矢原正治 B


596号 2012年2月12日

(61)カラタチ ミカン科

今月は、昭和33年に島倉千代子さんが歌った「からたち日記」“こころで好きと 叫んでも 口では言えず たゞあの人と 小さな傘を かたむけた あゝ あの日は雨 雨の小径(こみち)に 白い仄か(ほのか)な からたち からたち からたちの花”で有名な「カラタチ」です。
 薬用にはこの未熟果実を用います。健胃、利尿の効果があると言われています。宇城地域では「ゲズの実」と呼び、2?3cmの未熟果実を輪切りにして乾燥し、健康茶としてお茶代わりに飲んでいます。「体調よか」と地域の人達の言葉です。
 中国の本を開いてみますと、未熟果実を輪切りにし乾燥したものを枸橘(くきつ)といい、肝臓・胃の調子を整える、気を巡らす、止痛する効果がある。棘は虫歯の痛み止めに用いる。葉は腫れ物に、種子は下血に効くなどが記してあります。葉、未熟果実のお茶も香りが良くて美味しいのではと思います。

 漢方で用いる薬用植物、民間薬にはいろんな機能性が書いてあります。正しいこと、良いところ、間違っていること、副作用が出るものなどあります。信じ込んで飲み続けないことが大事です。もし、体調が悪くなったら「すぐ止める」ようにして下さい。

 福島原発爆発の影響で漢方薬に用いる生薬(しょうやく)にも影響が出ています。市場へ出る前にきちんとした会社は検査しています。
 チェルノブイリの原発事故のときは、下剤で用いるセンナ(葉)が放射性物質で汚染されました。産地は汚染のマップには入っていない南西の地方なのですが。放射性物質は見えないし、燃やしても分解せず濃縮します。これがダイオキシン、PCBなどと違って厄介です。
 モノを作る時に使えなくなったものを安全にリサイクルすることを含めグローバルに考えて作らないといけません。原発のウラン、プルトニウムなどの放射性物質を安全にリサイクルする方法を考える時代ですね。

身近な毒草

 農業公園で植木市が始まりました。奇麗な花を咲かしている福寿草、少し芽を出しているスズラン、太い緑の葉のオモト、スイセンの仲間、チューリップ、ヒガンバナ、イノシシよけに植える人もいるクリスマスローズなど、樹木でもアセビ等、毒草が沢山売られています。口に入れなければ大丈夫です。見るだけにして、花、姿を楽しんで下さい。


600号 2012年3月11日

(62)インドセンダン センダン科

 今回で600号記念とのこと、日本ではなく、なかなか行けない国、アフリカのスーダンで2月17日に撮影してきた植物を紹介します。
 植物名「インドセンダン」、別名「ニーム」「マルゴッサ」です。インドでは昔から土壌と作物の防虫、家畜や人間の病気の治療に、種から油を絞り殺虫剤として使用してきたようです。もしかすると、すでにどなたかが農薬で使用していませんか?また、民間薬、薬用茶として、皮膚病、糖尿病、解熱、腎臓病などの泌尿器系疾患などに飲まれています。5年ほど前パキスタンのカラチ大学でニームの葉をお茶にして売っていると飲ましてくれました。


 スーダンの首都のハルツーム(Khartoum)の街のあちこちに植えられ、乾期の雨の無い時期に10m位の大きさで、葉が茂り、元気に花を咲かしていました。皮膚がケロイド状になるリーシュマニアという皮膚病に効果があると紹介してくれました。
 熊本ではニームは大きくなりません。沖縄ぐらいの暖かさ(暑さ)がないといけないようです。
 今回はハルツームにたった4日間の滞在です。行き帰りに各1日、関空→ドーハ(カタール)→ハルツームで、行きが16時間、帰りが14時間位です。ただ家を出てから帰るまでの移動だけで2日以上必要でした。スーダンは乾期で、細かい砂塵が舞っていました。一日マスクをしていると茶色になるようです。地元の人は皆さん明るく楽しい人達が多いように感じました。普通の家は水のシャワーで、温水のシャワーは出ません。太陽熱温水器を設置するといいですね。
 食事は右手を使って食べます。イスラム教が主なので豚肉と酒はありません。肉は羊、鳥肉が主です。野菜や果物はそれなりに有りましたが、量はやはり少なく、安くはないようです。魚は川魚が主です。結構でっかい魚を売っていました。
 スイカは思ったよりも美味しかったです。ホテルの人参ジュースは甘く格別でした。最高級のホテルに泊めていただいたので、滞在は大変良かったです。滞在中の4日間、酒宴が有りませんでしたので、胃の調子は最高で、食べ物を美味しく沢山頂きました。太ったようです。


604号 2012年4月8日

(63)アセロラ キントラノオ科

 アセロラジュースで有名な「アセロラ」です。現産地は中央アメリカ〜南アメリカ北部と言われています。今回の写真はベトナムのホーチミンの近くのCat Tien国立公園管理棟横の庭で撮影しました。花はサルスベリの花を小さくしたような形をしています。実は赤く熟れ、食べると甘酸っぱくて美味しいですが、でっかい種子が有ります。ビタミンCが大変多いことから飲料水、ジャム等に加工されて、日本でも有名です。
 わざわざこのようなものを摂取しなくても日本にも柑橘類、リンゴ、アンズ等ビタミンCを沢山含む果物類が有るのだがと思うのですが。日本人には舶来大好きの思い込みが有るのでしょうか?だから食品の60%以上を輸入に頼ることになるのだと思います。

 
 ベトナムの話しに戻ります。出かけたのが3/12〜20、糖の吸収抑制効果があると言われる、植樹された「オオバナサルスベリ(大花百日紅、バナバ)」のピンクの花が満開でした。ベトナム戦争のおり、アメリカ軍の空爆、枯れ葉剤により密林は焼け、枯れたと言われていますが、ホーチミンから北へ150km位(空港から車で4時間余、100ドル)のCat Tien国立公園には樹齢50年を超す50m以上の大木の密林があります。空に向かって真っ直ぐ伸びる木々を見ていると暑い太陽の木漏れ日が涼しく感じられますが、乾期の3月というのに湿度が高い分、じっとしていても汗が出てきます。日の出前の5時40分から10分間の蝉の合唱で目が覚め、日の出とともに歌声がピタリと止まり、13時頃の車道は水を飲みに移動する蝶の群れが数キロに渡り続きます。それが終わる頃、また木陰で蝉が鳴き出します。16時頃には数日に一度スコールが30分位。夕方は昼間の暑さを忘れるように20℃位に下がり過ごしやすくなります。午前中密林を散策し、昼からはのんびりとマッタリとした時間を過ごすにも良いのではといつも思いながら一日中植物調査をしていました。
 他の来園者はバードウオッチング、蝶の観察、エコツアーなどを楽しんでいるようです。Cat Tien国立公園(Nam Cat Tien)は、ベトナムで日本人の行かない隠れた避暑地かもしれません。もしお時間がありましたら、自然の好きな人は行ってみて下さい。


608号 2012年5月13日

(64)イグサ イグサ科

 今月は、畳表に使うイグサです。くまもとは45年前日本一の生産県になり、現在に至っています。しかし中国からの輸入品に押され、八代でのイグサ生産も落ち込んでいます。新しい物を作るという発想から生まれたのが、無農薬の食べるイグサです。20年位前でしょうか、畳表を作っている鏡町の方が始めました。現在では大変興味あるデータも出ていますので、紹介します。
 イグサの地上部は薬用で「灯心草(とうしんそう)」とよばれ、不眠の改善、利尿を目的に用いられます。飲み方は1日3g位を水で煎じて飲むか、粉末を飲みます。これは今までの薬草としての使われ方です。
 大変興味あるデータとは、口の中での効果です。現在徳島大学歯学部との共同研究で入れ歯固定材にイグサの粉を入れると、口臭が少なくなる、口内の悪い菌が少なくなるといったデータが得られ、日本の他アメリカへも特許を申請しています。私たちがイグサ粉末を巧く使うと、歯肉炎およびその予防になり、口内をスッキリさせます。
 入手と使い方は@イグサ粉を大津の道の駅 or 八代、HP(イナダ有限会社)で購入。A粉を歯ブラシの先に少し着ける。B歯茎を柔らかく丁寧に磨く。C歯茎の後は歯を磨く。D後は口をすすいだ水を飲み込む。少し汚いと思われますが、イグサ粉末は薬なので大丈夫。

有効な事例は@イグサの粉で歯茎を磨くと歯茎から血が出なくなった。A痛みが和らいだ。B夜寝る前に磨くと、朝起きた時、口の中がさわやかで朝食が美味しい、などです。
 他に、今調べていることは、オムツをしている方が、イグサ粉末を1回1〜2g1日3回飲んでいると、排泄物の臭いが軽減すると言われ、今測定しています。臭いセンサーの値が結構下がります。お試し下さい。

 

食べ過ぎに注意

 この前知人が美味しいからと柿ピーを沢山食べて急に腹痛をおこしたと言っていました。2回目なのですが、両方とも痛くなる前に柿ピーを食べたとのこと。ホームページを調べると結構事例が出てきます。胃腸が疲れている時に、トウガラシの付いた柿ピーを沢山食べると良くないのかもしれません。食べ物は程々にしましょう。医者で調べたら検査結果には異常はないので、3日間何も食べずに養生しろと言われたようです。
 連休も終わりました。花を愛(め)で、心身のバランスを取って、楽しい5月をお過ごしください。


612号 2012年6月10日

(65)スイカズラ スイカズラ科

 日当りの良い野山に行くと、つる性植物「スイカズラ」に出会うことができます。花は、市内で5月の初めから、標高の少し高いところでは6月の初めにかけて開花します。最初白い筒状の花を咲かせますが、日が経つと黄色に変わり散ります。このことから「金銀花(きんぎんか)」といいます。子どもの頃花を摘んで蜜をすったのを思い出します。遊んで疲れた時には格好のおやつでした。蜂も花が咲くと蜜を求めて集まってきます。葉は冬の間もしおれないので別名「忍冬(にんどう)」と言います。
 薬用として、花を金銀花、葉茎を忍冬と言い、用います。金銀花は熱を清め、血中の毒を解することから、解熱、解毒薬として、漢方薬で荊防敗毒散などに用いられます。忍冬はサポニンを含み、消炎、利尿、解毒、解熱などを目的に、湿疹治療薬である治頭瘡一方などに配合されています。
 公害に強いので熊本では道路わきのフェンスに、はわせてありましたが、伸びすぎて歩行者の邪魔をするので、他の植物に置き換わっています。ごみごみした歩道のわきで花を咲かせるより、本当は空気の綺麗な野山で咲かせてやりたいものです。
 先月のイグサ粉末の購入でご迷惑をおかけしました。大津の道の駅の冷蔵庫の中に保管してありますので、レジで言って下さいとのことでした。イグサの粉を少し歯ブラシにつけ、歯茎を柔らかく時間をかけて磨きますと「歯茎すっきり」になります。小さじ一杯位を1日に飲むと、大小便の臭いも軽減します。まあ1袋1000円以下で、歯磨きでは半年位持ちますので、歯茎から血の出る方は、だまされたと思って試してみて下さい。
 今年、役場前の道の「アメリカハナミズキ」&「ツツジ」の花の状態が余り良く有りません。剪定が遅かったせいでしょうか? 一昨年まで奇麗な花を咲かせて皆さんの心を癒してくれていたのですが、残念。今年は剪定の時期を間違えないようにしていただき、来年は奇麗な花が一杯咲くことを願っています。


616号 2012年7月8日

(66)ヤマモモ ヤマモモ科

 家の庭で、梅雨の時期になると忘れた頃に実が黒赤色に熟し、雨の重さで落ちます。実は少し松脂の匂がるす甘酸っぱい味です。焼酎に漬けると奇麗な赤色になり、美味しそうです。雌雄異種の常緑高木で街路樹にも植えられています。ホルトノキと間違われることが多いのですが、葉の色をよく観ると違います。ホルトノキは所々に赤い葉が観られるのが特徴です。
  薬用は果実、樹皮を用い、果実を楊梅(ようばい)、樹皮を楊梅皮(ようばいひ)といます。果実は、味は甘酸、性質は温で、効能は、渇きを除く、胃腸の調子を整えるなどの作用で、下痢、嘔吐などに、樹皮は、味は苦く渋い、性質は温で、下痢と便秘が交互に起るような胃腸障害、打撲・ねんざ、火傷、歯痛などに用いられました。今はほとんど薬用として用いる人はいません。
 生薬名の楊梅は「丸い実」という意味だそうです。楊貴妃に関係あるのかなと思って調べたら違っていました(残念)。
 ヤマモモは本州中部以西〜沖縄にかけて自生します。あまり寒いところには有りません。徳島県ではヤマモモを県の木に指定し、栽培面積・生産量とも全国一です。生食の他、ワイン、ジュース、ジャムなどに加工し売られています。熊本での生食用は6月〜7月ですね。

 ヤマモモの実を取るときは、木が折れやすいので注意して下さい。また、鳥、虫を狙って蛇が登っていることも有ります。もし木を植えるときは雌木を選ぶと初夏に甘酸っぱい果実が楽しめます。ただし、赤い色はアントシアン色素です。服などに着くと落ちにくいので、採取は汚れても良い服で行いましょう。また、ジュース、ジャムを作るときは、クエン酸などを入れ、酸性にすると奇麗な赤色が長時間保てます。アントシアン色素を含む果実が少し酸っぱいのは植物が得た知恵かもしれません。皆さんも植物の知恵を再認識してみませんか!
 アントシアンたっぷりのブルーベリーも熊本市内では少し色付き始めました。鳥さんに食べられないうちに採取しましょう。


620号 2012年8月5日

(67)ブルーベリー ツツジ科

 美白効果があると言われるアルブチンを含み薬用で葉が尿路感染症に使われる、「コケモモ」の仲間です。これを品種改良したものが現在に至っています。
 原産地は北米の寒い地域と言われ、生食以外に冬の保存食のジャム等に加工されてきました。日本には、昭和26年(1951年)に北海道に導入されたのが最初のようです。その後、フランス空軍のパイロットがブルーベリーを食べているので眼が良いと言う話しから、いろんな研究が行われました。また、植物色素の研究も盛んになり、抗酸化作用などに着目したアントシアンの研究で、一躍有名になり、九州でも阿蘇・脊梁山脈、水俣などの涼しい場所で栽培されるようになりました。熊大薬草園内でも植えていますが、夏場の管理が厳しいですね。

 今がシーズンです。甘酸っぱくて美味しく、ビタミンC、ビタミンAも多く含まれます。アントシアンで眼の保護効果があることが解明されていますが、実際に食してどの程度良いのでしょうか。老眼がひどくなってきたので試してみたいと思いますが、一年を通して一定量を食べてみないと分からないので、今のところ自分では試していません。
 ブルーベリーの葉にも効果があり、肝ガンに有効だとの報告も有るようです。葉には抗酸化作用を示す成分は含まれていますので、それなりの効能があると思います。

 

 昨今、いろいろな機能性があると報告が有ります。食べ物は、安心して美味しく食べられるのが一番です。食べ過ぎには注意して下さい。

 急に暑くなってきました。人は汗をかいて、汗が気化する気化熱で身体を冷やします。しかし、年を重ね高齢になると、汗をかく力も衰え、また皮膚感覚も衰えてきます。さらに余り外へ出ないために、温度感覚も鈍くなり、このような高齢者の熱中症が増えています。
  @たまには外に出て散歩、買い物をする(温度差を皮膚で感じる)
  A少し身体を動かし汗をかく
  B夏に熱い鍋料理を食べて汗をかく

などを実行して下さい。汗は水だけではなく、ミネラルの他に老廃物(身体に不要なもの)も含みます。一日一回は汗をかいて身体をリフレッシュして下さい。
 また、飲み物ですが、スポーツ飲料は糖分が多く糖の取り過ぎになりますので注意して下さい。自分で作るのもいいかもしれません。1リットルの水に天然の塩5g位(食塩は余り好ましくない)、砂糖5g位(甘み付け)、レモンやライムなどの清涼感のある果汁を少し。後は適当に自分の好みで調整して下さい。南のジャングルで調査をしているときは、スポーツ飲料が薄いと感じるほど汗をかくことがあります。その時は塩を直接なめています。


624号 2012年9月9日

(68)オオバナサルスベリ ミソハギ科

 今年の夏は、ネパールとベトナムに出かけます。これが出るときはベトナムです。
 タイの首都バンコクでは街路樹としてオオバナサルスベリ(写真左)が植えられ、毎年夏に行くと実がなっています。花が見たいなと思っていました。3月中旬ベトナムのホーチミンの北部郊外にあるCat Tien(カッティエン)国立公園の中で花を見つけました。遠くから見ると10m位の葉が茂った木に花が一杯ついているので大変目立ちます。近づいてみると、サルスベリ(写真右)独特の花の形態です。花弁に花柄があり、その先が団扇の様に広がっています。
 オオバナサルスベリの葉は、インシュリンを出す作用が有るため糖尿病の予防に良いと言って大変話題になり、特定保険用食品に申請されましたが認可されませんでした。理由は分かりません。
 フィリピン、インドネシア、タイなどで昔からバナバ茶として、糖尿病、肥満、高血圧、便秘解消などに良いと、健康茶として飲まれています。また、美白効果も有ると言われています。飲まれている皆さん如何ですか?効果は出ていますか??
 世界中からいろんなサプリメント、健康食品、薬用植物が日本に輸入されています。ブームを起こしては消えていきます。あるモノはアレルギーなどの副作用が出てトラブルを起こしたりしています。自分で飲むときも他人に勧めるときも最初は十分注意して摂取して下さい。身体に良いからと言って多量に摂取して体調を崩すと、元に戻すのに大変です。
 まだ暑い日が続いています。身体全体のそれぞれの関節を一日一回は動かすと若返るそうです。動かさない関節の周りの血行が悪くなり、筋肉がこり、疲れ、肩こり、浮腫などが起きる原因になります。心と身体のバランスを巧く取って下さい。健康は「心身のバランス」から!!(行っていない男からの言葉です)
 胃は「湿に弱い」臓器、胃は「身体のエンジン」です。まだまだ蒸し暑い夏、胃の毎日のケアー、チューンアップをお忘れなく。秋は湿度が下がるので「食欲の秋」になります。

  

3,000mの丘よりヒマラヤ山脈を見る
(ネパールにて)


629号 2012年10月14日

(69)タマリンド マメ科

 アフリカの熱帯原産で、東南アジアなどで栽培されている、常緑の高木です。果実はいろんな国で見ていたのですが、花は見たことがありませんでした。今年9月にベトナムのカチチェン国立公園に行ったおり、近くの村で皆さんが聞き取り調査をしている時、私一人でブラブラしていたら、運良く農家の庭先で花を見つけ感動しました。果肉は甘酸っぱくて美味しいのですが、場所とか時期によって結構当たり外れがあります。一昨年の8月にラオスで食べたのは美味しかったです。
薬用としては、果肉を使います。中国では「酸角(さんかく) suan jiao、酸梅」などと言い、味は甘酸、性質は涼で、清熱、夏バテによる食欲不振の改善や妊娠嘔吐に用いるようです。また食べ過ぎると下痢をしますので注意をして下さい。
 タマリンドを初めて見たときはどのようにして食べるのか分かりませんでした。店の人に実演してもらっても、タマリンドの皮を割ると皮が果肉にくっつき、なかなか奇麗に割るのが大変です。また、口の中に入れるとデッカイ種が歯にあたります。これを巧く食べるのも少しコツが要りましたが、今では適当に味わっています。
 皮にはタンニンを含み少し渋味があります。また、種子の外皮にもタンニンがあるので噛むと渋味が出てきます。東南アジアで食べると美味しいのでしょうが、日本で食べても他の食材と味が合うかどうか分かりません。

 台風も無事に通過してくれました。本格的な秋です。少し涼しくなり、湿度も下がり過ごしやすくなりました。湿度が下がると胃の調子が良くなり「食欲の秋」になります。しかし逆に、肺や皮膚は乾燥には弱く、肺・咽を痛めたり、皮膚がカサカサするなどの症状が出てきます。胃は湿に弱く、肺(呼吸器系)や皮膚は乾きに弱いので、皆さん気をつけて下さい。


633号 2012年11月11日

(70)シオン キク科

 10月〜11月初め、庭に、青紫の色の花が咲いている家もあるのではないでしょうか。草丈は普通1m前後で、大きいものは2m位になります。シオンは漢字で「紫苑」と書くことが多く、万葉集には「オニノシコグサ」で出てきます。日本人にはなじみの園芸植物だったのかもしれません。
 根または根茎を薬用に用います。味は辛・苦く、性質は微温です。咳止め、去痰に用います。乾燥した根・根茎3〜10gを水300ccに加え、1/3になるまで煎じ、植物を除き1日3回に分けて飲むという民間療法もあります。飲んでおかしい時はやめて下さい。

 寒くなってきました。風邪(寒い風・冷えにより疾患)が多くなってきます。背中を冷やさないようにして下さい。もしゾクッときたら、ドテラでも着て背中を温めて、生姜湯でも飲んで下さい。咽からウイルスが入ることもあります。咽がイガイガしたら、ウガイを早めにして下さい。
・生姜湯の作り方
 片栗粉又は葛粉(中身はトウモロコシ澱粉又は甘藷澱粉)を水溶きして熱を加え、それに乾かしたショウガの粉(生のショウガの絞り汁でも良い)を入れ、とろみが出たら出来上がり。フーフーして少し冷やしながら咽を火傷しないように飲んで下さい。身体の芯から温まり、肌がしっとりするなど効果はバッチリです。もし甘味が必要なら、少しの黒砂糖、水飴が良いでしょう。
・乾燥したショウガの作り方
 ショウガの皮はそのままで、土だけ洗い流し、スライスして下さい。それを広げて天日で良く干して下さい。乾いたら粉砕器を用いて粉にして下さい。
・ウガイの水
 もし手元にあるのでしたら、濃い渋茶をお勧めします。一度は普通にウガイして、二度目はウガイした茶でゆっくり咽の裏を洗うように飲み込んで下さい。裏側にいるウイルスを弱らせることができます。
・風邪を引かない方法
足腰を冷やさないように長ズボンを履く。
背中を冷やさないように気をつける。
もしゾクッとしたら、すぐに背中を温め、暖かい所で安静にしておく。
熱が出るようだったら風邪薬を飲んで「安静にしておく」。
・漢方薬の風邪薬、葛根湯、麻黄湯の飲み方
 ゾクッときたら早めに頓服で飲む。最初飲んでから2回目を飲むまでの時間は2〜3時間とする。1日分を6〜9時間で飲む。汗が出て肌がしっとりしたら飲むのを止める。
・葛根湯はこのような症状のときに
 ゾクッ(寒気)とする。熱が少し出てくる。頭痛がする。少し肩が凝ったような感じがある。汗は出ない。
・麻黄湯はこのような症状のときに
 インフルエンザの様な症状で、発熱、頭痛、節々に痛みを感じる。汗は出ない。

 『風邪は万病の元』、風邪に気を付けて楽しい11月をお過ごし下さい。


637号 2012年12月9日

(71)トリカブト キンポウゲ科

 今月は毒が薬になる話しです。また、人は巧く毒を避け・除きながら有効利用している話しを少し紹介します。
 今月は猛毒の植物「トリカブト」です。今年も春先に山菜採りでトリカブトの若葉をニリンソウの葉と間違えて採取し、食べ亡くなった方がいます。しかし、漢方薬では減毒化したもの(附子)を処方に用います。新陳代謝の低下した方(だいたい50才以上)の冷えを改善し、身体を温める、すばらしい薬です。代表的な処方は「八味地黄丸」です。しかし、有毒ですので、絶対に個人では使用しないで下さい。

 植物は有毒な成分を含みます。園芸店で売っている物でも1/3位は毒草が有ります。花を愛でるだけ、触る位は大丈夫ですが、食べると死に至る物も売られています。しかし花は奇麗ですね。
 食べ物でも有毒な物があります。その代表的な一つが、発がん性の有るワラビでしょうか。牛も食べないものを人は食べています。灰汁抜きなど前処理をしてから食べて下さい。 
 また、ジャガイモも有毒植物です。芽、緑になった皮・肉を沢山食べると死ぬことが有ります。食糧難のヨーロッパで、食べる物が無く太陽の光にあたっていたジャガイモを食べて死んだ方がいます。ジャガイモの芽、緑になった皮・肉は食べるのを避けて下さい。死なないまでも嘔吐することがあります。親指位の小さいジャガイモも注意して下さい。沢山の水で湯でるなどして毒を除いて食べて下さい。有毒植物に入るトマトの有毒成分をネズミを用いて調べたら、そんなに強くありませんでした。トマトの未熟の果実でジャムを作ると結構美味しいですね。
 大豆も生で食べると下痢、嘔吐をします。小麦粉もそのままで食べると下痢、嘔吐をします。熱をかけた後に食べると大丈夫です。
 昔の方はいろんな知恵を持っていました。「知恵」は人の経験の中で起こる、例えば中毒した、亡くなったなど、何が原因で起こったのかを追求してきた結果です。

 寒くなってきました。ショウガ紅茶に水飴で甘みを付けて飲むと身体の芯から温まります。足が冷える人は「フクラハギ」の筋肉を動かして下さい。簡単な方法は、足先を上に持ち上げる、足のカカトを持ち上げるとよいでしょう。座っていても出来ますのでお試し下さい。
 手足が冷える人は、10秒間思い切り手足の指を開く、力を抜く、10秒間手足の指を握る、力を抜くを、繰り返してみて下さい。調子が良かったら続けて下さい!!


641号 2013年1月13日

(72)セリ セリ科

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 七草粥は食べられましたか?七草粥は、家の畑・冷蔵庫にある野菜を入れて簡単に作るお粥です。年末年始の暴飲暴食で疲れた胃を休めるためでもあります。たまにはエンジン(胃)をチューンアップして下さい。冬に胃を疲れさせると、夏バテの原因になります。
 肥後野菜に入っているセリは「水前寺セリ」で、水前寺の湧き水で育った物ですが、普通にあるセリと同じです。セリは薬草として全草を用います。味は甘辛、性質は涼です。効能は、中国の本には、清熱、水を利す作用が有り、発熱、黄疸、水腫、耳下腺炎などに、また、日本の民間薬では、健胃、整腸の作用が有ると言われています。
 しかし、胃腸の虚弱な人、お腹の冷えの強い人は食べてはいけないと記してあります。これは、セリの性質が涼性で、冷やすからです。炎症を起こしている、胃腸炎には良いと思います。七草粥の様に熱をかけて料理すれば冷やす作用も軽減され、また、お粥の熱で温めますので、弱った胃にはいいですね。
 春の七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)は毎年書きますので憶えられたと思います。「ホトケノザ」は、本当の名前は「コオニタビラコ」です。ホトケノザという名前の植物がありますが、有毒植物ですので間違えて食べないで下さい。
 生活の知恵、オバアちゃんの知恵は、全て「経験的統計学」によるものです。昨今「料理を科学する」ことが流行していますが、30年以上前に「料理を科学する」という本を買って読んだものです。経験的な料理方法は食材料に入っている良い成分を巧く利用する、悪い物は巧く除く方法でもあります。お年寄りの言うことには一理も二理もありますので、バカにしない方が良いと思います。たまには間違ったこともいわれますが、これは愛嬌で。

 話しが少しかわりますが、温泉の湯船に入る時、頭にタオルを乗せる人がいます。内風呂に入る時は、タオルは水で湿らせたモノを乗せ、頭を冷やし、のぼせて湯当たりするのを防ぎ、露天風呂に冬入る時は、暖かいタオルを頭に乗せ、頭が冷えすぎるのを防ぐ、昔からの生活の知恵です。

 肝腎要(肝心要)という言葉があります。肝臓、腎臓、心臓が丈夫であれば、人は元気なのかもしれません。また、身体の柔らかい人は病気になりにくいとも言われています。それは血の巡り、水の巡り、気の巡りが良いからかもしれません。


645号 2013年2月10日

(73)ダイコン アブラナ科

 春の七草の蘿蔔(すずしろ)です。今日2月10日は旧正月(春節)、2月の声を聞いたとたん暖かくなってきました。草花も花芽を膨らませています。植木市も始まり、三寒四温で暖かくなってきます。
 ダイコンの根(肥大根)は、すりおろすと特に辛くなります。これは細胞を壊すことによりカラシと同じ様な辛味の成分が酵素(タンパク質で出来ている)で分解され出来ます。切るだけですと辛味はほとんど出来ませんし、熱をかけると「酵素」は失活(機能を失う)しますので、煮物にした時、辛味はほとんど出ません。またダイコンの中には澱粉(デンプン)・多糖を分解する酵素(アミラーゼ)が入っていますので、澱粉の消化を助けます。この酵素を見るには納豆の糸が引かなくなるのを観察するのが良いですね。
 ダイコンの根(肥大根)は消化を助け、咳・咽の痛みを抑え、痰を除く、イライラした気分を落ち着かせ、種子は、咳・咽の痛みを抑え、痰を除く、消化を助け、葉も、消化を助けます。また、阿蘇の民間療法で、浴剤として風呂に入れ女性の冷えを予防します。面白いのは、牛の産後の親牛の胎盤などを出すのを促進するので、ダイコン葉の煮汁を牛に飲ませると産後が良いと今でも使っています。さらに干葉湯(ちばゆ)は、ダイコンの干した葉を浴剤として用いる習慣が各地であるようです。
 11月にNHKの朝イチで干葉湯(ちばゆ)を取り上げる予定だったのですが、国会中継が入り流れました。ダイコンの干した葉を風呂に入れると何故温まるのかという問合せがありました。辛味の成分が皮膚吸収し、血管を拡張、血流量を上げる可能性があるからだと思います。しかし、沢山入れ過ぎると、皮膚が「ピリピリ」しますので、皮膚の弱い人は注意して下さい。また、細かい毛がありますので、刺さるなどして、皮膚が痛くなることもありますので、アレルギーなどの皮膚疾患のある方は、注意して下さい。
 風呂に用いたい時、前もって大丈夫かどうか試す方法は、@煮出した液を布に浸し、腕につけてみる。これで問題なければ、A二の腕(脇の下の近く)につけてみる。これで問題なければ、Bお腹、脇腹につけてみる。これで問題なければ、C少し薄めの煮汁、または葉をネットに入れて風呂に入れる。
 葉は無農薬の物を使って下さい。無農薬のダイコンの葉、ニンジンの葉は抗酸化力が大変強いので、小さく切り、チリメンジャコと一緒にフライパンで炒って、ふりかけにすると美味しいです。子どもが喜んで食べ、骨粗鬆症の予防にも良いですね。


649号 2013年3月10日

(74)アンズ バラ科

 アンズ(杏)の花が早々と咲き始めました。平年に比べ2週間位早い開花です。昨年はあまり実を付けなかったので、今年は実りが多ければ良いなとピンクの花と蕾を見上げています。アンズで皆さんが良く知っているのは杏仁豆腐、アプリコットジャムなどの食べ物でしょうか?杏仁豆腐は、アンズの種子(硬い種を割って出て来る種子)の渋皮を剥いで、中の白い部分を粉末にし、寒天などを加えて作ります。独特の香りがしますね。これはアンズに含まれる有毒成分のアミグダリン(Amygdalin) が分解して出来るベンズアルデヒドという化合物の香りです。熟していない梅、アンズ、ビワ、桃などの果肉にもアミグダリン が含まれています。何故?理由は動物に食べられないためです。種子が熟すころには果肉も熟し、果肉の有毒成分は無くなり、動物に食べて下さいよと良い香りを発し、美味しそうな色に変わります。そうすると人を含めた動物が実を食べ、種を別の場所に運んでくれます。巧くいくと次の年に親木とは離れた場所で発芽することが出来、子孫を増やします。これは植物が身につけたすばらしい知恵です。熟していない実は、渋い、苦いなど美味しくありませんね。また、種子の周りについている茶色の皮は渋いです。渋皮には沢山のポリフェノールを含み、発芽するまでカビ、動物から種子を守っています。(すごい!!)
 アンズの薬用部位は種子の中の仁(じん)で、生薬名を杏仁 (キョウニン)と言います。形はハート型をしていて、桃仁(トウニン、モモの仁)、アーモンドと見分けがつきます。
 杏仁には、アミグダリン、脂肪油などが含まれます。
 杏仁は、味:甘、性質:温。漢方で、去痰、止咳、喘息発作の鎮咳に、腸を潤し通便することなどを目的に、潤腸湯、麻杏甘石湯、麻黄湯、清肺湯などに配合され、民間薬ではほとんど使いません。漢方処方でインフルエンザなどの風邪に用いる麻黄湯に入っています。
食べられる果肉は、熟すと糖分が増えるので滋養強壮に用いられましたが、昨今は糖の取り過ぎなので逆に良くないですね。
 5月になると良く熟れたアンズの果実が実ります。アンズジャム(アプリコットジャム)の作り方は、軸(果柄)を除き良く洗って、一晩、水でアク抜きをします。皮が嫌な人は皮を剥いても良いですが、私のように無精者は皮付きで、種子だけを除き、水の入った鍋に入れ軽く煮立てて水を捨て、果実をミキサーでつぶし鍋に移し、焦げ付かないように注意して弱火で煮て下さい。適当な時に砂糖を適量(好みの量)加え、気を付けて煮詰めて下さい。果実をあまりつぶしたくない時はミキサーでつぶすのを抜いて、鍋の中で直接つぶして下さい。おいしいジャムが出来ますように!


654号 2013年4月14日

(75ユスラウメ バラ科

 

 3月31日付けのワンネスにユスラウメの花の写真が掲載されていましたので、今月はユスラウメにしました。
 熊本市内では3月中頃に花を咲かせ、6月に赤い実が熟します。丁度田植えの時期に実を付けます。子どもの頃庭に実るユスラウメの実を食べたのを思い出します。和名の由来は、花が揺れるためユスルル(動)の意味だと書かれた本を見つけました。外国語では英語で「Nanking cherry, Chinese bush cherry」中国語で「英桃」と言われています。
 利用法は果肉を食べると甘くて美味しいです。食べ過ぎるとお腹を壊しますが。また果実を果実酒にすると色が綺麗ですね。ユスラウメの薬用名は「山桜桃(さんおうとう)」と言います。果実酒には疲労回復など、果肉にも疲労回復、下痢を治す。硬い種子の中の種(仁≒山桜桃核)は麻疹などの発疹を促し、治りを早めるなどと記してあります。
 昨今いろんな良い薬も出ていますので、あえて使うことはありませんが、もしかすると、果実酒で元気が出る人がいるかもしれませんね。もし元気になった人がいたら教えて下さい。
 同じ仲間でニワウメとういのがあります。ユスラウメと同じ時期に咲き、花はピンク、実は苦いです。仁を便秘、利尿等に用いると書いてあります。

 今年は花の咲くのが早いです。3月29日に一心行の桜が満開になったり、熊本大学薬学部のトキワマンサク、ボタンが満開、トビカズラ(アイラトビカズラの仲間)も咲き出すなど早過ぎます。実の留りはどうなのかなと思っております。少し自然がおかしいと人も体調を壊しがちです。心と身体のバランスを狂わせないように気を付けて下さい。

 話は変わります。便秘の解消に「えのき茸」のことをテレビで話していました。えのき茸を乾かすと裂きイカの様な味になるというので試してみました。電子レンジで温め乾かすとそれなりの味がします。えのき茸を乾かすと旨味は増します。含有成分も水分が飛ぶので10倍位に増えます。オリーブオイル、ピーナツバターなども便秘解消には良いようですが、ピーナツバターは食べ過ぎると、ニキビが出たり太りますので気をつけて下さい。摂取は控えめに、適量で、最後は食事だけにしましょう!

写真提供 ユスラウメ果実 磯田 進氏(山梨県)


658号 2013年5月12日

(76)クスノキ クスノキ科

 クスノキは熊本県の県木です。花の大きさは5mm位です。熊本城に樹齢数百年のクスノキが何本もありますね。昔は九州、高知などの暖かい地方でクスノキの材より樟脳(カンフル、カンファー、camphor)を生産していましたが、今ではほとんど生産されていません。樟脳は防虫剤として、また血行促進、鎮痛、消炎作用などを目的に薬用として用いられました。しかし昨今はほとんど使われません。
 中学校・高校の理科の実験で、クスノキの生葉を50g位取り、耐熱皿に入れ、上に丸底フラスコに水を入れた容器をクスノキの葉から3〜5cm位離してセットし、クスノキの葉が入った耐熱皿をブンゼンバーナーで緩やかに加熱すると、水分と共にカンフルが蒸発し、丸底のフラスコの底に水滴と共に冷えて付きます。丸底のフラスコの水を放置して飛ばすとカンフルの結晶が取れます。結構簡単に出来ますので、楽しい実験です!!
 熊本県の木は「クスノキ」、花は「リンドウ」、鳥は「ヒバリ」、魚は「クルマエビ」です。ホームページ:http://prf.uub.jp/symbol.html で、他の県のも見て憶えておくと話しの種になります。
 ひばりヶ丘区の皆さん、ヒバリが県鳥と知っていましたか?県花のリンドウは、秋の阿蘇の草原で、草地の境の日当りの少し良いところで濃い青色の花を咲かせます。4月29日に野焼きをした草地にサクラソウなどの花を見に行きましたら、リンドウの新芽が出ていました。リンドウの根は苦いので整腸、消化促進、健胃などとして薬用、食品に用います。

 皆さん、連休はいかがでしたか?私は4日間仕事、2日阿蘇へ植物の観察・調査、1日は孫を見に出かけました。間は講義などで大学です。貧乏暇無しです。
 阿蘇の草原を久しぶりに歩きましたら足の筋肉が疲れ、夜に「こむら返り」を起こしました。その時は「芍薬甘草湯」でおさめました。シャックリが止まらない時も効果があります。この前「喘息」で咳がひどくなった方で、まだ飲む余裕のある人に飲んでもらったら咳が止まりました。筋肉の痙攣を緩和するので効いてもおかしくないですね。素人療法はせず「薬剤師で漢方の分かる方」に聞いてから服用して下さい。
 ストレスは肝(肝臓)・胃腸を痛めます。5月は緑が鮮やかな季節です。阿蘇、菊池渓谷などに出かけ、緑を観て、ストレスを解消して胃腸を養生して下さい。


662号 2013年6月9日

(77)ギョウジャニンニク(ユリ科)

 ギョウジャニンニクは北海道から裏日本の日本海側の能登半島に自生し、修行で山歩きをする行者がギョウジャニンニクを食べ、元気に修行に励んだことから名前がつけられたと言われています。北海道などでは山菜としては人気ダントツのようですが、身体が弱って火照りのある人が食べると、頭痛、吐き気、逆上せなどが一層ひどくなるようですので、食べても少量にしておいた方が良いでしょう。
 香りはニンニク臭がします。ニンニクと同様の作用があると言われ、滋養・強壮を目的に、山菜として柔らかい4月末〜6月にかけて食べられます。また、少し硬くなっても食べることは可能です。食べるのは地上部の葉です。
 一度、広島のお好み焼き屋さんでお好み焼きにギョウジャニンニクが入ったのを食べました。最初はニンニク臭がしていましたが、多量に食べると本人は臭いが麻痺します。そのまま新幹線に乗って熊本まで帰りました。周りの人が何となく嫌な顔をしていたようですが、気にせず寝てしまいました。家に帰ってすぐ「ニンニク臭い。何を食べたの」と言われ、新幹線での怪訝な顔はニンニク臭かと反省しましたが、後の祭りだったことを思い出します。
 家の庭に能登産のギョウジャニンニクが10株位、ポットに植わっていますが、増えもせず、年々少なくなっているような気がします。夏の暑さに弱いからでしょうか?

 

 ニンニクを常食すると、血液が壊れ貧血になるというデータもあります。たまに食べるのは良いとして、毎日食べるのは控えた方が良いかもしれません。「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」でしょうか。

 暑くなると「寝冷え」をし、お腹を冷やし、夏風邪を引きます。夏風邪は冬の風邪と違い、熱は余り高くなく、流れるような鼻水、下痢などお腹の調子が悪くなります。腹を冷やさないように生活して下さい。子どもは金太郎さんのような「腹当て」か、寅さんのような「腹巻き」をするとよいでしょう。中(臍の周り)を冷やさないようにすると夏風邪にはかかりにくいです。ただ、夏でもクーラーで冬の風邪(感冒)を引きますので「首から腰のラインを冷やさない」ように注意しましょう。
 さらに、暑い梅雨になると冷たいものを飲食しすぎて胃腸が弱ってきます。たまには温かいお茶を飲み、鍋料理でも食べて胃腸を温めましょう。皆様の御健康をお祈りします。


667号 2013年7月14日

(78)ニンジン(キャロット)セリ科

 今日は、菊陽町特産のニンジンを取り上げます。ニンジンは「緑黄色野菜の王様」と言われる野菜です。菊陽町で栽培が多くなったのは昭和40年後半から、昭和53年には“国の指定産地”に認定され、以来『菊陽人参』のブランド名で全国へ向けて出荷されていると菊陽町のホームページに書いてあります。
 ニンジン(地下部、肥大した根)には黄色の色素カロテノイド類(主にβカロテン)が多く含まれ、抗酸化力が強く、動脈硬化の予防、免疫力の向上などに良いと言われています。本を調べると他に「美肌効果、高血圧予防、便秘解消、目の健康に」などが書いてあります。
 普通は捨てる地上部の葉に大変強い抗酸化活性があり、細胞レベルでの抗腫瘍活性、消臭効果などが報告されています。ポリフェノール(フラボノイド類、クロロゲン酸など)が多いのが特徴です。無農薬栽培の地上部を手に入れたら、天ぷらや小さく切ってチリメンジャコと一緒に炒めて振りかけ風にして食べるのもカルシウム補給に、子どもさんの野菜補給に良いのではと思います。骨粗鬆症の予防には、干し椎茸を粉にしたものを一緒に入れると良いでしょう。ダイコンの葉も抗酸化力が強いので、秋に手に入ればニンジンと同じように振りかけにすると良いでしょう。ニンジンやダイコン葉とジャコ炒めの振りかけは子ども達も喜んで食べますね。ジャコから鉄分やカルシウムなどのミネラル、葉から植物繊維や抗酸化成分のポリフェノールなどが多く摂取できます。
 カロテノイドはビタミンAの前駆体です。ビタミンAの不足で、今はほとんど見かけませんが、夜盲症(夜見えにくい)になることがあります。現在はニンジンの他にトマト、パプリカ、黄色のサツマイモなどの黄赤色野菜が多いので夜盲症になる人も日本ではいないでしょうが、アフリカでは沢山発病しているそうです。私の友人が黄色いサツマイモをアフリカで栽培普及するのだと言っていました。菊陽町でも栽培されているスイオウというサツマイモ(地上部を食用にする)の葉の成分にエイズウイルスを弱らせる効果があるとの報告が有り、一時期話題になったことがあります。サツマイモの地上部には今コーヒーで宣伝されている脂質代謝を亢進するクロロゲン酸類が多く含まれています。
 クロロゲン酸はスイゼンジナにも多く含まれます。スイゼンジナ一束を水1L位に、酢又はクエン酸を少し加え15分位煮て、半日放置(冬は一晩)して良く絞った絞り汁を1日で飲むと、血圧が正常値に、シミが消えた、血糖値が下がった、皮膚疾患が改善、肝臓の値が改善、コレステロール値が下がった、肩こりが無くなったなど体調が良くなると御船町がパンフレット『話題の健康野菜水前寺菜』を作りました。試してみるのも良いかもしれませんね。


671号 2013年8月11日

(79)アサガオ(ヒルガオ科) ・ スイゼンジナ (キク科)

 

 まず、花が咲きだしたアサガオです。種子に瀉下作用を有する化合物を含みます。薬用は、種子を牽牛子(けんごし)と言い、中国の処方の八味疝気丸、牽牛散などに配合されます。もし単独で便秘解消に利用される時は、種をつぶして飲んで下さい。きちんとつぶして用いるようにしないと効果はありません。

 

 

 

 次は2008年6月416号で一度書きました肥後の野菜15種の中の「スイゼンジナ(水前寺菜)」です。沖縄ではハンダマ、金沢(加賀の野菜)では金時草(きんじそう)といいます。葉の裏が濃い紫で表が緑、綺麗な葉野菜で、一年を通して野菜屋さんに出ています。一袋100円前後です。料理の仕方が分からないので余り買う人が少ないのですが、おいしい野菜です。調理法は葉を10秒位湯通しします。長すぎると黒くなります。酢の入った、例えばモズク酢と和えたり、サラダで食べるのもおいしいです。色素(アントシアン)を沸騰させて煮だし、桜御飯のようにしたり、ジュースやゼリーにするのも良いですね。
 また、御船町の生産者、田崎市場の大同青果の方々の健康体験記によれば、スイゼンジナのジュース(1日分:1袋を1リットル位で煮たて、酢かクエン酸を少し入れ一夜置き、ガーゼで良く絞る)を冷やして毎日飲むと、@シミが少なくなった A血圧が下がったB血糖値が普通になった C肝臓の数値が改善した Dコレステロール値が正常に戻った E肩こりが治ったなどの報告があります。
 また、スイゼンジナには、機能性食品で宣伝しているコーヒーに入っているクロロゲン酸も沢山含まれています。クロロゲン酸はサツマイモの葉にも大変多く、脂肪の気になる方は、身近にある「スイゼンジナ、サツマイモの葉」を飲食するのも良いかもしれません。
 スイゼンジナの料理のレシピ、体験談は、御船町が出している「話題の健康食品水前寺菜」の冊子に出ていますので、欲しい人は御船町役場にもらいに行って下さい。
 ただし、健康に良いからといって取り過ぎますと、肝臓などを痛めることがありますので、取り過ぎには注意しましょう。食は満遍なく、健康食品は少し多めに。熱中症に気をつけて暑い夏をのりきりましょう。


674号 2013年9月8日

(80)ニラ  ユリ科

 皆さん、ニラ(韮)を使った料理は何が好きですか?私は「レバニラ炒め」です。思い出すのは韓国で買った「ニラキムチ」です。美味しかったですね。
 薬用では種子を韮子(きゅうし)と言い、強壮、強精、下痢止めに、一日2〜5gをつぶしてぬるま湯で服用します。また、頻尿(尿の回数が異常に多い)や腰痛に一回30粒(種子をつぶして使用)をぬるま湯で飲むと効果があると言われています。新鮮な葉は強壮・強精、下痢止めに良いと言われています。鱗茎(地下部)はすりおろして、人差し指大(2〜3g)に丸めそのまま飲むか、飲みにくければオブラートに包んで飲むと下痢止め、身体を温める効果が有ると言われています。
 食用で葉を4〜5月頃に切りますと、3回位葉を出しますが、花がほとんど咲きません。花を咲かして種子を取る場合は葉を切らずに育てましょう。種子を100g集めるのは結構大変です。もし用いるなら、頑張って種子を集めて下さい。
 ニラの種子は量が少ないので、沢山収穫できる野菜の話しをしましょう。「トマトが熟れると医者が青くなる」という言葉があります。旬の野菜、果物が熟して、それを食べると健康になり、病気をしにくいので医者に行かなくなると言う話です。トマトは今が旬ですね。良く熟れたトマトを毎日50〜100g、子どもさんは10〜20gを食べると夏バテにも良いと思います。
 また、熟したトマトを水を使わずジャムにしたり、煮て食べるのも美味しいですね。さらに緑の熟れていないトマトでジャムを作っても結構甘くて美味しいです。
 ニラの種子で頻尿が治ることがあると書きました。その逆のオシッコの出にくい時の利尿効果に、トウモロコシの毛(花柱)を乾燥したものがよいでしょう。用い方は、1日5〜10gを500ccの水に入れ、弱火で半分位に煎じ、ろ過して3回に分けて飲みます。または、イグサの粉を飲むのも良いと思います。「いぐさ野菜の粉」は、八代の方が20年位前から無農薬のイグサを栽培し作られ、この辺りなら近くでは大津の道の駅で売っています(冷蔵庫の中に保存してあるようです)お試し下さい。
 9月に入り少し涼しくなってきました。胃の調子を元に戻し(元気にし)、食欲の秋ですので、食べ過ぎてまた胃を弱らせないように気を付けて下さい。夏バテを放置しておくと冬風邪を引きやすくなります。「胃は車のエンジンと同じです。メンテナンスをお忘れなく」皆様の御健康をお祈りします。

 今年も8月20日〜30日、ネパールに出かけました。また後日ご報告いたします。お楽しみに。


679号 2013年10月13日

(81)ヒガンバナ ユリ科

 彼岸が近づくと真っ赤な花が土の中から現れます。1年を刻む時計を球根の中に持っているかのようです。昔は水田の畦に穴を掘るモグラを避けるのに植えられたり、土葬の墓の回りに植えられていました。理由は、モグラ、野犬が嫌う毒草(有毒植物)だからです。しかし、昨今は、花が鮮やかな赤で綺麗だからとあちこちで植えられています。花を愛でる(めでる)だけなら良いのですが、たまに「ヒガンバナの球根を食べてみたい」との問合せが有ります。確かに食べることが出来ますが、大変で時間のむだだと思い、それなりに対応しています。ヒガンバナの球根は食べ物が無い時に食べた救荒植物として知られています。有毒成分(ひどいときは死ぬ)が入っていますが、水で何回もさらし、澱粉だけをきちんと取ると食べることが出来ます。いつも質問で「何回位“さらす”と、食べれますか?」と聞かれますが「自分はしたこと無いので分かりません」としか答えていません。水洗いが悪いと嘔吐、痺れなどの中毒症状が出ますので、安易に食べようなどと思わないで下さい。
  しかし、外用薬として、用いると大変良い効果を示します。どちらも有毒植物の「トウゴマの種子」と「ヒガンバナの球根」の皮を除き、1:1の割合で混ぜ(小さく切って)、すりつぶします。ペースト状にし、布(ガーゼなど)に挿み、土踏まずに貼り(皮膚に直接つけないこと)ます。何に効くかと言いますと「膝に水が貯まった時、時には腹水がたまった時」にその水を減してくれます。特に「膝に水が貯まった時」は良く効きます。貼る場所は「土踏まず」です。間違えないように。また、どちらも有毒ですので、食用に用いる、包丁、まな板、すり鉢、すりこぎなどは絶対に使用しないで下さい。また、口に入れないで下さい。
 普通食べ物に用いている、果物、野菜の中にも多くの有毒植物があります。ジャガイモ、大豆、小豆、インゲン(白花)豆、ナタ豆、コンニャク、里芋、キャッサバ(タピオカ澱粉の元)、梅、杏、ビワ、ワラビ、モロヘイヤなど。人は前処理(調理、部位を選ぶ)をして、巧く毒を少なくして食しています。調理せずに生で食べるのは避けた方が良い食材や、可食部分をきちんと選ぶ食材も沢山あります。昔から伝わる調理の仕方は人が中毒してそれを防ぐために行われていることも多々有りますので、その点も加味して料理をしましょう。
 安心の調理法で料理し、美味しく楽しく食べましょう。


683号 2013年11月10日

(82)センブリ リンドウ科

 センブリ(千振り)は、「千回振っても(煮だしても)苦い」ことから名前がつけられたと言われています。阿蘇の外輪山に沢山ありましたが、20年以上前に取り過ぎて激減しました。白い花が目立つ、10月〜11月の初めの花の時期に採取してしまうからです。
 センブリは2年草です。発芽して最初の1年目は、ロゼット(4枚の葉)状で地面にくっついています。2年目に茎を伸ばし、花を咲かせ、種子を付けます。種子が落ちないと薬用で用いるセンブリは出来ません。皆さんがこの時期に阿蘇の草原でセンブリを採取すると2年後にはほとんど無くなります。これを繰り返してきましたので、阿蘇の草原にはセンブリがほとんど無くなり、希少植物になっています。子ども、孫、曾孫と長く伝えるために、植物の採取は十分注意して下さい。センブリの採取は種子が熟した時期の11月終り頃に種子を回りに落として採取します。薬用の効果は変わりません。
 センブリは薬用としては全草を用い、生薬名を当薬(トウヤク)と言います。一度飲んだことのある人は忘れられない苦味でしょう。薬草、漢方薬は煎じて飲むものが多く、センブリもその一つです。苦いと、唾液とともに胃酸も分泌され、食欲を促進しますので苦味健胃薬(くみけんいやく)として 用いられます。苦味が胃の消化を助けることからついた4文字熟語です。リンドウ科の植物はだいたい苦く、熊本の県花の「リンドウ」も根を竜胆(りゅうたん)と言い、胆汁のように苦いので苦味健胃薬に使われます。
 苦いものは胃腸が弱った時に、食すると消化を助け胃腸を元気にします。夏のニガウリも夏バテで胃が弱った時に、消化を助ける健胃薬です。巧く使って下さい。秋の味覚である柿、梨は身体を冷やします。食べ過ぎないようにしましょう。もし沢山食べた後は温かいスープでも飲んで胃腸を温めて下さい。
 寒暖の差が激しくなり、風邪を引きやすくなっていると思います。胃腸を冷やし、夏バテをして胃腸が弱っている人は、特に風邪を引きやすくなります。身体を冷やさないようにし、胃腸を温めてください。心身を温める一番簡単の料理は「鍋」ですね。旬の野菜を沢山入れた鍋で身体を温めましょう。多くの人で鍋を囲むと話しも弾み、楽しく元気になります。
 話し変わって、牛は草しか食べませんが、カルシウムたっぷりの牛乳を作ります。霜降り肉はメタボ肉です。霜降り肉の牛は長生きしません。メタボ肉(脂の多い肉)を食べてメタボにならないように注意して下さい。骨粗鬆症を防ぐには、@阿蘇の草原の牛のように、毎日運動をする。A牛と同じように、毎日草(野菜)をたっぷり食べることでしょうか。皆様の健康をお祈りします。


687号 2013年12月8日

(83)サフラン アヤメ科

 サフランは、クロッカスの仲間ですが、3本に割れた雌しべの赤いところを、食用・薬用に用います。1kgが30万円〜100万円もする高価なものです。地中海沿岸地域の代表的な海鮮料理「ブイヤベース」などに用います。ヨーロッパ〜中近東で生産されますが、昨今は品質が落ちたとも言われています。しかし、大分県竹田市で100年以上前から生産されているサフランは品質が良いものが維持され、独特の栽培法で、米の収穫が終わった後の11月に、雌しべをコタツの中で摘み取り、乾燥し出荷しています。豊後竹田の道の駅でサフランを購入すると普通の2倍位入ったものが1000円位で手に入ります。色素量も2倍位ですのでお得です。

 薬用としては、鎮静、鎮痛、通経薬(生理を正常にする)として女性の生理不順、生理痛の改善などに用いますが、妊娠している人は流産する可能性がありますので注意して下さい。産婦人科でも良く使われています。またアルコ−ルによる知能障害を回復させるなどの作用がネズミを用いた実験で明らかになっています。サフラン酒にすると、たいへん可憐な薄い赤色のカクテルが味わえます。寝付きが良くなるかも知れません。
 サフランと同じ色素を含んでいるのが「クチナシの実」です。量的には1/10位で、香りも違いますが、同じような薬用効果が期待できます。クチナシの果実は、食用でも、クチナシライス(大分県では黄金ライス)、栗キントンの色付けなどに用います。
 サフランの仲間の「イヌサフラン」は、薬用植物ですが「有毒植物」です。食べると死にますので、花を愛でるだけにして下さい。

 今、熊本大学薬学部の薬用植物園では「ヒマラヤ桜」が咲き始めました。12月中は咲いていると思います。お時間がありましたら、お立ち寄り下さい。
 ヒマラヤ桜は薬用として、樹皮を浮腫の解消などに用いるようです。
 来年も良い年でありますように。皆様良いお年をお迎え下さい。


692号 2014年1月12日

(84)クコ ナス科

 明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
 元旦に「屠蘇」を飲まれましたか? 七日に「七草粥」は食べられましたか? 長生きするために、身体の「冷え」を除き風邪を吹き飛ばし、「胃腸」を整え元気に普通にし、たまには解毒を毎日している「肝臓」を休めてやって下さい。

(クコの花)  (クコの実)

 今月は「クコ(枸杞)」です。熊本では12月に入り赤い実がなっています。青紫色の花を咲かせます。果実(枸杞子)は、中華料理、薬膳料理によく使われます。枸杞子は強壮、肝腎の滋養に、根皮は解熱薬として用います。中国の本に「春、枸杞の葉を採り、夏、花を採り、秋、実を採り、冬、根を採り、いずれも陰干しにして一夜酒につけてひきあげ、それらを四十九日間、日精月華の気をとり(日夜干し自然のエネルギーをもらい)、乾くのを待って粉末とし、蜂蜜で練って小指大にまるめ、それを朝夕一丸ずつ飲む。これを地仙丹と名付け、昔、仙人が、百歳を越えた老人に飲ませたところ、歩くこと飛ぶが如く、白髪も黒くなり、抜けた歯もさらに生え、陽事も壮者をしのぐほどであった」との文章があります。大変大げさですが、嘘ではないかもしれません。毎日枸杞の実を食べてみては如何でしょうか。
 インフルエンザが流行しています。予防接種を受けに患者さんの多い病院に行き、風邪をもらってこないようにしましょう。予防接種の免疫が出来るのは1〜2週間かかりますので、やはり養生が必要です。「風邪は万病の元」ゾクッときたら、すぐ風邪薬で対処を。冬は「カバンに風邪薬を入れておく」。後から医者にいくのではなく「ゾクッときたら、間髪入れず対処」して下さい。素早い自己管理、自己対応で風邪は防げます。
 嘔吐下痢症には「五苓散」を、家に準備しておき、嘔吐、下痢をしたら、すぐ飲んで下さい。子どもさんに飲ませて吐いても、一度は胃に入っていますので、少しは吸収されています。子どもの場合、大人の一包を飲み終わる頃にはだいぶ楽になっているはずです。頓服です。また、1〜2時間おきに飲んで下さい。
 今年は寒そうです。久しぶりに雪でも積るかな。野菜の根、葉、茎、種子と脂の少ない肉・魚を食べて(鍋料理が温まります)、毎日の皮膚の乾布摩擦、朝夕のラジオ体操をして免疫力をアップし、風邪を引かないようにして下さい。
 心が幸福な一年をお過ごし下さい。


696号 2014年2月9日

(85)ヒマワリ キク科

 冬にヒマワリが咲いています。場所は味噌天神近くの「熊本大学薬学部の薬用植物園」の中です。「冬のヒマワリ」も可憐です。向日葵(ヒマワリ)は、アンデスの「太陽の神」と結び付く花で、南米ペルーの国花にもなっています。
 薬用植物、食用植物として用いられ、主に食用の「ヒマワリ油」の原料としてロシア南部、ウクライナ、アルゼンチン、フランスなどで栽培されています。また、中国等ではヒマワリの種子をお菓子として食べる習慣が有ります。薬用としてはほとんどの部位を薬用とし、

◆花
  目をよく見えるようにする、目のくらみ、顔の腫れ、健胃に。
◆果穀
耳鳴りなど。
◆花托(種子が付いていた花床)
 頭痛、目のくらみ、止痛など。
◆茎髄
 尿路結石、小便不利など。
◆根
 止痛、打撲など。
◆種子
  膿みを除く。出血性の下痢を治す。
◆葉
  苦味健胃などに用いる。

  と、中国の本等に書いてあります。また、日本の民間薬として、種子を出血性の下痢に、1日量15g位に水400ccを加えて煎じ、約半量まで煮つめた煎液を3回に分けて服用。 また、熟した種子の花托を、刻んで日干し、高血圧、めまいなどに1日量60g位を煎じて3回に分け服用などがあります。
 色んな植物、動物、鉱物、菌類の部位が薬用として用いられます。本に薬用として用いる植物、その部位、一日の利用量等が書かれています。守って利用して下さい。効くからと言って飲み過ぎは、肝臓を痛める元です。薬・健康食品は、良くなってきたら量を減し、最後は飲まないようにして下さい。

 今年に入り「嘔吐下痢症」が全国で流行しています。もし、嘔吐、下痢をしたときは、漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」をお勧めします。抗菌性はほとんど無いようですが、嘔吐・下痢を緩和してくれ、乳児〜高齢者まで利用できます。我が家の子ども達、孫も嘔吐下痢のときは「五苓散」で軽減してひどい目にほとんど合わなくてすんでいます。予防には使えませんので、症状が出たら飲んで下さい。ただし症状は無くなったら「飲むのを止め」て下さい。
 人は本来、体内に不要なものを外に出そうとします。その超特急の状態が「嘔吐、下痢」です。ですから、無理やり止めますと、不要のものが体内に残り、それで中毒を起こすことが有ります。五苓散は体内の水をコントロールする目的で処方される漢方薬です。水が不足している所に足す、多い所から少ない所に移動させ、余ればオシッコに出すわけです。身体・心(心身)は不思議ですね。心身をご自愛下さい。


700号 2014年3月9日

(86)温州みかん ミカン科

   

 私たちが普通に食べているミカンは「温州みかん」と言われています。温州の名前は、中国の温州から来ているとのこと。ただ温州みかんは日本原産で、鹿児島県出水の長島で1500年代に生産されていたと考えられています。
 その温州ミカンの皮を陳皮(ちんぴ)と言い、味は辛苦、性質は温性です。陳皮は漢方薬で、胃腸機能を調え、気を調和する、湿を除き去痰する等を目的として、胸腹部の膨満感、食欲不振、嘔吐等の改善に、平胃散、補中益気湯、抑肝散など40処方以上に配合されています。民間薬では、浴剤、健胃薬としてお茶に用いています。皮膚の弱い人は浴剤として用いるとき、多すぎると刺激が有りますので気を付けて下さい。ミカン風呂は出てからポカポカして湯冷めしにくいですね。
 陳皮の「陳」は古いという意味で、新しいものよりも1年位経過したものが漢方薬に使用するには良いと言われていますが、昨今は香りの良い新しいのが入ってきます。新しいものは芳香性健胃効果が良いのでしょうが、ただ胃の弱った方には少し刺激が強いかもしれません。古いのと新しいのでは効果はどう違うのか余りはっきり判っていません。
 また、皮は温性ですが、食べる果肉は涼性です。胃腸の弱い人・冷え性の方がミカンを食べ過ぎますと冷えが増し、また胃腸の調子も悪くなります。食べすぎには気を付けて下さい。白い繊維の部分の性質は平(温めも冷やしもしない)と言われています。袋・白い所は繊維が多いので、便通などに良いのではと思います。ミカンを食べ過ぎますと手などが黄色くなることが有ります。ミカンの色素成分によるものです。食べるのを減らすとそのうち元に戻ります。ミカン類の皮を、お茶、浴湯などに用いるときは無農薬のミカンの皮を利用して下さい。普通のミカンは結構農薬を使っているものがあります。
 薬とミカン類との注意が知られています。グレープフルーツ、晩白柚など、大型のミカンはカルシウム拮抗作用を持つ高血圧、狭心症などの薬の効果が強くなりすぎ、薬剤師の方に良く相談し食事などに気を付けて下さい。
 私も何ヵ所かの病院にかかり、薬をもらうようになりました。いつもお薬手帳を忘れています。保険証をIC化して、薬局で薬のデータが共用できるようになれば、保健医療費の削減、患者の金の無駄遣いの軽減、さらに残った薬での自殺行為の撲滅に大いに貢献できるのではと思いました。


705号 2014年4月13日

(87)ウイキョウ(フェンネル) セリ科

 ソメイヨシノの花も終り、ツツジ、フジが咲き始めました。皆様、花見をされましたか?
 ウイキョウは、エジプト時代から栽培されていたという記録が有る古い植物です。薬用、食用として全ての部位が用いられます。甘い香で、食べると甘い種類も有ります。熊本大学薬学部の薬用植物園にあるウイキョウの葉、種子を噛むと甘いです。一度味わいにおいで下さい。
 食用ではフェンネルといい、種子を主に、スパイス(香辛料)としてそのまま、又は粉末を魚・肉料理のソースの風味添え、臭い消しに、また、ハーブティーに用います。根株が肥大したフローレンスフェンネルなどは、肥大した部分を食用としてサラダ、煮物などに用います。
 薬用としては、種子を芳香性健胃薬として消化促進、お腹のガス抜きに、血行促進、抗炎症、去痰、利尿等を目的に用いられます。飲み方は、一日5〜10gを水400〜500ccに加え、半量位になるまで加熱し、滓を除き、1/3量に分け、一日3回服用します。
 あまり寒いところは適しませんが、菊陽町の庭では簡単に栽培できます。苗を購入して植えてみるのも良いと思います。もし詳しい栽培のことを聞きたい時は、宇土市の恵理ハーブ園に尋ねてみて下さい。
 家の庭は3月に入り、サンシュユ、コブシ、ヤマザクラ、ユキヤナギ、コデマリ、チョウセンレンギョウ、トキワマンサク、ニワトコ、ヤマモモの木の花が咲き、足元の草花ではハナダイコン、シャガ、ハシリドコロ、エンゴサク等々が咲きました。サンショウも芽を出し、木の芽和えに丁度良いぐらいです。春は花で賑やかですが、夏は蚊が一杯いて、外で水やりをするのも大変です。丁度良い季節なので、久しぶりに庭でバーベキューでもしようかなと考えています。
 消費税が8%に上がりましたが、外国では10%、15%、20%等有ります。しかし、普通の食料品には消費税がかからない国も多く、日本もそうなってくれると嬉しいのですが。
 買いだめをした人は、きちんとリストを作って、全部使わないと無駄になりますので、棚貯蓄をしないようにしましょう!!


712号 2014年6月8日

(88)ウメ  バラ科

  

梅を今まで書いていなかったのにはビックリしました。庭の梅が大きくなり、ビワが色付き始めました。
 今月は「ウメ」です。ウメは春(1〜2月)に花を楽しみ、梅雨の前に青梅を梅酒、さらにもう少し熟して梅干しにします。万葉の歌の中に烏梅(ウバイ)などとあるのは薬用の梅のことです。ウメの花は歌詠みの関心の的であったようですが、烏梅のように真っ黒のものを歌に詠んだのは面白いので不思議です。烏梅の中国読みの「うめい」から「ウメ(ムメ)」になったといわれています。烏梅、梅干しは昔から、保存食、薬として用いられてきました。疲労回復、健康保持、風邪、整腸などに用います。バラ科の仲間はシアン配糖体(青酸配糖体、amygdalin)を含みます。未熟の時は、果肉にも、種子は完熟しても入っています。遺伝子を守る植物の防御物質です。その青酸配糖体は薬用として鎮咳、去痰作用があります。今熟れているビワの種にも青酸配糖体が入っています。沢山食べると中毒しますので、もし利用する時は、一日1〜2粒にして下さい。
 また、梅酒を作った時は、1ヵ月位は飲まないようにして下さい。青酸配糖体が分解して青酸が出ています。それにより吐き気などをおこすことがありますので、焦らずに浸かるまでゆっくり待って下さい。青酸配糖体が分解すると「杏仁豆腐の香り」がします。バラ科のアンズ、サクランボ等にも含まれますので、未熟果実を沢山食べたり種子を食べるのは避けて下さい。中毒の原因になります。
 近ごろの梅干し(と呼べるでしょうか?)は、ほとんどが味付け梅です。ひどいものになると、中国から塩漬けのウメを輸入し、その塩を水で除き(中の成分も一緒に無くなる)、それに添加物を加え味付けしたものが「味付け梅」「カリカリ梅」などで売られています。添加物の塊のようなものもありますので買うときは、内容説明表示を確認するなどの注意が必要です。
 近くではクワの実が色付いています。美味しいですが、沢山食べますとお腹を壊し下痢するので程々に美味しく食べて下さい。クワの実を食べてお母さんに怒られたことのある方も多いと思います。理由は思い出して下さい。今の子どもさんは食べません。あんな美味しいものを何故食べないのだろうと思いますが、食べさせてもらっていないからか?野生のものは汚いという感覚なのか?自然の中で生かされている人として寂しい気がします。
『冷たいものの飲食で夏バテしないように!』


717号 2014年7月13日

(89)イチジク クワ科

熊本城「昭君の間」天井画     

 和名の由来は、一熟(いちじゅく)で、一ヵ月で熟す、毎日一個熟す、いち早く熟すから、などと言われています。別名で「唐柿」「なんばんがき」とも言われ、漢字では「無花果」と書きます。既に熟していますが、季題は秋になっています。
 栽培果樹としては世界で最も古いと言われ、紀元前2000年頃から地中海沿岸で栽培されたとされ、我が国には江戸時代に長崎に渡来しました。日本では昔、屋敷内に無花果を植えると病人が出る、無花果と書くので子供が出来ず子孫が絶える、との迷信で嫌われてきました。聖書にはイチジクが頻繁に出てきます。アダムとイブが食べた禁断の木の実はイチジクです。また二人が裸でいることに気づきイチジクの葉をつけたとも言われています。また古代エジプトではイチジクは多産の木として神に捧げられたようです。イチジクは果実を割ると中に沢山の花がありますが、種子は出来ないようなので、挿し木で増やします。
 果実は生食、ドライフルーツ、シロップ漬け、ジャムなどにして食べます。特殊な利用法として、コーヒー、酒の原料、日本では漬物、酢味噌和えにして食べることもあります。
 乾燥した葉を袋につめ、浴湯料として神経痛、痔などに、乾燥した果実は便秘解消に、乳汁はイボ取りに効果があると言われています。ですから生の果実を沢山食べるとお腹を壊しますので注意して下さい。また、生の果実にはタンパク分解酵素が含まれます。皮膚の弱い人が食べると、唇・咽が「イガイガ」することがあります。他に「タンパク分解酵素」の入っているものは、メロン、パインアップル、ヤマノイモ、キウイフルーツ、サルナシなどがあります。皮膚の弱い人は気を付けましょう。タンパク質ですので、熱をかければ大丈夫です。
 先日、木の剪定をしていたら、イラガか、チャドクガの幼虫の被害にあいました。激痛が走りましたが、近くにあった「ヤブガラシ」を揉んで、ヌルヌルする汁を塗りつけましたら、1分位で痛み・カユミは消えました。私のカユミ止めの特効薬です。ヤブガラシは50%位の人しか効果はありません。他にアサガオの葉、ドクダミ、スベリヒユ、アロエなど色々あります。カユミ止めに良い草を見つけておくと、野外で便利です。
 蒸し暑くなってきました。胃腸の調子を落とさないように、心身をご自愛下さい。


721号 2014年8月10日

(90)薬用ニンジン(オタネニンジン) ウコギ科

  キャロットと英語で言われる、菊陽町の名産の「ニンジン(セリ科)」とは異なり、貴重な生薬(しょうやく)として漢方薬に配合されます。
 韓国では強壮等を目的として鍋料理の参鶏湯(サムゲタン)などに食用として用います。
 薬用人参の根を、そのまま干したものを白参(はくじん)、蒸した紅参(こうじん、長期保存に)といます。どちらも元気を補い(強壮効果)、虚脱を治し(疲労回復)、精神を安定する等の作用があるとして、冷えて胃腸の弱った人の胃を温め、動きを良くし食欲を増す等を目的に、人参湯、大建中湯(イレウス、腸閉塞の予防に)など、漢方処方の1/4位の多くの処方に配合されます。
 食用として食べる時は、余りにも元気な人は鼻血を出すことがありますので注意して下さい。また子どもが食べると、逆上せ(のぼせ)、イライラの原因となり集中力が低下することがあります。人によっては血圧をあげることがありますので、高血圧の方は気を付けて利用して下さい。
 昔の皇帝が、不老長寿の薬として見つけた薬草の一つが薬用ニンジンと言われています。しかし、これを飲んだからといって死なないわけではありません。皇帝は贅沢食で生活習慣病の方が多かったようです。また、薬用人参を取り合って争いごとが起きたとも言われています。争うごとは避けたいですね。
 健康維持は、健康食品に頼るより、いろんな生活習慣、食生活、ストレス解消に気を付けた方が長生きできるのかもしれません。情報に振り回されず「良い加減」に生活して下さい。
 6月下旬にスリランカ、7月初めネパールに出かけてきました。コロンボ大学の生協で食べたカレー(日本円で50円、美味しかったです。紅茶一杯4円)の皿はラップで貼ってあり、エコの食器でした。東北の震災時 or コロンボ大学のどちらが先でしょうか?ネパールでは葉の食器が使われています。更にエコですね!!