三里木区 たわらや酒店 宇野功一
(126)地酒途中下車
沖縄都市モノレール ゆいレール 小禄駅下車
君知るや、銘酒泡盛「春雨」
2月3日は節分、4日は立春。春はそこまで来ています。今回は、泡盛の森伊蔵と評される「春雨」のことを書きたいと思います。
◆今、琉球泡盛の幻の酒が甦った希望と恵の酒「春雨」
20年の時を越えて、琉球泡盛の幻の銘酒として名を馳せた「春雨」が今、甦った。
春雨の創業は戦後間もない昭和21年。酒蔵は那覇市小禄にある。現在はすっかり住宅地になってしまったが、酒蔵が生まれたころは辺り一面焼け野原であったという。戦後間もないことであり、物資が少ないころにできただけに、素朴な感じの木造の蔵で、赤茶けたレンガ屋根に漆喰のスタイルはいかにも琉球をほうふつさせる眺めだ。酒蔵は道路沿いに面しているが、一段下がったところにひっそりとたたずんでいるため、案外酒蔵とは気が付かず通り過ぎてしまう。
酒名は創業当時の蔵元が願った思いが付けられている。「春」は希望を意味して、「雨」は恵みを意味している。昭和50年に開催された沖縄国際海洋博覧会の際に、当時の皇太子さま(今上天皇)に献上された泡盛は実は「春雨」宮里酒造所の泡盛であった。公には公開されていないが事実である。しかし30年前に小売業を止め、他のメーカーや、酒造共同組合への桶売販売のみの酒造りに変わり、単独で「春雨」の泡盛を口にすることはできなくなった。幻の銘酒になってしまった。本来、宮里一族は泡盛を醸(かも)す杜氏・職人として天才的な技術を持ち、各蔵元の泡盛製造技術向上に大いに貢献していた泡盛業界の名門である。それが、平成9年(1997年)に「春雨」の味わいを忘れられないファンからの強力で熱い要望によって「春雨」の泡盛が一般に販売されるようになったのだ。だから、甦った幻の酒と評されるのだ。
◆花が咲くように醸す・春雨
2代目・宮里武秀さんは「こだわりとは経験だけ」と語った。現在は、酒造りは三代目・宮里 徹さんに引き継がれているが、泡盛づくりの経験をデータ化して、伝統的な製法で泡盛を醸しつつ、最高の状態で熟成酒を造る。三代目は、「寝かせたからクースー(古酒)いうのではない。5年、8年、10年、15年と飲む時に蕾をつけるように泡盛を仕込む。花が咲く時に飲んでもらうような泡盛づくりが『春雨』の泡盛だ」と。
◆この酒に惚れた
「春雨ゴールド」は、クースーのような熟成感のある味わいを、気軽に楽しんでもらいたいというコンセプトで誕生した泡盛です。熟成期間は約2年。クースーとは呼べませんが、まるく深みのある味わいは、まさにクースーそのもの。ナッツや果実を連想させる香りと、ほんのりとした甘味が印象的。宮里 徹さんが長年研究を重ねて完成させた「クースーのような気軽に飲める泡盛です」と。
立春大吉。泡盛の銘酒、「春雨」を飲んでみてはどうでしょうか。
原料米 タイ国 ィンディカ米
精米歩合 約90%
熟成期間 2年程度
飲み方 ロック、水割
度数 30.0%
価格 2760円(税込)1800ml |