矢原正治
(150)ハトムギ(Coix lacryma-jobi L. var. ma-yuen) イネ科
今月は、ハトムギです。植物の写真を見て、見たことがあると思われる人があるかもしれないが、それは昔、道端に生えていたジュズダマ(Coix lacryma-jobi L)です。ハトムギの種子は、種皮がジュズダマに比べ柔らかく、指で押して割れるぐらいで、雌蕊の随を除くと、溝が出来ます。ジュズダマは中央に穴が開き、糸を通し数珠(ジュズ)状に繋ぐことができるのでジュズダマと言われます。
ハトムギの植物名の後に( )書きしてあるラテン名のCoix はヤシ科の植物。lachrymaは涙。jobiはJobという人物で、「Jobの涙」となります。たしかに果実は涙のような形をしています。
ハトムギの果実は、生薬名、ヨクイニン(Coicis Semen)といい、筋肉の異常緊張、関節痛などの目的で、麻杏?甘湯(マキョウヨッカントウ)【麻黄4、杏仁3、苡仁10、甘草2】は汗疱状白癬(水虫)、腫脹、疼痛等に。他にヨクイニン湯に配合されます。民間薬では、イボ取り、美肌に用います。また、抗腫瘍活性があり?苡仁+サルノコシカケ+桂枝茯苓丸が結構効果があることがあります。
ジュズダマの果実は川穀(センコク)といい、ヨクイニンの代用薬として、根は川穀根といい、リウマチ、神経痛、肩こりに民間薬で用います。
ハトムギから、成分として、脂肪酸、油脂(脂肪油)、多糖(coixan類、CA-1,2)、ステロイドの脂肪酸エステルなどの報告があります。薬理作用では、アセトンエキスに抗腫瘍作用、多糖のcoixan類に血糖降下作用が解明させています。更にCA-1,2に抗補体作用があることが分かっています。意外に脂肪酸にも薬効があるのではと考えられます。
植物の成分で、何々に機能・効果が有る等とテレビ等で言われますが、分かっているのは、ほんの一握り(10%位)でしょうか。自然界のことは分からないことが沢山ありますが、偉い人は全て分かっているかのように話されます。
皆さんは、自分にあった機能性食品と食品を摂取して下さい。人の遺伝子は各人違いますので“私が良いから、あなたも良い”と強制しないようにされた方が良いでしょう。「私に良かったから、あなたも試してみませんか?」と紹介して下さい。それで試されて、良ければ続け、あわなければ止めて下さい。
少し乾燥してきましたが、食欲の秋にようやくなりそうです。胃腸を調え、免疫力をアップし、風邪を引かない冬をお迎え下さい。花粉症の方は、緑の葉物野菜が少なくなる12月ごろから、なるべく葉物野菜を沢山食べると、花粉症が軽減する可能性がありますので、鍋等で、緑の葉物野菜を多めに食べ、お試し下さい。皆さまの益々のご健康をお祈りいたします。
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