矢原正治
(126)ナンバンギセル ハマウツボ科
秋の七草の薄(ススキ)の下(地際)に、キセルのような形をしたピンクの寄生植物を見つける季節です。ナンバンギセルはススキ、サトウキビ、ミョウガ、ギボウシ等に寄生する1年草です。万葉集では「おもいぐさ」と呼ばれ、全国に自生しています。全草を乾燥し、煎じて強壮、咽の痛み等に用いるようです。
「ナンバンギセル」の『キセル』といっても知らない人が多いと思います。刻みタバコを吸う時に用いる道具です。写真のピンクの部分に刻みタバコを入れ、火を付け、白く長い茎の端から吸います。タバコは身体に良くない、タバコの煙も周りの人に良くない、タバコの煙・成分は空気より重たいので、床に溜まり、家では赤ちゃんなどに悪い影響を与えます。喫煙者の呼気からもタバコの成分がたくさん出ますので、小さな子どもたちには悪い影響を与えます。気を付けましょう(だいぶ話の方向が変わってすみません)。
「秋の七草」は、花を愛でるものですが、薬用植物ですので、その説明をしておきます。
◆ハギ(ヤマハギ){萩・マメ科}
女性のめまい、のぼせに。
◆オバナ(ススキ){芒または薄・イネ科}
根茎を利尿薬に。
◆クズ {葛・マメ科}
根を葛根湯に、花(乾燥)を二日酔いに。風邪にくず湯[くず粉小さじ1杯をカップ一杯の熱湯に溶かし、透明になるまでよくかき混ぜ、 好みで砂糖とおろしシュウガを加えたものを飲む]
◆ナデシコ(カワラナデシコ){撫子・ナデシコ科}
1日あたり、種子3〜6gを水150gで1/2量まで煎じ、3回に分けて服用。むくみ時の利尿に。
◆オミナエシ {女郎花・オミナエシ科}
乾燥した根2gと、芍薬(シャクヤクの乾燥した根)8gを水400tから1/2まで煎じて1日3回服用。腫れもの、解毒、利尿に。
◆フジバカマ {藤袴・キク科}
乾燥した全草を300〜500g細かく刻み袋に入れ、風呂に入れる(皮膚のかゆみに)。乾かすと香りが出る。線香の原料にします。京都の線香専門店の前には鉢植えが置いてあります。川尻町でアサギマダラとフジバカマで「旅する蝶」としていろんなイベントが企画されています。
◆キキョウ {桔梗・キキョウ科}
咽が痛むとき、キキョウの根2gと甘草3gを煎じて飲む。痛む化膿性の腫れものに桔梗1g、芍薬3g、枳実3gを粉にし、これの2〜3gを卵の黄身1個に加え、良くかき混ぜて、白湯で飲む。夏バテに、風邪に十分注意してください。 |