矢原正治 D


850号 2017年4月9日

(121)ハコベ ナデシコ科

 ハコベは日本全土に分布し、平地に生え、春から秋に枝先に白い花をつけます。ハコベは小鳥の餌や春の七草の一つとして親しまれています。平安時代から食用の記録が『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』に、野菜(当時は文字どおりの野の菜)の一つとして、波久倍良(はくべら)の名があるようです。鎌倉時代では宮中で七種菜(ななくさのな)に??ら(はこべら)の名があります。ハコベの語源は 「はびこる→はこびる→はこべら→はこべ」に変化したと考えられています。
 平安時代もハコベ汁等として食べられていたようです。また、干した粉と塩を混ぜた「ハコベ塩」は歯磨きに使用したようです。民間薬では歯茎の出血を予防する目的で用いられています。さらに、関節炎、リウマチ、便秘の改善、膀胱炎、虚弱体質の改善に用いられます。また、最近の研究で葉緑素の抗菌作用による歯槽膿漏の予防、さらにコレステロールの抑制、高血圧予防、胃腸粘膜の保護などが報告されています。
 春の七草「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」と言える人も多いと思います。

・ハコベ(ヒヨコ草):歯茎の出血
・セリ:健胃・整腸
・ナズナ(ペンペン草):目の充血・利尿
・ゴギョウ(ハハコグサ):咳・痰等
・ホトケノザ(コオニタビラコ):解熱・解毒・潰瘍
・スズナ(カブ):利尿・便秘
・スズシロ(ダイコン):健胃・せき止め・冷え性

 

 このような効果があります。セリ、カブ、ダイコンは普通の野菜として食べられています。

 皆様の周りには食べられる草がたくさんあります。巧く使って下さい。野菜は全ての部分が食べられますが、機能性成分を多く含む外葉、皮、根、芯の部分を「硬い、汚れている、虫が食っている」等の理由で廃棄しているのはもったいないですね。例えば、米は、タンパク質、ミネラル、ビタミン等の機能性成分を多く含む糠(ぬか)を取り除いて廃棄し、デンプンが主の白米を私たちは食べています。これが糖尿病の原因になっているのかもしれません。しかしタンパク質、ミネラル、ビタミンは独特の味がありますので、味覚を重視するとおいしくないと言われることもあります。
 私たちは何を重視するのでしょうか?  
 身体は何を欲するのでしょうか??


854号 2017年5月14日

(122)ゲッケイジュ クスノキ科

 連休はいかがでしたか? ひばりヶ丘公園の北西の入り口(散髪屋さんの横)で、ゲッケイジュ(月桂樹)の雌木を見つけ、四月下旬に花を撮影しました。
 ゲッケイジュの枝葉は、マラソンなどの優勝者に冠で与えるので有名です。ローリエ(フランス語)、ローレル(英語)、月桂樹(日本語)と各国で呼び方は違いますが、地中海原産の常緑樹で、語源はラテン語のLadis(誉めたたえる)からきたと言われています。
 ローリエの葉には甘い香りと苦みがあり、肉や魚の臭い消しや料理の香り付けに、カレー、シチューなどに用いられます。生葉はスッキリした香りと少しの苦みが、乾燥葉は甘い香りが強いのが特徴で、うまく使い分けて料理に用いてください。香りの成分は、シネオール、オイゲノール等で、精油成分から月桂油が得られます。
 薬用では、乾燥葉を煎じて、リウマチ、神経痛に用います。また芳香性苦味薬として葉の粉末を1回1g、1日3回服用します。秋には黒い実ができますが、熟した果実を乾燥したものも苦味健胃薬として用います。
 ギリシャ時代からゲッケイジュは薬用として用いられ、ギリシャ時代のディオスコリデスが書いた薬物誌「マテリア・メディカ」に、葉の煎じ液で坐浴(ざよく)をすると、子宮や膀胱の痛みに効果があると記されています。また、ゲッケイジュの根皮2gくらいを芳香のあるブドウ酒と共に服用すると、胆石を溶かして肝臓病に効き目があると記されています。 
 聖書にはいろんな薬用植物が記されています。最も多く出てくるのが「ブドウ」で、ブドウ酒になりますね。ゲッケイジュ、オリーブ、アンズなども出てきます。日本では、これからウメ、アンズの実が熟れます。うまく利用して下さい。
 家の庭のサクランボの実は熟れる前にヒヨドリに食べられてしまいました。ウメ、ビワが5月末には収穫時期かなと思っています。トキワマンサク、フジは花が終わり、甘茶、テッセンの蕾がだいぶ大きくなっています。ユウスゲの葉も伸びました。ハナシノブの花が咲きだしました。ハナシノブ地上部をお茶にして飲むと脂肪の吸収を抑えてくれることが分かっています。栽培も多くなりました。これを利用してお茶を作って飲んでみませんか?お試しください。
 八十八夜も過ぎ、新茶の美味しい季節です。最近では、カフェインが悪者にされていますが、お茶は身体に良いので、飲む、食べるなど、うまく利用して健康を保って下さい。


858号 2017年6月11日

(123)メグスリノキ カエデ科

 メグスリノキは細川藩の秘薬として知られ、眼に良いと言われています。眼の疲労、かすみ目、結膜炎、白内障、緑内障、肝機能改善などに良いとされていますが、いかがでしょうか? 使用部位は、枝葉、樹皮を用います。花粉症にも良いという話もありますので、試して、調子が良ければご利用下さい。

 

 メグスリノキの果実の写真(左)は、菊陽町沖野の知人の家で撮影させてもらいました。大きさは10cmくらいです。雌雄異株で、秋には赤く紅葉します。来年は4月初めに雌花を見たいですね。写真を撮影しに伺った折、ホウノキ(写真右)が咲いていましたので、頂いてきました。ホウノキは1日花ですが、蕾が開きかけでしたので玄関先でホッとする甘い香りが漂っていました。
 庭のビワが熟れてきました、ヒヨドリが狙っています。サクランボは全部食べられたので、ビワはヒヨドリと競争しながら収穫しようと思っています。

 薬局で売っている薬、漢方薬も同じですが、健康食品、民間薬などは、一週間試してみて、改善されれば続け、おかしい時は止めて下さい。普通は3日くらいで変化が現れます。人により効果が違いますので、飲み過ぎ等も含めご注意下さい。また、いろんな健康食品を合わせて飲まないようにして下さい。
 飲食して、吸収された成分のうち、利用しなかった化合物は、肝臓が解毒するので、取り過ぎると肝臓にたまり、急に肝機能が働かなくなることもあります。肝臓は摂取する食品の成分、添加物、アルコール、薬、等々の解毒を毎日行っています。それに加えて、いろんな健康食品の成分が加わると、肝臓も働くのが嫌になり弱ってきます。肝機能は70%くらいがダメージを受けないと症状が出ないとも言われているので、肝機能障害を起こさないようにご自愛下さい。

 花粉の飛散が少なくなりましたが、それでも鼻水が出る人もいます。PM2.5等による眼の痒み、鼻水が止まる「ハチャメチャ菊茶」(菊花、イグサ粉末、ミカン粉末)を試してみませんか?

 


862号 2017年7月9日

(124)ハルウコン ショウガ科

     

 ウコン、ハルウコン等の名前が知られています。一般に栽培され、酒毒に良いといわれるウコンは秋に花を咲かせますが、ハルウコンは5月〜6月の春に花をつけます。ウコンは、葉の中に花を咲かせますが、ハルウコンは葉とは別に花が出てきます。薬用として用いるのは、根茎・塊根で、ウコンよりも淡い黄色で、清涼感の強い香りがします。
 ウコン(アキウコン)は食用、消化促進に。ガジュツ(紫ウコン)は芳香性健胃薬として用いられていて、ハルウコンはその中間ですが、ウコンとハルウコンを混同してしまっている人も少なくありません。しかし、これらは成分的に異なりますので、家庭栽培のものを使用する場合には、まずどちらかを判別することが必要です。簡単な方法は、花の咲く時期や根茎の切断面を確認する方法です。根茎を折ってみて淡い黄色いものはハルウコンです。黄色色素クルクミノイドはウコンが最も多く、ハルウコンの約10倍量を含有しています。一方、ガジュツには含まれず、紫ウコンと言います。
 ハルウコンは、薬用としては、健胃、消化促進などです。生薬名をキョウオウ(姜黄)といいます。ただ、中国から輸入したウコン(鬱金)は、ハルウコンの根茎で、キョウオウがウコンの根茎の可能性があります。日本・中国での相違がありますので間違えないようにして下さい。また、中国ではウコン・ハルウコンの1年目の根茎をキョウオウ、塊根(2年目以降の根茎)をウコンと言うことも有りますので、混同しないようにして下さい。塊根は、黄色の色が濃くなりますので、その部分をウコンとして用い、黄色の淡く清涼感のある根茎をキョウオウとするのが良いのかもしれません。
 ウコン、ハルウコンの根茎・塊根は「便秘改善に良い」ようです。1日にティースプーンで、1/2〜1杯位を飲むと効果があるという方がおられますので、便秘の方はお試し下さい。
 ウコンが酒毒を消す効果があるといわれ、酒を飲んだ後に沢山飲む方がいますが、肝臓を痛める可能性もありますので、飲み過ぎには注意して下さい。肝臓は70%位のダメージが出ないと悪くなったと感じません。何度も書きますが、ウコン末、ドリンク等の飲み過ぎには注意して下さい。
 沖縄の方に「泡盛を飲みながらウコンを食べますか?」と聞いたことがあります。答えは「沖縄のある地域だけで食べているだけです!」とのことでした。
 今、歯磨きで「イグサ粉末」と「プロポリスエキス薬用歯磨き」を、朝夕にそれぞれ用いています。歯茎の出血、歯肉炎、口内炎が無くなりました。また、感染症に罹ると大変なので咽の抗菌スプレーの「プロポリススプレー」を用いています。効果は良いですね。6月掲載の「メグスリノキ」の葉をお茶にして飲まれている人から、眼の調子が良いですと連絡をいただきました。秋に採取した葉をお茶にして飲まれているようです。興味の有る方はお試し下さい。


870号 2017年9月10日

(125)ウツボグサ シソ科

 9月に入り急に涼しくなりました。気温差の激しい季節ですが、皆様「夏バテ」していませんか? 胃を冷やし過ぎないように、たまには温かいものを飲食して胃をいたわって下さい。
 今月はウツボグサです。5月に花を咲かせ、6〜7月になると花が枯れ「夏枯草(かごそう)」になります。地上部を乾燥したものを夏枯草といい、消炎利尿を目的に腎臓炎、膀胱炎に用いられます。夏枯草1日量、約10gを、500tの水で煎じ、約半量にし、ろ過して3回に分けて食間に服用します。
 夏枯草には、タンニン(ポリフェノール)が多く、夏枯草だけを長期間服用すると、胃を刺激しますので胃弱の人は注意が必要です。
 夏枯草に大棗(たいそう=ナツメの果実)を加えたものは急性黄疸性肝炎に効果があると言われています。また、暑気払いに、夏枯草を刻み、お茶のように飲むと効果があると言われています。外用には口内炎、へんとう炎に、夏枯草3〜5gを、300tの水で煎じ、煎汁でうがいをすると予防できます。結膜炎の洗眼液として、上記の煎汁を脱脂綿でこして用います。この場合には常に新しく煎じたものを用いて下さい。ウツボグサの生の葉を潰して打撲傷などの患部に塗ると効果があるといわれています。

      

 8月中旬、庭にウコンの花が早々と咲きました。普通、ウコンの花は9〜10月です。9月にはミョウガの花が咲きだします。ミョウガは物忘れをするとも言われていますが、皆さんいかがですか?
 8月17日に高森に出かけましたら、お盆に合わせて「ショウキズイセン」が黄色い花を咲かせていました。秋の彼岸にはヒガンバナが咲きます。
南阿蘇、高森は、朝夕涼しくなったとのメールが届きます。秋の植物が大きくなり、稲穂もだいぶん大きくなってきました。電車の走っていない高森線の中松駅から立野駅の間は線路が草ぼうぼうです。「南阿蘇 水の生まれる里 白水高原駅」の前にある食堂は営業していて、駅の清掃もきれいにしてありました。
 駅の横の線路の上を走る車道の橋は、米の収穫が終わる秋から修復の工事が始まるそうです。
 胃腸の調子を整え、楽しい『食欲の秋』をお迎え下さい。


874号 2017年10月8日

(126)ナンバンギセル ハマウツボ科

 秋の七草の薄(ススキ)の下(地際)に、キセルのような形をしたピンクの寄生植物を見つける季節です。ナンバンギセルはススキ、サトウキビ、ミョウガ、ギボウシ等に寄生する1年草です。万葉集では「おもいぐさ」と呼ばれ、全国に自生しています。全草を乾燥し、煎じて強壮、咽の痛み等に用いるようです。
 「ナンバンギセル」の『キセル』といっても知らない人が多いと思います。刻みタバコを吸う時に用いる道具です。写真のピンクの部分に刻みタバコを入れ、火を付け、白く長い茎の端から吸います。タバコは身体に良くない、タバコの煙も周りの人に良くない、タバコの煙・成分は空気より重たいので、床に溜まり、家では赤ちゃんなどに悪い影響を与えます。喫煙者の呼気からもタバコの成分がたくさん出ますので、小さな子どもたちには悪い影響を与えます。気を付けましょう(だいぶ話の方向が変わってすみません)。
 「秋の七草」は、花を愛でるものですが、薬用植物ですので、その説明をしておきます。

◆ハギ(ヤマハギ){萩・マメ科}
 女性のめまい、のぼせに。

◆オバナ(ススキ){芒または薄・イネ科}
 根茎を利尿薬に。

◆クズ {葛・マメ科}
 根を葛根湯に、花(乾燥)を二日酔いに。風邪にくず湯[くず粉小さじ1杯をカップ一杯の熱湯に溶かし、透明になるまでよくかき混ぜ、 好みで砂糖とおろしシュウガを加えたものを飲む]

◆ナデシコ(カワラナデシコ){撫子・ナデシコ科}
 1日あたり、種子3〜6gを水150gで1/2量まで煎じ、3回に分けて服用。むくみ時の利尿に。

◆オミナエシ {女郎花・オミナエシ科}
 乾燥した根2gと、芍薬(シャクヤクの乾燥した根)8gを水400tから1/2まで煎じて1日3回服用。腫れもの、解毒、利尿に。

◆フジバカマ {藤袴・キク科}
 乾燥した全草を300〜500g細かく刻み袋に入れ、風呂に入れる(皮膚のかゆみに)。乾かすと香りが出る。線香の原料にします。京都の線香専門店の前には鉢植えが置いてあります。川尻町でアサギマダラとフジバカマで「旅する蝶」としていろんなイベントが企画されています。

◆キキョウ {桔梗・キキョウ科}
 咽が痛むとき、キキョウの根2gと甘草3gを煎じて飲む。痛む化膿性の腫れものに桔梗1g、芍薬3g、枳実3gを粉にし、これの2〜3gを卵の黄身1個に加え、良くかき混ぜて、白湯で飲む。夏バテに、風邪に十分注意してください。