上津久礼区  古川るみこ


26号 2000年7月1日

(1)玄米菜食のすすめ

 草食動物は、かわいい「ウサギ」、肉食動物はこわ〜い「おおかみ」、さて、ほえる人間(失礼!)は何を食べて生きているのでしょうか?

 戦後、食文化等、あらゆるものがアメリカ風になりその結果、心臓病、糖尿病、癌等が増えてきました。

 ジョン・レノン、マイケル・ジャクソン、マドンナや我が国の坂本龍一さん達は有名な玄米菜食主義者です。彼らは、全世界の人々の心を癒し、世界の平和を求める音楽を世界に送り出してます。

  私が作っているお料理の素材は、穀物、海草、野菜だけです。そしてお砂糖、化学調味料一切使いません。マクロビオティック料理といいます。「え・・・そんなばかな、じゃ何を食べるの?」と不思議に思われる方はどうぞ毎週木曜日の「玄米を食べる会」にお越しください。

29号 2000年8月1日

(2)「噛み技」はかみがかり

 かみ様は言われました。

 「よく食べ、よく噛みなさい。」本当に言われたかどうかは別としまして、人が授かった歯は全部で32本、そのうち28本が野菜や穀物を食べるためのものです。これは、本来人間は菜食動物であることの証なのです。玄米菜食には、好都合です。

 病院では、消化を助ける薬は出しても「よく噛みなさい」とは言いません。しかしよく噛んで食べる以上の消化薬はないのです。よく噛むことは、食べすぎを防ぎ、唾液が消化を助け、噛むことによる振動が脳を刺激します。つまり、噛むことはダイエットになり癌やボケの予防となるのです。

 九州大学衛生学教室は、小学校で「よく噛む子ども」と「あまり噛まない子ども」をクラス別にわけ調査しました。すると「よく噛むクラス」の知能指数が上だったことの結果が出されています。これぞまさしく「かみ技」すなわち「神業」ではないでしょうか。一口百回以上噛んでみませんか。玄米食の会では、これらのかみ技も実践しています。詳しくは、玄米の会へお越しください。

お問い合わせ

古川医院 232−1566


32号 2000年9月1日

(3)玄米菜食で栄養は充分?

 可愛いコアラはユーカリの葉、パンダは笹の葉、大きな像だって草しか食べませんね。しかし、何の問題もありません。

 私達日本人は農耕民族であり、かつて肉や乳製品はほとんど食べていませんでした。

 栄養のバランスはどうだったのでしょう?現在多くの家庭で飲まれている牛乳を例にとってみましょう。牛乳のカルシウムは1とすると小松菜は、3、ひじきは14となっています。

 また多くの女性の方が悩んでおられる鉄分不足による貧血があります。牛乳の鉄分を1とすると、ほうれん草は37、ひじきは550となっています。

 野菜や海藻類だけでも栄養のバランスは十分取れていたのです。私もこの数字にはとても驚きました。もちろん、無用薬・科学肥料なしでミネラル十分の土壌から取れた。本物の野菜をいただくことがベストです。

 そして、玄米とこれらの野菜と海藻類をよく噛み、小食にするとなおいっそう健康によいと思います。


36号 2000年10月1日

(4)白米美食から玄米菜食へ

 「玄米を炊いてくれますか」が主人のプロポーズの言葉でした。私の従兄弟に食養生をすすめている医者がおり、その紹介でお見合いをしたのが、17年前です。主人は、その7〜8年前から玄米食を食べておりましたが、よほど苦い経験をしたのでしょうか、玄米食に協力してくれるパートナーを探していたのです。

 その頃の私は、白米美食の生活に浸っておりましたが、玄米を炊くくらいは簡単だと「はい」と答えて玄米を炊き続けております。今ではすっかり玄米菜食(マクロビオテック)のお料理に夢中です。現在では家で食事をするときはいいのですが、外食のときは注意します。よく噛むことを第一に、そして食べ合わせを考えていただきます。

 例えば、お刺身のときは、わさびやしょうが、大根をたっぷりといただいます。山葵や生姜は、魚の殺菌作用や抗カビ作用があり、寄生虫やいの中にいるピロリ菌を死滅させる効果があるそうです。てんぷらなどの油物のときも大根おろしやレモン、カボスなどを絞っていただきます。これは、大根おろしなどにはたんぱく質の分解作用があるので理にかなっています。これからの鍋物の季節には、白菜などの野菜を魚や肉の三倍以上とるようにしましょう。野菜スープはたんぱく質の分解、解毒に有効なばかりか、風、インフルエンザの予防にもなります。

   昔から日本で食べられてきた方法は、日本の風土にあった食べ方で、栄養学を学んでいなくても長い年月を経て、体で覚えてきた食べ方だったのです。そして現在では、その正しさが科学的に実証されつつあります。このような昔ながらの玄米菜食は、若い世代の人たちに伝えていかなければならないことではないでしょうか。

41号 2000年11月5日

(5)いのち丸ごと(一物全体)

 一粒の玄米を撒けば、翌年にはなんと3戦粒にもなるって事をご存知でしたか?

 白米を千粒撒いても芽は出ません。それほど玄米は生命力にあふれた食べ物です。イモ類も皮付きのまま土に埋めれば新しいイモに命がよみがえります。皮を剥いたものでは芽は出ません。大根も葉っぱから茎、根、皮から全てそろって一本の大根です。

 このように、ひとつの食べ物を皮付き、根付きのまま丸ごと食べることを「一物全体」といいます。玄米は栄養素がたっぷりある、まさしく一物全体食なのです。

 玄米には、次のような働きがあります。

1.新陳代謝に必要なビタミンB、ミネラルがたくさんあります。

2.血管を強くするリノール油、ビタミンEが多い。

3.貧血に有効な鉄分がある。

4.長の働きをよくする繊維質が多い。(便秘に有効)

5.体にたまった毒素を出す。

 白米を食べるようになって300年。江戸時代からです。江戸の人たちは白米を食べるようになって、奇妙な病気が広がり「江戸わずらい」と呼ばれたそうです。すなわち「脚気」ビタミンB欠乏症のことです。

  玄米を食べる会では、丸ごと食べる「一物全体」に基づいた料理法(マクロビオテック料理法)を行っています。

45号 2000年12月3日

(6)玄米の炊き方

 連載が6回目になりました。
  これまでいろいろな問い合わせがありました。一番多かったのが「玄米はどうやって炊きますか?」でした。今回は「玄米の炊き方」をおしらせします。これは、マクロビオティック料理の基本です。

材料(4人分)  ●玄米 2カップ    ●水  玄米の1.2〜1.3倍     ●塩  玄米1カップにつき1g

@ よく洗う

A 水と塩を入れてよく混ぜる

B はじめ強火で、おもりがシュッシュッといいはじめてから2〜3分後に火を弱め、そのまま25〜30分

C 火を止めて10〜15分程蒸らし、菜箸などでおもりを斜めにして圧力を抜く

 以上は、あくまでも基本的な焚き方です。他に土鍋、普通のお釜、電気釜、内鍋式で焚く方法もあります。味がさっぱりしています。また火の強さ、圧の加減で水の分量焚く時間が異なってきます。何度か焚いて覚えるとよいと思います。
  「玄米を食べる会」に参加の皆さんは「モチモチとしてとてもおいしい」といわれます。試食したい方はどうぞご参加下さい。電話で予約してください。

問い合わせ 古川医院   096−232−1566

49号 2001年1月1日

(7)おせち料理

 日本には古来より中国から伝わった五節供の行事があります。そして、行事には必ず行事食「はれの料理」がありました。五節供(五節句)とは・・・

1月1日 ・・・若水 ・・・おせち

3月3日 ・・・桃  ・・・草餅

5月5日 ・・・端午 ・・・ちまき

7月7日 ・・・七夕 ・・・うどん

9月9日 ・・・菊  ・・・菊酒

 この五節句はすべて、奇数月日です。奇数は陽性で縁起のいい数で、パワーがあるといわれています。日本人はこの五節句の中でもお正月を大切に過ごしてきました。お正月には、歳神様をお迎えして、一家の健康と繁栄を祈ります。
  おせち料理には、不老不死に繋がる薬効や縁起をお重にびっしり詰め込みます。
 例えば、昆布巻きは巻物で文化をあらわし、黄金色のきんとんは財宝を祈ります。紅白なますは平和を祈念し、八つ頭人の頭(かしら)にたち、くわいは、やがて芽が出るという人生の希望を煮、含めて、人それぞれの願いがおせちの中に入っているのです。
 また、お雑煮を食べるときに、次のような微笑ましいしきたりを残している地方もあります。椀の中から箸で、青菜をつまみあげ、それを食べ残し「名『菜』をあげ名を残す」、菜を高く引き上げて「菜を高める」・・・。
  こういう御節の由来を伝えて生きたいものですね。


53号 2001年2月4日

(8)稗を使ったお料理

 稗は冷、日得とも書いていました。縄文時代からの作物です。米が普及するまで日本人の主食のひとつでした。稲作に不向きな山間部や寒冷地の大切な主食でした。マグネシウムを多く含み、血管をやわらかくして、冷え性やアトピーに効き、秘蔵を強くする食べ物です。
 今回は稗を使ったお料理をお伝えします。「ひえ〜〜!」なんて言わないでお作り下さい。結構おいしいですよ!稗を炊いて、いろいろなお料理に使います。例えば、ひえコロッケ、ひえシュウマイ、ひえのピザ、ひえのソーセージ、ひえのカリントウ、ひえのドーナツなどなど、たくさんあります。今回はひえのコロッケの作り方です。

☆材料
・ひえ(2カップ)  ・ごま油(少々)  ・水(2.5カップ)  ・塩コショウ(適量)  ・塩(小さじ1)  ・小麦粉(適量)
・玉葱(200g)  ・水(適量)  ・人参(60g)  ・パン粉(適量)  ・干し椎茸(5〜6枚を水に戻しておく)  ・油(適量)

★作り方
 ひえは良く洗い布巾を敷いたざるに上げて水を切る。温湯に塩を加えたら中にいれ、弱火で15分蒸し煮する。炊きあがったらコンロから降ろし、15分蒸らす。

@玉葱、人参、椎茸をみじん切りにし油で炒め、塩味をつける。
Aひえが熱いうちに、Aと混ぜ合わせ塩コショウで味を調える。
B俵型にまとめ、小麦の水溶きをつけ、パン粉をまぶしてあげる。
C付け合せのキャベツは細切りにし、温湯にサッとくぐらせ、塩を少々振る。
Dお皿に盛り付ける。

ひえが上手に炊ければ、ポテトコロッケより簡単です。ひえのコロッケを食べてみたい方は「玄米の会」にお越し下さい。とてもおいしいですよ。(ひえは、自然食品店に売っています)


57号 2001年3月4日

(9)家庭の健康はキッチンから

 地球の温暖化や環境汚染(ダイオキシン、排気ガス、その他)がマスコミで大きく取り上げられています。これからこの母なる地球は、どうなるのでしょう。病んだ地球を救う手立てはあるのでしょうか。まずは、一人一人身の回りの環境から見直し、家庭の健康を願うことから始めてみませんか。
 食べ物は命を作る基です。家庭での料理ひとつで家族を健康に保つことが出来ます。ちょっと具合が悪いとき、軽い怪我をしたときは、キッチンにある食材で手当てが出来ます。例えば・・・

◇咳きや喘息にはレンコンを使ったレンコン湯   ◇熱が出たら大根を使った第一大根湯   ◇高熱には豆腐を使った豆腐パスタ
◇打ち身や毒の吸出しにはサトイモを使った里芋パスタ   ◇腰痛、肩こりには生姜を使った生姜シップ
 
など、いろいろあります。

 動物は具合が悪くなると、決して食べずにじっと静かに横になり体を癒します。私もちょっと食べ過ぎたり、体の動きが鈍いなぁと思った時は、玄米のおかゆを作ります。(玄米を洗い5〜7倍の水で、圧力鍋で2時間炊)それだけを3日間食べると体の隅々まで、すっきりして身も心も軽くなり、うれしい大きな便りがあります。
  このように、キッチンから毎日の健康を作っていけるのです。詳しくは、どうぞお気軽にお尋ね下さい。そして、健康になるための料理法や手当て法を試してみてください。


61号 2001年4月1日

(10)春色玄米おすし

 春になりました。冬の間土の中に叱り眠っていた野草もひょっこり顔を出してきました。
  やさしい緑色のふきのとう、かわいいつくしんぼう、幸せを運ぶ黄色のタンポポや菜の花、おだやかなピンク色のれんげ草、「春ですよ」と自然が教えてくれます。
 春の野草の多くは土の中でアクを溜め込んでいます。昔から「春には苦い野菜を食べよう」と言われていました。アクの強い野草を食べて私達も体の中まですっきりリフレッシュをして活動的になりましょう。今回は春のお寿司をご紹介します。

 旬の野菜で彩を工夫し、春色のお料理を作り、楽しい食卓にしてみませんか!


65号 2001年4月29日

(11)塩のはなし

 ひとくちで「塩」といいますが、人間にとっては塩はなくてはならない食品です。
  30数億年前に、生命は海から誕生し、命のつながりが現在まで続いています。このことは、海の水のミネラル・バランスが母親の子宮の中の羊水、そして今の命を支えている体液、血液と似ていることからも理解できます。海水、すなわち塩は私達の体には絶対必要なものです。
  塩は血液をきれいにします。塩は食物の保存、殺菌、防腐に大変有効です。塩は陽性の働きがあり、伝統的な行事などによく使われています。お相撲さんも塩で土俵を浄めて、ちょっとなめて、気合を入れ、相撲をとります。(砂糖だったら、負けてしまうでしょう)

 塩は科学塩(精製塩)ではなく、本物の天然塩を使いましょう。自然な塩は海水から直接作られます。太陽の熱と風で濃縮皿に天日に干したり煮詰めたりして塩を結晶させています。また、海外の岩塩からも自然塩が出来ます。自然塩には健康維持に欠かせない微量ミネラル類が何十種類も入っています。また、わずかに甘味があり料理がまろやかに仕上がります。科学塩は塩化ナトリウムの純度が高く、ナトリウム以外のミネラル類が不足しています。
  穀菜食の基本は純正自然食品を選ぶことから始まります。すなわち、食品添加物、薬品、科学抽出・化学合成された食品(白砂糖、精製塩等)は、私達の健康に重大な影響を及ぼす恐れがあるので使いません。塩を選ぶ時も、体内のミネラルバランスを崩さない自然塩を使い、健康でいたいものです。


70号 2001年6月3日

(12)味噌

 うそのような本当の話ですが・・・。昭和20年8月9日長崎に原爆が落とされ数万の人々が亡くなりました。
  しかし、爆心地より1.8kmで味噌、醤油の倉庫になっていた病院は、死の灰の中に残っていました。そこで働く人々は、原爆症が出なかったそうです。それは味噌の力だと、医者の秋月辰一郎氏が本を出されています。味噌は、放射能の汚染物質も跳ね返すくらいの力があると書かれています。
  チェルノブイリの原発事故でも味噌によって助かった人々もいるそうです。その効果が認められ居間ヨーロッパでも味噌工場がいくつか建てられています。麹菌、酵母菌、乳酸菌で分類された味噌は、消化のいい食物性たんぱく質と脂肪と繊維に富むすばらしい食材です。最近、味噌汁を飲まなくなった日本人も多くなりましたが、味噌は洋風や中華など色々なお料理に使われています。今では英語では“MISO”と表現され、世界に通じる言葉にもなりました。

●味噌の効用を簡単に紹介します

1.毒作用(有害金属を吸着し排泄する・悪酔いを防ぐ・たばこの害をうち消す)

2.放射能防御(放射性物質を吸着し排泄する・放射能で傷ついた小腸粘膜を急速に再生する)

3.がん予防

4.免疫強化

5.動脈硬化防止、高血圧抑制

6.老化防止(脳細胞を活性化する)

7.消化促進、吸収排泄補助(食物の消化を促進する・血糖値の急激な上昇を抑える)

8.脱臭効果

味噌健康づくり委員会編 「味噌サイエンス最前線」より

※自然の食材を使ってしっかり発酵させた本物の味噌を食べてください※


74号 2001年7月1日

(13)梅のはなし

 昔から「梅は、その日の難のがれ」と言います。
  6月の梅雨の頃には、それぞれの家庭で梅干・梅酒・梅味噌・梅ジュース・梅肉エキス・梅ジャムなど、梅を加工する風景を見かけます。過程の中で、これだけの保存法を考えて作る梅はまさしく日本の伝統食の代表ではないでしょうか。梅によるすばらしい効果を上げてみましょう。

@疲労回復・血液浄化 梅はクエン酸の宝庫です。クエン酸は胃酸の代役として働きます。

A食欲増進・胃腸障害改善 梅干は唾液腺、胃液腺を刺激して消化液を出し、デンプン質の消化吸収を正常にします。

B老化防止・美容 梅干はパロチンを多く分泌させ、からだの組織の若返りを促します。また、性ホルモン、その他のホルモンの分泌、働きを助けます。

C情緒安定 梅にはマンガンが多いので、精神安定とともに愛情も育てます。

「薬草の自然療法」より

 このような薬効の多い梅干を毎朝1個お茶に入れて飲みますと、一日がさわやかに過ごせると思います。
 今年も私は、かめに天然塩で梅干を漬けました。水が上がってきたときの喜びはすばらしい感動です!命につながる食べ物、梅干を家族で毎日いただきましょう。
  これから暑い夏に向かいますが、殺菌作用のある梅干をおにぎりやお弁当に入れて、家族の健康を守りたいと思います


79号 2001年8月5日

(14)子どもたちへの願い

 「健康な20歳の若者90人のうち95%が不妊症」(大阪IVFクリニック)という衝撃的な報告があります。
 確かに私の周りにも若いカップルの不妊症は増えています。
  その原因のひとつにカップ麺からの環境ホルモンがあります。カップ麺は、手軽にお湯をかければ食べられます。安いし、テレビのCMも、すぐに欲しくなるように毎日流れています。しかし、どうして体に悪いのか?なぜジャンク・フーズ(クズ食品)といわれるのかを調べてみました。

1.暑いお湯を注いだらカップから環境ホルモンが出ます。その環境ホルモンで精子が減少し生殖能力が衰えます。

2・麺は、輸入小麦が使われています。防腐剤や、食品添加物が多く使われています。

3.栄養バランスも悪く、味覚障害、神経障害などが起こります。塩分が多いので、高血圧や肝臓疾患も起こりやすくなります。

4.カップがゴミの山になります。

※この他にも色々なことが起こります。(「マクロヴィオティック」より)

 今、子ども達は夏休みです。働くお母さんも多くなりました。お留守番の子どものためにお昼のお弁当を作る方もいると思います。時間がない方は、お母さんの暖かい手で握った「おにぎり」をテーブルの上において出かけませんか?
 きっとお母さんの『ぬくもり』を感じると思います。

 


82号 2001年9月2日

(15)砂糖の害

 「960缶」この数字は現在の日本で生産されている缶飲料の種類です。7月アメリカからのお客様が日本の自動販売機の多さと飲物の種類の多さに大変驚かれていました。私も改めて驚きました。1本の缶飲料の中の[糖分]を調べてみました。

種類
角砂糖(3.5g)
全体量
コーヒー
200ml
8個
28g
ミルクティー

250ml

5個
17.5g
炭酸飲料水(コーラ等)
250ml
5個
17.5g
清涼飲料水(スポーツ飲料等)
250ml
11個
38.5g

 この他、お菓子やパン、市販のマヨネーズ、ソース、ケチャップ、ドレッシングなどにも砂糖が入っています。まさに砂糖漬けの生活です。
  テレビでは「砂糖は脳の栄養」などCMしていますが、健康によいかは考えているのでしょうか。砂糖の摂り過ぎは体内のカルシウムを奪い、ビタミン、ミネラルを奪います。その他、体によくない作用が多いようです。そして、砂糖はニキビ、肥満、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、肩こり、疲れ目、倦怠感を引き起こす事は、科学的に明らかにされています。
 また、今年の6月、熊日新聞の記事によると、砂糖の摂り過ぎで「きれる」子どもたちが多くなり、学級崩壊にもつながると書いてありました。
 甘い砂糖の誘惑を断ち切る事は大変難しい事かもしれません。私が薦めているマクロビオティックのお料理では、砂糖は一切使いません。素材を生かし、甘味のある美味しいお料理が出来ます。
 子どもたちの健康を考え、砂糖を少しずつ減らす事から始めてみませんか。


87号 2001年10月7日

(16)お米を食べよう!

 

 今、お米の収穫があちらこちらで始まっています。日本人がお米を「食べ続けた歴史」をうかがわせる風景です。日本は世界の長寿国と言われています。
 しかし最近体や心の不調を歌える人が増えています。日本の食事スタイルは戦後50数年で変わりました。下の表のようにご飯と野菜中心の食事から、パン・肉・乳製品の洋風スタイルになってしまいました。その結果、成人病、癌などの病気が増え続けています。現代の栄養素学は本当に日本人の体にあったものなのでしょうか。
 最近、病気の予防に食事などの生活習慣を見直すことが重要だといわれています。欧米では、動物性たんぱく質・脂肪の取りすぎが健康を害するといわれ、濃くもう菜食にこそ理想的な栄養バランスがある事が分かり、お寿司、ご飯などの日本食がもてはやされています。なんと、世界で日本の伝統の食事が最も健康的だったのです。
 毎日の食アクにご飯と季節の野菜を取り入れ、いただき、自然の恵みに感謝する事を子どもたちにも伝えていきたいものです。
 今、恐ろしい狂牛病が日本にも発生しています。ご心配の肩は穀物菜食をお勧めします。

日本人の食生活の変化 ※1934年〜1994年の調査 (国民1人1年あたりの供給純食料。単位はs)

魚介
油脂
小麦
野菜
肉類
鶏卵
乳製品
昭和9年〜13年(戦前)
1350
8.6
70
2.2
2.3
3.3
9.6
0.9
平成6年(現代)
663
33.1
102.9
30.6
17.8
89.2
36.1
14.4
0.5倍
3.8倍
1.5倍
14倍
7.7倍
27倍
3.8倍
16倍

91号 2001年11月4日

(17)風邪に負けない野菜たち

 

 季節とともに野菜も変わっていきます。秋も深くなり、秋野菜の季節です。
 夏に食べた野菜は、水分の大トマト、なす、きゅうりなど熱い体を冷やしてビタミンを補ってくれました。夏の野菜は、カンカン照りの畑で、ぶら下がって出来るのが特徴です。
 秋野菜は、よく肥やした土のすぐ上か、すぐ下に出来ます。さつまいも、かぼちゃ、かぶ等です。穀物もあります。これから訪れる厳しい冬を越せるようにでんぷんや資質の多い作物で体に力を蓄えます。
 冬野菜は、大地に深く根を下ろして育つ大根、人参、ごぼう、里芋、れんこん、白菜などで、体の隅々まで温めてくれます。このように季節ごとに、住んでいる土地で収穫した食べ物を「身土不二(しんどふじ)」と言います。
 寒い冬に身体を冷やす野菜を食べたらどうなるでしょう?春には、冬の間あまり汗をかかないので、身体に溜まった毒素を出すため、アクの強い野菜や山菜を食べます。春野菜は筍やワラビ、上へ上へとまっすぐ伸びます。自然が春、夏、秋、冬と季節の流れを教えてくれます。自然が恵んでくれた食べ物で、私達の命は輝いています。
 これから益々寒くなってきます。「寒い!寒い!」と帰って来る家族のために、秋野菜と冬野菜たっぷりの大根、人参、里芋、ごぼう、かぼちゃ等を入れた「だんご汁」や白菜やねぎなどの「野菜スープ」を作りませんか?そうすれば、心温まり風邪が逃げ出してしまいます。


95号 2001年12月2日

(18)風を治す野菜たち

 

 寒くなり風邪の季節になりました。台所は過程の薬局です。風邪の予防に、あるいは風邪を引いたときに欠かせない野菜がたくさんあります。
 まず大根です。大根役者の由来は、大根は「あたらない」事からきています。どんな食べ方をしてもあたらないすばらしい野菜です。豊富なビタミン・ミネラル・消化酵素があります。風邪で高熱が出たとき、第一大根湯が効きます。大根おろしにショウガ、しょうゆ、番茶を加え作ります。
 レンコン湯は、咳や痰、喉の痛みに有効です。レンコンおろし汁にショウガ汁、水を加え、沸騰させずさっと煮ると出来上がります。レンコンは気管支、喉、鼻の炎症に聞く作用があります。食物繊維、ビタミンCが多く腸を整え、喉の渇きを止めます。
 冬至にカボチャを食べると風邪を引かない、中風にならない、難を逃れるといわれてます。
 葛は、漢方薬の葛根湯でお馴染みで、身体を温め、微熱を取ります。
 しょうがは、料理や多くの漢方薬に使われ、薬味や香り付けになくてはならない野菜です。血管を広げ、体の隅々前血液を回します。また、殺菌成分や分解酵素も豊富に含まれています。
 このように台所には沢山のお薬があります。そして、この野菜達を料理にふんだんに使う事により、風邪に負けない元気なからだを作りましょう!


99号 2002年1月1日

(19)おせち料理

 

 新年明けましておめでとうございます。元旦は歳神様(としがみさま)が天(そら)から降りて来られるそうです。日本の家庭では昔からの習わしで、歳神様をお迎えするためにお正月に色々用意します。門松、しめ飾り、鏡餅などです。そしておせち料理です。

 おせち(お節料理)は、昔は五節句といい1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日の節句の日に神様にお供えするために作られ、神事の後に皆でいただいていました。すべて奇数の月と日で、奇数は昔から縁起のいい数字と言われています。
 特に1月1日は晴れやかな日です。すべてはから始まりこの世にあるものが生まれ変わる。台所で何気なく使っている布巾や箸も新しくすると、気持ちも自然と晴れやかになってきます。
 今年も私は、穀物菜食で毎日の生活を楽しもうと思います。穀物菜食はお米(玄米)や雑穀、味噌、塩、醤油、季節の野菜で毎日が快適に過ごせます。余計なゴミも出ません。「栄養が偏らない?」「背が伸びないのでは?」と思われるかもしれませんが、心配無用です。今、全世界で奥の人々が穀物菜食(マクロビオティック料理)で健康でいきいきと生活しています。
 第一歩という言葉があります。今年は、一歩踏み出して、世界の平和を祈りながら自然体に戻って日々の生活を過ごしませんか。そして命を支える食べ物について深く考えてみませんか。


103号 2002年2月3日

(20)黒い食べ物が身体にいい!

 最近よく「活性酸素」という言葉を聴きます。私達や、ほとんどの生き物は、酸素がないと生きてはいけません。活性酸素とは身体中に入った酸素が変化して出来ます。活性酸素の一部は人の身体に必要ですが、多くの活性酸素は皮膚のしわやしみを増やし、老化を早め、発ガンや動脈硬化を進めることが明らかになっています。また、心筋梗塞、投入病、リュウマチ、地方などほぼすべての生活習慣病の一因になると考えられています。
 それでは、活性酸素を減らすにはどうすればいいでしょうか。活性酸素はたばこ、排気ガス、アルコール、紫外線、過度の運動、ストレス等でより活発になるので、できるだけこれらを避ける事です。あた、食べ物の中に含まれる活性酸素を抑えるものを積極的に摂る事をお勧めします。野菜にはもちろん沢山含まれています。特に黒い食べ物(玄米、黒ゴマ、黒豆、ひじき、黒米《古代米》等々)には大量に含まれています。
 黒米には人の身体で作られない必須アミノ酸が8種類、アミノ酸が17種類含まれています。中国の皇帝がそのパワーを知り密かに毎日スプーン一杯食べていたという事です。黒豆はたんぱく質、食物繊維、鉄、ビタミンB1が豊富に含まれ、疲労回復に効果的です。ひじきは牛乳の14倍のカルシウム、牛乳の550倍の鉄分を含みますので、貧血予防になります。
 体の中で暴れる活性酸素を抑える食べ物を食べませんか。黒いものを食べて、いつまでも若々しく、病気知らずの身体になりましょう。


107号 2002年3月3日

(21)白い食べ物にはご注意!

 

 前回は、黒い食べ物は元気が出るとお伝えしました。それでは、白い食べ物はどうでしょう?今は、精白や精製した安部物が町に溢れています。白米、精白小麦、白砂糖、精製塩などです。特に「白米」「白砂糖」「化学調味料」これらは穀物菜食の世界では「三白の毒」とも言われています。
 江戸時代中期までは、精白しない穀物が中心の食生活でした。中期以降の元禄時代は江戸で白米を食べる人が増え「江戸わずらい」がはやったそうです。これは脚気ともいい、ビタミンB1欠乏が原因です。白米はまいてもめは出ないし、腐るだけですが、玄米を蒔くと一粒から三千粒ものお米が取れます。玄米一粒にも生命があるのです。玄米を精米して白米を作りますが、多くのビタミンやミネラル等栄養素が削り取られて、文字通り「糟」だけになってしまいます。
 白砂糖も真っ白です。砂糖のほとんどは「さとうきび」から作られます。さとうきびを搾ると茶色い汁が出てきます。これを煮詰めると黒砂糖が出来ます。この茶色い汁に水酸化カルシウム(石灰)を加え煮るのです。この時ビタミン、ミネラル、その他の栄養素が取り除かれます。そして最後に真っ白い砂糖となります。砂糖を食べると、体の中でビタミンB1やカルシウムなどを奪い、様々な健康被害を起こす事が分かっています。砂糖の摂りすぎから、逆に低血糖とない精神が不安定となる事があります。青少年がすぐ「きれて」興奮し残虐な暴力を振るうのも砂糖が一つの原因であるのかもしれません。身体がだるく、イライラして、肩凝りのある人は、試しに10日間甘いものを一切摂らないでみてください。身体がすっきりとします。
 化学調味料も白いですね。これをお料理に使うと口当たりがよくなりますが、本当の素材が生かされなくなります。また多くのスナック菓子にも化学調味料を使っているようです、ご用心を!!
 食べ物は出来るだけ精白、精製したものを食べないようにしましょう。自然のビタミン、ミネラル、たんぱく質などが沢山含まれている黒い食べ物を食べましょう。


112号 2001年4月7日

(22)食べ物と国民性

 

 2年前、息子達の入学記念に植えた小さなサクラの木に今年初めてピンクの花が咲きました。もう春ですね。
 先日、状況のとき、夜に友人と新宿のレストラン街に出かけました。友人も穀物菜食なので、肉や魚を使っていないお料理を探しました。同じ階にイタリア、スペイン、フランス、インド、ベトナム、タイなど各国の料理、中華料理、日本料理、そば屋などいろいろありました。ひとまわりして、お客さんの食事風景を見ながら、ふと思いました。
 イタリア料理店では、若い女性連れが多く、明るいカンツオーネが聞こえてきそうな雰囲気です。フランス料理店では、中のよい恋人同士がワインを傾けながら顔を見合わせ、ヒソヒソと語り合っています。ベトナムやタイ料理店では、若い男女のグループが多く、今にもけんかが始まりそうな大きな声が外まで聞こえています。スタッフもその国の人達で、まるで外国にいるような気がしました。中華料理店では、中年層が多く、忙しそうに長い箸を使い、円卓を囲んでいます。
 一番静かなのはそば屋さんでした。静かにひとり連れのお客さんも多く、私と友人は白いのれんをくぐりました。にぎやかな都会にもかかわらず、ほっとするような空間でした。
 ほんのひとときの間に、世界各国の食事風景を見て、何か不思議な気持ちになりました。今、日本では多くの外国の料理が食べられています。特に欧米風の肉食中心の食事が多くなり、同時に欧米風の病気も増えています。そして、日本人の体質も国民性もどんどん変化してきています。
 あなたは、どこの国の料理を選びますか?日本の食事はいかがですか。すばらしい日本の伝統食で心が和み、癒されることでしょう。


116号 2002年5月12日

(23)よもぎ

 ふき、クレソン(西洋せり)、みつば、よもぎ、春の香りをカゴいっぱいに積んで、友人が訪ねてきました。彼女は南関町の山間に住んでいて、自給自足の生活をしています。この飽食の世の中にとらわれず、季節の野菜をいただき、自然体で生きています。彼女がくれた野草の中でよもぎの香りが部屋いっぱいに広がり、心を癒してくれています。
 蓬は雑草と思われていますが、食用はもちろん、虫刺されやけがの血止め、虫下しなどの効能がある立派な薬草です。また胃腸の働きを活発にし、血行を良くする作用があり、冷え性や生理痛、美肌作りにもとってもいいのです。太陽に当て乾燥させたよもぎを煎じて飲んだり、かゆいところにすり付けると痒みが止まります。アトピーにも良く効きます。
 約40種類もあるよもぎは、世界中で知られているハーブです。地球のあらゆる場所で役立っているよもぎは生命力に満ち溢れ、繁殖力も旺盛でエネルギーいっぱいの植物です。
 玄米を食べる会では、よもぎの粉を使ってクレープを焼いています。クレープに味噌を薄く塗って、いろいろなお野菜を巻いて食べると春の香りが口いっぱいに広がります。果物を巻いて彩りも良く食べるとおいしいデザートに出来上がります。そのほか、よもぎ団子、よもぎ大福、草もち、よもぎパンなどがあります。
 自然からの贈り物、よもぎのすばらしいパワーをおいしくいただき、自然が教えてくれる事を忘れず大切にしていきたいものです。


119号 2002年6月2日

(24)マクロビオティック料理

 雨に濡れたあじさいが6月の季節を鮮やかに飾っています。この時期あちらこちらで田植えが行われています。梅雨ってジメジメして嫌だなあと思わずに、恵みの雨、作物が豊に成長するのを楽しみましょう。毎日の食卓にもさわやかな初夏の風を飾りましょう。
 最近、よくマクロビオティック料理(穀物菜食料理)がTVに登場しています。この料理はアメリカを始め世界中で知られていますが、実は日本から全世界へ広まったものです。
 今から70年前に桜沢如一(さくらざわゆきかず)氏(海外ではジョージ・オーサワ)が世界の平和を願って日本と世界にマクロビオティック(東洋の平和思想と人としての生き方そして東洋古来の食生活)を広めました。
 マクロビオティックの食の基本は菜食です。動物性のものを取らず、化学肥料・農薬を使わない農作物を中心として食べ物をいただきます。そして、その土地その季節のものをいただきます。(『身土不二』が原則)
 この食事法で、病気の人がずいぶん元気になり健康を取り戻します。自然の力を生かした農業によって、健康な土地を作り、健康な元気な農作物を作ります。そしてそれをいただくことにより人の体が健康になり、心も癒されます。ひいては温暖化や環境汚染で疲れた地球も元気になります。一人一人の健康から全世界の平和を説きマクロビオティックを広めた桜沢氏は世界の「オーサワ」として認められています。
 現在、外国でもマクロビオティック料理をいただいている方が多くなっています。私もこの料理を「玄米を食べる会」で皆様にお勧めしております。あなたが健康で元気に生き生き日々を送られ、そして世界が平和になりますように!


124号 2002年7月7日

(25)安全な食べ物はどこに

 先日、私が立ち寄った産地直送のお店でのことです。
 年配の生産者の方がトマトの袋に自分の名前を書いていました。隣に並んだ他の生産者の「無農薬トマト」と表示している袋を見て「こんトマトは無農薬なんてうそばっかり、俺も無農薬って書いておこう。そうでないと売れんけん・・・」とぶつぶつ言っている、そして「無農薬トマト」が出来上がりお店に並びました。私はもうびっくり、信じられない!!
 無農薬・有機野菜(オーガニック)と表示するには「有機JISマーク」の認定が必要です。3年以上農薬・化学肥料を使っていない農地で栽培されたものだけが認定されます。無断で表示をすると50万円以下の罰金、「有機JISマーク」のシールを無断使用すると100万円以下の罰金です。
 狂牛病、偽装表示、無認可添加物等々、連日報道されていますが、私達の身近にも食べ物の安全性が信じられない例があったのです。
 私は農家の方や有機農業をされている方を知っています。農家の方のご苦労を見聞きしていますが、お米や野菜を作るには大変な量力と時間が掛かります。私達消費者はその事をもっと知り、食べ物について理解を深めなければなりません。泥の付いた野菜は洗うのが面倒くさい、虫の付いた野菜はいらないなど言いながら、安全な無農薬・有機野菜だけを求めるのは「虫のいい話」です。
 「健康は本物の食べ物から」です。本当に安全で安心できて、おいしい野菜や食べ物を手に入れるために、私達消費者はもっと勉強しなければなりません。


128号 2002年8月4日

(26)粗食のにわとり

 庭先で放し飼いのにわとりは、砂浴びをしたり、土の中のミミズを食べたりします。少しのエサで卵を良く産むし、なんと喧嘩もしない!!それに比べ、鶏舎の中の、配合肥料をたっぷり食べたニワトリは卵をあまり産まないし、よく突き合いの喧嘩をするそうです。
 私はこの話を聞き、人間社会と比べてみました。科学技術が進み、人類の夢が少しずつ実現しています。しかし、一方では世界各地で戦争が起こり、この狭い日本でもいろんな争いごとが絶えません。鶏舎の中と同じかもしれません。医学が進歩し、立派な病院が増えているにもかかわらず、病気は減っていません。これは環境汚染の問題、日常生活のストレスなどさまざまな原因が考えられます。その中で「食」が大いに関係していると思います。
 日本がアメリカとの戦争で敗れたため、生活習慣、思想、文化、食べ物など全てにわたりアメリカ化が進められてしまいました。現在の食生活は、お米中心の日本食から、パン・牛乳・卵・肉を使った欧米食が多いようです。ご飯をしっかり食べ、季節の野菜やイモ類、豆類、海藻類をしっかり食べていた時代には、アレルギーの病気や糖尿病、心臓病などの生活習慣病、こころの病気は現在ほど多くはなかったようです。そして精神の変調から起こされる異常な犯罪も多くはなかったと言われています。
 最近、生まれた時からひどいアトピーの子どもさんが、現代的な食事を思い切ってやめ、昔風のご飯、味噌汁、無農薬の野菜、無添加の食べ物に替えてアトピー症状がまったく出なくなり健康になったという例があります。そして、その子どもの世話をしていたおばあちゃんが々食事をして、肩こり、腰痛などが治りとっても元気になったとの事です。毎日の食事が以下に健康を左右するのかいい実例です。
 皆様が日々の食事を見直し、健康に過ごされることをお祈りしています。


131号 2002年9月1日

(27)「小食」で健康に

 食についての“ことわざ”がたくさんあります。「腹八分目に医者要らず」「小食は長生きのしるし」等々・・・。
  9月15日は敬老の日ですが、長寿の方々の多くは小食だそうです。自然のままに生きている動物も必要以上に食べ過ぎません。人の一生で食べる量は決まっていて、早くたくさん食べると人生は早く終わり、小食にすると長く生きられると言われています。キリスト教でも大食いは七つの大罪のひとつです。仏教でも昔から高僧は精進料理の小食で長生きをされています。
 先日、菊池養生園で、大阪で開業されている甲田光雄先生の講演会がありました。甲田先生は大学時代に大病をされ、現代医学で治らないため思い切って「断食と小食」の治療を受けられ、元気になられたとの事です。竹熊宣孝先生(菊池養生園 名誉園長)も大病のとき、甲田先生から「小食」の治療を受けられて元気になりました。そして、そのことが養生園を始められるきっかけとなっています。
 「小食は健康の原点」であり、小食を実行すると・・・

  • 疲れを知らず、スタミナが倍増する
  • 記憶力が良くなり、頭脳が冴えてくる
  • 手足の冷えもなくなり、肌の色つやも良くなる
  • アトピー性皮膚炎花粉症などのアレルギー疾患が良くなる

 等々、実に色々な効果が表れます。そして健康になるだけでなく、健やかに老いるという幸せも手に入れることが出来る、と話されていました。
 80歳でますます元気な甲田先生の説かれる小食健康法は実に説得力がありました。食べ物にあふれている現在では、小食は難しいようですが、私も玄米菜食で小職を心がけていきたいと思います。
 あなたも小食を試されてみてはいかがですか?


136号 2002年10月6日

(28)野菜と仲よく

 秋は今、盛りだくさんです。
 野山には、秋の七草(萩、キキョウ、葛、藤ばかま、おみなえし、ススキ、なでしこ)が色とりどりに秋風に揺られて咲いています。たわわに実った稲穂も収穫を待つばかりです。
 秋のマクロビオティック料理(穀物菜食)では、やがてやってくる厳しい冬を元気に過ごすために、身体を冷やす生野菜のサラダから、身体を温める煮炊きした野菜に切替えていきます。
 「秋ナスは嫁に食わすな」と昔から言われていますが、これは決して嫁いびりではありません。大切なお嫁さんが、陰性の秋ナスで身体を冷やして体調を壊したり、流産をしないようにとの思いやりから出たことわざです。このように地面から上に伸びてぶらさがって出来る「キュウリ、ナス、トマト」などの夏野菜は身体を冷やします。秋の季節には、地面の上で丸くなって育つキャベツ、白菜など、そして、地面のすぐ下で育つ里芋やサツマイモなどを、人手間をかけて煮炊きしていただきます。
 最近若い人たちに「野菜を食べていますか?」と聞くと「はい、サラダは毎日食べています!」と自信たっぷりに答えます。サラダ用のレタスやトマトなどの野菜は、年間消費量が増えています。しかし、国民一人当たりの年間野菜消費量は年々低下しています。現在、多くの家庭で肉類・乳製品を取り入れた欧米型食生活に変化して、サラダ野菜が多くなり、野菜を煮炊きすることが少なくなっているのです。実際、ビタミンやミネラルを大量に含む野菜、例えば白菜、大根の消費量は激減、キャベツ、玉ねぎ、里芋なども減少傾向です。ところがこれらの野菜は、がん予防、生活習慣病予防になるといわれています。
 マクロビオティック料理では、生活している土地で取れた季節の食べ物を頂く事を“身土不二”といい、食事の基本としています。
 季節の移り変わりと共に、身体が変化していきます。野菜のもつ様々な特徴を憶えて野菜と仲良くしていくと、身体が活き活きと元気になっていきます。寒い冬に向かって煮炊きした秋野菜料理を食べましょう。


140号 2002年11月3日

(29)スロー ・ フード

 先日、子どもと天草の水族館に出かけました。係りの人は魚について色々手稲に教えてくれました。

@水族館に運ばれた魚に、まずペレット肥料の食べ方から教えます。えさが食べられない魚は弱って、大きい魚に食べられてしまいます。自然界では小さい魚が大きな魚に食べられる弱肉強食の世界です。

A水族館では、自然界で10年生きる魚でも3年しか生きられません。これは、狭い水槽の中で生きているのと、えさを食べ過ぎるため、ストレス・運動不足・肥満になり、短命となるのかもしれません。

 この話を聞いて、水族館お魚の世界も人間界と似ていると思いました。私達は地球という一つの「宇宙船」の中で、空気の層に守られて生きています。この中で私達は限られた「いのち」の時間を持っています。そして、一生に食べる量は限られているといわれています。早くたくさん食べる人は、早く命の時間が終わってしまうようです。あの水族館の魚のように。
 最近「スロー・フード」という言葉を良く聞きます。ハンバーガーや炭酸飲料などの「ファースト・フード」が、単に時間のかからない「早い食べ物」だけでなく日本人の食習慣、生活習慣そのものを変えてしまいました。その結果肥満や生活習慣病が増えています。この危機的な現在こそ、食べ物の大切さを考え、日本の伝統的な食文化を守っていくことが重要です。
  「スロー・フード」に切り替えなければなりません。「スロー・フード」すなわち美味しい穀物菜食を少しずつゆっくり楽しくいただいてみませんか。そして、ゆっくり楽しく人生を過ごしてみませんか。


144号 2002年12月1日

(30)ある健康長寿のための生き方(終)

 

 「玄米菜食」の話が30回になりました。毎回お読みただきありがとうございました。

 マクロビオティック(玄米菜食)とは、マクロ(大きい、長い)ビオ(生命)ティック(術、学)からなり、文字通り「長く思いっきり生きるための理論と方法」を意味します。日本人の桜沢如一(ジョージ・オーサワ)が世界に出かけ、このマクロビオティックを広めました。現在では、欧米をはじめ世界各国に広まっています。
 私はマクロビオティック料理を、奥様の桜沢里真先生が始められたリマクッキングスクールで学びました。一昨年百歳で亡くなられたリマ先生が述べられていました。
 「食べ物は人を殺したり、生かしたりするほどの力を持っています。食べ物のないところには生命現象はないのです。人間が食べ物を作るのではなく、食べ物が人間をつくります」
 マクロビオティックには次の2大原則があります。

「身土不二」  今、住んでいる土地で、季節の食べ物をいただくこと

「一物全体」  一つの命ある食べ物を丸ごといただくこと

 この基本を守り、この土地でとれる穀物と野菜を使い、マクロビオティック料理の作り方を2003年春頃より、皆様にお伝えしていきたいと思います。