(22) 三里木区 たわらや酒店 宇野功一
昔の単位が息づく酒の世界 ◆むかしの単位 石・斗・升・合・勺
問題「一升瓶の容量は?」
答え「一升瓶の容量は1800ml(1800cc=1.8?)」です。正確には1升は1803.9mlです。
日本酒や焼酎は今でも「升」や「合」「勺」の単位が生きています。居酒屋さんで「とっくり1合・400円」とか書いてあるのを目にしますね。
1石=10斗=100升=1000合 =10000勺
つまり勺の10倍が1合であり、1合の10倍が1升であり、1升の10倍が1斗であり、1斗の10倍が1石なのです。
石・斗・升・合・勺は尺貫法の体積の単位なのです。この歴史は古く、奈良時代の大宝律令にこの単位が見られるそうです。およそ1300年間、この単位が息づいているのです。
尺貫法からメートル法に変わったのは1875年(明治8年)のことですが、その後も相変わらず尺貫法の単位が使われているのです。ビールやウイスキー、ワインはメートル法の単位が一般的ですが、日本酒や焼酎蔵で1年間に生産される酒の量は「石」の単位で言い表します。もちろん、生産量や販売量を税務署に報告する時は「?」の単位を使いますが・・・。だから「うちの蔵は年間生産量1000石です」と蔵元がいうのです。なんだか、江戸時代の武士の所得みたいでしょ。実際そうなんですから笑えますね。酒や焼酎の世界では尺貫法の単位が馴染み過ぎて、世界の標準単位になかなか馴れないのでしょう。
◆お米の1石、お酒の1石
江戸時代、大名や御家人たちの所得は「石」で表わされました。熊本(細川)藩は54万石でした。さて、ここに出てきた「石」は米の量です。米の1石とは、大人が1年間におよそ消費する米の量です。ご存知でしたか?江戸時代の生活は現代人と同じく「朝、昼、晩」の3回食でした。1回におよそ1合の米を食べていました。1日に3合食べていたので、1年間では3合/1日×365日 =1095合。米は約7合で1sなので1095合は156sとなります。米俵2.5俵で1石になります。
お米からお酒が造られることはご存知ですね。1石(約150s)の米でどれぐらいのお酒が造れるでしょうか?日本酒を造るのは、食べる米よりもっともっと米を磨きました。米の芯に近い部分で造る方が美味しい酒になることを経験で知っていました。現在は精米機という便利な機械がありますが、ついこの間まで、水車を利用したり、足込みで精米して酒の原料としていました。玄米を100%としますと、米糠を35%出すと、白米は65%になります。この白米で酒を仕込みますと、一升瓶でおよそ100本、いわゆる1石の酒ができます。
米1升で酒1升、米1石で酒1石ができるというわけです。
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