たわらや酒店 三里木区 宇野功一
(120) 盛夏におススメ
天使の泡が魅力 スパーク・ドルチェ
■奥羽本線 十文字駅下車
東北の幹線といえば、東北本線と奥羽本線だ。奥羽本線は、福島から奥羽山脈に沿って、山形、秋田を経て日本海側から青森を目指す幹線。横手の手前の十文字駅で下車した。駅前には日の丸醸造鰍フビン詰め場がある。ここで ビン詰めされた日本酒は、国鉄時代、有蓋車(ワ)に積まれて北海道や東京へ、運ばれたという。
■春に咲くまんさくの花が酒名に
私に「まんさくの花」の旨さを教えてくれたのは、故福島譲二熊本県知事であった。故人は若い頃、税務署長として赴任した時に、日の丸醸造鰍フ蔵元にお世話になり、以来、彼は「まんさくの花」の応援団として、彼を知る方々に「まんさくの花」の旨さを伝えた。
先日、ひょんなことから「まんさくの花」を造る、日の丸醸造鰍訪ねることができた。迎えてくれたのは、佐藤譲治社長であった。酒づくりが終わり、静寂な蔵を案内してもらった。
佐藤譲治社長は、毎年毎年さまざまな酒づくりにチャレンジ。酒米を変えて香味の表現を探訪したり、日本最古といわれる麹菌を使った酒づくり等々。彼は言う「酒づくりは一年に一度だけ。うまい酒をこしらえるのに試したいことがいっぱいある」のだと。ようやく日本酒ブームの到来。これまでに、地道に取り組んできた佐藤の酒の表現がいよいよ試される下地ができたと語った。
■夏に美味しい! スパーク・ドルチェ
「夏酒」の種類には、低アルコールのライトタイプ、それとは逆に濃厚な日本酒で氷や水で割って飲むタイプなど様々あるが、最近の流行りは何といっても発泡性活性系の「スパークリングタイプ」。シャンパーンみたいに、シュワシュワッとした爽快感が夏にはたまらない。
そんなスパークリングタイプの日本酒で、私がイチオシの酒がある。「まんさくの花 スパーク・ドルチェ」だ。シャンパーンと同じく、ビンの中で2次醗酵をさせ、天使が囁くような、小さな泡を放つ酒に変身させるのだ。使用する酵母は、まんさくの花の酒蔵から分離した蔵付酵母だ。
日本酒度ー6と数値からすれば超甘口であるが、さっぱりとしたリンゴ酸系の酸味が絡み、バランスのよい酒に仕上げてある。シャンパーングラスに注ぎ、泡まで楽しんでもらいたい。
いつの間にか、ボトルが空いてしまう。盛夏の夜、ドルチェはいかがでしょう。
まんさくの花 純米吟醸生酒 スパーク・ドルチェ(日の丸醸造梶@秋田県横手市)
酒米:兵庫県山田錦と秋田県産美山錦
精白歩合:50% 日本酒度 −6 酸度1.5 720ml 1,700円
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