アーネスト・スターングラス
(肥田舜太郎訳) あけび書房 |
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621号 2012年8月12日
(108)大地震と原発事故O 〜危機的な日本の原発事情 危ない福島第1原発4号機〜
福島原発事故はいまだ収束がなく、原因究明もできていないにもかかわらず、原発再稼働が始まっています。この危機的な日本の現実をもっと知る必要があると思い、このシリーズを続けています。日本全体に放射能汚染がひろがり、日本人全員の健康被害が危惧されているにも関わらず、政府・電力会社は原発事故や放射能汚染についての真実を伝えていません。
1年4か月経過した今になっても、福島第1原発事故は全く収束していない絶望的な状況です。6月27日1号機の建屋内の圧力抑制室外側で、毎時10.3シーベルトの破滅的な放射線量が検出されました。地下1階の汚染水の直上を測定した結果です。毎時10ミリシーベルトは人間が浴びると即死するレベルです。もはや、1号機の中心は人間が立ち入れないレベルまで汚染されているのです。
昨年の事故以来問題になっている4号機の貯蔵プールにも異変が起こっています。6月に建屋に傾きが生じているようです。また、使用前・使用後の核燃料(約1500本)を冷却中ですが、冷却システムのパイプがまだ仮設のものでどの程度の揺れに耐えられるか全くわからないのです。地震がおこり、建屋が崩れて核燃料がむき出しになったり、パイプが破損して核燃料が冷却できなくなった場合、大惨劇が起こることを専門家は指摘しています。核燃料や使用済み核燃料が冷却できなくなると、温度が上がり、崩壊熱によって放射性物質を格納している容器が燃えだしてしまいます。その時、昨年の事故の10倍の放射性物質が放出され、風向きによっては首都圏3000万人に被害がおよぶ可能性もあります。
政府の使用済み核燃料を再処理してウランとプルトニウムを取り出し再利用するリサイクル計画は破綻したため、危険な使用済み核燃料が全国の原発内の貯蔵プールに保管されています。そして、その容量が満杯に近づいています(2011年9月現在、大飯原発69%、伊方原発63%、玄海原発78%など)。したがって、大地震や津波で福島原発と同じような事故が起こりうる恐ろしい状況です。
7月5日、国会事故調査委員会は、報告書で「人々の命と社会を守るという責任感の欠如があった」と過去の原発の安全対策や事故対応を厳しく批判し「原発事故は人災」と断定しました。東電や国が地震、津波対策を先送りしたことにより原発事故が起こりました。地震により冷却システムの破損が起こり、1〜3号機の原子炉の炉心溶融が起こった可能性を指摘しています。東電がこの原因を津波にだけ求めましたが、これは他の原発への影響を考えた意図的なものであると断罪しています。すなわち、全国各地の原発でも、地震だけで冷却システムの破損が起こり、今回のような大事故が起こりうる可能性があるのです。
参考資料
「隠される原子力、核の真実」 小出裕章 創史社
「今、世界は破滅の危機」 元駐スイス大使村田光平 「週刊現代」2012.6.16
「福島第1原発4号機が再び傾きだした」 「週刊現代」2012.7.14
NHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」 NHK |
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625号 2012年9月16日
(109)大地震と原発事故P 〜死の灰による健康被害〜
3・11の原発事故で放射能の「死の灰」が日本や世界も空や陸や海にまき散らされ、地球環境を汚染していることはまぎれもない事実です。原爆では核分裂した直後にすべての放射性物質はその場から放出されます。しかし、原発の場合には、核分裂生成物のうち、ある程度寿命の長い放射性物質だけが事故の時に飛び出します。
67年前の1945年8月、アメリカはヒロシマ・ナガサキに原爆を投下し、2都市を壊滅させ20万人以上の殺戮を行いました。そして、爆発の強力な放射線やさまざまな放射性物質を含む死の灰により数十万人の重症〜軽傷の被ばく者をつくりだし、現在もなお苦しまれています。1950年代以降、米国と旧ソ連も大がかりな大気圏内核実験が始まり、英、仏、中国、インド等も加わり死の灰を全世界に降り注ぎ続けました。1954年ビキニ環礁の水爆実験により1,000隻以上の漁船が死の灰を浴び被ばくし、死亡者も出ています。死の灰による健康被害やさまざま悪影響について、これまで多くの研究者たちから報告されています。1950年から1980年の間、米国だけで28万人の乳児が核実験の結果死亡、現在でも当時の核実験により障害をうけた15歳から45歳の人々が何百万人もいます。日本でも瀬木三雄(元東北大医学部公衆衛生学部教授)の1972年の研究では、1950年〜1970年の全国の5〜9歳の子どものガンによる死亡率が600%まで急上昇していることを発見しました。また、ヨウ素131は甲状腺機能への悪影響と胎児の脳障害と精神発達の遅延をもたらします。1957年は、ネバダで何回も原爆実験が行われ、死の灰が最高に測定された年でしたが、この年生まれの18歳のSAT(学力適正試験)の成績が憂慮するほど低下したことからも明らかです。(1975年ニューヨークタイムズ)
ヒロシマの原爆ではウランが800グラム燃え、上記のような恐るべき被害をもたらしています。原子力発電所では、現在100万キロワットが標準で、1日3キログラム(3,000グラム)のウランを核分裂させます。すなわち、ヒロシマ原爆の約4発分のウランを毎日核分裂させながら電気を起こして、海を温め、死の灰(放射性廃棄物)を原子炉の中に溜めながら(1年間でヒロシマ原爆1,000発分)稼働させていきます。(2〜3年間蓄積)原発の方が、原爆よりはるかに大きいエネルギーを発生します。福島第1原発事故では、ヒロシマ原爆の100発分を超える量のセシウム137が広範囲にばらまかれたと推測されています。1、2、3号機を合わせるとヒロシマ原発4,000発分に相当する死の灰(核分裂生成物)が炉心の中にあったようですから、まだまだ大量の死の灰が閉じ込められた形で残っているのです。またそして今もなお死の灰が放出され続けています。
福島原発事故による死の灰が今後、福島そして日本全国の子どもたちにどのような悪影響をもたらすかが心配です。
参考文献
「人間と環境への低レベル放射能の脅威」 〜福島原発放射能汚染を考えるために
ラルフ・グロイブ/アーネスト・スターングラス 肥田舜太郎訳) あけび書房 |
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630号 2012年10月21日
(110)大地震と原発事故Q 政治は恐い〜原発がなくても電力は足りる1
政治は恐い。政治家や官僚そして大企業は、国民の生活・健康・命には何の配慮もなく、彼ら自身の利益のためにだけに政治を行っています。消費税による増税や原発再稼働等の政策を見ても明らかです。政治家・官僚は国民に重税を課し負担を増やし、国民のいのちと健康が危機的になろうとも一向に気していないようです。前政権の政治家も同じです。数年前の世論調査では国民からの信頼度は、19.7%と世界でも最低の部類に属していました。最近ではもっと低下しているでしょう。選挙時の公約を破るうそつき・詐欺師の政治家たちや国民無視の官僚たちに私たち国民はさんざん騙されてきました。
政府と電力会社は今まで大きなうそをつき続けてきました。マスメディアも彼らの“広報機関”として、国民をだますことに加担してきました。すなわち「原子力の“安全神話”と電力不足で原発必要」です。“安全神話”は3・11の福島原発事故で完全に崩壊しました。大地震により冷却システムが破綻し原子炉のメルトダウンが起こり日本に広範囲に最悪の放射能汚染をもたらしています。原発は決して安全な設備ではありません。次の大地震には日本のどこかで第2、第3のフクシマが起こることが危惧されています。
原発がないと危機的な電力不足になると電力会社は言っていますが、原発がなくても電力不足を解消できることは、明らかです。3・11後も東日本の電力会社(東電・東北電力・北海道電力)の原発の大半が停止の状態でも電力不足はありませんでした。また今春に全国の54基の原発が完全に停止しても電力は不足しませんでした。
原発が全くなくても日本の電力は十分足りている理由をあげてみましょう。大企業が、電力会社の計画停電などで工場を止めることができないので、電力会社依存を脱却しようと軒並み自家発電を始めました。2000年に電力の自由化が始まり、電力会社以外の業者が一般に電力を売ることができます。各企業が卸電力事業をてがけるIPPが電力を供給でき、2010年には発電能力は6000万キロワットを超えています。一方、原発の発電能力は約5000万キロワットでしたが、福島第1原発は廃炉の予定で、中越沖地震で破壊された柏崎刈羽原発の2、3、4号機は再起不能の停止中で、実際、2011年には4111.6万キロワットしかありません。IPPの発電機を稼働させれば、原発なんて1基もいらないことは明らかです。しかし、電力会社と経済産業省は電力利権を独占するためにさまざまな妨害を行っています。電力会社は、国会議員や官僚に働きかけ、送電線の利権を握って、高額の送電線利用料を請求し、ほかの優れた発電業者を排除してきました。
次に原発を完全に停止しても、電力不足にならない別の方法を述べます。
参考資料
「原発稼動の深い闇」 宝島新書
「原発の闇を暴く」 広瀬隆・明石昇三郎 集英社新書
「原発がなくても電力は足りる」 宝島社 |
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634号 2012年11月18日
(111)大地震と原発事故R 〜原発がなくても電力は足りる2〜
原発事故・放射能汚染等の問題の連載が長くなっていますが、これは日本国民だけでなく人類存続についての極めて重大な問題だからです。人間がつくりだした数十万種類の化学物質は、人類に文明と繁栄をもたらしましたが、同時に地球規模の環境汚染をもたらし水俣病などの公害病やガンや慢性疾患の原因となっています。さらに、原発や原発事故による放射能汚染はもっとひどく地獄のような大災害をもたらします。放射能汚染のひろがりにより、私たちの生命や財産が失われるばかりではなく、日々の健康障害や遺伝子への悪影響による未来の国民の健康障害をもたらすことは明らかです。
1938年核分裂現象の発見から始まり、現在の核兵器や原発が人類に破壊的破滅的影響をもたらすことは、ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ環礁被ばくそして福島原発事故を経験した私たち日本人は骨の髄まで認識しています。負の遺産として決して忘れないで後世に伝えていかねばなりません。したがって“原子力安全神話”のもとに原発を導入し普及してきた電力会社・国の方針のウソや間違いを指摘し、原発がなくても電力は確保できることを述べたいと思います。この国に人間や多くの生き物が安全に生きることができるように、すべての原発を廃炉にしなければなりません。
風力発電や太陽光発電の自然エネルギーの電力は、現在の技術では発電能力は低く原発1基分しかなく全原発の代替にはなりません(9月26日朝日新聞)。
原発がなくても電力は足ります。我が国は、大量の発電能力を持った天然ガス火力の発電所を抱えながら、その稼働率を5〜6割に意図的に抑えてきました。天然ガス火力とは、最もクリーンで、すべての先進国で現在の主要な発電方法です。全世界で新たな天然ガス田が次々と発見されています。油田やガス田の在来型のガスとは別に、非在来型のシェールガスやメタンハイドレート等々の新たな天然ガス資源の存在が次々と確認され、埋蔵量は約400年分と見られています。さらに石油火力も、1〜2割の稼働率しかなく、これらの火力をフル稼働させれば、すべての原発を止めても、ピーク時にまだ2割くらいの火力が余ってしまいます。
最近では資源地図を変えるともいわれるシェールガスが注目されています。日本のエネルギー政策を再構築するうえで天然ガスを安定的・安価に購入しなければなりません。北米のシェールガスの生産拡大により価格が急落し、現在2012年9月には約3ドル/100万BTU(英国熱量単位)です。これは日本が中東からの購入する天然ガスが約18ドル/BTUと比較しはるかに安価です。また全世界の海底にメタンハイドレートは分布していますが、日本は世界で初めて「減圧法」で地中のメタンハイドレート層からメタンガスを生産することに成功しました。
2013年3月の東部南海トラフ海域での海洋産出試験が成功すればメタンハイドレートの資源化が実現します。
参考資料
「原発の闇を暴く」 広瀬隆・明石昇三郎 集英社新書
「原発がなくても電力は足りる」 宝島社
「原発ゼロ」は正しいのか」 〜電力政策・無策の恐怖 週刊東洋経済 |
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638号 2012年12月16日
(112)大地震と原発事故S 〜原発がなくても電力は足りる3〜
現在では、大規模に発電して電力消費地に高圧送電線で送電する原発のような「集中型電源」が行われていますが、高圧送電線を必要としない地域密着型の小規模なさまざまな発電システム「分散型電源」があります。今や、集中型から分散型へのエネルギー革命が着々と進んでいます。一般家庭では燃料電池が有効です。原料が水素と空気(酸素)という燃料電池の開発が進んでいますが、この電池から生み出されるのが電気と水と熱で究極のゼロ・エミッション(排ガスなし)システムです。燃料電池が家庭に入り込めば、送電線がなくなり、原発は無用の長物になるでしょう。
また、冷蔵・冷凍庫による電力消費の大きいスーパーマーケットやデパートなどでは小型のガスタービン(軽油や灯油を燃やして発電)である「マイクロガスタービン」も電源に適しています。また、将来のエネルギーとして有効な手段は発電の時に発生する熱を捨てずに利用するコジェネレーションがあります。福島原発事故以来、ガスコジェネの引き合いが殺到し、川崎重工やヤンマーなどのメーカーが受注に追いつけず、生産体制を強化しています。家庭用コジェネの代表的な発電機「エネファーム」が販売され少しずつ普及しています。エネファームと併用して自然エネルギー(太陽光発電等)を利用すると化石燃料は少なくてすみます。
日本の全家庭でそれぞれ必要な電気をつくりだせば、危険極まりない原発は必要ないのです。ただ、購入費用と燃料費等の経済的な問題もありますが、国のばく大な原子力関連の予算の一部を国民のエネファーム購入資金に回せばいいのです。
この「分散型電源」による発電システムを全国津々浦々にまで普及させる政策に変更すれば、原発はいらないし、大地震である地域が破壊されても、その他の地域のエネルギーは正常に機能することができ危機管理体制の一環としても有効です。
わが国のエネルギー政策の根本的な変更が必要です。当分、化石燃料によるエネルギーで電力は不足することはありません。エネルギーはこれからは天然ガスが主流となりそうです。米国のシェールガス革命で安価な天然ガスをまとめ買いをする資源外交を展開しなければなりません。またわが国は周囲に大量にメタンハイドレート資源が大量に存在していますが、この資源化実現は日本のエネルギー政策に大きな影響をもたらすと同時に全世界のメタンハイドレートの資源国にも大きな影響を与えます。
太陽光・風力などの再生可能エネルギーによる発電の普及や省エネルギーによる節電、火力発電用燃料の低コスト化などを積極的に進めるべきでしょう。自然エネルギーは風土によって大きく異なります。太陽光発電の普及を急ぎ、自然環境や住民の健康に影響をもたらさない場所での風力発電も普及させ、国土の7割が山林で、降雨量に恵まれたわが国は小水力発電が有効です。また生物由来の資源によるバイオマス発電も魅力的なエネルギーです。これはさまざまです。家畜糞尿や残飯、下水汚泥からのメタンガス、間伐材や製材廃材の木質バイオマス、ストーブ用の木質ペレットなどです。現在のバイオマス電力設備の9割以上はゴミ処理場の発電設備による廃棄物系発電です。
参考資料:「原発がなくても電力は足りる」 飯田哲也監修 宝島社 |
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642号 2013年1月20日
(113)大地震と原発事故(21) 〜危機的な現在〜
現在日本は専門家も警告しているようにきわめて危機的な状況です。日本の国が破綻すれば、人々の生活の危機は現実になります。資産・預金はなくなり、仕事がなく 社会保障もなくなり、生きていくのも難しくなります。戦後68年政治家・官僚の失政により、莫大な借金を抱えてしまった現在、現政権もまた国債増発を行います。1000兆円の負債を抱えながら、さらに負債を増やすのは極めて綱渡り的政策です。年間ガン死が35万3,499人(平成22年)で毎年増加傾向ですが、これは診断できるが治療困難を意味しています。医学であらゆる治療を試みてもガン細胞の増殖をコントロールできないのです。日本の政治はこのガン治療とよく似ています。消費税を上げ、国債を増発しても果たして財政は改善するのでしょうか?
現在、日本は地震活動期です。福島第1原発事故のメルトダウンの原因が地震による冷却システムの破綻が原因と事故調査委員会が報告しています。もし大地震がおこれば全原発に再び同じような大事故が起こる可能性があります。30年以上前から、高木仁三郎氏(物理学者)は地震の際の原発の危険性を予見し地震時の対策の必要性を訴えていました、特に1995年に福島第一原発 について、老朽化により耐震性が劣化している「老朽化原発」であり、「廃炉」の議論が必要だと指摘していました。2004年12月26日マグニチュード9.1のスマトラ島沖地震後も、専門家は大地震と津波による原発災害を警告していました。しかし、政府・電力会社は「原発は安全だ」と言うだけで何の対策もとりませんでした。現在もこれと同じ状況です。大地震が起これば、第2、第3のフクシマ原発事故が起こり、日本は強い放射能汚染で人間が安心して住めない国になるでしょう。政府は専門家の原発即時廃炉の警告を真剣に受け止め、廃炉をすすめていただきたいものです。
地球上の人類の危機も迫っているようです。大気圏で空気を守られた地球は70億人の人類と多くの生き物を乗せたまま、時速1674.4kmの速さで自転しながら時速10万Kmの超スピードで1億4960万km離れた太陽の周りを公転しています。銀河系の中を太陽と太陽系の惑星全体が時速76万Km〜86万Kmの速さで移動しています。大宇宙の中で地球上の生き物が今まで生存してきたことは奇跡のようなものかもしれません。現在、科学の発達により宇宙で何が起こっているのかを予測できます。太陽嵐、小惑星・彗星の接近や衝突・恒星ペテルギウス爆発等々で人類の危機が予測されています。太陽嵐とは非常に大規模な太陽フレアが発生した際に爆発的に放出され、その中の電磁波・粒子線・粒子などが、地球に甚大な被害をもたらす現象で、これに伴って磁気圏内に生成される電気エネルギーが原因となって発生した誘導電流が送電線に混入すると電流が乱れ、停電、電力システムの破壊を招きます。その時原発メルトダウンの可能性もあります!2012年11月14日科学の最先端をいくNASA(アメリカ航空宇宙局)が全職員と家族に警告を発しました。「現状はよい状態ではない。予期せぬ出来事に対して準備をしてください。緊急事態に備えてどうすべきか考えてください」
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646号 2013年2月17日
(114)大地震と原発事故(22) 〜政治は恐い 原発を日本に導入した理由(1)〜
地震活動期の現在、全国各地での地震発生の情報や地震に関する記事がメディアから報道されています。2月1日政府の地震調査研究推進本部は九州の活断層の評価から福岡や熊本で最大M(マグニチュード)8.2規模の大地震が起きる可能性を報告しています。今後30年以内に、M6.8以上の地震が起きる可能性を30〜42%と試算しています。
そもそも、火山列島・地震多発地帯である日本は世界でもっとも原発立地にふさわしくないのに、原発が54基(今年の4月に福島第1原発1〜4号機が事業中止)もある理由はなぜでしょうか。日本が原発導入に向かった理由の一つにアメリカの世界戦略があります。アイゼンハワー米大統領は1953年12月の国連総会で、原子力の平和利用に関する研究や原発建設で諸外国と協力すると約束しました。原子力技術を第3世界に提供することで自陣営に取り込もうとする狙いがあり、被爆国の日本が原発導入に動けば、ヒロシマ・ナガサキへの非難をかわせるし、宣伝効果も大きいと考えたようです。まさにアメリカの政治が危険極まりない原発を日本にもたらしたのです。危険な原発をもつのは、資源小国からの脱皮という意味のほかに「潜在的な核武装能力の維持」という目的があるのです。もともと原発の原子炉はプルトニウムを作り出すのが目的でした。1967年に使用済み核燃料から核兵器材料に適した核分裂性プルトニウム90%以上のプルトニウムを取り出す高速増殖炉の開発計画が始まりました。
プルトニウム利用のための核燃料サイクルについて、ウラン全体の中で核分裂性のウラン(ウラン235)が占める割合はわずか0.7%です。科学者はウラン全体の99.3%を占める燃えないウランをプルトニウムに換えて利用することを思いつきました。それを実現するために必要なものが、高速増殖炉を中心とする核燃料サイクル計画でした。米国を含め核先進国は高速増殖炉路線に足を踏み込み、1951年に世界で最初の高速炉ができました。しかし、高速増殖炉は技術的、社会的に抱える困難が多すぎて、世界の核開発先進国はすべて撤退してしまいました。日本では1967年に高速増殖炉の開発計画が出て、高速増殖炉「もんじゅ」は1994年から運転を始めましたが1995年に40%の出力まであげて、発電も含めた総合的な試験をしようとしたとたんに、2次冷却系が破損し、冷却材のナトリウムが噴出してきて火災になりました。2010年には運転再開直後に原子炉内に核燃料の交換装置が落下し、2012年8月に復旧したものの運転再開のめどがたっていません。この計画で今まで1兆円以上の国家予算を使いながら、いまだに発電ができていません。冷却材のナトリウムを固まらないように温める電気代がなんと月1億円かかっています。政府はプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)を燃料とする高速増殖炉が核燃料サイクル計画の柱であるため、巨額の国家予算を無駄に使いながら施設を維持しています。プルトニウムを含めて、現在約45トン所有しています。これは核兵器5千発分を超えます。
参考資料:
「原発と原爆」〜「日・米・英」核武装の暗闘〜 有馬哲夫著 文春新書 |
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650号 2013年3月17日
(115)大地震と原発事故(23) 〜政治は恐い 原発を日本に導入した理由(2)〜
電力問題は常に利権がらみで、莫大な金が動きます。原発導入と原発拡大にも,国家規模の莫大な金が動きました。危険な原発を廃炉にできない大きな理由も“お金”です。
1950〜1960年代、時の政権は国策として原発導入に踏み切り、巨大な国家プロジェクトになったあとは、莫大な金に群がる企業・大学・学者・政治家・マスコミ・ジャーナリスト・知識人等々の大きな「原子力ムラ」がつくられることになりました。すなわち、それは原子力体制とでも呼ぶべき巨大な利権構造ー電力会社・そことつながる原子炉メーカー・原発の建設会社・原発輸出に携わる商社・原発を推進してきた役所・自治体や大学・大学人・献金や選挙応援を受ける政治家・天下り先に便宜をはかる官僚等々が密接につながっています。その「原子力ムラ」を支えている莫大なお金は、すべての国民が徴収される税金や電気料金からきています。
特に電力などのエネルギー以外にも国家の重大事項で莫大な予算が動く事業では汚職・収賄は日常的だったようです。ロッキード汚職事件・ダム汚職事件・ゼネコン汚職事件等々過去の汚職事件は氷山の一角にすぎません。事件にならなかった汚職も無数にあり、政治家の自殺も汚職に関連したものが多いと言われています。原発を廃炉にできない理由の一つにこのような利権を手放したくない「原子力ムラ」の人間たちの反対意見や行動もあるのです。
福島では低線量の放射能汚染や、内部被ばくによる健康被害が心配されていますが、「原子力ムラ」の学者は「100ミリシーベルト以下の被ばくは心配ない」と住民に講演しています。また、関東周辺の野菜・魚介類の放射能汚染は確実に起こっていますが、マスコミは、放射能汚染の深刻さについてあまり報道しません。なぜなら、東京電力や電力関連会社からの巨額な広告・宣伝費や交際費がメディアに流れているからです。(2009年度の東電の広告宣伝費245億円、販売促進費240億円、さらに各電力会社の連合体である電気事業連合体などを含めると年間2,000億円)
3・11後も電力マネーは続いています。したがって、大手マスコミがテレビ・新聞・雑誌で放射能汚染の真実を報道できないのです。
参考文献
・原発と原爆〜「日・米・英」核武装の暗躍〜 有馬哲夫 文春新書
・フクシマの真実と内部被ばく 小野俊一(小野・出来田内科医院) 七桃社
・原発の深い闇〜東電・政治家・官僚・マスコミ・文化人の大罪〜 |
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655号 2013年4月21日
(116)大地震と原発事故(24) 〜政治は恐い 原発を日本に導入した理由(3)〜
いつも国民は政府や大企業にだまされています。2012年5月10日各マスコミは「東京電力の実質国有化決定」と報道しました。公的資金が1兆円投入され、政府が実質国有化するという内容です。しかし、東電は国有化されていません。通常、株式会社の支配権を握るには、議決権の51%を掌握しなければなりません。国は、株式の51%を支配していません。国は、原子力損害賠償支援機構(原賠機構)を通じて株式の50.11%を握ったことになっています。実際には、原賠機構に対して銀行が1兆円を融資し、その1兆円で原賠機構が東電の株式を取得、国は融資の連帯保証をしているだけです。原賠機構とは、政府と原子力事業者12社が、資本金140億円で折半して出資した組織です。結局、実質的には、東電株50.11%のうち半分を政府が所有し、のこり半分は電力グループの所有です。これでは実質国有化とはとてもいえません。そして、原賠機構すなわち電力事業者グループの中で圧倒的な力を持つのは東電です。
東電は「実質国有化」ではなく、東電自身が東電を買収したようなもので、東電のやりたい放題の会社になったのです。東電の株主総会で東電自身の意向で何でも議決できるようになったのです。国民は完全にだまされたのです。
原発を運営する東電などの大手電力会社の利権ピラミッドをみていきましょう。東電は売上高5兆円を超える巨大企業で、98の子会社があり、2012年10月現在、公表されている子会社以外にも多数の関連会社があります。東電には毎年多数の役人が天下っています。すなわち「顧問」「嘱託」などのポストに、経済産業省、国土交通省、外務省、財務省、警察庁、海上保安庁などから50人を超える役人が天下っています。彼らの年収は霞が関での最終ポストの報酬を下回らないようです。最上級の天下りポストは、東電副社長であり、通産次官、資源エネルギー庁長官及び次長経験者が何人も副社長になっています。また、東電や他の電力会社が会員になって運営するエネルギー関連公益法人には、少なくとも121人の官僚OBが天下っています。もし東電が国有化されていたら、情報公開法でこの天下りの実態が公表されてしまいます。したがって、役人たちは、実に巧妙に東電の国有化を阻止し“安全な天下り先”の民間企業のままでいることを策略したのです。東電のピラミッドには、政治家・御用学者・広告代理店・報道機関等々厖大な人々がぶら下がっています。原発ビジネスは非常に儲かる仕組みになっていても、何の違法性もありません。官僚と国会議員が結託して都合のいい法律をつくり、合法的に甘い汁を吸えるようになっているからです。以上が「巨大利権」と言われるゆえんです。独占企業となっている全国の電力会社も同様です。
参考文献
「原発の深い闇」〜東電・政治家・官僚・マスコミ・文化人の大罪〜 宝島社
「原発洗脳」〜アメリカに支配される日本の原子力 苫米地英人著 |
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659号 2013年5月19日
(117)大地震と原発事故(25) 〜原発を日本に導入した理由(4)〜
「原子力ムラ」は原発ピラミッドとも説明され、巨大利権の構図となっています。この頂点に立つのがアメリカの支配者層のようです。そして政界(自民党立党時から原子力推進)・民主党(電力総連が支援)・官界(経済産業省など)・財界(経済連・東芝・日立・三菱…)・電力会社・業界団体・学界(東大・東工大・京大…)・メディア(読売新聞・NHK・日経新聞…)と続きます。
敗戦後、日本には主権がなく、アメリカ政府・アメリカ軍が日本のすべての権限を握っていました。占領軍は日本のすべての軍事力を奪い(軍事兵器や飛行機はすべて破壊)、工業力を奪い、徹底的に日本を弱体化させました。日本がなぜ原子力を持つことができたのか?理由はアメリカの自国の国益「安全保障(National Security=国家の安全)」のために日本に原発建設を許可したのです。つまり、日米安全保障条約の下に、原発はアメリカの管轄下に置かれ、アメリカがコントロールすることを前提に認めた核施設です。実際、発電用の核燃料棒には、すべて番号が付いていて、アメリカ軍がその行方を監視しています。日本の原子力施設はアメリカ軍に常に監視されています。原発ピラミッドの頂点はアメリカ政府・米軍で、原発はアメリカの安全保障戦略の一環です。
アメリカにとって日本は核の最前線備蓄基地とも言えます。劣化ウラン工場もハワイまたはグアムの米軍基地と日本の岩国基地近くにあるとも言われています。劣化ウラン工場はアメリカの世論の反対が根強く“属国”日本で軍事機密として密かに造られていると言われています。アメリカ軍は日本を核戦略の一環として利用しているのです。アメリカは有事の際には日本の原発の核燃料を接収し、アメリカ軍の技術を使って核兵器に転用できる高濃縮ウランに変えます。要するに原発はアメリカ軍の核兵器のためのウランの備蓄基地として利用されているのです。日本が今所有しているプルトニウムも有事には接収されます。昨年9月民主党が『原発ゼロ社会』を目指すと宣言し「2030年代に原発稼働ゼロ」と「核燃料サイクルの全面的な見直し」も打ち出しました。しかし、閣議決定の是非を判断する直前、アメリカ政府側の圧力で閣議決定を見送ることになりました。まさに日本は戦後68年たってもアメリカの属国であり、日本人自らの政策もつくれないのです。
世界の先進国は続々と原子力から撤退を始めています。貧弱なウラン資源、成り立たない経済性、破局的事故の恐れ、見通しのつかない放射性廃棄物処分などが大きな負担となってきたからです。世界は福島原発事故でこの流れを劇的に加速させています。ところが日本では原発利権と「安全保障」のために原発再稼働の方針です。大多数の国民が脱原発を願っているにもかかわらず、それを無視した政府の政策です。
参考文献
「原発の深い闇」〜東電・政治家・官僚・マスコミ・文化人の大罪〜 宝島社
「原発洗脳」〜アメリカに支配される日本の原子力 苫米地英人 日本文芸社
「原発のウソ」 小出裕章 扶桑社新書 |
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663号 2013年6月16日
(118)大地震と原発事故(26) 〜政治は恐い〜原発を日本に導入した理由5〜
沖縄県民の反対を無視し、アメリカ軍は新型輸送機MV22オスプレイを普天間飛行場に配備し、本土での飛行訓練を強行しました。民間機はフライトをするときは国交省にフライトプランを提出しなければなりません、しかし敗戦以来、日本の空の制空権はアメリカ軍が握っています。アメリカ軍の飛行機・ヘリコプター・オスプレイは軍事機密を理由にフライトプランなしで日本国中真夜中でもいつでも我が物顔にフライトができます。これはアメリカ政府と軍は、日本を属国と考えているからです。
戦後の日米関係を見れば明らかです。グアムは1950年にアメリカ合衆国議会により「グアム自治基本法」(Organic Act of Guam)によって主権に制限を受け、「アメリカ合衆国自治的・未編入領域」という政治的地位となり、スキナーが初の民間人知事となりました。現在まで米軍の太平洋戦略上、重要な基地のひとつとしてグアム島は活用されています。戦後、アメリカはグアムと同じように日本を併合することも考えましたが日本は人口が多すぎたため中止したようです。しかし、アメリカは実質的に日本を併合する戦略をとりました。1951年サンフランシスコ講和条約で日本を独立国の形にしつつ、同時に締結した日米安全保障条約で、アメリカのコントロール下に置くことにしたのです。沖縄は1972年までアメリカの統治下でした。形式上、日本は独立国ですが、実態としては、アメリカの属国としてアメリカの安全保障戦略の中に位置づけられることになりました。日本は今もなおアメリカの「コマンド・アンド・コントロール(統制)」下になっているのです。
すなわち、敗戦国日本は独立国と認められた代わりに、安全保障分野(核兵器・原子力を含む軍事全体)は米軍の統制下になることを承諾したのです。その後、表面的には同盟国になりましたが、実状は今でもアメリカ軍の統制下に置かれたままです。日本の防衛力の実態をみれば明らかです。日本の軍事機器はほとんどがアメリカ製かアメリカの設計によるものです。それも、20〜30年前のおさがり兵器です。アメリカ軍は最先端技術を決して日本に渡しません。日本の原発も同じで、多くが1970年代の第2世代の原子力技術を使っています。40年前のテクノロジーです!
アメリカが持つ最先端の原子力技術の一つが空母や潜水艦に搭載されているウェスティングハウス製のA4W原子炉です。1基で最大出力は約20万キロワットで10万人以上の都市の電力消費に匹敵します。故障した時のバックアップ用として、2基搭載されています。商業用原子炉は臨界状態にするか否か(マックスパワーかゼロか)で発電を調整するしかありませんが、A4W原子炉は、出力調整が可能で、必要な電力に応じて出力を自由に変えられます。この原子炉は95%に濃縮された核燃料が使われ40〜50年持つので燃料交換は必要ありません。小型化されていて厚い鉛と鋼鉄で保護されており、商業用原発よりもはるかに安全で頑丈です。艦が退役になれば取り出してそのまま埋めて廃炉にできます。使い捨て型で放射能廃棄物の心配は無用とのことです。
参考文献
原発洗脳〜アメリカに支配される日本の原子力 苫米地英人 日本文芸社 |
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668号 2013年7月21日
(119)大地震と原発事故(27) 政治は恐い〜核のゴミ・使用済み核燃料の危険性〜
ものを燃やすと灰になります。同じように原発の原子炉でウランやプルトニウムの核燃料を燃やす(核分裂)とエネルギーと同時に核分裂生成物(死の灰)が出ます。この原発からのごみ(使用済み核燃料・死の灰)は強烈な放射線を長い間放つ危険物です。使用済み核燃料がどれほど危険かは福島原発第4号機の爆発をみれば明らかです。
4号機は、地震発生時は定期点検中で停止中でした。取り出された核燃料は建物の中の燃料プールに入れられ、ほかに200本以上の燃料棒と使用済み核燃料とともに冷やされていました。2011年3月15日午前6時14分4号機で爆発があり、建物が吹っ飛ぶほどの爆発がありました。政府・東電はまだ真実を伝えていませんが、この爆発は燃料プールが原因です。地震で燃料プールに亀裂が入り、水の流出と電源がなく冷却ができず、ウラン燃料の被膜のジルコニウムが高い温度になり自然発火し水素が大量に発生し、水素爆発と火災が起きたようです。原子炉が稼働していないにも関わらず爆発したのです。3号機の爆発も、燃料プールによる核爆発ということも言われています(爆発時の煙の形が垂直方向で、小型核ミサイルの爆発と同じ)。燃料プールに水がなければ、このことは途方もない脅威を意味します。自衛隊が高放射線の中を空からヘリコプターで注水を行ったのは、原子炉の冷却ではなく燃料プールへの注水だったのです。
核燃料サイクル基地の中で、六ヶ所再処理工場は、1993年から約2兆1900億円の費用をかけて青森県六ヶ所村につくられています。しかし、相次ぐトラブルのためまだ稼働していません。「再処理」とは使用済み核燃料に蓄積したプルトニウムを取り出す操作です。この工場の寿命は40年と言われ、解体費用も含めて総額13兆円に達する予定です。工場の稼働が今秋の予定ですが、稼働開始から膨大な量の放射能が環境中に放出され放射能汚染は全地球規模に広がると言われています。
問題は活断層です。下北半島近くには大陸棚外縁断層が南北に走り、その一部に六ヶ所断層があり、その上に核燃料サイクル基地が建設されています。もし大地震が発生すると、工場ごと引きちぎられ、「使用済み核燃料プール」の冷却機能が完全停止します。地震で高圧送電線が倒壊すると基地全体が深刻な全交流電源喪失(ステーション・ブラックアウト)状態になり、プール内の核燃料が溶け始めメルトダウンがおきます。放射能汚染は風向きにより日本全体が汚染されるでしょう。大地震により日本のすべての原発が、福島第1原発事故と同じような最悪の放射能汚染を引き起こす可能性があるのと同じです。日本は、極めて危機的な状況にいることをもっと現政権と担当各省庁のトップは知るべきです。それとも日本民族が滅亡してもいいと思っている超巨大な多国籍企業などの人々に協力しているのでしょうか。
参考文献: 「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場 集英社新書 |
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675号 2013年9月15日
(120)大地震と原発事故(28) 〜政治は恐い〜核燃料サイクルの中止を願う〜
現在、経済最優先の政治家たちにより日本の運命が決められると言う恐ろしい事態になっています。5月13日安倍晋三首相は参院予算委員会で、原発の使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクル政策に関し「継続」を明言し、内閣として堅持する方針を強調しました。使用済み核燃料の扱い方について「わが国は世界でも高い技術を有しており、世界各国と連携を図りながら取り組んでいく」と表明しました。核燃料サイクルは風前の灯という現状にも関わらず、安倍首相は莫大な国費を使いこの政策を継続する意図は何でしょうか。
フランスの技術でつくってもらった再処理工場は平成9年に完成予定だったが19回も延期、今年10月に完成の予定です。トラブルが続いている高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化体」製造工程は、ドイツの技術を石川島播磨重工業(現IHI)が導入し、建設しましたが、次から次へトラブル続きでとても「完成された技術」ではないのです。また、建設費も当初より3倍増大し、おまけに稼働すると、膨大な量の放射能が放出され深刻な環境汚染を引き起こすことが予測されています。
また、核燃料サイクルの中核施設として建設された高速増殖原型炉「もんじゅ」は平成3年の試運転以降、事故やトラブルが相次ぎ発生。これまでに1兆円近い国費が投じられましたが、本格運転には至っておらず、今後の見通しは一段と不透明になっています。おまけに、本年5月13日原子力規制委員会は、日本原子力研究開発機構に対して、1万個近い機器の点検を怠り、安全管理体制に重大な問題があるため、「もんじゅ」の無期限停止を命じました。点検計画の全面見直しは来春以降になり、今年度中の運転再開は困難となりました。
日本の原子力の技術のほとんどはアメリカとフランスから導入し、現在に至っています。今日でもなお、炉心の中心部など、原子力の核心技術はいまだに自立できず、アメリカ・フランスと比べはるかに遅れているのが現実です。安倍首相の言葉を信じることはできません。そもそも政府・企業が、PRしてきた原発の安全神話が、福島原発事故で吹き飛んでしまったことは、国民の大多数が認識しています。大多数の国民はうそつき政治家の言葉を信じていないと思いますが・・・。
両施設の設置許可にも偽装があったと思われます。六ヶ所再処理工場は活断層の上に建設されています。「もんじゅ」では原子炉施設直下の断層が近くの活断層「白木―丹生断層」と連動する可能性が指摘されています。次の大地震が両施設を直撃すれば、両施設では、工場内の「使用済み核燃料プール」や原子炉の冷却機能が完全停止し、メルトダウンが起きます。その結果、膨大な量の放射能が放出されます。風向きにもよりますが、日本国中に放射性物質が降り注ぎ、全身被ばくによる急性死者やガン死者が急増し、恐ろしいことになります。早急に核燃料サイクルの中止と核廃棄物の直接処分を行うべきだと思います。
参考文献:「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場 集英社新書 |
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680号 2013年10月20日
(121)大地震と原発事故(29) 〜日本の国民は正直で親切・政治家は?〜
2013年9月9日アルゼンチン・ブエノスアイレスでIOC(国際オリンピック委員会)総会が行われました。2020年夏季オリンピックの東京への招致の最終プレゼンテーションで滝川クリステルが日本人の美徳、心のこもった“おもてなし”と“正直”を紹介していました。確かに、多くの日本人は、うそをつかず、他人に気を遣い日常生活を送っています。しかし政治家にはうそつきが多いようです。福島原発事故による放射能汚染の広がりは東北・関東一円におよび健康被害も出始めています。さらに事故収束のコントロールができず、大量の汚染水は外海に流れ、候補会場には放射線量の高い競技場が複数あるにも関わらず、安倍首相はプレゼンテーションで「汚染水の状況はコントロールされている」「健康問題については、今までも現在もそして将来もまったく問題ないということをお約束します」などとアピールしました。国際社会にウソをつけば日本の信用は低下することは明らかです。
福島原発事故は人類史上最悪の放射能事故です。福島第一原発からの放射能汚染予測図(ドイツ気象局)から明らかなように、事故による放射能汚染は全国に広がり、特に中部日本以東の東北・関東一円の汚染は明らかです。これは文部科学省の測定(航空機モニタリングやその他の機器による測定)でも地表面のセシウム134.137の沈着量や地上1メートルの空間線量率でも実証されています。
チェルノブイリ原発事故(1986年)から2011年までの25年間の周辺住民への様々な健康被害の報告があります。大人では糖尿病、慢性気管支炎、虚血性心疾患、神経系統の病気、胃潰瘍などの病気の増加、子どもでは、出生率低下、多発奇形、多指症、四肢減形成の頻度の増加、機能失調、神経衰弱、貧血、扁桃腺や耳鼻咽喉系の慢性疾患などの著しい増加。小児甲状腺癌の急激の増加。白内障、失明、不整脈、脳の発達が遅い子どもたちが多く、親の育児放棄も多いようです。若い人では心筋梗塞(セシウムが心臓に蓄積)や突然死の30歳代の若者も多く、25年経過しても甲状腺癌の発症リスクは減少傾向ではありません。
チェルノブイリよりひどい今回の放射能汚染による健康被害は恐るべきものだと専門家は言っています。関東・福島では甲状腺癌を始めとする健康問題はすでに起きていますし、脳梗塞、心筋梗塞が増え、奇形の子どもたちが生まれていることも、事実です。有名人の死亡・体調不良が報道されていますが、これは氷山の一角かもしれません。これからますます癌・白血病など晩発障害を含む健康不良者が増えていき、チェルノブイリのような(事故後5年で爆発的に死者が急増)状況になってくるものと思われます。このような事実があるにもかかわらず、首相は「健康問題は現在も、将来も全く問題ない」と大うそをついているのです。このような政治家が日本を、そしてすべての国民のいのちを最悪の方向へ向かわせていると思います。 |
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684号 2013年11月17日
(122)大地震と原発事故(30) 〜今すぐ原発ゼロを願う!未来の子どもたちのために〜
私は、この国で生きている国民そして未来を生きるこどもたちのために、今すぐにでも“原発ゼロ”を願っています。多くの国民もそう願っていると思います。しかし、政治家・行政・大企業・学者・メディアなどの人々は、原発を推進しています。
1979年のアメリカ・スリーマイル島原発事故、1986年旧ソ連のチェルノブイリ原発4号機事故による放射能汚染の経験から、良心的科学者高木仁三郎さんたちが、原子力そして原発の恐ろしさを主張し「原発全廃」の市民運動を行ってきました。しかし、政府・企業の強力な「安全神話」PRにより国民は騙され、原発を止めることができませんでした。2011年3月11日の世界最悪の原発事故が起こっても、政府・企業・大学・メディアによる事故報告の“ウソ”や放射能汚染の過小評価等々により、国民は原発推進の政府を選んでしまいました。
そもそも原発は、いわば安全弁のない圧力なべと同じで、稼働していない時でも、圧力容器内の核燃料棒を常に冷却していないと核分裂の連鎖反応がおこり(臨界)、瞬間的に連鎖反応を拡大させて爆発現象を起こすのです。福島原発事故の主な原因は地震で配管が破断し圧力容器内の冷却水が失われたことです。配管はほとんどが宙吊り状態で、熱膨張による変形を吸収するために、非常に複雑で曲がりくねっています。地震動で揺らされたら、配管の溶接部や原子炉と配管をつなぐノズル部分が破壊するのです。その証拠に、わずか500ガルの揺れで1〜3号機の配管が破損したことが明らかになっています。
1995年(平成7年)1月17日阪神・淡路大震災以来、日本は地震の活動期に入り各地で2000ガル以上の地震が頻発しています。次の大地震で福島原発事故規模の事故が起こり、日本は恐るべき放射能汚染まみれになるのではないでしょうか。
また、福島原発4号機プールが危険です。これは使用済み核燃料の表面線量10万Sv/hr(新品の1億倍)で恐るべき放射線量です。ヒロシマの爆心地が103Sv/hrです。このような燃料が1331本も4号機の燃料プールに貯蔵されているのですから、倒壊したら、径1000キロが住めなくなるのです。
この問題は4号機にとどまりません。1〜6号機の燃料プールには、合計4546本もの使用済み燃料がいまだに貯蔵されていますし、さらに4号機の近くには6375本もの使用済み燃料が共用プール内に保管されています。これらの燃料は全部取り出してドライキャスクに保管するしかありません(とりあえず、100年は持ちます)。この使用済み燃料が溶けてしまった1〜3号機の格納容器内部では、今なお想像できないほどの放射線を出し続けているのです。全国各地の原発には使用済み燃料は、原発内にある貯蔵プールで冷却されながら保管されています。原発事故がおこればフクシマと同じような悲惨な放射能汚染が起こります。
参考文献
「図解原発のウソ」 小出裕章 扶桑社
「プロメテウスの罠」 朝日新聞特別報道部 Gakken
「放射能で首都圏消滅」 三五館 |
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688号 2013年12月15日
(123)大地震と原発事故(31) 〜トイレのない時代遅れの危険な原発を即ゼロに〜
今まで保守派政治家として原発稼働を推進してきた小泉元首相が今は“原発、即ゼロ”を主張しています。フィンランドのオンカロで防護服・ヘルメットを装備して400メートル地下に降り、核のゴミ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場(縦横2`四方の広場を造り、円筒形の筒に核のゴミを埋め込み、10万年間貯蔵)を見学したそうです。そこでも2基分しか容量がなく、フィンランドには原発が4基あり、あと2基分はまだ場所が決まっていないのです。日本の原発が50基前後なので最終処分場をどれだけ造らなければならないのか想像することさえ困難です。また、4つのプレートがせめぎあい、活断層が200本以上ある日本にはオンカロのような頑強な地層はどこにもなく、最終処分場をつくることは不可能です。そして、原発事故の前でも最終処分場の候補地は見つからず、今でも受け入れ先は全くありません。
福島原発事故後、法律で原発の運転を「原則40年」と定めているので、運転後30年以上たつ原発15基の廃炉が迫っています。しかし、これらの廃炉で出る「核のゴミ」の処分場も決まっていません。1998年廃炉を決めた東海原発は、来年度の原子炉解体作業ができず、先送りとなりました。これは処分場が決まっていないからです。「使用済み核燃料」も核燃料サイクルの破綻で増え続け、「核のゴミ」のいく先がないにも関わらず、政府は原発再稼働の方針です。
日本では自宅にはトイレがあるのが普通です。しかし世界で25億人がトイレにアクセスできず、11億人が野外での排泄を余儀なくされています。核兵器を開発し、人工衛星を飛ばすIT大国インドでも、国民の64%が自宅にトイレがないので野外で排泄しています!文明国ではトイレ普及率が100%のはずです。原発は稼働中も、人間に有害な放射能をまきちらし、ひとたび事故が起これば、放射能汚染により人間が住めない危険地帯をつくりだします。そして原発が、まさに時代遅れの恐るべき装置なのは「核のゴミや廃棄物」の処分場がない、即ち“トイレ”がないことに尽きます。これでは文明国とは言えません。こんな当たり前のことを理解しない政治家が政治を行ない、国民のいのちとくらしを危険な方向に導いているのです。
小泉元首相の“原発、即ゼロ”の真実の意見に対して、賛同する与党の国会議員が少しずつ増えているようです。しかし、「電力安定供給推進議員連盟(参加議員130人以上)」のような原発推進派の勢いが強い。その理由の一つが、おカネです。国民の税金と世界一高い電気料金から膨大なおカネが原子力産業に流れ込み、そのおカネに群がる政治家・官僚・ゼネコン・商社・メーカー・流通・学者・メディア・文化人等々の“原発利益共同体”の実態が明らかになっています。政治家たちもこの巨大利権を捨てることはありません。しかし、次の大地震で原発事故が起これば、次回の選挙では原発推進派議員は全員落選することになるでしょう。日本国中放射能汚染がひろがり間に合わないかもしれませんが…。 |
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693号 2014年1月19日
(124)ワンネスの世界に! すべての人の幸せがほんとうの幸せ
ワンネス(ONENESS)とは ONEの名詞形つまり、ひとつであること(単一性、統一性、同一性、不変性、一致、調和)です。またほかに様々な意味を持っている言葉です。
この宇宙はビッグバンによりできたのなら、それ以前は今ある全てのものが一点に凝縮していたわけでもともとは一つのもの(ワンネス)です。だから、あなたとわたしも、人と動物も、動物と植物も、植物と鉱物も、すべて元々はひとつのものです。ワンネスは「すべてがひとつであると完全に理解している人の心の状態のこと、あるいは人がそのまま、ありのままの状態(自由・解放・豊かさに溢れている)でいて幸せであること」と言えるかもしれません。
科学的な考え方(哲学)では“宇宙を創りだした”といわれている「ビックバン」の背後にある〈力の源〉のことを考え、銀河、惑星、生物、無生物などを含めた〈目に見える物質的宇宙すべて〉を指します。さらに難しく言えば、ワンネスとは「絶対的な存在」の創りだした〈世界〉でもあり、そのなかにいる〈個〉の私達のことでもあります。すべての存在・物質・意識、それを超越した〈存在〉、すべてあって“唯一のワンネス”です。ワンネスは、ギリシャ哲学のプラトンでは「イデア」、インドでは「ブラフマン」、禅の道元では「無」、イスラム教では「アッラー」、中国の道教では「道 "TAO"」を意味しています。個人がワンネスを体験することにより社会や世界が真のつながりへと向かっていきます。
ワンネスはある意味では、現在の政府や人々とは違う、全く反対方向の先鋭的な発想です。現在は“適者生存”“弱肉強食”の時代です。力のあるもの金のあるもの(1%の人々)が勝者として富や権力を手に入れて、99%の他の人々を精神的・経済的に支配しています。そして、そのことを99%の人々は、不満に思いながらもあきらめながら認めている恐ろしい時代です。特に1%の中のごく一部の人間たちが大国を指導し政治を動かし、他の国々や人々を支配するために経済戦争を仕掛け、人殺しの戦争を引き起こしています、まさに異常な事態です。しかし、この大宇宙の中の小さな宇宙船“地球号”には、70億の人間という種と多くの生き物が生存しています。限られた空気・資源・エネルギーを全ての生物種が平等に使っていかなければならないと思います。人間だけが戦争や経済活動等で環境破壊をし、他の生き物を滅亡させている現在、遅かれはやかれ人類の滅亡も時間の問題かもしれません。
ワンネスはこの危機的な状況を救う究極の考えです。私たちは、このワンネスを行動に移さねばなりません。持てる者は他に与える、持たない人も自らの自由な時間を他に与える、高齢者や社会的適弱者をサポートする、お互い助け合う等々、ボランティア活動でさまざまなことができると思います。このような小さな力が大きな力となり、集合意識を変えていけば世界を変わると思います。宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」の主人公が述べています。「すべての人々の幸せがなければ本当の幸せはない」これこそワンネスの目指す世界だと思います。
参考:宮沢賢治 詩人・童話作家・農学者
農民芸術概論綱要:世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない |
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697号 2014年2月16日
(125)ワンネスはすべての世界に!
ワンネスの考えで生きていきましょう!
ワンネスはミクロからマクロの世界まで認めることができます。人間は、ひとつひとつの細胞に生存に必要なすべての情報を持つDNAを持っています。この細胞が60兆個集まり、骨や筋肉や血液などになってそれぞれの場所で役目を果たしながら生きています。また腸内には100兆個以上の腸内細菌が人間と共存関係を持ちながら生きています。腸内細菌は腸内細菌叢を構成し、互いに共生しているだけでなく、宿主である人間とも共生関係にあります。腸内細菌は宿主の食餌に含まれる栄養で発酵することで増殖し、同時にさまざまな代謝物(人に足りないアミノ酸など)を産生し、人にエネルギー源を供給したり外部から侵入した病原細菌が腸内で増殖するのを防止する感染防御の役割を果たします。よく知られている大腸菌は全体の0.1%しかありません。一人の人間自体も無数の細胞や腸内細菌が集まりお互いに助け合っている小宇宙でありワンネスの世界です。
1960年代に ジェームズ・ラブロックによって提唱されたガイア(地球)理論があります。これは、地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げている「巨大な生命体」と見なす仮説です。地球は、すべての生き物と環境との相互作用によりあたかもひとつの生命体のように自己調節を行っています。この考え方もワンネスです。しかし、人間が我が物顔に地球を支配し環境を変えて行くような行動を取り続けるならば、この自己調節システムが崩壊し、地球に大異変がおこる危険性もあります。地球温暖化、地震、気象変動等は人間の人口急増や経済活動や戦争による環境破壊等が原因とも言われています。もっと地球にやさしい人間の生き方や考え方に変えない限り、人類滅亡もあり得るかもしれません。
マンガは日本が世界に誇るすばらしい文化で、世界遺産として申請中です。その代表的漫画家手塚治虫の代表作の一つが“火の鳥”(1954年発表)です。これは永遠のいのちをもつ火の鳥をコスモゾーン(宇宙生命)の仮の姿として描き、大宇宙の創生と人類の歴史を描いている感動的で壮大な作品です。すべての生き物や物質が役目を終えるとそこからぬけ出したコスモゾーンが大きなコスモゾーンの中に入り、さらに巨大なコスモゾーンの集合になり、大宇宙で大きないのちの流れとして永遠に続いて行くのです。手塚治虫は輪廻転生、魂の永遠性を"火の鳥"で表現したものと思われます。最近、現代科学の最先端の量子力学の研究者・臨死体験を研究している医師・医療現場の医師、その他様々な分野の人々があの世の存在を報告しています。人が死ぬと、肉体から離れた魂(意識体、エネルギー体)は、別次元の世界、すなわちあの世に行きます。そこでは、ひとつひとつの魂は、しきりのないエネルギー体ですから次から次へと集まり巨大な集合体になることもあるそうです。先述の巨大なコスモゾーンの集合体と同じです、これこそワンネスです。
この世界は、微生物から大宇宙までワンネスが基本であり、共通のしくみと思われます。別離・分離・分裂の方向ではなく、融合・集合・統一がワンネスの本来の方向です。私たちは日常生活においてもワンネスを常に考え生きて行くことがほんとうの生き方だと思います。
皆さまはいかが思われますか?
参考文献
「手塚治虫の『火の鳥』と読む 137億年 宇宙・地
球・生命の謎」 塩浦信太郎著 実業之日本社 |
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701号 2014年3月16日
(126)素人政治家が世界を変える!
現在のように民主主義が形骸化すると、政治の方向は決して“民「たみ」が主人公”ではなく、金持ち・大企業の方向に動いています。職業政治家は政治家2世・3世や富裕階級出身が多く、庶民出身の政治家も結局、彼らに迎合していきます。政治家は政治家のため、官僚は官僚の利益のために政治を行っています。
明治以来、官僚は自らの利益追求を徹底的に行ってきました。次官は1億円近くの退職金を受け取り、多くの官僚たちは天下りによりさらに高給と退職金を受け取り大金持ちになっていきます。ほんとうの“民主主義”をめざすほんものの政治家・官僚はいないのでしょうか?
18世紀の思想家ルソーは「統治者および行政官の選出は抽籤による選出が民主制の本性にふさわしい」と究極の素人主義を主張しています。彼は古代アテネの政治体制をイメージしたようです。古代アテネでは、政治家はくじで選び短い任期で細分化され、多くの公職を市民が順繰りで務めたそうです。生活者であると同時に政治・行政にも知識、関心を持つ「万能の素人」の生き方です。古代アテネは最盛期で人口6万人だからできたかもしれませんが、この日本でも小さな自治体からはじめて国レベルまでこの政治思想を貫けば、すばらしい本物の“民主主義”国家ができるかもしれません。一人の“危ない”カリスマにすがる今の日本の“お任せ民主主義”よりはるかに本物の民主主義かも知れません。そうなれば、国民中心のすばらしい国になると思います。素人政治家が世界を変えるのです。確かに現在の文明社会は政治の課題があまりにも多いので、プロの官僚が必要で、政治家の仕事も無数にあります。しかし、国民の代表の政治家が、国民のために官僚を主導して行うのが、本来の政治です。生活者の視点で行う政治がすべての国民の幸せにつながっていくと思います。素人政治家しかこのようなことができないと思います。
原発ゼロは民意です。今すぐ、原発再稼働を中止し、全原発の廃炉を開始し、全国各地の原発内の使用済み燃料を全部取り出して、ドライキャスクに保管するしかありません。また、政府は1941年に成立した国防保安法とも共通点がある特定秘密保護法を多くの国民の反対にもかかわらず強行採決で成立させています。国に対しての自由な意見や批判をすべて取り締まる戦前の日本の国になりそうです。民主主義の崩壊です。
“民が主人公”の民主主義は、国民と素人政治家にしかできないと思います。次の選挙では国民の意見を反映するほんものの政治家と政党を選ぶしかないでしょう。 |
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706号 2014年4月20日
(127)すべてが変わる 常に変化し続ける地球で「よい方への」変化を!
私たちは時には宇宙的・地球的視野に立ち、物事を見つめなおしたほうがいいと思います。この地球は常に動き続けています。大宇宙の中を猛スピードで疾走する地球をイメージして見てください。地球は時速1674.4Kmの猛スピードで自転し、時速107,280Kmの速さで太陽の周りを1周しています。いくつかの惑星を抱えたまま太陽系は毎秒220Km(毎時792,000Km)の猛スピードで銀河系の中を移動しています。想像できますか?
諸説はありますが巨大地震の活動期は2004年以降から始まっています。米地質調査所(USGS)のチャック・バフェ博士は「M(マグニチュード)7以上の大地震には発生しやすい活動期がある。まさに今がその時期にあたる。6年以内にM9クラスの超巨大地震が世界のどこかで起こる確率は63%である」と述べています。スマトラで2004年に起きたM9.1、2005年のM8.6の地震を皮切りに、地球は本格的に活動期に突入しました。2010年のチリ地震(M8.8)、2011年の東日本大震災(M9.0)、今年4月のスマトラ沖地震(M8.6)の発生が、その事実を証明しています。この7年半の間にM8.6以上の地震が5つ起き、内2つはM9.0以上でした。最近も、南米チリ沖で4月2日にM8.2の地震が起こっています。
3.11の大震災と福島原発爆発により、東日本は多大な被害を受けました。人知を超えた得体のしれない大自然の脅威と原発安全神話が完全に崩壊したことを大多数の国民は知ることができました。人々の意識も大きく変わり始めています。多くの人々は人間のつくりだした科学がこの地球の変化・変動に対応できず全く無力なことを知りました。そして原子力発電所の危険性と原発稼働で10万年という途方もない間、強力な殺傷力のある有毒な死の灰(放射性廃棄物)を出し続ける危険性に気づいています。そのような悪い変化に対応し、原発即廃炉へと方針を変えなければなりません。
お釈迦さまは2500年前に「諸行無常、すべてに実体がない、すべては変化する」と言われています。そして今もなお世の中は変化し続けています。変化に対応し、ほんらいの方法の変化、起こるべくして起こる変化すなわち「よいほうへの」変化を目指すことが重要です。一人一人の意識の変革と行動によりそのことが可能です。
参考文献
「変われば、変わる」ニール・ドナルド・ウォルシュ著 サンマーク出版 |
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709号 2014年5月18日
(128)いのちと健康を考える〜輸入農作物は危険!〜
政治家や官僚は国民の命より経済(お金)を最優先するらしい。食べ物の安全性が問題です。政府やメディアは「輸入農作物がいかに危険であるか」を国民に伝えていません。輸入量の多い米国産について説明します。
米国産の農作物(小麦・トウモロコシ等の穀物類・柑橘類)や肉・乳製品が、どれだけ人体に有害な物質に汚染されているか知っていますか。私たちは、この恐ろしい現実を知らないで、あるいは知らされないで有害な米国産の農作物や肉類を摂っています。
私は、30年以上続く「熊本いのちと土を考える会」から無農薬の野菜や食材を週1回購入しています。玄米パンや豆腐の賞味期限は2〜3日でしばらく放置するとカビが生えてきます。外国産の農作物は、収穫されたあと日本の消費者の届くまで長期間保存のために、腐敗防止と虫・カビ発生防止のため農薬や添加物等を大量に使用します。
米国産農作物のポストハーベスト農薬が問題です。収穫後に倉庫や輸送中に細菌・カビの繁殖を防止するための殺菌剤・防カビ剤・農薬が使われます。トウモロコシや小麦は倉庫で最長1年間保存され、出港から日本につくまで最低2ヵ月かかります。その間に、有害なカビが大発生をするため、アフラトキシンなどの防カビ剤を大量に散布します。農薬の残留基準値は、猛毒のマラチオンでは国産米が0.1ppmに対して輸入小麦は80倍の8ppm、有機リン系殺虫剤のクロルピリホスメチルは国産米の0.1ppmに対して輸入小麦は100倍の10ppmと、米国産小麦に有利な基準値が設定されています。給食のパンに使われる安い小麦粉はすべて輸入小麦であり、子どもたちの健康といのちが心配です。
米国産の牛肉も安全ではありません。全米で約9千万頭もの牛が飼われていますが、そのうちの約75%がレンダリングされ栄養強化されたものを飼料として食べさせられています。牛が屠殺されると腸や内容物・頭部・ひづめ・角・血は「レンダリング・プラント(動物性脂肪精製工場)」に運ばれ、巨大攪拌機 (かくはんき)に投げ込まれます。この「混合物」はレンダリング工場でミンチに刻まれ、高温蒸気で「調理」されます。1997年8月にBSE(いわゆる狂牛病)への不安が巻き起こり米食品医薬品局は新しい規制を作り「牛などの反芻(はんすう)動物のタンパク質(肉骨粉)を、反芻動物に与える」ことを中止しました。しかしこの規制は形だけで、レンダリング・ビジネスは年間24億ドル強という売り上げの巨大産業となっています。また、米国で生産されるほとんどの肉が、ダイオキシンやDDTなどの発ガン物質で汚染されています(除草剤由来)。動物のエサには、成長を促進させるために成長ホルモンを混ぜられたり動物が病気にならないように抗生物質が混ぜられたりしています。
参考:肉骨粉とは、家畜の内臓やくず肉・骨をミキサーにかけ、脂分を抜いた後乾燥させて細かく砕いたもの
参考文献:「まだ、肉を食べているのですか」
ハワード・E・ライマン&グレン・マーザー著 |
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713号 2014年6月15日
最終回(129)いのちと健康を考える〜輸入食肉中のホルモン剤と乳がん増加との関係〜
現在は健康で生きるためには、毎日の食べ物の安全性を考えなければならない時代です。食べ物に関しては様々な問題がありますが、特に、輸入食材の安全性が問われています。
北海道大学附属病院などで長くがん診療を行ってきた藤田博正医師らは「米国や豪州の肉牛には、日本で無認可のホルモン剤が投与されている。発がん性との関係が疑われる」と言います。彼らは日本癌治療学会で「牛肉中のエストロゲン濃度とホルモン依存性がん発生増加の関連」を発表しました。検査では、牛肉を15カ所のスーパーやデパートで購入し調べ、エストロゲン(エストラジオール、女性ホルモン)の平均値は、米国産牛肉は和牛と比べ、脂身で140倍、赤身部分で600倍でした。藤田医師は、日本の「ホルモン依存性がん(乳がん、子宮体がん、大腸がんなど)」の急増を指摘し、輸入食肉中に残留しているエストロゲンの摂取と発がん性には何らかの関連がある」と言明しています。
日本国内では使用禁止のホルモン剤が食肉中に認められた場合は、その食肉を輸入規制するのが当然です。しかし、厚生労働省輸入食品監視業務FAQは「適正に使用される場合は人の健康への影響はないと判断」しているようです。現実に専門家がホルモン剤と発がんとの関連を指摘しているのも関わらず、動こうとしません。このような日本の食品安全行政の姿勢を東大大学院の鈴木宣弘教授は食の安全を守る観点から問題視しています。
米国や豪州でホルモン剤を使用する理由はなぜか。これは大量生産が米国食肉産業の主流で、十分な成長を促すために牛の耳にインプラントされた装置でホルモン剤の適量が時間をかけて体内に入っていくようになっています。乳牛のミルク生産量も、ホルモン剤を投与した乳牛は、投与していない乳牛の4倍になるとのことです。企業経営の農業では利益を上げるためにホルモン剤投与が盛んに行われているのです。
ほかに塩酸ラクトバミンとBSTが問題です。塩酸ラクトバミンは養豚で使用し体重増や赤身肉を増やす効果があります。BSTは米国で認可されたホルモン剤で牛の乳量を2割程度増やす効果があります。発がん性の懸念から米国国内でウォルマートやスターバックスはBSTを使った牛乳や乳製品の販売を拒否しています。
TPP参加でこのような危ない輸入食肉がどんどん入ってきます。自分の健康は自分で守るしかないですが、日本の大半の消費者はこのような状況を知らないために安価な輸入食肉を購入するのです。
一方、1989年にEU諸国は米国からの食肉を輸入禁止、その後乳がん死亡率が大きく下がっています。
日本政府も全国民のいのちと健康を真剣に考え、EU諸国のようにホルモン剤濃度の高い危険な米国・豪州食肉の輸入禁止をしなければなりません!
参考文献:AERA 朝日新聞出版 2014年5月26日 |
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