勇気農業   堀川眞助

 


259号 2005年4月3日

(1)はじめまして

 私は、菊陽町原水で農業を営んでいます。人参を主にさつま芋と米を栽培しています。家族は、妻、母と息子2人、娘2人の7人です。筆不精の私が、どれだけ文章を書けるのか不安ですが、25年間農業に携わって感じたこと、学んだことをお伝えできれば幸いと思います。
 まず農業の現状はどうなっているのか、ということは後にふれましょう。ほとんどの皆さんは農業とは程遠い生活を送っておられると思います。昔は、農業を営むことは、生活そのものであり、地域社会を造り、食物を得て、経済をも産むものでありました。
 しかし今は、サラリーマンと一緒で、お金(経済)を得るための一つの職業としての農業になっているということです。このことが、現在の農業にいろいろな歪みをもたらす原因になっています。経済最優先で行ってきたことで、地力低下、食の安全への不安、食べる人作る人の健康不安が、最近特に注目されるようになりました。
 私たちが“しあわせ”になるための条件として、4つの条件があるといわれています。まず1つ目に、健康です。最近では健康第一と考える人がますます増えていると思います。2つ目に富です。やっぱり今の世の中、金がなくっちゃ、と思われる人は多いでしょう。3つ目に、愛です。どんなに健康でお金持ちでも愛情のない生活は、幸せとは言えません。そして4つめ目に、自己表現力です。健康、富、愛の3つはすぐ思い浮かぶ人は多いでしょうが、この自己表現力はなかなか出てきません。自分の心(想い)を素直に人に伝える力です。
 私がここで“しあわせ”の4つの条件を何で出したかというと、みんな世の中の人は、幸福になろうと日々努力して居るわけですが、なかなか到達できないという現実があります。これを何とか解決していけたら、という思いからです。農業という立場から、とりわけ健康について次回から書きたいと思います。


263号 2005年5月1日

(2)食物の質

 健康という言葉から何をイメージされますか?病気していないこと。快食、快便、快眠。その他いろいろあるでしょう。でも私の歳(47歳)になると、どこもどうもないという人はほとんどいないでしょう。
 健康を左右するものには、食物、飲み物(水)環境の3つがあると思います。とりわけ食物は私たち農業者にとって最も関係深く、責任を感じるものです。食物と言っても米、野菜などの農作物、肉魚からお菓子などの加工品まで幅広くあります。これらを私たちは毎日毎日食べ続けていくわけです。その食物の“質”にこだわる人が最近特に増えてきてそれに伴って私たち生産者もいろいろ工夫している訳です。そのため有機栽培、無農薬、無化学肥料、自然栽培などいろいろな栽培方法が取り入れられるようになりました。ちなみに私も米、人参、さつま芋で肥料は植物有機のぼかし肥料、無農薬とはいかないまでの減農薬栽培をしています。ここで留意しなければいけないことがあります。何でもかんでも有機無農薬だったらよいか、ということです。もちろん、自然に存在しない化学肥料を体内に入れることが健康に悪いことは言うまでもありません。しかしそのことと“質”は必ずしも合致しないのです。ここで言う“質”をもう一つの視点から見る必要があります。それを私は“エネルギー”という観点から見ます。完全有機無農薬栽培の米があるとします。この米が必ずしもエネルギーが高く、体に力を与えてくれるとはいえないと言うことです。このことは米に限らず、野菜など他の作物でも同じことです。

 私たちは健康に気を付けるあまり一方向からばかり食物を見ているように思います。有機無農薬の食物は、今では手に入れるのは比較的簡単になりました。しかし、エネルギーの高い食物はどうやって見分けて、手に入れるのか。それはそう簡単にはいきません。
 次回はこの“エネルギー”の高い食物について書きましょう。


267号 2005年6月5日

(3)食の安全

 エネルギーの高い食物に行く前に、もう一つ食の安全の状況を見てみましょう。昨年からBSE、産地偽装、無登録農薬使用、遺伝子組み換え(GM)作物などの問題が騒がれました。こういう問題が表面化すると、後には必ず問題解決の成果として、いいことを私たち国民にもたらせます。
 BSE対策として牛の全頭検査が行われるようになりました。生物が「共食い」したらいけません。人は人肉を食べないでしょう。牛の肉骨粉を牛に食べさせること自体が間違っています。産地偽装では、今までいかにウソばっかりだったのかよく分かりました。スーパーに買物に行くと、私は特に魚類を見て回るのが楽しみです。チリ、ノルウェー、アフリカの国々、原産国を見ると世界旅行でもしているようでウキウキしてしまいます。今まで国産と思って食べていたのに。
 無登録農薬問題では、今ではすべての作物で生産履歴を作るようになっています。この問題には裏があります。人参には使ってよくてもトマトにはダメ。キュウリによくてナスにはダメ、とかこういう物はたくさんあります。それが登録されていなかったからといって大問題になります。消費者にとって、作物が何であれ農薬のかかったものを口に入れることには変わりはありません。また、登録を認可してもらうには、数千万円もの費用がかかることが、そういう歪を生むのかもしれません。
 遺伝子組み換え作物の普及は、主に米国で拡まり、世界で4億fを越えたということです。トウモロコシで約3割、大豆で約6割が栽培されているとも聞きます。日本で輸入されている中の何割が遺伝子組み換え作物なのかは不明です。遺伝子組み換え技術の中には、ある特定の除草剤に耐性を持った遺伝子を組み入れることで、その除草剤を畑全体にかけても作物は枯れずに、その他の草などは枯れるというすごい技術もあります。これもまた、大手の種子会社と農薬会社が結託して世界戦略を練っています。
 農薬や食品添加物、遺伝子組み換えの問題は今すぐ私たちの身体に反応が出てくる訳ではありません。さまざまな研究、動物実験を経て国が安全と認めて世に出てくるものですが、それはたかだか数年の試験研究の結果でしかありません。私たち人類が数十年、数百年の世代を越えた営みの中で、それがどういう影響を及ぼすのか、それはまさに今、人体実験の最中です。その結果は、いつ、どう出るのでしょうか。


271号 2005年7月3日

(4)本物を見極める

 私たちは、最近特に健康に気を使うようになりました。朝夕の散歩。水は遠くまで湧水を汲みに行く。食事は、有機米に有機野菜。合間に健康サプリメント。しかし、現実はなかなか、うまくいかない。花粉症は増える一方で社会問題にまでなる。

 アレルギー、アトピーの子も増加。ガンの死亡率も依然1位。今の医学をもっても解決しない。先にも述べたように健康を左右するものは『水』『食物』『環境』である。みんな、それらに気を使っているつもりなのに、どうして。善かれと思っているのに、本物(真実)になかなか巡り会えない。善いといわれる情報が氾濫して、私たちの判断を迷わせています。水は何処のがいい、これを食べれば何に効く、ガンが治る。

 こういう情報からどうやって本物を見極めていくのか、私たちは日々判断している訳ですが、その判断基準は何なのでしょう。結論から言えば、それは『感』です。『第六感』です。飲んで、食べて、これは体に善いと『感』じることです。これは簡単ですが、なかなか難しい。第六感を働かせるには、まず五感を磨くことです。五感とは、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚のことです。この五感を磨けば、自然に第六感は研ぎ澄まされてきます。またこの五感が正常に働くには、私たちが健康体でなければならないということです。
 とは言っても、私みたいに『感』が働かない人もたくさんいます。そんな人のために、本物を見極めるよい機器が現れました。医療の現場ではよく使われるようになったMRIです。生物、無生物にかかわらず物質には微弱磁場が起こります。人に起こったこの磁場を画像処理したものが
MRIです。

 この微弱磁場を計り数値に置き換えたものが、通称波動測定装置といわれるものです。人の体から食べ物や飲み物まで、あらゆるものが測定できます。私も数年前から、自分の体はもちろん、自分が育てた米や人参、その他にも、自然の湧水、水道水、ありとあらゆるものを測定してきました。そのことで明らかになってきたこと、真実が見えてきたことがたくさんあります。次回は、そのことについて述べましょう。


276号 2005年8月7日

(5)波動測定機

 本物を見極めるのに感覚の鋭い人はその物を持っただけで判断できますが、私たち凡人にはなかなか難しい。そこで、この波動測定機(共鳴磁場測定機)はとても便利で理解しやすいものです。この機器の測定値は、メーカーで多少幅はありますが、私がよく使う測定機では、−20〜+20の数値で表されます。
  測定項目は、100項目以上ありますが、ここでは基本となる免疫の波動測定値で話しましょう。まず、人の体でいうと、+6以上あれば合格(まずまず健康)。+8以上あれば健康体という訳です。この+8以上の体を維持するためには、私たちは+8の食べ物、飲み物を口にしていては維持できない。+12以上のものを摂取していかなければ、健康な体は維持できないということです。そこで、私が利用する測定会社エアーでは、作物や商品にこのような評価の基準が用いられています。
 さて、現実の測定ではどうなるでしょう。まず、水から見ていきましょう。熊本では、水道水のほとんどが地下水で、とてもおいしいと言われていますが、測ってみると0〜+2が平均です。この熊本でさえこの数値です。源水が悪いところではもっと低い値が出ます。阿蘇などの天然湧水は、+12〜+16の値を示します。水道水の値が低くなるのは塩素系の消毒のせいです。私たちは、日々この水道水で料理し、飲んでいるわけです。これでは健康体にはなれません。また、炭酸飲料、缶コーヒーなどはマイナスの値を示します。
 また、食物はどうでしょう。+12以上の品物をスーパーで見つけるのは、ほぼ不可能です。そこで、この現状を改善する一番の早道は商品の原材料の質(波動値)を上げること。すなわち、農畜産物の質を上げることなのですが、これがまた厳しい状況です。+12の値を上回る作物はそう簡単にはできません。化学肥料、農薬を使えば波動値は3〜4ポイントすぐ下がります。
 有機肥料と言えども、その質で数値は大きく違います。波動値の高い本物の作物を作るには、人を健康にすることと同じく『いい水』『いいエサ(肥料)』『いい環境』が必要です。
次回はもっと掘り下げて、本物の作物づくりについて述べましょう。


279号 2005年9月4日

(6)本物の作物(からだ)づくり

 本物のいい作物(体)を作るには、「いい水」「いい食物(養分)」「いい環境」が必要です。これは、作物も人もまったく一緒です。まず「いい水」ですが、人も植物も動物も体の6〜7割は水分です。この水の質によってその物の健康度合いが決まることになります。
 人や動物では、血液や体液がキレイでサラサラが健康的、植物の水分も同じことです。それでは、キレイでサラサラの体液にするにはどうするか、ということですが、それには、いい食物が欠かせません。それはどうしてかというと、添加物いっぱいの栄養過多の食物を食べていると体液は、ドロドロに濁ってきます。
 植物も化学肥料いっぱいでガスが出るような未発酵の物を土の中に入れていけば、植物体内の水は濁り、味も苦みや臭みが増します。
 おいしいと感じる食物は、苦み臭みがなく、甘みがあるだけではなく、スキッとキレがあるものです。ドロッとした甘みが強く濃いだけでもダメです。そのためには「いい水」を人や動物が飲んだり、植物に潅水したりするのはもちろん「いい食物」を与えなくてはなりません。それは血液を濁らせないため、植物体内液を濁らせないためです。
 しかし本当にいい作物(体)を作るためには、この2点「いい水」「いい食物」だけではできないところに難しさがあります。3つ目の「いい環境」が整わないとできません。環境といっても漠然としていますが、人でいうなら住んでいる家であり、その空間(空気)です。植物だったら、その回りの空気の中の状況です。 
私たちは、そう簡単にはこの環境を変えることはできません。酸性雨が降ってきても、外から有害物質が飛んできても防ぐことは困難です。そこに「いい環境」を造る難しさがある訳ですが、解決の道はあります。最近では、いたる所で炭が使われるようになりましたが、居住空間も、土の中の環境も改善することができます。炭の効果、使い方は、次回述べることにしましょう。


283号 2005年10月2日

(7)炭を利用する

 いい作物を作るためには、「いい水」「いい食物」「いい環境」が必要ということですが、この「いい環境」を整えるのがなかなか難しいのです。これを『炭』を使うことで改善していくことができるのです。『炭』といえば、脱臭とか水質浄化などの働きがあるのは、よく誰でも知っていることですが、もっと科学的に電気的に見ると、次の4つの働きがあるといわれています。

 それは、通電性、起電性、集電性、蓄電性、です。簡単に言うと、『炭』には電気を通す働き、電気を起こす働き、電気を集める働き、電気を貯える働きがあるということです。
 現在私が使っている『炭』には次の5種類があります。
@土壌用炭:畑に土と混ぜて使う炭。
A畜産用炭:牛馬など動物に食べさせる炭。B微粉炭:水に溶かして植物に散布する炭。C微長炭:水に入れたり、部屋に置く炭。
Dエネルギー炭:土の中に入れたり、床下に敷きつめる炭。
 このなかで@土壌用炭とA畜産用炭は、主に土の中の水分、動物体内の水を浄化するために使います。土の中の有毒ガス、体内の有毒ガスを吸収して消化吸収を助け、体液サラサラの植物・動物を育てます。
 次のBCDは、先に述べた電気的な働きが強くなってきます。B微粉炭は植物の葉の表面に付着してマイナスイオン化します。そのため病気に強く、虫も付きにくくなります。C微長炭は水の中や空気中を浄化するだけでなく、マイナスイオン化します。Dエネルギー炭は特殊な製法で作られていて、特に電気的性質の強い炭です。この炭を使って、炭素埋設と敷炭ということをします。

 炭素埋設では、地価1mに直径1mの穴を掘りエネルギー炭を水でよく練って200s入れます。それを畑や屋敷の決められた場所に造っていきます。これは炭の起電性を利用したもので、地球が自転するごとに磁場が高くなるといわれています。敷炭は、エネルギー炭を水でよく練って厚さ10cm以上床下などに敷きつめます。これは炭の蓄電性を利用したものです。
 それでは、これらの炭を利用して、現実にどんな効果が人の体や植物に起きるかは、次回に述べましょう。


288号 2005年11月6日

(8)磁場を高める

 炭の働きの中で、脱臭や湿気除去、水質浄化、毒ガス吸収などはよく知られていますが、特筆すべきは、電気的力(磁力)を高めるということです。
 ところで、その磁力には地球の自転が関係しています。地球は一日に一回転しますが、そのスピードは赤道上では秒速460m、時速にすると約1600kmにもなります。回転するところには、必ず磁力が発生します。北極がN極で、南極がS極で、地球自体が巨大な磁石です。

 もちろん地中にも磁力が発生し大気中にも磁界がありますが、そのことを自覚する人は殆どいません。しかし、動物や植物には、感じる力があります。大空を舞う渡り鳥や回遊する魚などは磁場を察知して移動しているといわれています。

 見えない力が影響していることを実感できることで最たるものといえば海の満ち引きでしょう。月の引力であれだけの海水が動かされる。人や植物の体内の70%は水分です。私たちが直接、感じていないだけで、何らかの影響を受けているはずです。
 磁力の場合も同じように見えない力が、地球上の生物に影響を及ぼしています。磁場は地球上のどこでも起きますが、均一ではなく高いところと低いところがあります。昔から神社とかは、磁場の高い所にあると言われていて、そういう高い所では人も健康になり、

 作物も生育が良いということです。一方低い所では、事故が起きたり病気が多かったり、作物でも生育が良くなく病気が出たりするということです。磁場の高い、低いことが、人や動植物の健康に微妙に影響しています。
 この磁場を高めるために炭(エネルギーカーボン)を使うのです。地下1m、直径1mの穴の中に炭を200s入れて、それを数ヵ所作ります。これで磁場が高まるというのも不思議なことではありますが、私は20数年前にこれをやり、最近やっとそのことを実感してきました。
 我が家の金物類は全て磁気を帯びています。方位計の周りにスプーンとかハサミを近づけて回すと方位計の針はぐるぐると回ります。また、畑のハウスのパイプはS極N極に分かれます。その他にもいろいろ信じられないようなことが起こります。

 古いテレビの写りがきれいになったり、蛍光灯の光が明るく見えたり、店の大型冷蔵庫の冷えが強くなって、電気料金も大幅に下がったりとか、いろいろあります。畑でも肥料の効きが良くなったり、発酵ガスが中和されたり、ゆくゆくは空気中のチッソを固定して有効活用できたりと夢のような話に拡がるのです。


292号 2005年12月4日

(9)想念波動

 私たち農業者が、いい作物を作ることと、お母さん方が家族を健康にしていくのは、まったく一緒のことです。『いい水』『いい食物』『いい環境』を整えていけばいいのですが、ここでもう一つ大事なことがあります。この3つが揃っていても、これがないとダメになる。

 それは『想い』いわば『心』です。どういう想いで作物を育てるかで全然変わったものになります。人参そのものの健康を願ったり、食べる人の健康を想って育てるのと、自分の儲けとか欲のために育てるのでは、まったく違うものになってしまいます。それは人でも同じです。子どもを育てるのも一緒です。
 みなさんは『水からの伝言』(江本 勝著)という本を見られましたか?これは水の結晶の写真集です。水質(水源)によって結晶の形が違うのは想像できますが、文字を貼り付けただけの水の結晶がその文字の意味の違いで、きれいな六角形になったり、いびつな形になったりするのは驚きです。

 特に『愛・感謝』『ありがとう』の結晶の美しさに比べ『ばかやろう』『ムカツク・殺す』の結晶の歪みには驚かされました。このことは日常私たちが使っている言葉や想いが水に伝わるということ、体のほとんどが水でできている、人や植物にも伝わるということです。どういう『想い』で作物を育てるか。どういう言葉かけで子どもを育てるのか。とても大事なことです。『しようね』と『しなさい』、『きれい』と『きたない』の結晶の違い。親として子どもにどう対していくのか考えさせられるものです。
 『想い』が伝わると言うことは、どういうことなのでしょう。触ってもいないものが伝わるということ。それを伝えるものが『波動』ということでしょう。『想い』を伝えるものが『想念(そうねん)波動』ということです。人と接するとき、植物と接するとき、私たちの心の中にある『想い』が伝わるのです。うわべだけの言葉では伝わりません。日頃、自分が何を考え、何を『想い』生活しているのかが、問われてきます。


296号 2006年2月5日

(10)素直で優しい心 『愛』

 私たちは日頃、人とのコミニュケーションを言葉でとっているわけですが、言葉で伝わる割合は、10%とも言われています。言葉でその意味は伝わるのですが、伝える人の真意はさほど伝わりません。真意とは心の中の偽らざる思いです。

 人は時には嘘をつきます。知らず知らず自分の心に嘘をつくこともあります。伝えられる方は何を受けとめますか。相手の言葉を鵜呑みにしますか。人は無意識のうちに観察しています。それは、目の動き、顔の表情、しぐさ、言葉の強弱、トーンなどで相手の心の動きを見ています。『はい、わかりました』という返事にもいろいろなことが考えられます。

 本当に理解しての『はい』、とりあえずその場しのぎの『はい』、全然やりたくないが、相手との人間関係を壊したくないがための『はい』。言葉は一緒でも人の心の中はそれぞれです。人と人とのコミニュケーションの中で、私たちは瞬時の内に判断して相手の言葉だけじゃなく、心の中を読み取っています。“揚げ足を取る”とか“言葉尻を捉える”とか言われますが、これは本人の真意とは裏腹に言葉という一部分だけを捉える悪い例です。

 また、言葉の裏に隠れている真意を見逃すことがあります。それは、親子、夫婦、友人の関係など、いろいろな所で起こります。現代社会での問題は、複雑な人間関係に起因することが多く、特に子どもたちにその深刻さが現れています。

 コミニュケーションがとれない。人との会話が苦手。機械相手、ゲーム機相手では、相手の気持ち(心)の返答はありません。自分が傷つくこともありません。しかし、また暖かみのあるやさしい思いも伝わってきません。私たちは人間社会の中で悩み苦しみ、また楽しみ喜び、喜怒哀楽を表現しながら生活しています。

 人の心の中はとっても複雑ですが『愛』があれば大抵のことは解決できます。人と植物の関係も同じです。素直な心、植物に対する『愛』がなければ、決していい作物はできません。自分の身近な人、植物も自分の鏡です。傲慢にならず、素直でやさしい心『愛』を持って接しましょう。


304号 2006年3月5日

(11)自然界の法則

 私は電子技法というやり方を生活や農業に取り入れて23年になります。人や作物を健康にするためにいろんな事を学んできたつもりでいますが、まだまだ解らないことや知らないことがたくさんあります。電子技法を提唱された、越智崇至(おち たかし)先生が書かれた言葉にこういうものがあります。

人をつくり土をつくり  正しい食物を通じて  自然界の法則を学ぶ その法則に素直に従って  元につながり  世の為、人の為に尽くす 

 この文言の中身は非常に奥深い。まず第一に人をつくるということ。己の人格を磨けということでしょう。そして土をつくる。人格を磨き、土づくりをしてからでないと正しい食物はできないということです。自然界の法則とは何でしょう。

 地球内のみならず大宇宙まで捉えた中での法則。私たち人間は現代科学を万能と見て、相当な法則違反をこれまでにも行ってきました。その結果として環境汚染や、人の健康悪化など招いてきています。果たしてこのままの状態が続けば、地球も我々人間も、どうなっていくのでしょうか。決して楽観的に「どうにかなるさ」では済まされないでしょう。
 この自然界の法則に“素直”に従う、この“素直”がまた難しいことです。人にはいろいろな欲があり、よこしまな考えが起こるものです。「元につながる」とは物事の真理であり、生きていく上での自己の目的目標でしょう。そして「世の為、人の為に尽くす」。これはまた、難しいことです。この利己主義、個人主義の世の中、自分さえ良ければという中で、世の為人の為に尽くすということは、よほど己の人格を磨き、人徳を積まなければできることではありません。
 しかし、このことが今の世の中で一番必要なことかもしれません。『水からの伝言』の本に中でもあったように『愛』『感謝』『ありがとう』のパワーを私たちはもっと認識しなければいけません。他人のことを『心配する気持ち』『思いやる心』がとても大事です。

 他人に『ありがとう』という想い。他人から『ありがとう』と言われることがどんなに素晴らしいことか、改めて感じる今日です。ぜひ、これからの世の中が少しでもよくなるように、一人でも多くの人が活用していただければ幸いと思います。


308号 2006年4月2日

(12)自己表現力

 私は昨年4月の最初の欄で、『しあわせ』の条件を書きました。それは『健康』『富』『愛』『自己表現力』の4つです。私はこの中で『自己表現力』が1番のポイントだと思っています。
 『健康』『富』『愛』については、日頃皆さんが意識していることだと思います。では、この『自己表現力』とはどういうことでしょう。人にはそれぞれ個性があり、喜怒哀楽の感情があります。先ほど行われたWBC大会で、日本は劇的な優勝を成し遂げました。そこでたびたびメディアに流されたのがイチロー選手の感情むき出しのパフォーマンスと言動でした。

 今までのイチローはクールで感情を現さない男と思われていましたが、今大会でイチローを見る私たちの目は変わりました。彼は、野球のプレーを通して最大の自己表現をして、私たちに感動を与えるのですが、今大会の彼のパフォーマンスは、明らかに今までと違っていました。

 彼が本来持っているものは、何も変わらないでしょうが、表現のやり方で見ている方は、今まで以上に驚いたり感動したりするものです。感動をするという行為は、とても幸福(しあわせ)な気持ちになるものです。その感動を与えられる人は、きっともっと幸福な気分でしょうね。
 ところで、この『自己表現力』を高めるには、どうしたらいいでしょう。結論から言えば、目的目標を持って、その目標に向かって日々努力することだと思います。例えば、学生だったらいい成績を残すために勉強や部活に頑張ること。大人だったら仕事や趣味の中で新しいことにチャレンジすることや、マンネリにならず違う自分を造り出すこと。また、その努力することを『楽しむ』ことも大事です。
 それから、『自己表現力』が試される人生最大の場面がやってきます。それは愛の告白(プロポーズ)です。お互いに結婚を決断するということは、ものすごいことです。相手の心を動かし、共に生きる決断をさせ得るだけの表現力があったということでしょう。
 幸福は、一人ではつかめないもの。相手がいて、周りに人がいて生まれるもの。長い人生、新しい自分を発見し表現して、自分も幸福に、周りの人も幸福にしたいものです。

 
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