三里木区 たわらや酒店 宇野功一
(145)おめでとう!「泰斗(たいと)」
純米吟醸蔵マスター2018 金賞受賞
◆おめでとう、熊本の銘酒「泰斗」
「泰斗」については、過去に紹介しましたので、詳細は省きます。熊本限定の地酒で、製造元は山鹿市の千代の園酒造で、1995年の発売以来、23年が経過した現在では熊本を代表する品質のよい地酒として評価されています。
このたび、嬉しいニュースが舞い込んできましたので、それをご紹介するとともに、千代の園酒造の歴史をご紹介したいと思います。
昨年からフランス人トップソムリエ58名による日本酒コンクールが始まり、審査委員長はホテルクリオンのシェフソムリエのグザビエ・チュイザ氏。ソムリエでありながらシェフである彼は、常に食事の中の日本酒を意識して品質を厳しく見極めると言われています。第2回目の今年、全国の銘酒650銘柄の中から、熊本の「泰斗」純米吟醸酒が、見事、金賞を受賞することになりました。飲み飽きのこない、香味のバランスがとれた食中酒として、フランスの一流のソムリエたちから高く評価されました。たいへん喜ばしいことです。
◆銘酒は一年にしてならず
山鹿が今以上に栄えていた時代、「泰斗」醸造元・千代の園酒造は産声を上げました。創業は明治29年(1896年)。菊池平野で収穫する肥後米はいったん山鹿で集積され、遠く大阪へ海路または陸路で運ばれました。当時、熊本米の価格が全国の米相場を動かすほど力があり、山鹿の穀物商・本田家(蔵元)も米から酒に加工をと思いつき、酒蔵を始めました。
昭和9年、初代・喜久八が他界し、2代目当主・本田勝太郎(現会長の父)が就任しています。戦前の品評会は隔年の開催。第12回大会(昭和5年)から第16回大会(昭和13年)にかけて4度の優等賞を受賞しました。もし、喜久八が吟醸酒を作っていたならば、間違いなく第14回大会(昭和9年)も優等賞を受賞したでしょう。連続3回優等賞を受賞した時は、その栄誉をたたえ「名誉賞」となりました。第14回大会が悔やまれます。
第16回大会(昭和13年)を最後に、戦前に品評会は開催されていません。戦後、純米酒の普及、吟醸酒の市販化と、未来志向・品質志向の日本酒を醸造してきた千代の園酒造。100余年の研鑽を積み重ねた結果が、フランスのソムリエたちを酒質で魅了したのだと思います。銘酒は一年にして生まれるものではありません。しっかりした長年の研鑽の礎に生まれるのです。ですから、皆さまに広く、日本の伝統や文化が育んだ日本酒を飲んでもらいたいのです。
晩秋のこの時期、熊本の地酒「泰斗」を飲んでみませんか? 「泰斗」は、世界に誇れる熊本の地酒です。Sante=仏語サンテ=乾杯。
【泰斗 純米吟醸】
原料米 熊本県産山田錦
精米歩合 55%
日本酒度 +5.0
酸 度 1.5ml 度 数 16.5%
酵 母 熊本酵母
価 格 1800ml / 3000円(税別)
720ml / 1500円(税別)
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