矢原正治 @


342号 2006年12月10日

(1)生活の中の薬用植物

 初めて文章でお目にかかります。ひばりヶ丘の矢原正治と言います。よろしくお願いします。菊陽町に引っ越してきて14年目になります。我が家の庭にサフランの花が咲いています。雌しべを食品、さらに痛み止めなどの薬用に用いています。

◆まず始めに
 連載の題を“薬草”としないで“薬用植物”と少し硬い言葉を使います。何故なら薬用になる植物には、草も木もあるからです。ハーブは薬用植物のことですが、昨今は狭い範囲で芳香のある草を指すようになっています。漢方薬で用いられる生薬(しょうやく)は、草、木、動物、鉱物を基源とするものがあります。
 動物、鉱物を薬に?などと思われる人もいるかも知れませんが、動物では少々特殊なものでムカデ、タツノオトシゴ、ナマコなど、鉱物も沢山ありますが、石膏(骨折した時に用いるギブスに)牡蠣(ぼれい、カキの殻)で神経の興奮を鎮めたり、炎症を抑えたりする処方に配合されます。野菜・果物にも沢山の薬用植物があります。
  大根、ショウガ、唐辛子、甘藷、里芋、山の芋、ミカン、梨、柿など。また、道端にも沢山の薬用植物(ヨモギ、タンポポ、ドクダミなど)があります。散歩で白川河川敷を1時間ぐらい歩くと50種以上の薬用植物を見つけます。
 お正月も近いですね。お屠蘇を飲む人も多いかも知れません。お屠蘇に入っている屠蘇散には、身近な物でウンシュウミカンの皮(陳皮)サンショウの果皮(花椒)ニッケイの仲間のシナモンの皮(桂皮)キキョウの根(桔梗)が入っています。お屠蘇は身体を温め胃腸を丈夫にします。大晦日にお酒に屠蘇散を入れ、元旦に取出し一年の健康を願い、お屠蘇を飲みます。但し飲みすぎないで下さい。
 皆さんのご意見をお待ちしています。次回から薬用植物を1つずつ取り上げ説明していきます。
興味のある方は、市内味噌天神そば熊大薬用植物園へお越しください。


346号 2007年1月14日

(2)身近な薬用植物 “春の七草 ナズナ”

 明けましておめでとうございます。年末年始良く食べ良く飲みましたでしょうか? 胃の調子は如何でしょうか?
 人の胃は、車に例えるとエンジンです。車もエンジンがおかしいと調子が悪いですね。胃のチューンアップはおこたらないようにしましょう。人は食べることをしなくなると死にますが、昨今点滴という胃腸の天敵があらわれています。点滴は素晴らしい栄養補給方法ですが…。
 
 今月は春の七草の“ナズナ”です。別名ペンペン草とも言われ、雑草あつかいされます。しかし、れっきとした薬用植物です。
 七草粥は、年末年始で疲れた胃腸を休ませ、更に調子を整えてくれる野菜(薬用植物)が入っています。現在は飽食の時代、胃腸を休めるには断食の方が良いのでしょうが。
 「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」と言える人も多いと思います。セリ:健胃・整腸等。ナズナ(ペンペン草):目の充血・利尿等。ゴギョウ(ハハコグサ):咳・痰等。ハコベ(ヒヨコ草):歯茎の出血等。ホトケノザ(コオニタビラコ):解熱・解毒・潰瘍等。スズナ(カブ):利尿・便秘等。スズシロ(大根):健胃・せき止め・冷え性等に効果があります。こう書くとすごいなと思われる方もおられるでしょうが、普通の野菜としてセリ、カブ、ダイコンは食べられています。

 他は雑草(名前はあっても、いらない草)ですね。七草粥は、七草にこだわらず、畑(冷蔵庫)にある旬の野菜で粥を作り、胃腸を休める食養生です。平安時代から始まりました。現在は1月7日に行われますが、本当は旧暦ですので2月中旬ですね。このあたりになると植物もだいぶ芽を出しているころです。
 旬のものを旬に食べる、地元の物を食べることが、生産者が見え、安全・安心で、生産物移動のエネルギーを使わない環境に優しい昔ながらの食生活です。日本の食文化を大事にしたいですね。
 12月〜2月は緑黄色野菜の少ない時期、この時期になるべく沢山の野菜類を食べておくと花粉症が出にくいかもしれません。鍋料理などでお試し下さい。
 ノロウイルスによる嘔吐下痢が流行しています。私の家ではます漢方薬の“五苓散”を頓服で飲みます。このお陰で子どもたちもひどい下痢にかかったことはありません。お試し下さい。


350号 2007年2月11日

(3)クチナシ(梔子)

  もうすぐ旧正月(2月18日)ですね。年末年始の胃腸の疲れは無くなりましたか?今月は、花、香り、葉、実を一年中楽しめる“クチナシ”です。花は6月 頃に咲き、一重のクチナシは実を付けます。
12月に入ると赤く熟し、正月料理の栗きんとんの食用の染色に用います。

 クチナシの果実は薬用で、山梔子(さんしし)といい、性質は寒、味は苦です。漢方薬では鎮静、消炎、止血、利胆等を目的に配合されます。民間薬として、打撲、挫傷などに用いられます。玉名の打ち身・捻挫に用いる家伝薬“速治膏”には、クチナシの果実とキハダの樹皮などが入っています。この軟膏を患部に貼ると傷めた部分が青色になりびっくりします。これは、打撲部の細胞が壊れ皮膚に出てくる液(血液の漏れた透明なもの)に含まれる酵素により、クチナシの成分が分解し、それと液に含まれる蛋白質とが反応して色が青くなります。打撲がひどければ出てくる液も多いので青色が濃くなります。治ってくると、色も一緒に薄くなります。キハダ樹皮(黄 柏)やクチナシ果実は炎症、打撲・捻挫の治癒作用を持っています。

 八重の花のクチナシは、ほとんど実をつけませんので、花だけを楽しんで下さい。熊本にもタツタヤマヤエクチナシと言う、立田山に自生していた八重のクチナシがありました。心無い人が持っていってしまったのか、現在自生は1株も無いと言われています。

 クチナシの実は、布の染色にも用います。クチナシの実をお湯に入れ色を出し、それと媒染液にミョウバンなどを用いて染色を行うと、鮮やかな黄色に染まります。
  昔の人は周りのものを巧く使って生活をしていました。現代は汗をかかずモノを得られる時代。物作りを楽しむなど、スローライフで心と身体をリフレッシュしては如何でしょうか?“病気”は“気の病”と書きます。前向きに物事を考えると元気(普 通の気分)になり、ちょっとした体調不良(未病:病気になる前の状態)は吹っ飛び
ますね。お試し下さい。


354号 2007年3月11日

(4)ショウガ ショウガ科

 ショウガを知らない人はいませんね?花は、温室、種子島などの温かい所で、根元に小さな花を咲かせます。ショウガはピリリと辛く食欲を増すことから、例えば、湯豆腐におろしショウガ、 豚肉のショウガ焼きなど、美味しいですね。また、寿司屋でガリと言って生姜を薄く切って甘酢漬けにしたものが出て来ます。ガリを食べながらお寿司を食べると一層美味しく感じます。
 ショウガの根茎は、薬用にも用います。民間薬では、風邪の時にショウガ湯、くず湯などに入れますね。発汗、保温の効果があります。
 漢方では、ショウガの根茎をそのまま用いるのをヒネショウガ、乾燥したものを生姜(ショウキョウ)、蒸したものを乾姜(カンキョウ)と日本では言い、ヒネショウガ、生姜は風邪の時に飲む葛根湯などに、発汗・利水(水の移動)の目的で配合されます。乾姜は身体を温め新陳代謝をよくします。

 食でも薬味として、胃腸機能の亢進や利水作用があり、胃もたれなどにも効果があります。また魚の臭み消しなどにも用います。中国でも同じように用いますが、中国産は辛いものがあります。タイ料理のトムヤムクンに入っている、カー(ガランガ)というショウガの仲間も、ずいぶん辛いものです。
 湿気の多い日本に長年住んでいると、身体に水が溜まる傾向になります。ショウガが利水作用があり、胃に良いからといって食べ過ぎると胃腸を壊しますので、何事も過食には注意して下さい。巧く使うと健康に良いのですが、使いすぎると食も毒になります。生活習慣病は「食」が「毒」になった良い例ですね。
 新ショウガには少量の赤い色素のアントシアンを含みますので、甘酢漬などにすると綺麗なピンクになりますね。薬用には辛みの強い古ショウガ・ヒネ(老成)ショウガを使うほうが良いですね。ショウガの汁を紅茶に入れてもおいしく、身体が温まります。


359号 2007年4月15日

(5)ワサビ アブラナ科

 「にぎり〜一丁、サービスしとくよ、旦那」「美味しそう、いただきます」。パクリと ひと口、脳までツーンと、即座にお茶に手がのびる。我慢するほど辛味が増すので、口をパクパク。辛みの成分を外に追い出す。「大将サービスしすぎだよ」と、大の男 が涙を拭いている!ピリリと辛いと言えば、思い出すのは、ワサビ、そしてカラシでしょうか。
 ワサビは刺し身や寿司に使いますね。何の目的で使うのでしょう か??子供の頃は、辛いから「ワサビの入っていないお寿司」と言うと「ハイ、サビ抜きね」と寿司屋の大将が卵焼きのニギリを握ってくれたのを思い出します。
 ワサビには、大変強い抗菌作用があります。その作用を巧みに利用したのが日本人です。生の魚介類を食べるときには、食中毒が恐いので、抗菌作用の強いワサビと 一緒に食べるわけです。またワサビには食欲増進作用、血栓の生成を抑制する効果が あります。
 ワサビと言えば根茎の部分だけを思い浮かべるでしょうが、茎葉も大変美味しく、ワサビ茎葉を醤油で和えると格別です。

 

 

作り方は
1)ワサビ茎葉を水洗いする
2)60℃位のお湯にワサビ茎葉を入れる
3)1分ぐらいして鍋の蓋をしたままお湯を素早く捨てる
4)鍋に蓋をした状態で蓋と鍋の底に当たるように強く振る
5)開けるとツーンとした香りがするので適当に切り、醤油・味醂などで味を調え、密封できる容器に保存する
 植物そのままではワサビは辛くありません。すりおろすことで、細胞が壊れ、中にある酵素が働き、辛みのツーンとした香りがします。酵素は35℃〜40℃位の温度で 良く働きます。それを利用したのがワサビ茎葉醤油漬の作り方です。温度と、巧く細胞を壊すことがコツです。
 鏡餅のカビが生えやすいところに薄くワサビ(練りワサビで良い)を塗っておくとカビが生えにくいですよ。 是非、試してみてください。
注意)
 もし山に行ってワサビの茎葉を取るときに、根茎は絶対に取らないでください。取ってしまうと、来年は茎葉を取ることが出来ません。また、野生の根茎には線虫 が入って黒くなり、美味しいワサビは出来ません。目先のことだけを考えないで、長 く楽しむ方法で美味しい食事をしましょう。


363号 2007年5月20日

(6)ショウブ サトイモ科

 今月は、ショウブです。5月5日の節句も過ぎましたが、熊本ではこの時期に咲いています。咲いていると言っても、きれいな花ではありません。15cm位のコン棒のような形をしています。ハナショウブとは似ても似つかない形ですが、サトイモ科といえば納得していただけますか。サトイモ科の仲間は、食用のサトイモ、薬用ではカラスビシャク(別名ヘソクリ)、それにこの時期、山に行くと杉林の中で雁首を持ち上げたような花を咲かせているマムシグサが有ります。
 根茎を神経痛、リウマチなどに薬湯として用います。使用方法は11月から次の年の3月ごろまでか、又は夏の8−9月に根茎を掘り取り(根茎が充実している時期)、ひげ根を除いて、きれいに水洗し、日干しにします(大きければ切っても良いでしょう)。使い方は、乾燥又は生の根茎を細かく刻み、軽くひと握り分を、布袋の中に入れ、鍋で適当量(袋が浸る量)で軽く煮沸し、温かいうちに袋と一緒に風呂に入れ、入浴します。又は直接袋を風呂に入れ、しばらくしてから入浴して下さい。ヨモギの葉と混ぜて使用しても良いでしょう。

端午の節句(5月5日)には、軒先にショウブとヨモギを束ねたものを飾ります。この行事は、平安の頃の薬玉(クスダマ)の行事の名残りのようです。これから暑くなる時期を、健康で元気に過ごせるようにと願う行事です。

 


 サトイモをよく煮ないで食べると、のどがイガイガすることがあります。その時は、ショウガの絞り汁を飲むとイガイガが軽減します。もしもの時の養生です。
 ショウブの根を薬用に用いるときは、来年も再来年も同じように用いれるよう、全部採らないで、1/3−1/4位を採取し用いて下さい。本当に必要なときに無くなっていたら困ります。植物を通して、お互いが気を配るまちづくりが出来ればと思います。
 これから草原にワラビ採りに出かける人も多いと思います。ワラビ採りに夢中になり、ハルリンドウ(写真左)など可愛い花々を踏まないように気をつけましょう。


366号 2007年6月10日

(7)アマチャ ユキノシタ科

 甘茶は甜茶(テンチャ)のひとつです。中国で甜茶と言うと甘いお茶のことです。 花粉症に良いといわれる甜茶は、バラ科キイチゴ属の、甜葉懸鈎子(てんようけんこう
し)という植物です。きちんと選んで使いましょう。しかし甜茶で花粉症が軽減する人は30%くらいでしょうか。

今月のアマチャは、ガクアジサイの改良種で、甘さの強いものを選抜したもので す。当たり前のことですが、花はガクアジサイに似ていますが、少し小柄です。葉および枝先を甘茶の原料に用います。江戸時代から4月8日の潅仏会(かんぶつえ)に甘茶湯として用いています。生の葉は、そのままお茶にしても甘くありません。手で軽くもみ、細胞を壊して乾燥することにより、植物内に含まれる酵素(内在酵素でアミラーゼの仲間)によって分解が起こり、甘味物質ができます。この物質は砂糖の約1000倍とも言われています。甘茶は昔、甘味料、矯味薬、口腔清涼剤として用いられていましたが、砂糖が普及して使われなくなりました。
 砂糖の消費が一人当たり年間平均約20kg(お菓子などに入っているのも含む)の
今日、アマチャは、よほど特別な時にしか用いられません。グルメも結構ですが、砂糖の取り過ぎは胃を傷めますので注意して下さい。「私は砂糖を摂るのを控えている」と言う方もおられます。しかし、昨今、野菜や果物の糖度が高くなっていますので、これも注意が必要ではないでしょうか。副食(菓子など)は糖分が多いので、お菓子類を食べないと痩せますね。
 また夏バテ防止には、@1日1回は汗をかく A冷たい物を飲食しすぎない B胃の調子を整える C1週間に1回ぐらいはキムチ鍋、四川鍋などの温かい鍋料理で汗を流す、というのもよいでしょう。但し、辛すぎると胃腸を痛めるので、度は過ぎないことです。胃が丈夫ですと夏バテはしないでしょう。
 冬・春の疲れを残しおくと夏にバテます。かろうじて夏を超しても、9月末からバテが来ます。1月1日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日と節句の時季に胃腸などの体調を整えておくと、一年を快適に過ごせます。皆様いかがでしょうか?皆様の“胃”の健康をお祈りします。


370号 2007年7月8日

(8)ゴボウ キク科

 ゴボウは肥大根を食用とします。アク(ほとんどがポリフェノール)が多く、さらして、アク抜きをし食しますが、昨今、ポリフェノールが良いからと言って、アク抜きをしないで食べる人もいるようです。ポリフェノールはタンパク質と結合する性質があります。ゴボウのポリフェノールは、タンパク質との結合能力はさほど強くはありませんが、それでも、ゴボウをアク抜きせずに食べると、ほとんどの人が胃(胃の粘膜もタンパク質)を傷めます。昔の人は経験的にアク抜きをしました。経験的な知恵は大事にしたいですね。
 薬用には種子を使います。牛蒡子(ゴボウシ)[別名 悪実(アクジツ)]といいます。腫れ物、咽の痛み、むくみに、種子を粉末にし、1日5−8g位を3回に分けて服用します。
 話はかわりますが、お茶のカテキン(ポリフェノールの一種)入りが下火にはなりましたが、まだ流行っています。渋茶を飲むようなもので、胃の弱い人は多飲を避けたほうが良いですよ。
 ポリフェノールは、酸性(酢、レモン汁、スダチ汁などで)にすると、色が薄くなります。酢ゴボウ、酢レンコン、酢リンゴ、レモンティーなどですね。
 ゴボウの一番おいしいところは、外の皮とその内側です。皆さんは色白にしておいしい部分を捨てていませんか?
 京都の料亭では、ゴボウの皮はむかないようですね。米の栄養の多い糠(ぬか)の部分を捨てているのと同じでしょうか。日本人は何故だか色白にあこがれますね。皆さんはいかがですか?


375号 2007年8月12日

(9)ゴマ ゴマ科

中国“胡”の国(現在のイラン)から来たので、胡麻の名がついています。白、黄褐色、黒の3品種があります。ゴマ油は抗酸化力が強いことが知られています。 
 主に黒ゴマを薬用に用います。江戸時代の本草書に黒ゴマは腎に作用し、白ゴマは 肺に作用する。共に五臓を潤し、血の流れを良くし、腸の調子を整えると記されてい ます。ここで言う”腎”とは、泌尿器、生殖、ホルモン、神経、骨、骨髄、免疫力な どをつかさどると考えられています。これらの状態を調えるのが胡麻ということです。胡麻は漢方処方で、桑麻丸[桑葉 (末) 500g 、胡麻 (末) 120g、これらの粉を水で丸剤にする]に処方され、肝腎不足、めまい、便秘、皮膚乾燥、たん・せきなどの時に1回5〜9gを用いるようです。
 また、ヤケドの特効薬の紫雲膏(紫根、当帰、ゴマ油、蜜蝋、豚脂)にゴマ油が用いられます。ヤケドに紫雲膏をつけると、痛みも和らぎ、ほとんど火傷の跡が残りません(1年に1〜2回熊本大学薬用植物園で作っています)。
 ゴマは薬というより、食の中で多く用いられます。煎りゴマ、胡麻和え、ゴマ豆腐 など。あんパンに昔はケシの実でしたが、ゴマがパンに乗ることが多くなりました。健康に良いからといわれた頃からでしょうか?しかし最近また、食感が良いせいかケシの実のついたあんパンが増えてきました。精進料理にもゴマが多く使われますね。日本人の生活にあっていたのでしょう。ただ、ゴマ・ゴマ油は高価なので、なかなかたくさんは使用できませんね。
 ゴマの花の写真はなかなか上手く撮れません。筒状で雄しべ雌しべが見えないので、外だけになります。虫が中まで潜り込んで、ごそごそやっているのを見つけ、中 を見ようとすると急に虫が飛びだしてきてびっくりすることがあります。
今年はスズメバチ、イラガの幼虫が大発生しています。先週アイラトビカズラ、アケビの葉に触っているとイラガの幼虫にチクリと一撃され、いっぱいいるイラガの幼虫を見つけました。その時私はヤブガラシの根茎又は葉を絞って汁をつけます。私の友達はスベリヒユを、別の人はアロエの汁をつける人もいます。それぞれ違いますが、外での仕事中に被害に遭ったときの緊急措置の雑草を知っておくとよいですね。皆さんは如何ですか??何か特効薬の雑草を用いる方はお教え下さい。
 8月2日〜19日、ネパール、ブータンに出かけます。これが掲載される日はブータンでヒマラヤトレッキングから帰ってきた日です。山は晴れますように。9月はブー タンのお話にしましょうか? 


378号 2007年9月9日

(10)ワタ アオイ科

 9月に入り秋の気配です。阿蘇ではススキ、オミナエシ、クズ、ナデシコとハギの仲間などが花をつけ、アキアカネ(赤とんぼ)が涼しそうに風に吹かれ、放牧の牛のまわりを飛んでいることでしょう。
 ワタの花を見てオクラだと思われた人もいるかもしれませんね。同じ科ですがオクラの花よりも少し小型です。ワタは、薬用として種子を母乳の出をよくするために5g位を400−600ccで1/2に煎じ服用したようです。しかし、ワタの種子(綿実)には有毒黄色色素があります。食べると出血性胃腸障害を起こします。また、男性避妊作用 が報告されています。
 ワタは、わが国には延暦18年(799年)に伝来したと言われています。明治中期には10万haで栽培されていたようですが、現在は観賞用などに植えられているだけです。ワタの綿毛は紡績原料、ふとん綿、火薬・セルロースの原料など。食用としては、綿実油、マーガリン、石鹸などの原料、綿実粕は飼料、肥料に用いられています。

 8月2日から19日、ブータンに出かけてきました。世界でもっとも離着陸の難しいパロ空港から30数km離れた標高2400mの首都ティンプーまで、車で1時間30分、上はいつ落ちてくるか分からない切通、下は川まで100m以上ある断崖の道を走ります。世界で一番幸福な国ブータンと言われるように、自然豊かで、人も穏やかです。しかし、食堂では青唐辛子を片手にナンとカレーを食べています。何度か青唐辛子にチャレンジしましたが、辛くて食べれたモノではありません。野菜市場は毎週土日だけ、買い出しも大変です。
 禁煙の国ブータンと言われていますが、昨年と比べ堂々とタバコを吸う人が増えています。物事規制すればするほど隠れてしたくなるのが人心かなと思ったり。“禁煙は愛です”を喫煙家におくります。英語で“Smoke Free Zone”は“禁煙エリア”ですのでお間違えなく。


383号 2007年10月15日

(11)モロヘイヤ シナノキ科

 モロヘイヤは古代エジプトのクレオパトラや王様が好んで食べ、元気が出る薬草として、またどんな薬を飲んでも治らなかった王様の難病がモロヘイヤのスープで治ったということから、モロヘイヤをアラビア語で「王様の野菜(ムルキーヤ)」といいます。このことから近年ブームになっています。葉をスープに入れると、ヌルヌルして美味しいですね。

 こんなよい薬草ですが、モロヘイヤは両刃の刃ですので少し脅しておきます。10年ほど前、長崎県でモロヘイヤの実がついた3株を食べて乳牛2頭が死亡しました。原因は何かと長崎大学の先生からの問い合わせに、種子に強心配糖体という毒が入っているので当たり前でしょうと答えながら、たった3株で300kg以上ある乳牛が死ぬのかと驚いたのを思い出します。その後、いつごろから・どこで有毒成分が出来るかが調べられ、種子だけに入っていますので、花が咲いて、結実した時点で種子を含むところが有毒になります。
 この時期、モロヘイヤには沢山の種子が出来ていますし、花が咲いています。花のつけ根には花が咲いた日か次の日位には種子の赤ちゃんが出来ています。ここから危ないので、食するときは、もったいないからといって、花、小さな種子を食べないようにして下さい。葉・茎を食べる分には問題は起きていないはずです。物事良いものと悪いものが同居している植物もありますので、十分に注意して食べるようにして下さい。
 『これを読んで食べるのを全面的にやめる方がいると農家の方に失礼なので、出荷するときに注意して、安全なものを出荷されることをお勧めします』
 物事安全だ、危ないなどと色々情報が錯綜します。皆さん、食品を買うとき、賞味期限を見られますか?賞味期限ばかりに目がいって、販売状態(同じものでも低温の所にあるか、室温で太陽がガンガン当たっているか)などは確認しない人もいると聞きます。どちらが危険でしょうか?
 動物(人間も)は、未知のものを食べるとき、一気にかぶりつきませんね。臭いをカギ、少しナメ、味をミ、次に少しカジリ、美味しければ、もう少しカジリ、これで大丈夫と思えば、全部食べます。現在店で売っているものは、安全、安心と思っていますから、買ってきてすぐに食べますね。如何でしょうか? 
 日本は幸せな国です。食物は安心して食べられますし、水も水道水はそのまま安心して飲めるのですから。東南アジアなどに行くとそうはいきませんね。バンコクの屋台で貝類の入ったものを食べるとお腹を壊すことが多いです(痩せますが)。水道水も生水はなかなか飲むのに勇気がいります。
 子ども、孫、曾孫次の次の時代まで、安心して安全な飲食、生活が出来ることを願っています。


387号 2007年11月11日

(12)サンショウ ミカン科

 今月の薬用植物はサンショウです。茎にトゲが無かったので九州に多い栽培種のアサクラサンショウ です。なかなか可愛い実をつけます。実がならないと思っている人には朗報です。サンショウは雌雄異株です。
 薬味として葉、未熟果実を用います。木の芽あえ、田楽味噌など美味しいですね。食欲をあげ、健胃作用のある七味唐辛子にも入っています。虫もアゲハチョウの幼虫が葉を良く食べます。
薬用は成熟果実で、新しく香気および辛味の強いものが良品とされます。辛味成分はα-sanshool などで、魚毒作用もあります。昔サンショウで魚取りをした人もいるかもしれませんね。現在は違法ですので魚毒、電気などを用いた魚取りはしないで下さい。
 香りの主成分はリモネン(温州ミカンの皮と同じ)、シトロネラールなどです。中国では花椒、蜀椒と呼ばれる同属の成熟果実の果皮を用います。香りは中国産の方がきつくて強く、日本産はマイルドな香りがします。価格は日本産の方が数倍高価です。
漢方処方では腸閉塞などの時に用いる大建中湯(蜀椒、乾姜、人参、膠飴(水あめ))元旦に飲むお屠蘇の元の屠蘇散(桂皮、花椒、陳皮、桔梗、防風、蒼朮、丁子)に用います。山椒の味は辛く、性は身体の中を温めます。風邪(ふうじゃ)を除き、中(お腹)を温め、麻痺を去り、気を下すなどの作用があると記されています。
薬用植物園では屠蘇散を毎年作っています。今年は12月17日に作る予定です。興味のある方はご参加下さい。また忘年会では、当帰生姜羊肉湯(当帰、生姜、羊の肉)の鍋で寒い冬を乗り切るために体を温めながら宴を盛り上げます。
“サンショウは小粒でピリリと辛い”。辛いものを食べ過ぎますと、胃腸が弱ってきますので、程々にして下さい。唐辛子もおなじですね。小泉首相は胃腸が強かった、安倍首相は胃腸の弱さにまけて辞任、さあ皆さんの胃腸は如何ですか?
 冬は寒いと背中から冷えて風邪を引きます。寒い風で身体の背筋が冷えるとゾクゾクとします。その時には、頓服ですばやく葛根湯を飲み、背中を暖めます。漢方薬の風邪薬“葛根湯”などは頓服で2時間おきに飲みます。少し汗が出ると、肩凝り、後頭部の凝りも取れ、すっきりしますね。“風邪は万病のもと”早い養生をお勧めします。


391号 2007年12月9日

(13)キク キク科

 この花を知らない人はいないと思います。園芸、切り花用に沢山売られています。熊本では日照時間を長くして開花を遅らせる電照菊も有名です。東京の新宿御苑には全国の菊があり毎年10月下旬〜11月中旬、菊展が開催されます。肥後菊の展示会も11月に熊本城で開催されます。

 五節句の一つ、9月9日の重陽の節句を代表する花が菊です。また、君が代の中に出てくる、さざれ石のある霧島神宮の紋章も菊です。日本人は昔から菊に親しんできました。しかし、庶民が菊に接するようになったのは江戸時代ではないかと思われます。肥後六花(つばき、しゃくやく、ひごしょうぶ、あさがお、さざんか、きく)の中に菊の花があります。
 薬用に、食用に、花が使われます。日本では東北地方で花を食用菊とし、酢の物、和え物などに用います。酒のつまみにはもってこいですね。菊の花には、酒を飲むと胃に熱をもつ胃熱を抑え二日酔いを防止する作用があります。中国では茶菊などとして、茶、また、漬物、鍋物、ス−プ、菊花酒などに用いられています。作用としては、菊花の水浸液はネズミを用いた実験で、弱い体温低下、解熱、また、毛細血管の抵抗性を増し、さらに、抗菌性があることが知られています。漢方では解熱、解毒、鎮痛、消炎、血圧降下剤として、感冒、発熱、頭痛、目まい、耳鳴り、眼病などの改善に処方に配合されます。漢方処方としては、眼疾患の改善に用いる杞菊地黄丸(枸杞子、菊花、熟地黄、茯苓、山薬、沢瀉、山茱萸、牡丹皮)(六味丸+枸杞子、菊花)が知られています。あまり強い作用はないのですが、菊は「効く(きく)」などとも言われ、不老長寿、健康保持などに関する話が、昔からいろいろな書物に書かれています。花粉症の人で冬から茶菊を飲んでいると症状が軽減する人もいます。
 身近な菊の花も食べられますが、農薬には注意して下さいね。年末の忘年会で二日酔いをしそうな方は、飲み過ぎないのが一番ですが、胃熱を除き、肝臓の代謝を良くする菊の花、これが無ければ、大豆食品、黒豆などを少し大目に食べることも良いでしょう。但し、砂糖の多い甘納豆はだめですよ。1gあたりのエネルギーとして糖:4kcal、たんぱく質:4kcal、脂肪:9kcal、おまけにアルコールは7kcalです。酒は思った以上にエネルギーが高いですね。アルコールから糖も作られます。百薬の長の酒もほどほどに。
 寒くて運動量が減り、汗をかかず毒素が溜まりやすい冬、たまには温泉などで汗をかいて、良い年末年始をお迎え下さい。


395号 2008年1月13日

(14)ビワ バラ科

 元気(普通)が一番、明けましておめでとうございます。
 子(ネズミ)年が始まりましたね。前向きに、基本を大事に、あきらめない年にしたいです。今月の薬用植物のビワです。和名の由来は葉の形(および実の形)が楽器の琵琶に似ていることからと言われています。ビワの名は、漢名“枇杷”の音読みで、ビワの名前は正倉院文書に出てきます。

 ビワは種からですと、実がなるまでに5〜6年かかりますね。玉名の海岸線に面した山に鳥が糞で落とした種から発芽し、野生化した株が見られます。四国から九州の石灰岩地帯に野生のものがありますが、通常は栽培されています。現在の食用種は江戸時代幕末に中国から渡来した唐ビワの改良種です。ビワはご存知のように常緑の高木で、高さ10m位、枝は横に広がります。花は熊本では12月半ば頃から咲き始め、1月まであります。花が咲いたことを気づかせてくれるのは、メジロの飛来です。歌いながら、軽やかに蜜をすい、花から花へ移動しています。ビワの材は堅く粘りが有り、杖などに用います。ビワの木登りは枝の先まで行けますが、柿はもろく折れやすいので実を取るときに注意が必要です。

 ビワは江戸時代に「枇杷と桃、葉ばかりながら、暑気払い」と川柳に歌われました。ビワ、モモは、葉に暑さを除く作用があるとして、ビワの葉茶が珍重されたようです。ビワの葉は、民間薬で、あせも、打ち身、捻挫、せき止め、暑気あたり、胃腸病に。あせも、湿疹の時に浴材として用います。またリウマチにビワ葉を炙って痛いところに貼る、ビワ葉を筋肉痛などの痛いところに置き、温めたコンニャクをその上に置くと気持ちが良くなります(熱くしすぎて火傷に注意)。果実は、疲労回復、食欲増進に用いられます。また、葉を裏返して、白い方を上に向け、靴の中敷き替わりにいれると、足の疲れがとれると聞きましたが、私はまだ試していません。種子も薬用に用いますが、多量の有毒成分の青酸配糖体のアミグダリンが含まれています。葉にも少量ですが含まれています。

 ところで、正月ごちそうを食べ過ぎ、運動不足で、便秘だったり、臭〜いウンチが出ていたら食養生が必要です。良いウンチは、余り臭くなく、少し酸っぱい(大腸に乳酸菌、ビフィズス菌の多い)臭いのする、バナナ大の、黄色味のあるものです。良いウンチが毎日出るよう、今日から変身しましょう。
 また、よく噛むこと咀嚼(ソシャク)は、ボケ予防、高血圧予防、体脂肪減少などにも効果があります。少し堅いものを良く噛んでゆっくり食べましょう。ゆっくり噛んで味わって、元気(普通)で長生きしましょう!


399号 2008年2月10日

(15)キンカン ミカン科

 中国からの輸入食品で中毒が起きています。殺虫剤のリン系農薬(サリンと同じ作用)の混入です。加工食品が安全だと信じていた皆さん、自分で野菜、果物、魚、肉を見分けて買ってきて、料理しませんか?少しは安心して食べることが出来ますね。中国だから危ない・米国だから安心ではなく、安心して口に入れられる食材、食器を少し高くても生産者の顔の観えるところで購入するように心がけるのも必要では。“信じ込まず、信じられるものを探しましょう”環境問題と一緒ですね。さあ どうしますか?

 今月は“キンカン”です。キンカンの果実が熟れてきたので、メジロがついばんでいます。さすがに鳥は熟れたものしか食べません。賢いです。ミカンは皮を捨て、中の果肉を食べますが、キンカンは皮を食べ、果肉は普通は食べませんね。キンカンは民間薬で咳止めに果実を砂糖と煮て煎液を飲む、キンカン果実の蜂蜜漬け・砂糖漬けを作っておくと子どもさんの咳の時にいいですね。薬用としては、中国で、果実を”金橘(キンキツ)”、葉を”金橘葉”、根を”金橘根”、種子を”金橘核”といいます。金橘(果実)は,性味:辛甘・温、気をととのえ、鬱(うつ)を解き、咳・痰を和らげ、酒をさます、皮が特によいと記されています。金橘核は、眼の疾患、喉の麻痺を治すなどに。金橘根は、気を巡らす、胃痛による嘔吐などに。金橘葉は、気の滞りによるイライラ、頭痛などに。またキンカン果実の水蒸気蒸留液を金橘露(キンカンロ)といい、イライラ、怒りやすく、消化器系の調子の悪い人の、消化機能を調え、嘔吐を治し、イライラなどに効果があると記してあります。キンカンはほとんどの部分が薬用として用いられますね。
 キンカンの果実は生食だけでなく、キンカンの塩煮も軟らかくて甘くて美味しいです。
 風邪の予防に、魚介類、香辛料が入った鍋でも食べて身体を温めて下さい。但し、背中を冷やすと風邪を引きますので“ゾク〜〜”とこないように御注意を。


403号 2008年3月9日

(16)イチョウ イチョウ科

 “イチョウ葉エキス”は、四肢の末梢血管・脳血流の改善、アルツハイマーに有効と言われますが、イチョウ葉にはアレルギー物質が少し含まれます。
 イチョウはジュラ紀(約1億9千万年前)に繁栄した、生きた化石と言われています。イチョウの別名を鴨掌樹(オウショウジュ)鴨脚(オウキャク、中国読み ヤーチャオ)銀杏、公孫樹などとも言います。イチョウの種子の種仁(白果)を、民間薬で、鎮咳(せき止め)に用います。他に中国の本には、抗結核、抗菌作用などが記され、白果は有毒とされていす。
 イチョウの葉は白果葉といい、心血管などに対して拡張などの作用があることが報告されています。
 20年以上前、ドイツでイチョウの葉が脳 血栓予防、高血圧予防などの薬として開発され、アルツハイマー予防などの薬としてヨーロッパでは販売されています。
 日本でもイチョウ葉茶などとして、健康食品で販売されていますが、ヨーロッパで開発された製品は“イチョウ葉の有効成分だけを分離したもの”(イチョウ葉エキス)を用いています。
 イチョウの葉には果肉に含まれるアレルギー成分が微量ですが含まれ、よく売られているイチョウ葉茶は乾燥葉をカットした物で、ウルシ・ハゼなどにアレルギーを持った人が飲むとカユクなることがあるので気を付けて下さい。健康食品で利用されるときは、きちんとしたイチョウ葉エキスを飲用することをお勧めします。
 ちなみに私はウルシ科、イチョウなどの植物にアレルギーを持っていますので、イチョウ葉茶は飲みません。また、身近な食べ物で、マンゴーはウルシ科ですので未熟な果実は食べませんし、宮崎のマンゴーケーキも駄目でした。
 イチョウの果実を多食すると痙攣(けいれん)を起こすことがあります。これはビタミンB6の欠損になるためです。酒を飲みながら、ギンナンを多食することは避けたほうが良いかもしれません。
 このようなことを書くと、モロヘイヤの時のように食べない、飲まないと言う人が出ますが、選別・量・体調を考えて飲食すれば、美味しく、楽しく食べられます。自分がどのような体質か、今日の体調はどうかを理解しておくことも必要ではないでしょうか。あとは、美味しいからといって他人に無理に勧めないことですね。
 食も環境も同じですが、無理をすると返しのリスクが大きくなります。安心、安全な食と環境にするには、人が汗を流す方向に少しずつ変わらないといけないのではと思います。あと、農産物の流通に、ぼろ儲けをする仲買・商社のシステムを変えることです。そうすれば少しは安心・安全な食が流通するかもしれません。


408号 2008年4月13日

(17)トチュウ トチュウ科

 皆さんは杜仲茶(とちゅうちゃ)といえば、何を連想しますか?私は杜仲茶の開発に関わりましたので、美味しくなかった杜仲茶の味や中国から輸入するときに、いろんなトラブルがあったエピソード、厳しい安全性試験・管理をしないと協力できないと会社に言ったことなどを思い出します。

 今月は“トチュウ”です。トチュウは雌雄異株の落葉高木です。右の写真は雌花です。葉の間に隠れていてほとんど見えませんが、花粉が受粉すると種子が成長しぶら下がってきます。熊本県では阿蘇の東海大学農学部の故 戸田先生が研究され、県内に50本位の木があるでしょうか。雌木は、熊大薬学部薬用植物園に3本あります。3月下旬から花が咲き始めます。杜仲茶の原料にする葉は、晩夏から秋にかけて、葉が緑のうちに採取して切断し乾燥して用います。葉を揉むと白い糸が出てきて丸くなり、あまり美味しそうではありません。そのまま飲むと少し苦味が残りますが、特定保健用食品として高血圧に効果があるという、杜仲茶の濃縮ドリンクが売られています。実際に飲んで血圧が下がる人もいますので、試す価値はあるかもしれません。 
 薬用としては、樹皮を“杜仲(トチュウ)”といい“肝腎を補い、筋骨を強める”とされ、強壮などに用い、また高血圧を治すと言われています。杜仲茶の研究は、広島県因島の日立造船が行い、町おこしになりました。熊本大学薬用植物園には60年位の雄木と20年ぐらいの雌木、雄木があります。葉が必要な人は、秋に採りに来て下さい。

 話は変わりますが、苦味健胃薬として用いられる水生植物“ミツガシワ”の花が咲きました。小さい花ですが近づいて見るときれいです。


416号 2008年6月15日

(18)スイゼンジナ(水前寺菜) キク科

 今月は熊本の地名のついたスイゼンジナ(水前寺菜)です。沖縄県では、ハンダマ(半玉)、石川県ではキンジソウ(金時草)と呼ばれている野菜です。元々は東南アジア原産の植物ですが、いかにも熊本、水前寺の特産野菜に思えるところがにくいですね。“ひご野菜”に指定されています。ひご野菜は15種あり、“熊本京菜、れんこん、熊本ねぎ、水前寺もやし、水前寺菜、水前寺せり、熊本長にんじん、春日ぼうぶら(カボチャの仲間)、熊本いんげん、ひともじ(細ネギの仲間)、芋の芽(サトイモの芽)、熊本黒かぼちゃ、ずいき(サトイモの茎)、熊本赤なす、水前寺のり”です。食べたこと有りますか?知ってましたか?“熊本長にんじん”は菊陽町の特産ですね。
 水前寺菜の葉は表は緑、裏は鮮やかな紫色で、色合いがよいですね。葉の裏の色素は近ごろはやりのアントシアニンで、熊本大学理学部の吉玉教授が構造を明らかにしました。抗酸化活性が強いですね。他にミネラル成分のカルシウムとマグネシウムがホウレンソウ、シュンギクに比べ高いと言われていますが、生育時期によってミネラル含量が大きく変動するようです。抗酸化力はホウレンソウよりも高いと言われています。しかし葉の裏の紫色の薄いのは抗酸化力も弱いので、買うときは紫色の濃いのを選びましょう。
 中国では水前寺菜の全草を“観音見(guan yiu xian)”と言い、止血、解毒し腫れを消すなどの効果で、月経痛、出血、潰瘍(かいよう)などに用いると記されています。食べ方は、柔らかい葉茎を熱湯に軽く通し、あえ物、炒め物などにして、少し食べるのが良いでしょう。いろんな料理方法で作って下さい。“ひご野菜”で売りだすためには多くの料理方法、食べ方が必要です。皆さんご協力をお待ちしています。
 飽食の時代、食べ過ぎないように、食事は“楽しく、よく噛んで、まんべんなく”食べてください。肥満の解消には、

  @食事のバランス
  A心のバランス
  B運動のバランス
  C禁煙、節酒 を心がけたいものです。

 宇宙、地球も、人も“バランス”で成り立っています。食が毒の時代、お互い気を付けたいものです。


420号 2008年7月13日

(19)ゲットウ(月桃) ショウガ科

 暑くなりました。梅雨明けしたと思ったら35度ですね。今年の暑さがどこまで上がるのでしょうか?皆さん胃を疲れさせないように暑い夏を乗りきりましょう。  
 今月は、南国沖縄の植物“ゲットウ”月桃、艶山姜(エンザンキョウ)です。沖縄では“サンニン、サニン”等といわれています。野生化しているものは3m位になり、葉はウコンを長くしたようで長さは1m近く、幅20cm位になり、緑の毛が密生しています。花は5−7月ぐらいにかけて茎の先に咲きます。唇形の花で5cm位の大きさで、これが密生します。果実は卵形で赤く熟し、種子は黒く5mm位のものを沢山含ます。薬用にはこの種子を用い、健胃薬、整腸薬として用いられます。また、根茎を火で炙って毒虫に刺されたときに用います。
 食用として、焼き魚をするときに、ゲットウの葉で包んで焼くと香りが良くて臭み
もとれ美味しいですね。沖縄料理「ムーチー」(ゲットウの葉で包んだ蒸し団子)にも用いられます。また、葉を月桃茶として販売されているようです。

○夏バテの原因
  @疲れを溜める。
  A冷たい水を飲みすぎる。
  Bよく冷えたクーラーの中にいて汗をか
   かない。
  Cビール等を飲み暴飲暴食を繰り返す。
  Dストレスを解消しきれない。
こうしますと夏バテをしやすくなります。

○夏バテ解消には
  @疲労を溜めない。
  A汗を適度にかく。
  B暴飲暴食をせず、胃をいたわる。
  C冷たいものを飲みすぎず、適度に温か
   いものも飲むように心がける。
  D外の温度とクーラーの温度差をなるべ
   く少なくする。
  E胃を元気に保つ。

 胃の元気が夏バテ防止の一番です。あなたはどうやって胃を元気に保って夏を乗りきっていますか?ワンネスに夏バテ防止法を投稿してみて下さい。投稿をお待ちしています。
 お腹を冷やしての寝冷えにも気を付けてください。寝冷え防止は「金太郎さんの腹
当」です。理にかなっていますね。夏風邪・夏バテに気を付けて、元気でこの夏を乗りきって下さい。


424号 2008年8月10日

(20)クマツヅラ クマツヅラ科

毎日焼けるような暑さですが、植物は花を咲かせ虫を集めています。朝夕、夜はうるさいぐらいの蝉の声です。
 今月はクマツヅラです。多年性植物の雑草です。本州、四国、九州、沖繩、さらに中国、東南アジアに分布し、民間薬として用いられ、地上部の絞り汁を打撲に湿布薬、また、皮膚病に用います。中国の16世紀の本に婦人病の薬として疝痛に用いると記してあります。
 クマツヅラは、生薬名を馬鞭草(バベンソウ)といい、他に消炎、止血、強壮などに用い、風邪の時には解熱に用いたともあります。近ごろはやりの抗酸化作用は、大変強い活性を示しました。昔、酒で煎じて痛み止めに使ったとあります。焼酎エキスが特に抗酸化活性が強かったですね。
 クマツヅラは4年前に沖永良部のおやじさんから「沖永良部の民間薬草の焼酎浸けを飲んでいたら、体調がよくなった。道端に生えているヨモギみたいな植物なのだが何ですか?」とデッカイ声の電話がかかってきたのを思い出します。医者に治らないと見捨てられている病気で、沖永良部から急きょ来られた時は、手がグローブのように腫れ上り「指の先が壊死して短くなった」と言われました。その手は氷の様でした。「これを飲んだら調子が少しずつ良いので、これから温泉療法をかねて鹿児島に行きます」と言われ、一年近く経った春、急に電話があり「車で行くからね」と言うのでびっくり。その時、握手すると良く動くようになった温かい手をさすりながら「クマツヅラ様々だ」と言っておられました。今は元気にユリの栽培をされているのでしょう。
 皆様、暑い毎日ですが、食とストレスに気を付け、胃をいたわり、元気でこの夏を乗り切って下さい。
 この時期、熱帯のスコールのような雨が降ることがあります。雨が降っていないのに川の水が濁ったら、上流で大雨が降り、増水の危険があります。水遊び、キャンプなどを止め、安全な場所に避難しましょう。自然を甘く見ないようにして下さい。


428号 2008年9月15日

(21)クズ マメ科

 あの雑草が薬にと思われる方もいるかもしれませんが、今回は“クズ”(←写真)です。風邪薬の葛根湯に入っています。葛根湯に入っている植物は“クズの根、桂皮の樹皮、ショウガの根茎、ナツメの実、甘草、麻黄、シャクヤクの根”の7種です。その内、クズ、桂皮(シナモン)、ショウガ、ナツメの実(大棗)、甘草は食用に用いられるものです。皆さんが御存知ないのは麻黄(マオウ)だけで、シャクヤクは花を観賞しますね。また、クズは食用では、クズデンプン、葛湯、葛餅を御存知ですね。クズの太い根から取れるデンプンをクズデンプンと言うのですが、昨今の“クズ粉”は、甘藷(サツマイモ)デンプンです。
 民間ではクズの花を薬用に用います。花・蕾を採取し天日で干し、それを煎じるか、あるいは、お茶にして飲むと、酒毒を消す作用が有り、二日酔いの予防になります。ダイズ、アズキの花でも同じですが、大豆、小豆は豆にして食べたほうが良いですね。このようにクズの花は肝臓の働きを良くしてくれます。大豆、小豆にも肝臓の働きを良くする作用が有ります。しかし、酒飲みの方が酒を飲む前にクズを煎じたものを飲むと、酒がすすみますのでご注意下さい。酒を飲んだ後に葛花茶を飲むのがよいでしょう。昨今、ウコンと葛花をブレンドしたドリンク剤も売られています。酒は適量では“百薬の長”ですが、やはり程々にしましょう。
 9月は今日(14日)が中秋の名月、ダンゴに秋の七草「ハギ(ヤマハギ)、オバナ(ススキ)、クズ、ナデシコ(カワラナデシコ)、オミナエシ(女郎花)、フジバカマ (藤袴)、キキョウ(桔梗)」です。秋の七草にもクズが入っています。春の七草は1月7日(旧暦)に食しますが、秋の七草は、花を観賞するもので決った日が有りません。

 クズの花を取るときは足元の“マムシ”に気を付けて下さい。もし噛まれたら、遅くても2時間以内に血清のある日赤に連絡し行って下さい。
 高森でクズの花を採取していたら横にツリフネソウ(←写真)、キツリフネ、オミナエシなどが咲いていました。阿蘇の草原は、秋の花々でいっぱいです。


432号 2008年10月12日

(22)カボチャ ウリ科

 皆さん、カボチャを何と言いますか?カボチャは1541年にカンボジアからポルトガル船により大分(豊前)に渡来し、ポルトガル語のCambodiaがなまってカボチャとなりました。また中国を経て渡来したので南京といいます。これからが 美味しいシーズンです。熊本の野菜で“かすがぼうふら”という品種を知っていますか?ヒョウタンの様な格好をしたカボチャです。甘味はあまりなく肉質も軟らかいので、昨今は好まれませんが、カボチャスープにすると美味しいです。
 カボチャの黄色い色はニンジンと同じカロチノイドです。ビタミンAの元になるもので、抗酸化作用などが有ります。薬用としては、果実を“南瓜(南下)”と言い、消化器系を補い気を益す、消炎、止痛、解毒など。花は“南瓜花(なんかか)”といい、熱を清め、腫毒を消す。根は“南瓜根(なんかこん)”といい、乳の出を良くし、火傷を治す等。種子は“南瓜子(なんかし)”といい、駆虫作用など。茎のヒゲ(巻きひげ)は“南瓜鬚(なんかしゅ)”といい、乳頭が中に入ってしまうのを治す、疼痛に。蔕(へや)は“南瓜蔕(なんかてい)”といい、デキモノ、火傷に。茎は“南瓜藤(なんかとう)”といい、結核の微熱、胃痛、月経不順などに。葉は“南瓜葉(なんかよう)”といい、切傷、火傷などに用いると記してあります。全て薬用に用います。すごいですね。
 カボチャは、種類が多く、日本で収穫できない時期には、メキシコ、オーストラリアなどから輸入されています。熊本ブランドの“坊っちゃんカボチャ”は美味しいので、たまに大学でも調理します。ラップで巻き電子レンジで10分ぐらい温めると甘いホクホクのカボチャ煮ができます。ハローウィンのカボチャの飾り、パンプキンスープも楽しく美味しいです。
 来年はでっかいカボチャに挑戦してみたいので、どなたかジャンボ南瓜の種子を譲って下さると嬉しいです。
 涼しくなってきました。咽の痛くなる風邪が流行っているようです。咽がおかしいときはウガイを早めにして下さい。濃いお茶でウガイをするのも良いでしょう。ウガイも2回目からはゴロホロ ゴックンすると咽の裏まで洗えますので効果が倍増します。お試し下さい。


436号 2008年11月9日

(23)ヤブガラシ ブドウ科

 朝夕涼しくなってきました。稲刈りもほとんど終わり、ニンジンも大きくなってきました。ようやく紅葉が始まり、ミカンが店頭に並び、カリンも少し黄色に色づいています。近くの庭のカツラの葉から甘いマルトールの香りが漂っていました。
 前置きが長くなりましたが、今月は、雑草の王様のような“ヤブガラシ”です。今年も仕事中に数度イラガの幼虫に触ってしまいました。すぐヤブガラシを探し根茎を揉んで塗り付けますと、数分で痒みがとまります。効く人と効かない人がありますが、私は良く効いてくれますので重宝しています。蚊などに刺された時、根茎の他、地上部の葉、茎でも効果があります。よく揉んで粘り気のある汁を、かゆい中心部分から塗ると外にかゆみが広がるので、かゆい部分の外側から中心に向かって塗ってください。秋になり蚊、毒虫も減りましたので、来年覚えていたら使ってみて下さい。新芽は和え物、天ぷらなどで食べられます。
 ヤブガラシの分布はインド、東南アジア、中国、日本となっています。名前の由来は『薮』を『枯らす』ほど繁茂することからきています。日当たりのよい森林などいたる所にはえています。蔓性で木々に絡みつきます。花は7月〜9月にかけて咲きますが、小さいのと開花時間が短いので余り目立ちません.果実も小さく球形の液果で黒く熟し、この実を観るとブドウ科であることが分かります。根を乾燥したものを烏斂苺(ウレンボ)と呼び、消炎、解毒、鎮痛、利尿薬として、煎汁を内服するか、すりつぶした液汁を外用として、各種の浮腫、化膿等にもちいます。また、蛇、蜂、ムカデなどの咬傷にも茎、葉の生汁をつけると良いと言われています。中国では民間薬的に用い、各種化膿、肺結核、関節リウマチ等に用いるようです。
 雑草も薬になる例の一つです。身近に沢山の薬草があります。
 阿蘇の草原にはセンブリ等の薬草がありますが、種子を落とさないで皆さんが取りますので、無くなっています。薬草を採取する時は種子を落とす、根こそぎ取らないことが、毎年毎年使用するために必要なことですのでご協力ください。


441号 2008年12月14日

(24)アズキ マメ科

 年末年始はアズキ(小豆)の消費量が増えます。あん餅、ぜんざい、赤飯などなどを作るからですね。アズキは小豆と書きます。ダイズを大豆の書くように、ダイズに比べて豆が小さいからでしょう。ダイズは枝豆で果実の形はご存知でしょうか、アズキの果実は、長いさや状です。花も、アズキは黄色、ダイズは青紫です。アズキの方がダイズより大きく、マメ科特有の“蝶のような形”をしています。
 今回は薬草ですので、薬用としての紹介をします。食用とする種子“アズキ”を薬用とします。豆の水煮の小豆粥を食べることで、二日酔いの予防、便秘の解消に。アズキ20〜30gを水400〜500ccで半分に煎じたものを空腹時に3回に分けて飲むと、利尿作用があり、むくみの解消に良いですね。

 ついでに大豆の皮が黒い“黒豆”は解毒、利尿に用います。西洋薬の無い昔は、食中毒、フグの中毒の解毒に使っていました。今でも酒毒を消すには良いです。煮た豆にも作用が有りますが、煮汁の方が有効です。
 また、酪農家の方に聞くと、クズ大豆、虫食い大豆をメスの牛に沢山食べされると発情しないようになるそうです。原因は、大豆、小豆、黒豆などに入っているイソフラボンのある成分が異常に増えるためです。食べさせるのを止めると元に戻るそうです。
 お節(せち)料理を自前で作る家も減ってきましたが、菊陽では作っている方も多いと思います。使われている材料はほとんどが薬用です。しかし何が何に良いなどと考えず、まずは美味しく楽しく家族皆で笑い話ながら食べると健康に良いでしょう。
 寒くなってきました。背中を冷やして風邪を引かないように、“ゾクッ”ときたらストーブやドライヤーなどで背中を温める、咽がイガイガして痛いときは、渋茶、塩水でウガイする、大根蜂蜜、蓮根蜂蜜などで咽を潤すなど、おかしいときは医者いらずの“早め”の対処で予防して下さい。気を張っていると風邪にもかかりにくいです。病気は気からのようです。
 何かと大変な昨今ですが、駄目だと思わず、言わず、まずは前向きに楽しみ、感動を持ち、笑い“いいかげん(良い加減)”にチャレンジしてみて下さい。
 来年もよろしくお願いします。


448号 2009年2月8日

(25)ダイウイキョウ キキョウ科

今月の薬用植物は、インフルエンザの特効薬といわれている“タミフル”の原料植物の“ダイウイキョウ”です。
 暖かい地域の樹木ですので、日本では屋外で生育できず、植物園の温室にあります。ダイウイキョウの果実は“八角、大茴香”といい、中華料理の香辛料として用いられますので、皆さんご存知だと思います。
 薬用としては、乾燥した果実を“大茴香(だいういきょう)”と言います。性質は温、味は辛甘で、身体の中(臍より上のお腹)を温め、寒を除き、気を調える効果があるとして、中寒嘔逆(お腹の冷えで嘔吐・逆流する症状)、腎虚腰痛(腎が弱り腰が痛い症状、ここでの腎は漢方の腎で、腎臓とは違います)などに用います。普通は薬用ではなく、食用として果実を用います。独特のあまい香りがしますので、中華料理の味を引き立て、身体を温めてくれる効果がありますね。
 大茴香(ダイウイキョウの果実)に似た果実をつける有毒植物が日本に生育します。同じ科の“シキミ”です。土葬の時代、動物が掘り返すのを防ぐために、ヒガンバナと一緒にお墓の周りに植えてありました。果実は大変良く似ていますので、同じものがあると思って食べると命が危ないのでくれぐれもご注意下さい。
 食品には、温性、寒性、平があり、食材により温める、冷やす、変化なしの性質・作用があります。例えば、スイカ、メロンは寒性で、身体を冷やします。ショウガは温性で、身体を温めてくれます。冷え性の方はショウガを毎日少しずつ飲食するのも良いでしょう。但し、多飲食すると胃を痛めますので、ご注意下さい。
 夏の野菜果物は寒・冷の性質が多く、冬のものは温の性質があります。野菜・果物の旬がなくなった昨今、昔ながらの経験的な言い伝えをもう一度大事にしてはいかがでしょうか?
 寒い冬は汗をかきません。身体に毒(本来は排泄したいもの)が溜まる傾向になります。たまには運動する。鍋料理を食べて汗をかく。煮て緑黄色野菜(葉っぱ)を沢山食べ、そのスープを飲む。ウンチはきちんと出す。などを心がけると、アレルギーなども少しは良くなるかもしれません。


452号 2009年3月8日

(26)スイカ ウリ科

 

 

 今月はスイカです。熊本では、これから初夏(美味しいのは6月まで)にかけてがシーズンです。漢字で“西瓜”と書きます。西の国、中国から来たウリ、“サイカ”からスイカになったと言われています。日本には寛永年間1630年頃に渡来したと言われています。エジプトでは約4,000年前に栽培されていたようです。現在日本では、北海道から沖縄まで全国で栽培されている“夏の野菜”です。果肉の99%が水で、カリウムが多いので利尿作用があります。また、果汁濃縮の西瓜糖も同様の作用があると言われています。生食用の西瓜の美味しさは日本産、しかも 植木産が一番です。本当に美味しい西瓜は県外へ流出するため、熊本の人たちは食べたことがないようです。

 

 

 

 果実を生薬名(しょうやくめい)“西瓜(せいか、xi gua)”と言い、性質は寒、味は甘。無毒で、清熱して暑を除く、煩(もやもや)を除き止渇する、利尿する、暑熱煩渇などを治すとされます。民間では利尿を目的に用いることが多いので、冬の寒いときに食べると冷えが増すので避けたほうが良いです。しかし昨今は部屋全体を暖かくするので、冬にも西瓜が売れているようです。加温栽培は、CO2を排出するので環境悪化の原因ですね。
 スイカは、お腹が冷えてむくみのある人(中が寒で湿のさかんの者)、冷え性の人等が食べるのは禁忌です。例えば寝たきりの病人のお見舞いに食べて下さいとスイカ・メロンを持っていくのは、かえって回復をおくらせるようなものですね。看護疲れの方が食べるのは問題無いでしょう。


457号 2009年4月12日

(27)サンショウ ミカン科

 タケノコも頭を出し始め、木の芽あえの美味しい季節です。今月の薬用植物はサンショウです。写真は秋に撮影したサンショウの果実です。トゲが無かったので九州に多い栽培種のアサクラサンショウでしょうか。なかなか可愛い実をつけます。花は4月に咲き、小さく黄緑色なので見過ごしてしまいます。 食用の薬味として葉、未熟果実を、木の芽あえ、田楽味噌、ウナギ等々に用います。
 薬用は成熟果実で、新しく香気および辛味の強いものが良品とされます。魚毒作用もあります。中国では花椒、蜀椒と呼ばれる少し辛味の強い品種で、成熟果実の果皮を用います。香りは中国産の方がきつくて強く、日本産はマイルドな香りがします。価格は日本産の方は数倍高価です。処方では、腸の手術あとの腸閉塞の改善に用いる大建中湯[蜀椒、乾姜(蒸したショウガ)、人参(薬用人参)、膠飴(水あめ)]や元旦に飲むお屠蘇の元の屠蘇散(桂皮、花椒、陳皮、桔梗、防風、蒼朮、丁子)に用います。味は辛、性質は温で、風邪(ふうじゃ)を除き、中(お腹)を温め、麻痺を去り、気を下す等の作用があります。
  “サンショウは小粒でピリリと辛い”。その逆が“ウドの大木”でしょうか?差別用語だという人もいるかもしれませんが、区別するためには良い言葉かもしれません。皆さま、いかがでしょうか?
 西洋薬を飲んでいると身体は冷える傾向にあります。漢方薬は温める薬が半分ぐらいあります。風邪の時に用いる葛根湯、大建中湯、屠蘇散も温める薬ですね。
 食べ物にも沢山温めるものがありますね。身体が冷えてくると、動くのがおっくうです。手足の冷える冷え性、便秘、女性では生理不順、生理痛、貧血、めまい等々、また、鬱(うつ)の状態にもなりかねません。少し身体を温める服装、食事をしてみませんか?和服は本当に暖かいですよと奈良女子大学の健康保健センター長の女性の先生。冷え性の方には薄切りのショウガを蜂蜜、砂糖漬けにしたものを毎日、朝夕2〜3枚ずつ食べると温まってきます。あとは、足腰を冷やさないような服装をすることです。若い時にミニスカートで足腰を冷やし、クーラー大好きだと、冷え性になって、年を取って病院通いで苦労します。“冷えを治せば病気も治る”という言葉があります。皆さん、安上がりの運動、身近な食材で治してみませんか。


461号 2009年5月17日

(28)カキドオシ シソ科

 薮と道の境ぐらいの半日陰に生える雑草です。垣根を通して繁茂することから、この名前が有ります。半日陰の所を好みますので、ミカン畑などに多く生えていました。4月〜5月に薄い青色の花を咲かせます。葉が丸いので銭に見立てて“連銭草(れんせんそう)”といいます。花が終わると地面をはうように横に伸びます。また、カンの虫を治すので、カントリソウの名もあります。本には全草を薬用にし、小児のカン、虚弱小児の体質改善、糖尿病に良いとされています。採取時期は、花が咲いている4月末〜6月頃で、全草では無く、地上部(茎・葉)を切り取り、ゴミ・土を奇麗に除き、風通しの良い日陰で乾燥して、カビの生えないように保存し用いて下さい。糖尿病の予防には1日15g(乾燥地上部)を、600ccぐらいの水で煎じ(約2/3〜1/2位まで)3回に分けて飲んで下さい。昼に忙しい人は、朝と夕で良いです。本当は空腹時の食前1時間ぐらいが良いのですが、忘れやすい人は、食後30分ぐらい経ってからに飲んで下さい。小児のカンには1日5g位を煎じて服用です。糖尿病にはタラノキの樹皮も効果がある人がいますが、タラノキをむやみに切ると、春の美味しい新芽が食べれなくなりますので、芽が出るように半分より上から切って用いて下さい。

 もう一つお願いです。咳止め、解毒、解熱などに用いる、キランソウ(シソ科、別名:医者いらず)が増えてきました。しかし根こそぎ取っている人を見受けます。カキドオシと同じ多年草なので、地上部を1/2位切って利用して下さい。そうすると、毎年取って利用できます。秋のセンブリも花の時期に採取すると2年後には無くなります。センブリは2年草なので種子を落しながら取って利用して下さい。そうすると2年後には沢山のセンブリが生えてきます。
 目先のことだけでなく、長い目で植物を利用して下さい。野山の植物は、強いようで弱いです。植物に気を配り、巧く利用すると、人も元気になれます。


465号 2009年6月14日

(29)ガジュツ ショウガ科

 阿蘇高森の野草園では“ハナシノブ”が咲いています。今が見ごろでしょうか。他 にも“卯の花のウツギ類”が沢山咲いてますね。
 冬も暖かくなってきたので、ウコンは以前から植えたまま冬を越しています。ガジュツ・ハルウコンも上から藁をかけてやると外の土の中で冬を越すようになってきました。温暖化のお陰でしょうか?
 ガジュツの根茎(地下部)を切ると青紫をしているので別の呼び方で“ムラサキウコン、シロウコン、ガゼツ(鹿児島)、ウスグロ”とも言います。花は熊本では5月末から6月に咲きます。同じ仲間のウコンは根茎を切ると鮮やかな黄色で、カレー粉の原料の“ターメリック”になり、花が秋に咲くので“秋ウコン”と言います。ハルウコンは花が春咲くので名前の通り“ハルウコン”と言い、根茎を切ると淡い黄色で爽やかな香りがします。
  ガジュツの効果は、健胃、鎮痛、胆汁分泌作用などがあり、胆汁分泌・胃液分泌を促し、胃潰瘍予防に用いられます。癌に効くとも言われています。飲む量は、粉末で1日最大量は3g、生で10g位までですので、良いからといって飲み過ぎないようにして下さい。
  「ガジュツ(我述)には“血を破る”効果がある」と、中薬大事典等に書かれています。破血(出血など)する可能性もありますので、連続した飲食には十二分に注意して下さい。
 菊陽町ではニンジン焼酎が発売されましたね。ニンジンで出来ていても焼酎は蒸留しているので、ニンジン色ではなく無色でセロリを薄めたような香りがするのかな?と勝手に想像しています。ニンジン焼酎の“はな垂れ”を飲んでみたいですね。紫サツマイモの焼酎が“赤霧島”です。紫芋のリキュール、ワインがありますが、これは紫のアントシアンが入っていて紫色です。“Imo Imo”という紫イモのお酒もあり、紫で芋の香りがして甘いです。
 暑くなると蚊が増えてきます。木々にはイラガ、茶毒蛾の毒虫の幼虫も出てきます。もし庭仕事をしていて、イラガなどに刺されたときは、外から患部(刺されたところ)に向かって円を描きながら痒み止めをつけて下さい。患部から外へ塗ると、毒が広がるので痒みが取れにくいことがあります。お試し下さい。私の特効薬は雑草のヤブガラシです。


469号 2009年7月12日

(30)マタタビ マタタビ科

 阿蘇ではマタタビの白くなった葉を見て、どこか旅行に行きたいなと思っています。“またたび”の名前の由来は、@アイヌ語のマタタンブに由来、A旅人がこの実の香りで疲労が回復し、また旅に出るから、などがあります。このことから果実に疲労回復の効果があるとされています。
 5月下旬から7月の間、山に行くと葉が白く見える植物があります。遠目には、花が咲いているのかなと思いますが、近寄ってみると、葉です。蔓性の植物で、葉の下に花が咲いています。マタタビは雌雄異株で雄花の株が多いようです。9月頃には果実が大きくなり、台風が来ると果実が沢山落ちます。それを集め、強壮などを目的に薬用酒を作ります。一般に薬用は、果実に虫(ママタビミタマバエ)が寄生した“虫こぶ”を、熱湯を注ぎ虫を殺した後に乾燥したものを、薬用で木天蓼(もくてんりょう)といいます。薬用酒(木天蓼酒)として冷え性等に効果があると言われています。
 マタタビには猫科の動物を陶酔させる物質が入っています。陶酔させる誘引活性成分の総称名をマタタビラクトンと言います。これは揮発性の化合物で、ライオンに嗅がせてもよだれを垂らし、転がり回ります。マタタビの仲間には、サルナシ、キウイフルーツがあります。
 蔓も焼酎漬けにしても、果実と同じような効果があると言われていますが、余り蔓を切ると植物が弱るので、楽をしないで少し高いところの、蔓の先の方を切って用いて下さい。
 長楕円形の果実が熟れると甘みがあり美味しいですが、未熟果実は、唐辛子のように辛いので、用心して食べてみて下さい。若葉も食用にし、ワサビに似た味がします。
 この時期はマムシが草むらにいますので、用心をして茂みに入って下さい。もし噛まれたら、なるべく早く日赤病院に連絡し、血清を注射してもらって下さい。九州には、マムシの他に“ヤマカガシ”という小さな毒ヘビがいます。ご注意下さい。ただ昨今ペットで飼っていたヘビを捨てる人もいますので、どのような動物が野生化しているか分からないので困ったものです。
 先日、鹿児島県でマングースが野生化しているとのニュースがありました。ペットで飼った動物・昆虫がいらなくなったから捨てるなどということはしないで下さい。きちんと一生面倒を見て下さい。自分が飼えなくなり、かわいそうだからと捨てると、動物・昆虫も悲劇ですし、自然の生態系を大きく狂わせます。ご協力をよろしくお願いします。

 

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