弁護士 衛藤二男 緑ヶ丘区
(34)家族信託
今年の第1回目は「家族信託」という制度についてです。相続や遺言ということについては多くの方がご存知だと思いますが、「信託」「家族信託」という制度は、最近取り上げられて関心が持たれるようになりました。今回からできるだけ分かりやすくお話したいと思います。
◆そもそも「信託」とは何ぞや?
「信託」とは、ある人(委託者)が、契約や遺言により、自分の有する土地や金銭等の財産(信託財産)を自分の信頼できる人(受託者)に移転し、委託者の定めた信託の目的に従って信託の利益を受ける人(受益者)のために、受託者が信託財産を管理・処分等をするという制度です。
◆分かりやすい事例
Aさんは現在75歳。72歳の認知症の妻Bとの間には長女C(45歳)と長男D(42歳)がいる。Aさんには、収益不動産(賃貸マンション、年間賃料収入約500万円)がある。しかし、長男Dは無職・無収入で浪費癖があり、両親や姉に金の無心をすることがしばしばある。
Aさんは、認知症の妻Bの生活や、DがAさんの財産を相続してもすぐに浪費してしまうのではないか、また、自分の死後の相続でもトラブルを起こすのではないかと心配している。
Aさんの不安を解消する方法には何があるか。この事例を前提として、Aさんの取りうる方法について、遺言をした場合と信託を利用した場合で考えてみましょう。
●Aさんが遺言をする場合
Aさんは現在、認知症にもなっておらず、財産関係についても判断能力が十分あるので、自分の財産のことを慮(おもんぱか)って遺言することが考えられます。
遺言の方法にはいくつかありますが、最も確実な方法は公正証書による遺言をすることでです。公正証書遺言のやり方については別の機会に説明しますが、事例との関係でどのような内容の遺言にするかを次回から考えてみましょう。
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