(5) 緑ヶ丘区 弁護士 後藤二男
任意後見契約
前回は、任意後見契約には3つの契約形態があることをお話ししましたので、今回は、この3つの契約形態についてお話ししましょう。
1.将来型」の任意後見契約
これは任意後見契約を締結するときに、財産管理や自己の生活、療養看護についてすぐに後見的な支援を必要とする状態ではなく、将来の判断能力の減退に備えるためにとられる契約形態です。
2.「即効型」の任意後見契約
これは、契約を締結する判断能力はあるが、本人の健康状態如何によっては判断能力に支障が生ずるおそれがある場合に、すぐにでも任意後見監督人選任の申立てを家庭裁判所へすることにより、速やかに任意後見人としての支援を開始して貰う契約で、財産管理や療養看護の必要性・緊急性が高い場合などに利用されます。
3.「移行型」の任意後見契約
これは、判断能力が減退した時に備えての任意後見契約と共に、財産管理や療養看護などに関する委任契約を同時に締結しておき、契約締結の時から、委任契約の受任者に財産管理などに関する事務を委任しておき、自己の判断能力が減退した時には任意後見監督人選任の申立をして貰い、以後は任意後見人として支援して貰うものです。この形態では、判断能力があるうちは通常の委任契約に基づいて、判断能力の低下後は任意後見契約に基づいて財産管理などの支援を受けることになります。
このように任意後見契約は、自己の判断能力があるときに、将来の不測の事態に備えて、あらかじめ任意に後見人となる人を選定しておき、その人に判断能力が低下したときに後見監督人選任の申立をしてもらい、任意後見監督人が選任された時から効力が生ずるというものです。判断能力の減退・低下の程度、財産管理や療養看護の支援の必要性・緊急性等により、前記のように3つの形態があります。
この中でも、「移行型」といわれる任意後見契約については、実際上、いくつかの問題点が指摘されています。これについては、次回にお話ししましょう。 |