三里木区 たわらや酒店 宇野功一
(125)地酒途中下車 東北本線蓮田駅
純米づくりの活性にごり酒 「神亀にごり酒」
◆純米酒一筋・神亀酒造
上野駅から東北本線・蓮田駅を降りる。都心から近く閑静な住宅地の中に神亀酒造はある。蔵の周りは欅などの高い樹木があり、住宅地の中の杜といった感じだ。
神亀酒造の創業は嘉永元年(1848年)。江戸時代末期。酒名は蔵の脇にある天神池に神の使いである亀がすんでいたという伝説から「神亀」と命名したという。
神亀酒造が現在、日本じゅうの酒ファンや蔵元から注目を集めるには理由がある。日本じゅうの蔵元が普通酒を造っていた昭和58(1983)年に普通酒の製造をきっぱりと止めた。さらに、昭和62(1987)年からは製造される清酒の全てを純米酒以上とし、酒造業界でも異端ぶりを発揮。そればかりではなく、基本的に新酒で出すのではなく、熟成させたうま味の乗った酒を発売した。業界ではまだまだ特級酒、一級酒、二級酒という普通酒が台頭していた時代であり、かなり異端児的な行動に見えたのでは。これが30年経った今では、日本じゅうの蔵が神亀の行ってきたことを、ようやく評価するようになってきた。時代が神亀の先駆的な行動を認める・理解するに至ったといえよう。また、純米酒と熟成酒の旨さ、すばらしさは多くの酒ファンを魅了してきた。「関東に神亀あり」という誉れは今や全国に波及。
◆ 大好評・日本酒のシャンパーン神亀 活性にごり酒
昨年暮れ、菊陽町内のあるところで日本酒の会を開催。そこで神亀・活性にごり酒を開けた。開栓までの約20分間の奮闘の様子をご紹介しよう。
@栓の虫ピンで穴を開ける
一升瓶についている虫ピンを使って栓のシールを取らないまま(取ったら一気に吹き出るのでやめてください)、1カ所を開ける。すると写真@のようにその小さな穴を目指して、酒が吹き出ようとする。わずか1mm程度の小さな穴。布巾と親指でしっかりと押さえる。物凄い圧力だ。活性にごり酒は、発酵中のもろみを粗い目の袋で濾し、そのまま瓶詰めし、完全に栓をした状態で出荷する。発酵が止まっていないため、瓶内で発酵が続く。
糖分はアルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)に分解され、炭酸ガスは瓶外に逃げることができないので自然に瓶内の圧力が上がる。栓を開けると、瓶内の加圧状態が1気圧になろうとして勢いよく噴出するのだ。
Aグラスに弾ける泡
格闘すること20分、ようやく落ち着いてきた。90ml程度は吹きこぼれた。上部にはまだまだ勢いよく炭酸ガスが発生している。写真Aでお分かりいただけると思う。
ようやくシールをはずして、グラスに注ぐことができる。弾ける泡は、まさに日本酒のシャンパーンといったところだ。熟成すること、瓶内で約2年。こなれた落ち着いた香味が心地良い。お肉料理からお魚料理まで万能の食中酒である。新春、日本酒のシャンパンで乾杯するのも乙なものでは〜。
【神亀 活性にごり酒】
1800ml 3600円(税別)
720ml 1800円(税別) |