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158号 2003年3月16日 (1)病気を作る社会のしくみ 日本人の平均寿命は81.4歳、障害や寝たきりの期間を差し引いた健康寿命は73.6歳、いずれも世界一との事です。平均寿命とは、生まれてから何歳まで生きられるかを計算したもので、時代と共に変化していきます。
◆ これはどうでしょうか |
163号 2003年4月20日 (2)体に有毒なタバコをやめましょう! 多くの人はたばこが体に悪いと知っています。しかし、どれくらい悪いのかについては知らされていません。たばこの毒についての情報公開がまったくなされていないからです。これは、商品としてのたばこを販売する企業の戦略であり、その企業を保護する政府の方針なのです。日本の政治家、官僚は国民一人一人の命より大企業の経営を重視しているのです。 ††† たばこをやめたい方へ ††† |
166号 2003年5月18日 (3)たばこから子どもたちを守りましょう! 問題なのは、未成年の喫煙者が年々増加していることです。 10代の頃からたばこを吸い始めると、吸わない人に比べ肺癌の死亡率が6倍にもなります。そして癌や心臓病で早死にする人が非常に多くなります。14歳以下で吸い始める者の多くは60歳まで生きられません。子どもたちがたばこで早死にしないよう、子どもたちからたばこを遠ざける対策が必要です。 さらに心配な事は、薬物中毒の問題です。たばこを吸い始めるきっかけで一番多いのが「なんとなく興味があって」です。(54.2%)次は「友人にすすめられて」です。(25%) |
169号 2003年6月8日 (4)テレビ・ビデオが子どもの心を壊している! テレビ時代が始まった頃、アル評論化が「テレビで一億総白痴」と言いました。 小学生の年間の授業料が1,000時間前後ですが、もし子どもたちが1日3時間テレビを見るとすると学校の授業より長くテレビの前に座ることになります。視聴率を上げるために刺激的で挑発的、時には暴力的で攻撃的な内容の番組を次から次へと流し続けるため、子どもたちはなかなかやめることができません。そして低俗な娯楽番組ばかり見ていると、精神的に大きく影響を受けます。大人がスイッチを切らない限り長時間テレビに釘付けの状態になります。 川崎医科大学小児科片岡教授が述べています。「テレビ・ビデオは一方通行の情報だけを流すだけで、見る人の働きかけには一切反応しない。したがって、乳幼児からテレビ・ビデオを浴びるように見ている子どもたちは、会話も無く感情のやり取りもできない。すなわち、テレビ・ビデオは子どものコミュニケーション能力の発達を奪っている。テレビは乳幼児期の言葉遅れだけでなく学齢期の自閉症、ADHD(多動障害)、LD(学習障害)思春期・青年期の“キレル”性格、ひきこもりなど、成長過程にさまざまな問題を引き起こす可能性さえある。」 テレビが普及して40年、ビデオが普及して20年。自閉症児と診断される子どもたちはこの40年で25倍に増えています。さらに急速に発達するIT機器はコンピューター、テレビ、ゲームをどんどん進化させていきます。これらのメディアに時間も心も奪わ れていく子どもたちの危機は深刻です。 あなたの大切な子どものために。 |
175号 2003年7月20日 (5)テレビを控えて本を読みましょう 人間は、乳幼児期のわずか3年で言葉を覚えます。赤ちゃんと親が互いにコミュニケーションをとり続けていくうちに、初めて言葉のコミュニケーションが可能になります。 生まれた後、大脳辺縁系(情緒・感情の脳)旺盛に発達し、より複雑な感情表現ができるようになります。そしてほぼ3歳までの間に大人と同等のレベルにまで発達します。言葉の習得、基礎的なコミュニケーション能力の発達はそれらを担当する脳の部分が発達充実するときに行われます。この時期にテレビやビデオに子守をされてしまった子どもたちは、深刻な発達遅滞を起こす可能性もあります。アメリカの小児科学会は「2歳未満の乳幼児のテレビ・ビデオ視聴は禁止すべきだと警告しています。 6歳過ぎから、理性・知性の脳である大脳新皮質が発達していきます。ところがテレビによりその成長が止められ、正常な発達ができなくなってしまうことがあります。 先進国中、日本の中高生は最も本を読まないそうです。学校で教えられることは、人生のごく一部です。世の中には実にさまざまな考えや人生やいき方があります。それを読書によって学ぶのです。読書離れは国民全体にも広がっています。 自らの意思をきちんと持つ市民として、読書は必要です。過剰な情報に溺れず、そこから本質を選ぶのです。国民が方向感覚を見失うと、国家を滅ぼすことにもなりかねません。 |
175号 2003年7月20日 (6)携帯電話からの電磁波は安全か? 私たちは癌や難しい病気について人事のように思っています。しかし、ひとたび病気になると驚き慌てふためきます。病気にならないようあなた自身がいつも気をつけなければなりません。 今、携帯電話が生活の必需品となっています。特に若者は日常的にコミュニケーションの手段として長時間利用しています。しかしこの便利な携帯電話から出る、目に見えない電磁波が安全であるという保障がどこにも無いことはご存知でしょうか。 1993年アメリカである癌患者が携帯電話産業を相手取って裁判を起こしました。業界は学者に「携帯電話は安全である」ことを確認するための研究調査を依頼しました。ところがその結果は、携帯電話の発する電磁波に、脳腫瘍や癌を引き起こしたり、人体に悪影響を及ぼす可能性があることがわかりました。 またスウェーデンでは脳腫瘍患者198人のうち常時携帯電話を使っている側に腫瘍ができる確立は2.4倍だったそうです。したがって、英国政府や仏国政府は16歳未満の子どもに携帯電話使用を制限し、成人にもイヤホンマイクの使用を勧め、妊産婦は携帯電話を腹部に近づけないことを勧告しています。 また、日本中に建設されている携帯電話のアンテナ(基地局)からの電磁は汚染も問題です。このアンテナが建ってから頭痛・睡眠障害・記憶障害などさまざまな症状が出ることがあります。スウェーデンでは電磁は過敏症の診断を受ける患者さんが増えていますが、日本では未だ医療関係者でもこの病気について理解されていません。 このように日本では、消費者は携帯電話や家庭電化製品の電磁は汚染の危険性について十分知らされないまま使用しています。5年、10年後に脳腫瘍などの病気が大発生する可能性も否定できません。現実にアメリカで今日のような電磁波汚染が無かったことと比べて脳腫瘍が3倍増えているという報告もあります。 |
178号 2003年8月10日 (7)砂糖が体に悪い本当の理由 砂糖は食べ物によく使われていますが、体にはよくないのはご存知でしょうか。砂糖は虫歯の原因になるだけではなく、体全体によくないのです。 砂糖に夜からだの専制化を防ぐために、アルカリ性のカルシウムが中和に使われる。すなわち、砂糖を大量に摂るとカルシウムがどんどん体から消耗していくので、カルシウム欠乏によるさまざまな病気が起こる。 ○砂糖の華燭は体内の活性酸素の過剰をもたらすため、アトピー、廊下、発癌や免疫機能の低下をもたらす。 ○砂糖により動脈硬化や血行障害が起こり、肩こりや冷え性になる。又脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすくなる。 ○砂糖(ブドウ糖+加糖)は血中への吸収が早く、血糖値が急上昇する。それに反応してインスリンが多量に分泌され、血糖値が急に下がり、低血糖になる。 ○砂糖を多く摂ると、高血糖、低血糖を頻繁に繰り返すため、インスリン分泌が起こりにくくなり糖尿病になりやすい。 砂糖業界は砂糖の有用性についての情報をメディアに流します。しかしあなたは、あなた自身の健康のために、砂糖、特に白砂糖の有害性を覚えておいてください。そして、できるだけ甘いものを控えましょう。 |
183号 2003年9月21日 (8)環境ホルモン 現代、私たちは無数の化学物質のおかげで、豊かで便利な生活を過ごしています。 1962年レイチェル・カーソンが「沈黙の春」で、残留性の高い化学物質の汚染の危険性を警告し、特にその発癌性を指摘しています。そのため、先進国ではDDT等の農薬は生産中止となっています。1997年秋に出版されたシーア・コルボーンの「奪われし未来」ではホルモンをかく乱する新たな化学物質(環境ホルモン)の毒性が描かれ、人類に警鐘を与えています。環境ホルモンについてまだ不明の点が多いようですが、人体への影響が明らかです。 現在、環境ホルモンは70〜150種類ですが、日常生活で頻繁に利用されているものにも含まれているので要注意です。環境ホルモンを含む合成洗剤、染料、化粧品が多く販売されています。ごみ焼却場からはダイオキシンが排出されています。 |
187号 2003年10月19日 (9)ギャンブル依存症 〜病的賭博〜 アルコール、タバコ、ギャンブル等の依存症の患者さんが多いようです。例えば、50%の男性と女性や未成年も含めて全国で3千万人近くがタバコを吸っています。禁煙したくてもなかなか実行できないのはニコチン依存症となっているからです。しかし、大多数が病気だと気付かないので、有害なタバコにより病気になるまで吸い続けます。 容易に換金できるパチンコもギャンブルの一つと言えるかもしれません。昨年の全国のパチンコ産業の売り上げは29兆2250億円です。国民が払う医療費とそうかわりません。 |
192号 2003年11月23日 (10)重症急性呼吸器症候群 〜SARSに備えて〜 今年3月から中国、香港、東アジアで猛威を振るってきた『SARS』の6月までの患者は8,000人、そのうち死亡が約800人です(実際は中国広東省で2002年11月患者発症)。幸運にも日本ではSARS疑い52人、可能性例16人、しかもSARSコロナウイルス陽性はいなく、死亡例もなく全員軽快退院しています。 SARSは1メートル以内での呼吸器の飛沫、分泌液との接触によって感染します(空気感染も否定できない)。潜伏期は2〜10日(平均5日)。症状は発熱(38度以上)、咳、息切れ、頭痛、下痢、筋肉のこわばり、全身倦怠、下痢です。致死率は 平均およそ15%です(しかし、高齢者、基礎疾患をもつ人は致死率が高い)。 |
196号 2003年12月21日 (11)増加する感染症@ さまざまな情報にあふれている現代社会でも、メディアあるいは教育において情報の制限や選択が行われているため、国民が健康にしあわせに生きていくための必要な情報が少ないように思います。その結果、無知が原因で多くの病気が蔓延しています。性行為で伝播する性感染症も同様です。 食欲・性欲は人類存続のための本能です。人類誕生から現在に至るまで、どのような規制があろうと性は本来おおらかなものです。しかし、性をとりまく環境がHIV(エイズウイルス)の登場以降、大きく変わりました。また、いくつかのやっかいな性感染症も急増傾向の現在です。大多数の国民が性感染症予防についての正しい知識を持ち、予防のための方法(コンドームその他)を理解しなければ、性感染症の大流行を引き起こすことになります。 特に現在は社会全体に性の情報が氾濫しています。セックスを露骨に表現している本やビデオが子どもにでも簡単に手に入れることができ、テレビや映画でセックスの場面がよくみられる生活環境です。そのため、若い世代の性の自由化は親が考える以上に進んでいるようです。大多数の小学生でもセックスについて知っているという報告があります。7割以上の女子高校生、6割の中学生が「愛していればセックスしていい」と回答している統計があります。年間4万件を超える10代の妊娠中絶をあなたはどう考えますか。 |
199号 2004年1月18日 (12)増加する感染症A 病気にならないためには予防が最重要です。性感染症(性行為で伝播する感染症)についても同じことです。様々な性感染症が急増している現在です。最高の予防法は不特定多数のパートナーとはセックスしないことです。 性感染症には性器局所の病気と全身の感染を起こすものがあります。淋菌感染症、クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、性器ヘルペスは局所感染であり、エイズ、梅毒、B型肝炎は全身感染です。現在もっとも増加しているのがクラミジア感染症です。世界的にみても最も多い性感染症です。この病気は特に16歳から25歳までの若年女性に多く、女性優位の性感染症です。 アメリカでは80%以上のガン検診を受診しているのに、日本では14%にすぎません。したがって日本では子宮頸がんは手遅れの状態で発見されるケースが多く、死亡率が高いのです。 |
203号 2004年2月15日 (13)増加する感染症B 最大の問題はHIV(エイズウィルス)感染です。エイズとは「後天性免疫不全症候群」という名前が示すとおり、HIV(ヒト免疫不全ウィルス)感染により、免疫力が低下し、様々な疾患がおこる病気です。 HIV感染は発症まで10年以上の経過がありますが、発病すると短期間で死亡します。しかし、現在では薬の服用で5年、10年、15年・・・と生きながらえる事ができます。 |
208号 2004年3月21日 (14)ハンセン病は普通の病気 ハンセン病は、らい菌による細菌感染症です。主に抹消神経と皮膚が侵される病気です。結核や肺炎などと同じような普通の病気です。遺伝病や「業病」ではありません。らい菌の感染力は非常に弱く、感染したとしてもほとんど発病せず、多くの人は自然に治癒します。日本では年間数人が発症していますが、外来通院も可能で適切な治療により完治します。世界中で804,000人の患者がいます(1998年WHO発表)が、経済的な理由で治療ができないで放置されていることが多く、問題となっています。 ハンセン病は紀元前6世紀のインドでの記録が残されています。 しかし現実社会では、昨年の黒川温泉の問題でもわかるように、国の隔離政策がもたらしたハンセン病に対する偏見や差別を多くの国民がまだ持ち続けていることも事実です。上記に述べたように、ハンセン病に対する正しい知識を全ての国民が持つことが重要です。 |
212号 2004年4月18日 (15)水俣病@ 〜人類史上初の巨大な環境汚染による病気〜 水俣病はチッソ水俣工場排水中の有機水銀による中毒です。水俣病は公害の原点とも言われていますが、これは単なる有機水銀中毒ではなく、人間社会がうみだした化学物質による未曾有の環境汚染が原因の病気であり、またその有機水銀汚染により不知火海全域に大規模の被害(地域住民の健康、社会、経済文化等の被害)をもたらしたからです。そして、今もなお水俣病は現代文明がかかえる重大な問題を私たちに問いかけています。 水俣病は数十万年以上の、人類史上初めての大事件です。これは次のことからも明らかです。 ●水俣病は、工場から排出された化学物質(有機水銀)の環境汚染によって、食物連鎖を通じて起こったこと。 ●化学物質が胎盤を通じて胎児性水俣病が発生したこと。 水俣病の被害は広範囲にひろがっています。30年来、水俣病に取り組んでいる原田正純先生は述べています。「不知火海全域にひろがる水俣病の被害は、水俣に大きな原爆が落ちたと仮定すれば理解しやすいかもしれません」すなわち、1932年のチッソのアセトアルデヒド工場操業の水銀流出による環境汚染が始まり、1952年ごろより沿岸各地で魚介類、猫、鳥などに異変が確認され、この時期から急性劇症型の患者が発生しています。 この巨大な政治的・社会的大事件、水俣病に対して企業、行政、あらゆる分野の学問も当初は戸惑い、さまざまな対応が遅れ、その結果今日までさまざまの分野での水俣病の解明が遅れてしまっています。本来なら、この史上初の広範囲の濃厚な環境汚染の被害を明らかにし、被害者を救済するだけでなく、汚染の被害による生活障害、地域の経済的、文化的崩壊、生態系の変化等もあきらかにしなければならないのです。しかし、現実には健康被害ですらそのほんの一部しかわかっていません。 |
215号 2004年5月16日 (16)水俣病A 〜水俣病発生、被害の拡大、救済の遅れを問う!〜 私たちは過去の過ちを繰り返さないために歴史を学びます。水俣病事件史から多くを学ぶことができます。なぜチッソという一企業から水俣病は発生し、企業・行政・医学がその被害の拡大を防ぐことができなかったのか。すべての患者救済が遅れているのはなぜか。 水俣病は巨大な環境汚染による病気のため、汚染された魚介類を食べたすべての地域住民に何らかの影響があると考えられます。ところが補償の問題がおこり、公的に水俣病と認める認定制度が発足(1959年)、患者認定に医学が利用されることになりました。その結果、すべての水俣病患者の実態把握ができなくなりました。その理由は、水俣病の診断基準に高濃度の有機水銀中毒としての典型的なハンター・ラッセル症候群の症状だけをとりあげたからです。 参考図書:「水俣学研究序説」(藤原書店) 「水俣学講義」(日本評論社) |
220号 2004年6月20日 (17)水俣病B 〜未来への警告〜 私たちは身体も心も環境に大きく影響されています。10万種類の化学物質が流通する現在、猛毒の化学物質で環境が汚染され、地域やそこに住む人々に破滅をもたらす例が増えています。 なぜなら、日本は水銀汚染大国です。 1964年東京オリンピック で世界各国の若い選手の頭髪を調査、西ドイツの若者は0.1ppmで最低、日本は最高値の6.5ppmの総水銀値でした。これは農薬が原因と思われます。当時ヘリコプターから水銀農薬を水田全体に散布していました。一旦田畑に入った水銀は簡単には出ていきません。現在では魚介類中の水銀値も高値を示しています。今もなお日本人の水銀値は世界一です。この日本では胎児から高齢者までみな潜在水俣病の可能性さえあるのです。 ◆ 参考図書 |
224号 2004年7月18日 (18)水俣病C 〜生活の中から環境について考える〜 人類は今もなお戦争を繰り返し、また地球環境を破壊し続け、21世紀の中頃には、地球環境破壊は深刻になり危機的な状況になります。人類は幸せになるために現代科学文明を発展させてきましたが、現実は人類自らを破滅させる方向に進んでいます。しかし、私たちは現実から目をそらさず人類の犯したさまざまな過ちを真剣に検証し、未来への道を切り開いていかねばなりません。 水俣病は、原因となった猛毒の化学物質「メチル水銀」だけでなく、さまざまな化学物質汚染の危険性を問いかけています。日本も含めて先進国では、人々は現代文明を享受し便利で快適な生活をすごしていますが、日常生活環境においては無数の化学物質を利用しています。特に各種有機塩素化合物(プラスチック、合成繊維、洗剤、溶剤、工業材料、農薬、薬品など)は日常的に用いられていますが、これらは扱い方いかんで地球規模の環境汚染となります。また、以前使用された水銀農薬、有機塩素系農薬は現在使用禁止になっていますが、環境中にそのままの形で残留しています。またPCBやDDTの分解産物やダイオキシン等の環境ホルモンは現在も環境汚染が進行中です。 水俣病は終わってはいません。水俣病は化学物質汚染による病気の始まりです。水俣病から学ぶことは多くあります。原田正純先生の提唱された「水俣学」のように水俣病をあらゆる観点や分野から捉え直す作業が必要です。水俣病を深く理解することにより、日本中に静かに進行するさまざまな化学物質汚染による健康破壊や地域破壊を知ることができます。そして今後同じ過ちを二度と繰り返さないよう対策をたてなくてなりません。 水俣では、深刻な水俣病の体験を人類への警告として行政・すべての市民が真剣に受け止め、二度と水俣病のような事件を繰り返さない事を誓いました。現在、水俣市は環境モデル都市(国際環境都市)として再生しています。行政と市民が一体となりまちづくりを推進しています。ごみの分別収集・リサイクル・減量化、市役所や事業所の環境保全、市内の全小中学校のビオトープ(生物が生息する場所)の整備、環境共生の地域づくり等々が行なわれています。私たちも水俣の人々に学び、日常の暮らしの中で環境について考え実践していかなければならないと思います。 |
228号 2004年8月22日 (19)肥満とダイエット@ 〜肥満予防と改善のための方法〜 飽食の時代です。飽食がもたらす弊害、肥満について述べます。 ◆ 肥満の原因として などがあります。肥満を予防し、改善するためには、食べ物と食べ方を変えて、過食を避ける事からはじめます。まず「よく噛む」ことです。少量の食べ物を口に入れたら何回もよく噛み、ゆっくり食べることを心がけます。早食いをやめ、ゆっくり食べる事で食べすぎを防ぎます。 戦後、米中心の日本食からアメリカ風の食生活(パン、動物性食品、ジャンクフード)に変わりつつあります。その結果、日本人の体格もアメリカ風に変化していますが、同時に肥満や病気も増加しています。しかし、白米のご飯や砂糖を多用する日本食にも問題があります。なぜなら、精製した炭水化物(白米、砂糖)を食べると、急激なインスリン増加をもたらします。朝から夜までそのような炭水化物を摂り続けると高インスリン状態が持続し、インスリン抵抗性(インスリンが効かない)となり高血糖が続きます。 |
232号 2004年9月19日 (20)肥満とダイエットA 〜十分な睡眠と正しい食事で肥満や病気にならない〜 1879年エジソンの「電球」発明以来、人工光により大多数の人々が夜中まで起き、炭水化物や糖を大量にとるようになり肥満や成人病・ガンが増えています。これは体内ホルモンのネットワークの異常が原因と推測されています。人工光のため多くの人々は慢性的な睡眠不足となり内分泌系が混乱状態です。 鳥のように夜になれば眠り、朝日とともに起きる、季節に合わせて眠る生活をし、本物の安全な食べ物を少しいただいて、日々をやすらかにすごしていればおそらくガンにはならないと思います。さあ、今日から騒々しいテレビを消して、いつまでも「昼」をつくる電気を消してはやく眠りについてみませんか。 参考文献「眠らない人は太る、病気になる」 はまの出版「睡眠食堂―眠りこそ魂のごちそう」 有朋書院 |
236号 2004年10月17日 (21)肥満とダイエットB 〜アトキンス・ダイエットについて〜 様々なダイエットの中で、アメリカでは低カロリー・高脂肪療法のアトキンス・ダイエットが有名です。アトキンス博士の著書Diet Revolutionが最初出版された1970年代で1,000万部以上のベストセラーとなり、最近でも1,000万部近い売り上げです。 多くの人々は食べ物に無頓着ですが、食肉や魚の中の抗生物質耐性菌の問題があります。狭い畜舎に押し込まれ短期間で出荷できるまで育てられる牛や豚やニワトリには大量の抗生物質が使用されています。魚の養殖場も同じように過密状態で、感染症対策には抗生物質を使用します。 |
241号 2004年11月21日 (22)肥満とダイエットC 〜マクロビオティック〜 今、世界に誇る食文化〜日本食〜が見直されています。 マクロビオティックの基本は「身土不二(地産地消)一物全体(食べ物はまるごといただく)良く噛むこと」です。これは100年前より始まり、最もお金のかからなくて安心して行える、本当に健康にいい食事方法です。そしてダイエットとしても最適です。 食養会で有名なのが桜沢如一と東大医学部公衆衛生学教授二木謙三です。桜沢はG・O(ジョルジュ・オオサワ)と名乗り世界各国に出かけ活動しました(1929年パリへ)。彼は古代ギリシャの哲学者が使っていた「マクロビオス」(自然に即した命のあり方)という言葉を現代によみがえらせ、食事法だけでなく健康に生きる方法として「マクロビオティック」を全世界に広めたのです。 |
249号 2004年12月23日 (23)健康と死を考える 〜スピリチュアルな健康とは〜 すべての人はいつまでも健康に元気に長生きしたいと願っています。世界保健機構(WHO)は、健康を基本的人権の一つととらえ、その達成を目的として設立された国連の専門機関です。WHOの健康の定義が「完全な肉体的、精神的及び社会福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」(WHO憲章)です。 1999年WHOは理事会決議として健康の定義に「スピリチュアルに健康な状態」を加えました。スピリチュアルとは、「精神の、心の、霊魂の」等の訳があります。 いかなる人でも、死への恐怖を持っていますが、これを克服し人間の本来の目的に気づいた時が、スピリチュアルに健康な状態と言えるかも知れません。 「生と死」についての講演会が開催されます。あなたも「死」について一度考えてみませんか。 |
253号 2005年2月20日 (24)健康は日々の生活から! 近年、大地震・大事故・大事件が多いが、ニュース番組を人ごとのように見ている私たちは、これらの天災や人災の被害者やご家族の苦痛を本当に理解することは難しいかもしれません。しかし、今や、いついかなる時でも、私たち自身が被害者の側になるかもしれない時代に生きているのです。自分だけは安全であると安心はできません。 化学物質が大規模な環境汚染をもたらした結果起こった水俣病などの公害病のように、原因物質が明らかな病気もあります。公害病はまさに大規模な人体実験ともいうべき大事件です。農薬・殺虫剤まみれの輸入農産物や食品添加物入りの加工食品等を、日常とり続ける日本人の食生活も考えようによっては、化学物質の長期微量摂取という壮大な人体実験ともいえるかもしれません。 |
265号 2005年5月22日 (25)医原病@ 〜医原病とは?〜 医原病とは、医療行為が患者さんに不利益をもたらすこと全般をいいます。血液製剤によるウイルス感染症のエイズやC型肝炎などさまざまな医原病があります。テレビなどのマスメディアの過剰な健康情報が人々に健康不安をもたらす「健康不安病」も医原病といえるかもしれません。 医原病の患者さんは現在の治療ではなかなか改善せず、病状は年々悪化していきます、そして精神的におちこみ悶々とされておられます。本来であれば加害製薬会社、加害医療機関や国家が患者さん方を心身ともに救済すべきですが、患者さんが声を出さなければ積極的な救済対策をとろうとはしません。 |
269号 2005年6月19日 (26)医原病A 〜薬害〜 代表的な医原病が薬害です。薬は古代から草根木皮と言い、植物が多く、草を煎じたり、根っこの部分を干して服用しました。草根木皮が病に効くことから、近代になってその中の何か有効な成分を取り出そうと試みられ、有機合成医薬品がうまれました。 19世紀になって、次々と有効成分がみつかり、20世紀に入って薬はめざましく発達しました。伝染病に対する予防ワクチンや治療血清などの生物学的製剤が開発され、ガンの化学療法剤やホルモン剤、ビタミン剤、抗生物質製剤の研究がすすみました。人類のいのちと健康に欠かせないものとなっています。しかし、薬の安全性についてよくわからないことが多いのも事実です。 薬害は1950年ごろから日本各地に多発しています。ペニシリンショック(1,276人ショック、124人がショック死)、1961年サリドマイド事件(睡眠・鎮静剤内服で手足に異常がある子どもが誕生)、1970年キノホルム中毒(胃腸薬キノホルム内服で重度の神経症状を引き起こすスモン病となる)、1983年薬害エイズ、1992年陣痛促進剤(死産や子宮破裂)等々報告されているだけでも53例もあります(1997年7月まで)。 |
273号 2005年7月17日 (27)医原病B 〜C型肝炎T〜 C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こる肝臓の病気です。HCV感染者の約7割が持続感染者(キャリア)になり、キャリアの約7割が慢性肝炎になります。ほとんど自覚症状がなく、治療せずに放置すると肝硬変・肝臓がんに進行することがあります。治療を開始しても完全治癒が出来ないことがあります。現在、インターフェロンとリバビリン(抗ウイルス剤)の併用療法で有効率(ウイルスを完全排除する率)が約40%です。HCVを排除できない場合は、肝硬変や肝がんになることを予防したり、遅らせたりする治療になります。 この時、思い切って代替医療を選ばれたほうがいいかもしれません。玄米菜食・少食療法は免疫機能を高め肝炎ウイルスの働きを抑えることができます。肉・魚・乳製品などの動物性蛋白質は充分消化吸収ができないため、腸内細菌の生態を狂わせ有害細菌を増やし、さまざまな毒素を発生させ肝臓に負担をかけます。日常の食品中のさまざまな有害化学物質も肝機能を低下させます。逆に、無農薬の安全な玄米菜食は肝臓の働きを高めます。大阪の甲田医院の甲田光雄先生はこの少食療法で、多くの肝炎患者さんの治療を行い、いい成績をあげられています。 ◆ 下記のような方はC型肝炎ウイルスの感染の可能性が高いので検査が必要です †1992年以前に輸血を受けた人 †非加熱血液凝固製剤を投与された人 †フィブリノーゲン製剤を投与された人 †大きな手術を受けた人 †薬物濫用者、入れ墨をしている人 †その他(肝機能検査で異常の人その他) |
281号 2005年9月18日 (28)医原病C 〜C型肝炎U〜 C型肝炎ウイルス(HCV)の感染力は弱く、日常生活では感染しません。感染は血液を介して行われます。すなわちはHCVに感染している人の血液のウイルスが他の人の血液に入り、感染します。感染の原因は主に輸血や血液製剤ですが、戦後の医療機関での注射器による感染も否定できません。 一般人口に占めるHCV抗体陽性者の比率は、欧米では0.1〜0.2%ですが、日本では 1〜2%と一桁多いようです。これは日本では長い間、1本の針で複数の人に注射をしていた事も関係があるかもしれません。1940年代から欧米では、注射針を複数の人に使用しないという原則があります。これは検査のための採血にメスを使っていたところ、検査を受けた人たちが次々と黄疸になったことから、その原因を検討したところ、1本のメスを共有していたことがわかったからです。 |
285号 2005年10月16日 (29)医原病D 〜C型肝炎V〜 前回までにお話した様に、C型肝炎は明らかに医療行為が齎した病気〜医原病〜です。しかし、この医原病の被害者の方々に対する救済は全くなされていません。そして患者さんは時の経過とともに病状が悪化していきます。このような患者さんの救済・真相究明と治療体制の確立を目的として現在、全国各地で薬害肝炎訴訟が進行中です。血液製剤(フィブリノゲン製剤及びクリスマシン、PPSB)によりC型肝炎ウイルスに感染した人たち(患者さん、亡くなられた患者さんのご遺族)が原告です。薬害肝炎訴訟九州弁護団は無料相談を行っています。お心当たりのある方はご相談されてはいかがでしょう。 電話092-735-1195 フィブリノゲン製剤は血液からつくられる製剤で止血剤として使われていました。アメリカでは、止血の効果に疑問があることと、肝炎感染の危険性が非常に強いので1977年販売停止となっています。 |
290号 2005年11月20日 (30)医原病E 〜その他の医原病〜 確かに、医学の進歩のおかげで多くの病気が治り、多くの命が救われています。しかし、一方では患者さんに全く悪影響のない理想的な薬や医療技術がないため、医原病が出現する事もあります。 予防接種のワクチンによる医原病。難しい問題です。予防接種によって獲得した免疫が感染症の流行を抑制しています。しかし、極めて少ないがワクチンによる健康被害も起きています。麻疹ワクチン接種後、脳炎・脳症や亜急性硬化性全脳炎SSPE(100万人に0.5〜1.0人)の発症が報告されています。日本脳炎ワクチン接種後に、極めてまれですが急性散在性脳脊髄炎(ADEM)を起こしています。そのため本年から日本脳炎ワクチンの接種は中止になっています。 健康不安病という医原病。健康になるには、禁煙、禁酒、摂生、運動、食べ物等生活習慣に注意することが基本ですが、テレビ・新聞・雑誌のメディアはそれだけでは商売にならない。医師、専門家や学者を動員して過剰な程の健康情報を流しています。おまけに健康産業はそれに便乗し、連日のように誇大広告を行っているので、人々の健康不安はさらにひどくなっていきます。この不安の解決法として人間ドックを利用しても、8割の人たちが何らかの異常を指摘され、まったく不安は解消しません。そもそも生活習慣病やガンの早期発見・早期治療という予防医学(2次予防)のPRのおかげで、検診・人間ドック産業は成り立っています(年間7千億円)しかしその有効性はいかほどのものでしょうか。現在も生活習慣病やガンの患者数は大きく減少はしていません。 検診での医原病。英国オックスフォード大学の研究報告によれば、全ガンに占める発ガンリスクの3.2%がガン検診などのCT検査によるX線被爆が元凶とのことです。厚生労働省が胸部X線検査を2006年度から廃止しますが、その理由が「肺ガンの発見率が低い、X線被爆で発ガンの恐れがある」等々で「科学的根拠がないから」とのこと! その他、さまざまな医原病がありますがあまり世の中に知られていません。それでは、医原病を予防するにはどうすればいいのでしょうか。 参考文献:「ノーモア薬害―薬害の歴史に学び、その根絶を」 片平洌彦著 桐書房 |