三里木区 たわらや酒店 宇野功一
(144)グリーン車と大吟醸
グリーン車ってご存じでしょうか? 全国のJRの路線の中で、幹線を走る特急列車には必ず連結されている優等車両のことです。東海道新幹線には編成の中央に2両連結されています。
グリーン車特急料金は、通常の特急料金よりも割高ですが、シートピッチが広く、附帯するサービスもぜいたくです。通路はじゅうたんが張られ、車内空間もかなりリッチな感じがします。1969年(昭和44年)以前は、グリーン車よりももっとぜいたくな車両が存在していました。1等車、2等車、3等車と分かれていました。
1等車⇒「イ」 車体帯の色「白」
2等車⇒「ロ」 車体帯の色「青」
3等車⇒「ハ」 車体帯の色「赤」
1等車からイロハ…の順番でした。1等車はグリーン車以上にぜいたくな内装になっていたようです。今のグリーン車は実は、昔の2等車です。車体番号に「ロ」の字が表記されているものがグリーン車です。「ハ」の字が標記されているのが普通車です。余談ですが、JR九州が運行しているクルーズトレイン「ななつ星」は「イ」車で、久々に1等車が復活したことになります。
◆日本酒のグリーン車「大吟醸」
焼酎と違い日本酒には等級が存在します。平成4年まで日本酒には「特級」「一級」「二級」と級別がありました。現在、級別制度は廃止になり、代わって日本酒の品質によって酒を選ぶ時代になりました。
「普通酒」「本醸造」「純米酒」「(純米)吟醸酒」「(純米)大吟醸」のように、使用するお米の原料をどれだけ磨く(精白)するかでランクが分かれます。「本醸造」や「純米酒」は精米歩合70%以下、「吟醸」は60%以下、「大吟醸」は50%以下です。原料米を磨けば、このような特定名称を表示できるのです。が、ここで問題なのが、会社(蔵元)によって、基準が違うということです。
真摯(しんし)な蔵元ならば、お米を精米した上で、出来上がった酒の香味が、その特定名称にかなったものになっているかどうかで判断します。しかし、悪徳とまでは言いませんが、あまり良心的でない蔵元は、お米を磨いたということで、特定名称を標記します。
弊店にこんな声がよく来ます。
「あのお店で、お手頃価格で大吟醸があったので買ったのだが、美味しくなかった…」大吟醸の標記も自主基準。蔵元の良心で表示が決まります。開栓しないと香味が分かりませんので、良心的な蔵元のお酒を、選んでくれるかどうかは酒屋の腕の見せどころです。弊店にはお手頃価格でグリーン車クラスの酒があります。
10月1日は、日本酒の日でした。これから熟成したお酒が美味しくなる季節を迎えます。あなたにお好みの日本酒をお見立ていたします。 |