矢原正治 F


1035号 2022年6月12日

(181)アボカド クスノキ科

   

 今月は、アボカドにします。中南米の原産で、メキシコから多くが輸入されています。現在は、熊本県でも「津奈木町、戸馳島など」で生産できるようになり、国産も売られています。アボカドの果肉は、「森のバター」とも呼ばれ脂肪分が多く、非常に栄養価が高いと言われています。32年前、ブラジルで30m位の大きな木に、沢山の実がなっていたので感動しました。
 アボカドの脂質に含まれる脂肪酸はオレイン酸が主で、オレイン酸は、高コレステロール、高エネルギーの食事が原因で過剰に増える、悪玉(LDL)コレステロールを抑制する効果があると言われています。また、果肉には、ビタミンEや葉酸などのビタミン類や、カリウムや鉄などのミネラル類、植物繊維も豊富に含みます。アボカドの果肉は、高血圧や生活習慣病を予防する効果があると言われています。
 オレイン酸は、他にオリーブ油にも多く含まれ、血管の健康を保ち、生活習慣病を予防すると言われています。植物繊維も多いので便秘の解消にも良いようです。
アボカドは、脂肪が多いです。脂肪のエネルギーは1gで9Kcalです。食べ過ぎると「太る、ニキビが出る」可能性がありますので、一日50g位(1/2個位)と言われています。良いからといって食べ過ぎには注意しましょう。
 久しぶりに散髪をしに行きました。散髪屋さんの庭には毒草(スイセン、スズラン、クリスマスローズ、クワズイモなど)が多いので、明日にも抜こうかなと言われましたが、せっかく増やしたので、抜くのはかわいそう、綺麗な花を愛でてくださいと言っておきました。また、前の道の植え込みに、外来種で棘棘の「ナス科の金銀ナスビ(悪茄子)」が生えていました。早めに駆除した方が良いでしょう。身近には、花の綺麗な有毒植物が沢山あります(園芸店で売られている植物の1/3位は有毒植物)。口に入れ飲み込まなければ、ほとんどが触っても問題なく大丈夫で、皆さんの生活の中で共生してきた植物です。ただ、似たような有毒植物と食用植物を一緒に植えない方が良いと思います(誤食をする可能性があるので)。「ニラの葉とスイセンの葉」、「朝鮮朝顔(トランペットツリー)の根とゴボウの根」などの誤食は、近くに植えていて事故が起きています。
 また、「グロリオサの地下部による中毒は、ヤマノイモと間違えた誤食」で。おかしいと思ったモノは食べないでください。
 私たちが食べている、植物には、沢山の有毒植物があります。例えば、「大豆などの豆類、里芋、コンニャクなどのサトイモ科の仲間、ナス科のジャガイモなど、サツマイモ、ワラビ等々」、私がアレルギーで食べられないのが、ウルシ科の「マンゴー、生のカシュウナッツ」ですが、完熟マンゴー、よく加熱したカシュウナッツとマンゴージュースは飲食できます。前処理を「きちんと」して食べて下さい。有毒植物を怖がらず、楽しく、美味しく、前処理をして、食を楽しんでください。


1037号 2022年7月10日

(182)ダイコン アブラナ科

  

 今月の薬用植物は春の七草のスズシロ(蘿蔔)の『ダイコン』にしました。
  生野菜の水分含有量で、もっと多いのはキュウリで約98%、次が大根で約95%です。キュウリは、果実を、生食や漬物、加熱して食べますが、葉や蔓は食べません。しかし、ダイコンは、地上部も根の部分も、全部食用になり、干して保存食にもなる野菜です。
 ダイコンの根(肥大根)は剃り下ろすと特に辛くなります。これは細胞を壊すことによりカラシと同じ様な辛味の成分が酵素で分解して生成します。切るだけですと辛味はほとんど生成しませんし、熱をかけると「酵素」は失活(機能を失う)しますので、煮物にした時は、辛味はほとんど感じません。またダイコンの中には澱粉・多糖を分解する酵素(アミラーゼ(ジアスターゼ))が入っていますので、澱粉の消化を助けます。この酵素を見るにはダイコンおろしと納豆を混ぜると、糸が引かなくなるのを観察するのが良いですね。
 薬用では、大根(中国で「菜箙(らいふく)」)は、辛甘、涼。肺・胃に入り、積滞を消す、痰熱を化す、気を下す、中を寛やかにする、解毒する等の効果があり、消化を助け、咳・咽に痛みを抑え、痰を除く、イライラした気分を落ち着かせる等の作用が期待できます。種子(菜箙子(らいふくし))は、辛甘、平。肺・胃に入り、気を下ろし喘を定める、食滞を消す、痰を化す等の効果があり、咳・咽の痛みを抑え、痰を除く、消化を助ける等の作用が期待できます。葉(菜箙葉(らいふくよう))は、辛苦、平で、脾・胃に入り、食を消す、気を理する効能があります。
 また、阿蘇の民間療法では、ダイコンの干した葉を、浴剤として風呂に入れ、女性の冷えを予防するそうです。面白いのは、ダイコン葉の煮汁を産後の牛に飲ませると親牛の胎盤の排泄が促進され、産後の肥立ちが良いと今でも使っています。
 さらに干葉湯(ちばゆ)は、ダイコンの干した葉を浴剤として冬に冷えた身体を温めるのに用いる習慣が各地であるようです。ダイコンの干した葉を風呂に入れると何故温まるのかという問合せがありました。辛味の成分が皮膚吸収し、血管を拡張、血流量を上げる可能性があるからだと思います。しかし、沢山入れ過ぎると、皮膚が「ピリピリ」しますので、皮膚の弱い人は注意して下さい。アブラナ科植物は、辛味の成分のイソチオシアナート(イソチオシアネート)類を含みます。イソチオシアナート類は辛味受容体のTRPA1 agonistです。TRPA1は、わさびの辛味の受容体であり、17℃以下の冷温度域で痛み刺激を感じます。TRPA1を活性化させると、寒くなる(17℃以下の冷温度)と脳が判断し、身体を温め始めますので、暖かくなるとことが分かってきましたので、ダイコンの葉を浴湯に用いるのは理にかなっています。

 ダイコンの葉、ニンジンの葉は抗酸化力が大変強いので、無農薬の葉を小さく切り、チリメン雑魚&胡麻と一緒にフライパンで炒って、振り掛けにすると美味しいです。大根には多くの酵素が含まれています。 でんぷんを分解す「アミラーゼ(ジアスターゼ)」は食べ物の消化を助け、胸焼けや胃もたれ、二日酔いなどを防でくれます。他にも、タンパク質分解酵素である「プロテアーゼ」や「セテラーゼ」。 脂質分解酵素の「リパーゼ」、発がん物質を抑制する酵素の「オキシダーゼ」などが含まれています。生で、大根を上手く用いると、肉を柔らかくするなど、料理に巧く利用してください。


1039号 2022年8月14日

(183)ヨメナ キク科

   

 今月は、キク科のヨメナにしました。6〜9月に開花する野草です。
 ヨメナの葉は山菜として食用に、春先の若芽を摘んで用いますい。秋の蕾と花も食用となります。 天ぷら、おひたし、和え物、汁の具材、ヨメナご飯 などの料理があり、収穫した新芽を乾燥し、ポリ袋に入れ、冷蔵庫で保存するといつでも利用できます。薬用には、全草を、煎じて、民間薬として「解熱、解毒、止血、咽喉痛,痔」などに用います。
 ヨメナのラテン名は、 Kalimeris yommena で、属名の Kalimeris は、「星」の意味で、花が放射状をしているからとのこと。(現在の植物名ラテン名は、Aster yomena になっています。Asterも「星状体」を意味します)
 草原に行くと似たような植物をみます。例えば、ヨメナとチョウセンヨメナ( Aster koraiensis は、花の冠毛の長さが違うそうです。ヨメナ:0.5mm位、チョウセンヨメナ:1mm位で2倍ぐらいあります。なので、チョウセンヨメナの方が、花の中央がフサフサした感じです。花がないときは、葉の鋸歯の状態なので、見分けられます。なかなか難しいですね。
 今年は6月からの猛暑で成長がおかしい野菜、植物があります。8月に入り暑さも一層厳しくなました。夕立も増えてきます(ピカリ、ゴロゴロ)。3日に一回ぐらい夕立があると、植物君達は助かりますが、雨が降らないと、晴天が続くと水やりも大変です。植物の生命力にかけています。
 大津の借りている畑は、無農薬&有機農法です。畑の土壌の有機物(堆肥など)、無機物(リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、鉄 等々)が、どの程度か、解らないので、適当にやっているのが、いけないのでしょう。有機農法で用いて良い「安価な石灰」をご存知の方がありましたら、教えていただけませんか?
 先月の「大根」ですが、三大栄養素の、タンパク質を分解する酵素、脂質を分解する酵素、糖質を分解する酵素が含まれ、胃が弱る暑い夏、大根の酵素を巧く利用し消化を助け、胃を助け、夏バテを予防するのは如何ですか?
 新型コロナの BA.5変異株の感染の急増です。感染しないように『マスクをし、三密を避け、渋茶でうがい』をして予防しましょう。
 暑いからといって、冷たいものばかり飲食し、胃を弱らせ、夏バテをしないよう、たまには温かい鍋料理でも食べ、汗をかき、胃が元気で、蒸し暑い夏を、楽しくお過ごしください。熱中症予防には、水分の補給をし、サラサラの汗をかける身体と元気な胃腸を保ちましょう。


1041号 2022年9月11日

(184)サネブトナツメ クロウメモドキ科

   
サネブトナツメの花と、実堰B

 今月は、不眠の改善に用いる「サネブトナツメ」にします。サネブトナツメは、ナツメ(Ziziphus jujuba Mill.)の亜種に分類されています。種子から発芽した苗を分けて頂いて4年目、鉢から地植えして2年半、樹高が2mぐらいに伸びました。たまに強風が吹く中、添え木が無いと立っているのが厳しい状態で、昨年は花を咲かせ、今年初めて実を付けました。
 サネブトナツメの名前の由来は、果実の種(さね)が大きく(太い)ことからついたと言われています。
サネブトナツメは落葉広葉低木で、花を7〜8月につけます。葉の形はナツメに似ていますが、果実の長さは、サネブトナツメ:1cmほど、ナツメ:2cm位で、ナツメに比べ、果実は小さいですが、果実に対し核(さね)が大きく、果肉が大変薄いです。ナツメは果肉を薬用(大棗)と食用に、サネブトナツメは種子(仁)を薬用に用い、果肉を食用にします。
 サネブトナツメとナツメの果実の違いは、サネブトナツメの実(果肉)は酸味が強く酸っぱく、ナツメの実(果肉)は糖分が多く甘みがあります。
 サネブトナツメの中国名:酸棗(さんそう)で、薬用には種子を用い「酸棗仁(さんそうにん)」と言い、精神を鎮める、不安、動悸、不眠など心の虚を改善する漢方薬に処方されます。不眠に用いる漢方処方で(1)疲れているのに眠れない時に「酸棗仁湯(酸棗仁、 茯苓、センキュウ、知母、甘草)」を用います。他の不眠に用いる処方で、(2)興奮して眠れない人に「黄蓮解毒湯(黄蓮、黄檗、オウゴン、山梔子」、(3)慢性的に眠りが浅い人に「加味帰脾湯(人参、朮、茯苓、甘草、生姜、大棗、酸棗仁、竜眼、遠志、当帰、黄耆、木香、柴胡、山梔子)」を用いると良いと教えてもらいました。
 コロナ禍、ストレスで眠れない人が多い様です。どれに合うか症状を自分で診て処方を選び、まず3〜5日分ぐらいを薬局で購入し試してください。熟睡できれば良いですね。睡眠の基本は、『脳が考えるのを諦める(止める)』ことと、脳科学者が教えてくれました。
 私は、講義・講演・会議等で聞いている時、眠くなることがあります。話していることが面白くなく、興味を持てないから眠くなります。学生の時よく居眠りをしていました。(学生さんは授業料を払っていますので、寝ても良いのでは)ただ、国会、町議会の時に居眠りをしている議員さんは、脳が考えることを諦めているのでしょうか? やる気(考え&行動するエネルギー)が無いと思ったりして?
 9月に入っても、まだまだ暑い日が続きそうです。また新型コロナの感染者も余り減りそうにありません。少しでも良い睡眠が得られ、夏バテを少しでも解消し、疲労が少なくなりますことを祈願しています。


1043号 2022年10月9日

(185)ミソナオシ マメ科

 熊本市内に『味噌天神』があります。そこには、味噌の腐敗を抑えるとして笹(竹)が植えられています。また「味噌を直す」という意味で「ミソナオシ」という植物があります。
 マメ科のミソナオシは、一見、草に見えますが、低木です。原因は、1年目の樹高は30cm位、茎が緑色で、草のように見えるからですが、2年目の、樹皮が茶色に変わり1m弱の細い茎の木になります。7月終わりから花が咲き始め、9月になると種子が出来、横を歩くと、ズボンにペタリとくっ付き、くっ付き虫で種子を移動させます。中国では全草を「青酒缸(せいしゅこう)」、根を「青酒缸根」と呼び、生薬として用いられます。2013年(平成25)に、茎、葉に含有されるフラボノイド類に味噌に発生する白カビを抑制する効果があることが、徳島大学薬学部の研究で確認され、味噌の腐敗などを抑制する効果が科学的に明らかになっています。
 植物は自分が生きるために、抗菌、静菌など、微生物の増殖を抑制する効果を持っていますが、その強うさには強弱、特異性があります。昔は、食品の腐敗・食中毒防止に植物を用いていましたが、今はプラスチック製に代わったものが多くあります。例えば、弁当を買うと、容器、中に「緑色のギザギザ」があります。何かご存じですか?元は抗菌性のある「ハラン(バラン)」、植物の葉を用いていました。またナンテンの葉、竹の葉なども、ほとんどがプラスチック性になってしまいました。昔々は、「おにぎりに梅干し」周りを「タケノコの皮」で巻いて、腐敗を予防していました。
 プラスチック製品が安価、安全管理が安易になった今、プラスチック製品の利用が増え、ポイ捨て、自然界へのマイクロプラスチック公害が問題になっています。マイクロプラスチックは、地球を回り回って、私たち動物の肺、血液中に、人の体内にも入っていると言われています。いつ被害が出るのでしょうか?植物由来の製品は、自然に戻りますが、プラスチックは何百年も分解しません。コロナ禍、利用の増えているマスクもプラスチック、ポイ捨てをしないで、可燃物ゴミに。タバコのフィルターもプラスチック、灰皿に。
 ウイルスも怖いですが、プラスチック類のポイ捨ても、回り回って怖いことに。皆様の、特に若い人達の、ご健康をお祈りいたします。ストレスの少ない、人に余り迷惑をかけない、楽しい生活を、お送りください。『健康第一で』


1045号 2022年11月13日

(186)セイタカアワダチソウ キク科

  

 花粉症の原因植物として、厄介者扱いされていた植物ですが、虫媒花で花粉の飛散がほとんどないので、今はあまり問題にされていません。
 10年位前に、急に見なくなりましたが、ここ数年で増えてきました。さすがに繁殖力は旺盛ですね。19世紀の終わり頃(明治)、観賞用やミツバチの蜜源として北アメリカから日本に入り、戦後野生化し、日本中で繁茂しています。南阿蘇の草原でも、セイタカアワダチソウが、ススキを押し退けて、増えてきています。自然破壊にもつながりますので、駆除が必須ですが、なかなか厄介ですね。根こそぎ抜いていくしか方法はないのですが、50人で30分、草抜きをしましたが、10m四方ぐらいがやっとでした。
 悪いこととばかりではありません。
1)薬用:蕾の時の花穂を浴湯に、アトピー性皮膚炎が改善をすると、草原再生の草集めに行った時に、実際に利用している方がいると、教えてくれました。ヨーロッパでは、つぶした葉を、虫刺され、怪我の止血に外用で用いると。北アメリカ大陸先住民が生薬として、整腸、風邪、怪我の改善に民間薬で利用されていたようです。
2)食用:花&蕾を、食用に(白和物。ケーキ、パン、パウンドケーキ)
 セイタカアワダチソウのペーストを加えたパウンドケーキを焼いて12時間位後に食べると、絶品だそうです(作って、試してみてください)
3)染色:花を用いた染色(アルミを用いると黄色、鉄を用いると緑色)に。
4)茶に:花から作られるお茶は、下痢、痛み、発熱の改善する作用があると言われ、万能の植物かもと?
 こんなに良い利用法も多くあります。
<考え方を変えると(裏返すと)、悪いことも良いことに>
 自分がダメだと思っていることを、裏返しにすると、良いこと(目立つこと)になるかも?
 来年は、スギ花粉が多そうです。これからに季節、緑陽色野菜を、多めに食べると、花粉症が、ひどくならない可能性があります。お試し下さい。
 また、無農薬のみかん類の皮、またカラタチ、スダチ、ユズなどの未熟果実(なるべく果肉が小さい方が良い)を輪切りし、乾燥、お茶にして飲むと、少し改善するかも。お試しをください。
 マスク無しになると、インフルエンザと新型コロナに、ダブルで感染する可能性も大。唾液で抗ウイルスを、渋茶でウガイし予防、ストレスの多い毎日、巧くストレスを解消し、心身のバランスを普通に保たれ、少しでも楽しい生活、ご健康をお祈りいたします。


1047号 2022年12月11日

(187)ショウガ ショウガ科

 

 2007年3月11日(354号)に一度書きましたが、またショウガです。寒くなると、ショウガ(根茎部)を使う料理が多くなります。ショウガは冬の野菜、身体を温める効果、抗菌(静菌)の効果があり、料理には薬味(スパイス、香辛料)として利用します。新生姜は、清涼感があり辛味が弱く、また茎の付け根に赤色のアントシアンを含みます。古ショウガ(ひね生姜)は、辛味が強く、薬用はこれを用います。

 熊本の市場には、
新生姜:親生姜から出て育った生姜で親(種生姜)から扇状に発育した写真の色白の部分。種生姜は写真茶色の部分。 
古生姜(ひね生姜):新生姜を収穫して洗わず、泥がついたまま貯蔵庫に保管し少しずつ出荷して、段々水分が抜けて皮が変色します。数か月すると茶色になり、水分が抜けて辛みが増してきます。
 新生姜は、辛味よりも香りを大事にし、古生姜は、調理に、魚及び肉の臭味消し等の目的で使います。新生姜の、出来が良い物を「種ショウガ」として取っておきます。
 ショウガは、薬用として3種類の使い分けをします。
ヒネ生姜(生のショウガで):体の中を温めるよりも、発汗作用が強い。また吐き気がある時は、必ず生で用います。
乾燥したショウガ(生姜(ショウキョウ)、乾生姜)(ショウガを乾かしたもの):発汗よりも体内を温める力が強いです。
乾姜(カンキョウ、ショウガを蒸して乾燥):体内を温める力が大変強いです。
 
生のショウガには、辛味で発汗作用の強い「ジンゲロール」が多く、加熱すると成分が変化し「ショウガオール」が増え、身体の中心を温める力が強くなります。

<身体の中心を温める効果のショウガを作り、保存、利用>
ショウガをすりおろす。
すりおろしたショウガを、ドンブリ等に入れ、ラップをし、電子レンジで加熱。
かき混ぜて加熱を3回位繰り返す。
冷やし、容器に入れ、保存する。
必要な時に、すりおろし加熱したショウガを用いる。

 寒い時は、鍋に野菜類を沢山入れ、薄味で、沢山食べましょう。緑黄色野菜には、緑の葉緑素に「マグネシウム」を含みます。マグネシウムは、便通を良くします。また、植物繊維も多く、イモ類(サツマイモ等)にも植物繊維が多いので、腸内環境を整います。
 年末年始、暴飲暴食は避け、胃腸・肝臓を労わり、大腸の腸内細菌群(腸内フローラ)を良くし、ストレスの少ない日々をお過ごしください。皆さん、来年は、少しでも良い年になりますように!


1049号 2023年1月15日

(188)野菜「サツマイモ」 ヒルガオ科

 年末年始はいかがお過ごしですか?野菜不足?健康には野菜を350g/日、摂取と、サツマイモ料理を一日一食食べれば、少しの野菜を食べるだけで、十分に野菜の摂取量が可能になり、ダイエット、腸内細菌フローラも良くなり、免疫アップです。焼き芋がブームです。昔はリヤカーを引きながら「石焼き芋〜〜」の声が聞こえていましたが、今はいろんな店で売っていますし、肥後大津駅前に自動販売機まであります。
 35年ぐらい前まで、大津町にサツマイモを原料としたアルコール工場もありました。昔のように菊陽&大津の大地でサツマイモを沢山栽培すると、熊本市内の地下水の窒素濃度が下がります。またIT工場ができると地下水がどう変わるのでしょうか??
 サツマイモの別名、唐薯(藷、芋)、甘薯、蕃薯、琉球薯などといいます。中国から、琉球国(沖縄)を経て伝わりました。短日植物で、日の長さが約11時間以下にならないと開花しません。 たまに熊本などでも開花しますが結実は難しいです。原産地は南アメリカ。食用にするのは塊根(肥大根)です。ちなみにジャガイモは塊茎を食べます。サツマイモは10℃以下になると腐敗を起こします。しかし、10℃前後で冬を越したサツマイモは糖度が増し美味しくなります。これは、低温で保存すると、細胞内の浸透圧を高めるために、酵素がデンプンを分解し、甘い麦芽糖、ブドウ糖が増加するためです。サツマイモはひと冬越したものが甘くて美味くなります。また、女性の大好きな石焼き芋は甘い焼き芋を食べるのに大変理に適った温度(70℃ぐらい)で焼くからです。これはデンプンを分解し、麦芽糖にする酵素の働きを十分に引きだすのに良い温度です。ちなみに電子レンジで焼き芋を作ると、早くできますが、酵素がすぐ死んでしまい、余り甘く無いです。(糖尿病の方には良いかも)
 サツマイモはイモだけでなく、葉、葉柄も食用、薬用にします。サツマイモには、いろんな品種があり、甘味の少ない品種は、ジャガイモの代わりの料理にも利用できます(お試しください)。しかし、サツマイモは暖かいところでしか栽培できないのですが、近頃、北海道でも栽培できるようです。繊維質が多く、さらに、大腸を刺激し便秘を改善する成分も含みます。
  薬用では紅薯(コウショ)と言い、塊根:胃・十二指腸潰瘍の出血、茎:子宮出血,急性胃腸炎、葉:夜盲症、便秘などに用いられると中国本草図鑑などに記されている。更に、紫サツマイモのアントシアン、黄色サツマイモのカロチノイド、葉のクロロゲン酸誘導体などが注目されています。茎葉の効果:整腸、がん予防、美容・美肌、抗糖尿病、高血圧改善、抗酸化、メラニン生成抑制、アルツハイマー予防など。
 痩せた土地でも、栽培・収穫でき、芋、葉、茎など全て食用に、食糧危機を救うサツマイモを上手く利用。屁は臭く無く、太らない、免疫力アップ、腸内フローラを改善などなど、『最強のスーパーフードサツマイモ」を食べて、家の中や外で運動をしカロリーを消費、筋力アップで、2023年も健康で楽しい一年をお過ごしください。


1051号 2023年2月12日

(189)トウモロコシ イネ科

 トウモロコシの実は偶数個、毛(雌蕊【しずい】)も同じ数。トウモロコシデンプンは、いろんな粉に利用されています。××粉を購入するときに、裏の原材料名を見てみてください。例えば、餅とり粉は、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)です。スイートコーンの実を食べた後の芯を輪切りし、茹でると甘いスープができます。お試し下さい。
 中央アメリカから南アメリカ北部原産。世界各地で食糧や家畜用飼料、アルコール原料などを目的に栽培されている一年生草本植物です。日本へはポルトガル人によって安土桃山時代の天正7年(1579)に渡来したと言われています。しかし農作物としての本格的な栽培は、明治時代に入ってから北海道で始まりました。
 和名のトウモロコシは唐モロコシの意味があります。当時は唐(中国大陸)から新しい文化を取り入れ、また多くの産物を輸入していたため、例えポルトガルを経て渡来したとしても、外国より渡来したものに唐と名づけることも珍しくはありませんでした。
 トウモロコシの収穫期に、雌花の長いひげ状の花柱(かちゅう)を採取して、日干しにして乾燥します。これを生薬で南蛮毛(なんばんもう)、玉蜀きずい(ぎょくしょくきずい)と言います。
 薬効は利尿(りにょう)、腎機能の改善、むくみ、黄疸(おうだん)、肝炎、胆のう炎、胆石、糖尿病などで、薬理試験でもすぐれた利尿作用、血圧降下、末梢(まっしょう)血管拡張作用があります。毒性の少ない安全な利尿剤ですから連続して服用しても副作用は少なく、妊娠時のむくみにも効果的に用いられています。
 また、緩下(かんげ)作用も少しあり便秘にも効果があるので、お茶の代用として常時用います。
 ポップコーンを作るときに油をタップリ使います。もし油が気になる方は、よく洗って何度か焼いた砂を中華鍋に入れて、ポップコーンを作ってみて下さい。これはインド式ポップコーン作りです。砂を除くのは料理用のザルを用いると、砂と分けることができます。しかし、自然の地球の味が少ししますが、塩を加えるだけで、油は使いませんので、健康的で良いかも?阿蘇のトウキビの種子を用いても、ポップコーンはできます。

<料理>私の友人のHPより:
スイートコーンの実をおろし金で擦り,好みによって裏漉しして皮などを取り除きますが,これに牛乳を加えて塩とコショウで味を調えたコーンスープを、お試しください。(スイートコーンの芯も、甘みがありますので、上手く使ってください)。

 皆様のご健康をお祈りします。