矢原正治 D


850号 2017年4月9日

(121)ハコベ ナデシコ科

 ハコベは日本全土に分布し、平地に生え、春から秋に枝先に白い花をつけます。ハコベは小鳥の餌や春の七草の一つとして親しまれています。平安時代から食用の記録が『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』に、野菜(当時は文字どおりの野の菜)の一つとして、波久倍良(はくべら)の名があるようです。鎌倉時代では宮中で七種菜(ななくさのな)に??ら(はこべら)の名があります。ハコベの語源は 「はびこる→はこびる→はこべら→はこべ」に変化したと考えられています。
 平安時代もハコベ汁等として食べられていたようです。また、干した粉と塩を混ぜた「ハコベ塩」は歯磨きに使用したようです。民間薬では歯茎の出血を予防する目的で用いられています。さらに、関節炎、リウマチ、便秘の改善、膀胱炎、虚弱体質の改善に用いられます。また、最近の研究で葉緑素の抗菌作用による歯槽膿漏の予防、さらにコレステロールの抑制、高血圧予防、胃腸粘膜の保護などが報告されています。
 春の七草「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」と言える人も多いと思います。

・ハコベ(ヒヨコ草):歯茎の出血
・セリ:健胃・整腸
・ナズナ(ペンペン草):目の充血・利尿
・ゴギョウ(ハハコグサ):咳・痰等
・ホトケノザ(コオニタビラコ):解熱・解毒・潰瘍
・スズナ(カブ):利尿・便秘
・スズシロ(ダイコン):健胃・せき止め・冷え性

 

 このような効果があります。セリ、カブ、ダイコンは普通の野菜として食べられています。

 皆様の周りには食べられる草がたくさんあります。巧く使って下さい。野菜は全ての部分が食べられますが、機能性成分を多く含む外葉、皮、根、芯の部分を「硬い、汚れている、虫が食っている」等の理由で廃棄しているのはもったいないですね。例えば、米は、タンパク質、ミネラル、ビタミン等の機能性成分を多く含む糠(ぬか)を取り除いて廃棄し、デンプンが主の白米を私たちは食べています。これが糖尿病の原因になっているのかもしれません。しかしタンパク質、ミネラル、ビタミンは独特の味がありますので、味覚を重視するとおいしくないと言われることもあります。
 私たちは何を重視するのでしょうか?  
 身体は何を欲するのでしょうか??


854号 2017年5月14日

(122)ゲッケイジュ クスノキ科

 連休はいかがでしたか? ひばりヶ丘公園の北西の入り口(散髪屋さんの横)で、ゲッケイジュ(月桂樹)の雌木を見つけ、四月下旬に花を撮影しました。
 ゲッケイジュの枝葉は、マラソンなどの優勝者に冠で与えるので有名です。ローリエ(フランス語)、ローレル(英語)、月桂樹(日本語)と各国で呼び方は違いますが、地中海原産の常緑樹で、語源はラテン語のLadis(誉めたたえる)からきたと言われています。
 ローリエの葉には甘い香りと苦みがあり、肉や魚の臭い消しや料理の香り付けに、カレー、シチューなどに用いられます。生葉はスッキリした香りと少しの苦みが、乾燥葉は甘い香りが強いのが特徴で、うまく使い分けて料理に用いてください。香りの成分は、シネオール、オイゲノール等で、精油成分から月桂油が得られます。
 薬用では、乾燥葉を煎じて、リウマチ、神経痛に用います。また芳香性苦味薬として葉の粉末を1回1g、1日3回服用します。秋には黒い実ができますが、熟した果実を乾燥したものも苦味健胃薬として用います。
 ギリシャ時代からゲッケイジュは薬用として用いられ、ギリシャ時代のディオスコリデスが書いた薬物誌「マテリア・メディカ」に、葉の煎じ液で坐浴(ざよく)をすると、子宮や膀胱の痛みに効果があると記されています。また、ゲッケイジュの根皮2gくらいを芳香のあるブドウ酒と共に服用すると、胆石を溶かして肝臓病に効き目があると記されています。 
 聖書にはいろんな薬用植物が記されています。最も多く出てくるのが「ブドウ」で、ブドウ酒になりますね。ゲッケイジュ、オリーブ、アンズなども出てきます。日本では、これからウメ、アンズの実が熟れます。うまく利用して下さい。
 家の庭のサクランボの実は熟れる前にヒヨドリに食べられてしまいました。ウメ、ビワが5月末には収穫時期かなと思っています。トキワマンサク、フジは花が終わり、甘茶、テッセンの蕾がだいぶ大きくなっています。ユウスゲの葉も伸びました。ハナシノブの花が咲きだしました。ハナシノブ地上部をお茶にして飲むと脂肪の吸収を抑えてくれることが分かっています。栽培も多くなりました。これを利用してお茶を作って飲んでみませんか?お試しください。
 八十八夜も過ぎ、新茶の美味しい季節です。最近では、カフェインが悪者にされていますが、お茶は身体に良いので、飲む、食べるなど、うまく利用して健康を保って下さい。


858号 2017年6月11日

(123)メグスリノキ カエデ科

 メグスリノキは細川藩の秘薬として知られ、眼に良いと言われています。眼の疲労、かすみ目、結膜炎、白内障、緑内障、肝機能改善などに良いとされていますが、いかがでしょうか? 使用部位は、枝葉、樹皮を用います。花粉症にも良いという話もありますので、試して、調子が良ければご利用下さい。

 

 メグスリノキの果実の写真(左)は、菊陽町沖野の知人の家で撮影させてもらいました。大きさは10cmくらいです。雌雄異株で、秋には赤く紅葉します。来年は4月初めに雌花を見たいですね。写真を撮影しに伺った折、ホウノキ(写真右)が咲いていましたので、頂いてきました。ホウノキは1日花ですが、蕾が開きかけでしたので玄関先でホッとする甘い香りが漂っていました。
 庭のビワが熟れてきました、ヒヨドリが狙っています。サクランボは全部食べられたので、ビワはヒヨドリと競争しながら収穫しようと思っています。

 薬局で売っている薬、漢方薬も同じですが、健康食品、民間薬などは、一週間試してみて、改善されれば続け、おかしい時は止めて下さい。普通は3日くらいで変化が現れます。人により効果が違いますので、飲み過ぎ等も含めご注意下さい。また、いろんな健康食品を合わせて飲まないようにして下さい。
 飲食して、吸収された成分のうち、利用しなかった化合物は、肝臓が解毒するので、取り過ぎると肝臓にたまり、急に肝機能が働かなくなることもあります。肝臓は摂取する食品の成分、添加物、アルコール、薬、等々の解毒を毎日行っています。それに加えて、いろんな健康食品の成分が加わると、肝臓も働くのが嫌になり弱ってきます。肝機能は70%くらいがダメージを受けないと症状が出ないとも言われているので、肝機能障害を起こさないようにご自愛下さい。

 花粉の飛散が少なくなりましたが、それでも鼻水が出る人もいます。PM2.5等による眼の痒み、鼻水が止まる「ハチャメチャ菊茶」(菊花、イグサ粉末、ミカン粉末)を試してみませんか?

 


862号 2017年7月9日

(124)ハルウコン ショウガ科

     

 ウコン、ハルウコン等の名前が知られています。一般に栽培され、酒毒に良いといわれるウコンは秋に花を咲かせますが、ハルウコンは5月〜6月の春に花をつけます。ウコンは、葉の中に花を咲かせますが、ハルウコンは葉とは別に花が出てきます。薬用として用いるのは、根茎・塊根で、ウコンよりも淡い黄色で、清涼感の強い香りがします。
 ウコン(アキウコン)は食用、消化促進に。ガジュツ(紫ウコン)は芳香性健胃薬として用いられていて、ハルウコンはその中間ですが、ウコンとハルウコンを混同してしまっている人も少なくありません。しかし、これらは成分的に異なりますので、家庭栽培のものを使用する場合には、まずどちらかを判別することが必要です。簡単な方法は、花の咲く時期や根茎の切断面を確認する方法です。根茎を折ってみて淡い黄色いものはハルウコンです。黄色色素クルクミノイドはウコンが最も多く、ハルウコンの約10倍量を含有しています。一方、ガジュツには含まれず、紫ウコンと言います。
 ハルウコンは、薬用としては、健胃、消化促進などです。生薬名をキョウオウ(姜黄)といいます。ただ、中国から輸入したウコン(鬱金)は、ハルウコンの根茎で、キョウオウがウコンの根茎の可能性があります。日本・中国での相違がありますので間違えないようにして下さい。また、中国ではウコン・ハルウコンの1年目の根茎をキョウオウ、塊根(2年目以降の根茎)をウコンと言うことも有りますので、混同しないようにして下さい。塊根は、黄色の色が濃くなりますので、その部分をウコンとして用い、黄色の淡く清涼感のある根茎をキョウオウとするのが良いのかもしれません。
 ウコン、ハルウコンの根茎・塊根は「便秘改善に良い」ようです。1日にティースプーンで、1/2〜1杯位を飲むと効果があるという方がおられますので、便秘の方はお試し下さい。
 ウコンが酒毒を消す効果があるといわれ、酒を飲んだ後に沢山飲む方がいますが、肝臓を痛める可能性もありますので、飲み過ぎには注意して下さい。肝臓は70%位のダメージが出ないと悪くなったと感じません。何度も書きますが、ウコン末、ドリンク等の飲み過ぎには注意して下さい。
 沖縄の方に「泡盛を飲みながらウコンを食べますか?」と聞いたことがあります。答えは「沖縄のある地域だけで食べているだけです!」とのことでした。
 今、歯磨きで「イグサ粉末」と「プロポリスエキス薬用歯磨き」を、朝夕にそれぞれ用いています。歯茎の出血、歯肉炎、口内炎が無くなりました。また、感染症に罹ると大変なので咽の抗菌スプレーの「プロポリススプレー」を用いています。効果は良いですね。6月掲載の「メグスリノキ」の葉をお茶にして飲まれている人から、眼の調子が良いですと連絡をいただきました。秋に採取した葉をお茶にして飲まれているようです。興味の有る方はお試し下さい。


870号 2017年9月10日

(125)ウツボグサ シソ科

 9月に入り急に涼しくなりました。気温差の激しい季節ですが、皆様「夏バテ」していませんか? 胃を冷やし過ぎないように、たまには温かいものを飲食して胃をいたわって下さい。
 今月はウツボグサです。5月に花を咲かせ、6〜7月になると花が枯れ「夏枯草(かごそう)」になります。地上部を乾燥したものを夏枯草といい、消炎利尿を目的に腎臓炎、膀胱炎に用いられます。夏枯草1日量、約10gを、500tの水で煎じ、約半量にし、ろ過して3回に分けて食間に服用します。
 夏枯草には、タンニン(ポリフェノール)が多く、夏枯草だけを長期間服用すると、胃を刺激しますので胃弱の人は注意が必要です。
 夏枯草に大棗(たいそう=ナツメの果実)を加えたものは急性黄疸性肝炎に効果があると言われています。また、暑気払いに、夏枯草を刻み、お茶のように飲むと効果があると言われています。外用には口内炎、へんとう炎に、夏枯草3〜5gを、300tの水で煎じ、煎汁でうがいをすると予防できます。結膜炎の洗眼液として、上記の煎汁を脱脂綿でこして用います。この場合には常に新しく煎じたものを用いて下さい。ウツボグサの生の葉を潰して打撲傷などの患部に塗ると効果があるといわれています。

      

 8月中旬、庭にウコンの花が早々と咲きました。普通、ウコンの花は9〜10月です。9月にはミョウガの花が咲きだします。ミョウガは物忘れをするとも言われていますが、皆さんいかがですか?
 8月17日に高森に出かけましたら、お盆に合わせて「ショウキズイセン」が黄色い花を咲かせていました。秋の彼岸にはヒガンバナが咲きます。
南阿蘇、高森は、朝夕涼しくなったとのメールが届きます。秋の植物が大きくなり、稲穂もだいぶん大きくなってきました。電車の走っていない高森線の中松駅から立野駅の間は線路が草ぼうぼうです。「南阿蘇 水の生まれる里 白水高原駅」の前にある食堂は営業していて、駅の清掃もきれいにしてありました。
 駅の横の線路の上を走る車道の橋は、米の収穫が終わる秋から修復の工事が始まるそうです。
 胃腸の調子を整え、楽しい『食欲の秋』をお迎え下さい。


874号 2017年10月8日

(126)ナンバンギセル ハマウツボ科

 秋の七草の薄(ススキ)の下(地際)に、キセルのような形をしたピンクの寄生植物を見つける季節です。ナンバンギセルはススキ、サトウキビ、ミョウガ、ギボウシ等に寄生する1年草です。万葉集では「おもいぐさ」と呼ばれ、全国に自生しています。全草を乾燥し、煎じて強壮、咽の痛み等に用いるようです。
 「ナンバンギセル」の『キセル』といっても知らない人が多いと思います。刻みタバコを吸う時に用いる道具です。写真のピンクの部分に刻みタバコを入れ、火を付け、白く長い茎の端から吸います。タバコは身体に良くない、タバコの煙も周りの人に良くない、タバコの煙・成分は空気より重たいので、床に溜まり、家では赤ちゃんなどに悪い影響を与えます。喫煙者の呼気からもタバコの成分がたくさん出ますので、小さな子どもたちには悪い影響を与えます。気を付けましょう(だいぶ話の方向が変わってすみません)。
 「秋の七草」は、花を愛でるものですが、薬用植物ですので、その説明をしておきます。

◆ハギ(ヤマハギ){萩・マメ科}
 女性のめまい、のぼせに。

◆オバナ(ススキ){芒または薄・イネ科}
 根茎を利尿薬に。

◆クズ {葛・マメ科}
 根を葛根湯に、花(乾燥)を二日酔いに。風邪にくず湯[くず粉小さじ1杯をカップ一杯の熱湯に溶かし、透明になるまでよくかき混ぜ、 好みで砂糖とおろしシュウガを加えたものを飲む]

◆ナデシコ(カワラナデシコ){撫子・ナデシコ科}
 1日あたり、種子3〜6gを水150gで1/2量まで煎じ、3回に分けて服用。むくみ時の利尿に。

◆オミナエシ {女郎花・オミナエシ科}
 乾燥した根2gと、芍薬(シャクヤクの乾燥した根)8gを水400tから1/2まで煎じて1日3回服用。腫れもの、解毒、利尿に。

◆フジバカマ {藤袴・キク科}
 乾燥した全草を300〜500g細かく刻み袋に入れ、風呂に入れる(皮膚のかゆみに)。乾かすと香りが出る。線香の原料にします。京都の線香専門店の前には鉢植えが置いてあります。川尻町でアサギマダラとフジバカマで「旅する蝶」としていろんなイベントが企画されています。

◆キキョウ {桔梗・キキョウ科}
 咽が痛むとき、キキョウの根2gと甘草3gを煎じて飲む。痛む化膿性の腫れものに桔梗1g、芍薬3g、枳実3gを粉にし、これの2〜3gを卵の黄身1個に加え、良くかき混ぜて、白湯で飲む。夏バテに、風邪に十分注意してください。


879号 2017年11月12日

(127)フユノハナワラビ ハナヤスリ科

 少し変わった薬用植物を紹介します。シダの仲間で、薬用植物は少ないのですが、その中の一つが、フユノハナワラビ(冬の花蕨)です。フユノハナワラビは、10月に葉を出し、そのまま越冬、初夏に地上部が枯れる、シダとしては珍しい植物です。10月ごろに出てくる立胞子葉が花のように見えることから名前がついています。英語で「grape fern」
(ブドウシダ)と言い、胞子嚢(ほうしのう)がブドウの房ように見えるところからついたのでしょうか。
 フユノハナワラビには、2種類の葉があります。直立する花のような胞子葉と、地面を這う栄養葉です。胞子葉には、黄緑色の粒状の胞子嚢があり、この中に胞子がたくさん入っています。
 薬用では、地上部(全草)を乾燥して、腹痛・下痢、風邪や百日咳、解熱に用いるようです。
 山に行くと、シダの仲間で、春の山菜のクサソテツ(コゴミ)が葉を大きく伸ばしていました。山に行くと正月に用いるウラジロもまた、お飾り用に裏が白くなり、準備をしているようです。秋の野山を歩くのも楽しいです、迷子にならないように、周りの雑草を観ながら楽しんでください。紅葉もきれいです。
 11月に入ると、花粉やPM2.5がボチボチと飛散し始めます。花粉症の方は、花粉を感じる季節が近づいてきましたので、何かと大変だと思います。花粉症の方は、症状が出ると集中力が散漫になり勉強、仕事が進みませんね。病院でもらう薬は抗ヒスタミン薬が多く、眠気を誘うものが多いので、これも勉強、仕事が進みませんね。

◇そこで身近な食用のものを使ってお茶、「ハチャメチャ菊茶」を作ってみました。無農薬のイグサ、無農薬の未熟ミカン、菊の花を混ぜたお茶です。イグサ、未熟ミカン、菊の花には、抗ヒスタミン作用を示す成分が含まれていることが報告され、またその効果も確認されています。
 花粉症でお困りの方は、「一日一包飲むと花粉症を忘れる、ハチャメチャ菊茶」はいかがでしょうか?

 喉に違和感を感じたら「濃い茶」でウガイをし、早めに風邪等の予防をして、少しでも普通の状態を保ってください。元気(普通のエネルギー状態)が一番!!


883号 2017年12月10日

(128)ツルムラサキ ツルムラサキ科

 寒くなってきました、皆さまお元気でお変わりございませんか? 気温差が激しいので首や背中、腰などを冷やして風邪を引いていませんか? 感冒を「風邪(かぜ、ふうじゃ)」と言います。寒い風で背中が冷えゾクゾクして、寒気、発熱して風邪を引きます。
 2000年くらい前の本「傷寒論」(寒さで傷つき病気になった時の治療法)の最初に風邪の処方があり、その中に症状が出たら、すぐ(頓服で)、1日分の処方を3回に分け、6時間で飲むと書いてあります。例えば元気な人が寒さでゾクッとしたら、すぐに葛根湯エキスを飲み、暖かくして養生し、2時間後に1包を飲んでいき、汗が少しにじんできたら飲むのを止め、暖かくして養生する。葛根湯を飲んだ後に「生姜湯などの温かいお粥」で身体を温め、消化の良い食べ物を食べると葛根湯の効果が上がります。葛根湯を1日3回で飲むとあまり効果がでないことがあり、漢方薬は効かないという方が多々ありますね。

 今月は、7月ごろから食用で売られている「ツルムラサキ」です。茎が紫と緑の2種が売られていますが、緑の株はツルがあまり伸びませんね。ムラサキは邪魔になるくらい伸びて、たくさん食べられます。ツルムラサキ(紫色の株)は、熱帯アジア原産のツル性植物で、日本では健康野菜として栽培されています。他に、果実を染料に、地上部を解熱、利尿などに用いるようです。
 インターネット等で調べると、効果効能に、免疫向上、疲労回復、動脈硬化予防、美肌効果、骨粗鬆症予防、整腸作用、ダイエット効果などが書いてあります。どこまで機能性が期待できるかは不明ですが、ゼロではないと思います。ホームページにはいろんな事が書いてありますが、トライしてみて、もし効果があったら続けて下さい。おかしい時は早めに止めて下さい。
 ツルムラサキは霜に弱く、菊陽町では冬は枯れてしまいますが、奄美群島、沖縄などでは多年草で1年中利用できます。若い葉を収穫し利用する方が美味しいです。

 これから一段と寒くなります。風邪・インフルエンザに罹らないように、免疫力を下げないように心身のバランスを普通に保ち、良いお年をお迎え下さい。


887号 2018年1月14日

(129)ヘクソカズラ アカネ科

    

 ヘクソカズラは全国の日当りの良い場所の木に巻き付いて大きくなり、邪魔者扱いされる蔓(ツル)性の雑草です。
 ヘクソカズラは漢字で「屁糞葛」と書き、春の新芽の時期、葉、茎を揉むと臭く、また秋の実をつぶすと茶色の汁が出ることから名前がついたのではと思われます。また、花の中央が赤くやけどの跡のように見えることから「やけど花(灸花)」、小さい花が可愛く美しいことから「さおとめ花(早乙女花)」の別名があります。また地方ではクソタレバナ、ヘクソ、ヘクサカズラ、ソウトメバナとも呼ぶそうです。
 薬用には果実をアルコールに浸して、しもやけ、ひび、あかぎれ等の皮膚疾患に、化粧水として地上部を焼酎に漬け、液をろ過して皮膚疾患の改善に用います。1ヵ月くらい漬けておくと、くさい匂いは無くなります。人吉・球磨地方では、ろ液をスプレー容器に入れ、皮膚疾患の患部に噴霧して、かゆみ、湿疹、アトピー等に用います。また、腎臓病、かっけ、下痢止めなどには、乾燥した根茎を刻んで約10gを、水約0.5?で煎じて服用すると書かれています。
◆作り方
 人吉・球磨地方では、秋に果実を含む地上部を容器にいっぱいに入れ、球磨焼酎を浸るまで加え、数ヵ月冷暗所で放置し、液をろ過し、皮膚疾患に用います。また同じように「ドクダミ」の地上部も焼酎に漬けて、皮膚疾患に用いる方もおられます。他の薬用植物として、人吉・球磨では、痛み止めに「ジャケツイバラ」の蔓の乾燥したものを煎じて服用するそうです。ただアルカロイドを含み効果が強いので、痛みが無くなれば飲むのを止め、長期の服用は避ける方が好ましいでしょう。

 年末年始、少し飲み過ぎ・食べ過ぎて、胃を弱らせているのではないでしょうか? 七草粥で胃腸をいたわりましたか?
 食は薬、「食薬同源(食は薬の元)」です。食べた物は胃できちんと消化され、胃腸で吸収しエネルギー(氣)に変わり、私たちは元気になります。その気(氣)が血液、体液(水)を巡らし、心身のバランスを普通に保ちます。
 今年一年、胃の状態を普通に保ち、元気(元の氣)に暮らして下さい。皆さまのご健康をお祈りいたします。元気が一番。


891号 2018年2月11日

(130)ジャケツイバラ マメ科

 人吉・球磨地方で、痛み止めに用いられる、ジャケツイバラです。別名をシシモドシ、川原藤などと言います。民間薬として、幹を乾燥し焼酎に漬けて、飲むか患部に塗ります。
 中国では、豆果は、7月ごろ採取し、天日で乾燥させると、裂けて大豆ほどの種子が出てきます。その種子を集めてさらに日干しにします。種子の生薬名は「雲実(うんじつ)」といいます。根、根皮は年中採取可能で、生薬名は「雲実根(うんじつこん)」です。タンニンの含量が高いのが特徴です。
 「雲実」の効能はマラリアの解熱と下痢止めです。1日量12グラムに、水500〜600ccを加えて煎じます。半量まで煮詰めてこし、煎液を1日3回に分けて飲みます。「雲実根」も同様に煎じて、風邪による咳、喉痛、身体痛、腰痛に服用します。打撲傷や腰痛などには、根あるいは根皮を突き砕いて汁を患部に塗布します。

 1月末からネパールのカトマンズにあるAITM (Asian Institute of Technology & Management)大学に講義に行ってきます。ホテルも大学も空調設備が有りません。排気ガス・土埃が酷く、インフラも悪いですが、ヒマラヤの山々が見えるので楽しみです。

 家で仕事をしていたら鼻水が出て来たので、自分でブレンドした「ハチャメチャ菊茶」(食用イグサ粉末、未熟ミカン末、菊花)を飲むと、鼻水が止まりました。気温差が激しく、花粉・pm2.5が飛ぶ季節、「ハチャメチャ菊茶」は重宝します。
 私は、食用イグサ粉末で歯磨きをしています、歯茎の出血、歯肉炎の予防には良いです。イグサは、イライラを抑制します、人は食用イグサを飲んでいると落ち着きます(面白く、すごいです)。
 風邪の早期予防は、寒気がしたら直に葛根湯を飲み、次は2時間おきに飲み、身体が温まり少し汗が出たら飲むのを止め、温かくして養生して下さい(傷寒論より)。
 インフルエンザの時は「麻黄湯」を、節々が痛くなり寒気がしたら直に飲んで下さい。次は2時間後、葛根湯と同じように飲んでください。
 もし1日3回飲みなさいと、葛根湯・麻黄湯を処方してくれる医者は漢方を理解していないヤブ医者です。このような飲み方をするので葛根湯・麻黄湯は効かないと言われます。きちんとした医者、薬剤師を選び、皆さまご自愛下さい!

 ホコリでかすみ、ヒマラヤが見えない、ネパールの首都カトマンズより。


895号 2018年3月11日

(131)ビャクダン ビャクダン科

 今年は寒さが厳しかった分、花粉が多そうですが皆さまいかがですか?
 今月の薬用植物は、2014年3月に、私の後任の熊本大学薬学部の薬用資源エコフロンティアセンター長の渡邊高志教授と一緒に、初めて出かけたミャンマーで出会った「ビャクダン(白檀)」です。初めて花、実をミャンマーで見ました。約5oの小さな花で、濃い紫色であまり目立ちません。実も約1pの楕円形で熟れると黒くなります。どちらも目立ちません。しかし、材は香りが良いので、お香、アロマセラピー等に用いられています。
 材を「サンダルウッド」といい、大変高価で、その精油は鎮静効果、消炎作用、利尿作用、免疫機能向上、抗菌作用等を有することが知られています。精油には抗マラリア原虫作用があるとも言われています。
 ビャクダンの香りが良いのはもちろん、その煙は浄化作用が強いということで、線香、お香に配合されています。インドでは4千年以上前からスピリチュアルな香木として使われている記録もあります。日本では日本書記に記載があります。免疫力を上げますので、ビャクダンを焚くことでインフルエンザ、花粉症等も予防できる可能性があると思います。
 精油に入っている「良い香り」の成分は、Z-α-サンタロール、Z-β-サンタロール、Z-α-サンタラール等のセスキテルペン(炭素数15個のテルペノイド)です。しかし「強い油臭で臭いの良くない香り」の成分も微量ですが含まれています。E-α-サンタラール、E-α-サンタレニン等です。化合物名の記号が「ZとEの1ヵ所」違うだけで、香りが大きく違うというのが面白いと思います。人の性格と同じですね。
 
 香りの強い花をつける「三大香木」という植物があり、「ジンチョウゲ(沈丁花)、クチナシ(梔子)、キンモクセイ(金木犀)」です。ジンチョウゲは春の香りを告げる香りですが、赤い実は有毒なので愛でるだけにして下さい。クチナシは夏を告げる香りの花でしょうか? 秋には橙赤色の実をつけ、「サンシシ(山梔子)」といい、抗炎症作用があり薬用に、また食用、染色に多方面で用いられます。キンモクセイは、秋の訪れを告げる香りで、庭木等に植えられ、甲佐、熊本城等に大木があります。中国では花を砂糖漬け、リキュールにしています。鹿児島ではキンモクセイの葉をお茶にします。
 花粉症は集中力が落ち、トラブルの原因になります。西洋薬で抑えると眠くなります。食用植物のお茶「ハチャメチャ菊茶」は、副作用はほとんど無いので一度お試し下さい。勧めた私がびっくりポンで効果が出ることが多々ありました?


899号 2018年4月8日

(132)チョウセンレンギョウ モクセイ科

 チョウセンレンギョウは、レンギョウと異なり茎が垂れます。レンギョウと同じで3月中旬から4月にかけて黄色い花を咲かせます。
 漢字で連翹(れんぎょう)、英名:Forsythia(フォーサイシア)と言います。レンギョウ、シナレンギョウ、チョウセンレンギョウ等があります。大気汚染や病虫害に強いので庭木や公園等に植えられています。
 果実を生薬として用い、抗菌、抗炎症などの効果があり、よく使われている漢方処方294処方中、14処方に配合されています。慢性の鼻づまり、副鼻腔炎、慢性鼻炎に用いる荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)に、咽をよく使う職業の歌手、声優、政治家、教師、塾講師、浪曲師などの方々が、咽の枯れた時に用いる響声破笛丸(きょうせいはてきがん)などに配合されています。
  ただ、日本では果実があまり出来ないので、生薬を作ることは難しく、中国から輸入されているので、花を楽しんで下さい。花をよく見ると雌しべが長く飛び出し、その付け根に雄しべがあり、受粉を避けているようです。また自花の花粉がついても受粉しないと言われ、少し変わりものの花です。果実は秋に熟します。

 3月から山口県 山陽小野田市の山口東京理科大学の薬学部(4月新設)附属の薬用植物園作りに出掛けています。我が家から片道230q位を車に家の薬用植物を満載し移動します。この文章も大学の宿舎で書いています。熊本はサクラ(ソメイヨシノ)が満開で散りかけていましたが(3月29日現在)、山陽小野田市の江汐公園(えじおこうえん)と竜王山などのサクラはまだ5分咲きで3月31日から4月2日が花見のベストの時期でした。3月28日に見たら熊本の家の庭の藤の蕾(つぼみ)も10cmを越え、サクラ、モモ、ハナダイコン(オオアラセイトウ)、ユキヤナギ、ヒゴスミレ、スミレ、ムラサキケマン、ホトケノザ等が満開です。ボタンの蕾もだいぶ膨らんできました。枯れかけていたトキワイカリソウが葉を出し白い花が咲きました、感激です。コブシの花も終わり、2月に咲いたセリバオウレン、フクジュソウは果実になっています。

 スギ花粉が終わり、ヒノキ花粉が最盛期、黄砂も多く来ています。鼻水が出る、眼がかゆい時は「ハチャメチャ菊茶」を飲んで下さい。外出の時も容器に入れて持って歩き、症状が出た時にすぐ飲むと症状が軽減します。少しでも集中力が増しますのでストレスが減じます。お試し下さい!


903号 2018年5月13日

(133)シラン ラン科

    

 4月中旬から陽当たりの良い庭に赤い花が咲きだしました、シランですね。漢字で紫蘭と書きます。植物の名前を知っていても“知らん”などと言いながら覚えたものですが、漢字で書くと「紫の蘭」ですので、理解できると思います。ランの仲間では大変強く、陽当たりが良い所で少し肥料があると増えていきます。白い花も園芸種であります。
 シランを掘り上げると球状の球根が出てきます。これを球茎と言います。この球茎をすりつぶし、傷口に塗り込むと傷の治りが早く、薬局の無かった田舎では冬のアカギレ等によく使っていました。球茎を乾燥したものを薬用名で白及(ビャクキュウ)といい、ヒビ、火傷、創傷などに、すりつぶして外用で用います。シュンラン(春蘭)も同じような使い方をします。
 春は花のシーズンです。冬にエネルギーを貯め込んだ植物たちが暖かくなると一気に咲き始め、種子を作ります。スミレの仲間がたくさん咲いています。道端でよく見かける青紫のスミレは「スミレ」または「ノジスミレ」です。スミレとノジスミレの見分け方ですが、スミレは葉柄(葉のついた軸)に翼がありますが、ノジスミレにはほとんど見られません。ノジスミレは、生薬名を紫花地丁(シカジチョウ、全草を乾燥したもの)といい、味は苦、辛、性は寒の性質を持ち、効能としては、清熱(解熱、消腫)を目的に、漢方では皮膚化膿症の瘰癧(るいれき『はれもの』)、下痢、結膜炎に用いられます。紫花地丁の基原(基になる)植物は、ノジスミレの他に、スミレ、コスミレ等のビオラ属です。民間薬でも全草を『はれもの』に外用、または煎じて内服で用います。HIV(エイズウイルス)の活動を阻害するという報告もありました(細菌レベルの実験ですので実際の効果はどうでしょうか?)。
 50年前の4月、大学に入学するためにおふくろと実家の岡山から夜行電車に乗って博多に行ったのを思い出します。35年前に熊本に来て、熊本生まれの方に「肥後生まれの人より、あんたは肥後もっこすだ」と言われてしまいました。いかがでしょうか?
 話は変わりますが、植物のクローニングは植物自身で簡単に行うものが多数あり、50年以上前からクローンによりイチゴ、サツマイモ、ジャガイモ等々で利用され、販売されています。動物はクローンを作るのが難しいので動物愛護のもと、動物を異常に大事にしますが、植物を軽くみるところがあるのではないでしょうか?「声も出せない・動けない植物」も大事にしてください。


907号 2018年6月10日

(134)ムラサキ ムラサキ科

 ムラサキは、根が紫の色素を含み、布(絹)を紫色に染色するのに用いられています。紫色は昔から高貴な色として愛されてきました。ムラサキは染料として、また薬用として用いられています。昔は熊本市内の帯山から東の丘陵に自生し「小学校の校庭にもたくさん有りましたよ」とお年寄りの話です。帯山西小学校の校歌に「むらさき」の植物名が入っています。
 現在、野生種はほとんど無く、希少植物になり、栽培もだいぶ出来るようになりましたが、根腐れも多くなかなか大変です。
 薬用では、根を紫根(しこん)といい、創傷、やけどの傷口の新生をうながします。他に抗炎症、殺菌、抗腫瘍作用、解熱、解毒、消炎などが認められています。皮膚炎、湿疹、凍傷、やけど、切傷などに外用薬として用いられます。ムラサキから由来する紫根を“硬紫根”といい、中国産はほとんどが“軟紫根”で、種類が違い、基源植物はネパールの標高3000mぐらいに生育するMacrotomia euchroma(=Lithospermum euchroma)です。
 紫根の入った有名な薬に“紫雲膏(しうんこう)”があります。やけどの良薬です。私も1年に一度くらい手作り紫雲膏を作っています。今年はネパールの大学で学生と一緒に作りました。日本では「ごま油と蜜ろう」に「紫根と当帰(とうき)」を用いますが、ネパールでは化粧品及び食品に用いる「チューリーバターとごま油」を使って軟こうの基剤を作り、「軟紫根と当帰」を合わせて作ります。2016年、今年、ネパールに出掛けて作っています。昨年は病気で行けなかったので今年は学生・教職員も心待ちにしていました。
 またもう一つ「黄色クリーム」キハダ粉末とウコン粉末を加えた軟こうも作っています。ニキビ、アトピー性皮膚炎の痒み止めに良いと言っていたら、学生が作ってすぐ使い効果があったのでしょう、もう一個下さいと先生にもらいにきていました。
 先日、山口県 山陽小野田市の江汐公園内の薬用植物園の圃(ほ)場を耕うん機で耕うんしていて大きな石で耕うん機が跳ね上がり、ハンドルが眼の横をかすめて出血しましたが、手作り紫雲膏(紫クリーム)で止血・消毒しました。持って来ていて助かりました。他に蛭(ヒル)に噛まれた時の出血もよく止まります。スーダンのNPO「ロシナンテス」の理事長の川原尚行医師が寄生虫が原因の“リーシュマニア症”になって困っているとき、私が差し上げた「手作り紫雲膏」で治ったと喜んでいました。それ以来の友人です。また、船乗りの知人女性が日焼けに手作り紫雲膏を重宝してくれています。
 現在、山口東京理科大学薬学部附属薬用植物園で、塩ビパイプを使ってムラサキの栽培をしています。今年種子を採取し、増やしていければと思っています。