ワンネス 966号  2019/10/06発行

 今年も各地区で敬老会が開かれ、多くの高齢者の長寿を祝いました。卒寿や米寿、傘寿を迎えられた方へのお祝い品の贈呈や、子どもたちからお祝いのメッセージが送られ、昼食を食べながら、日本舞踊やカラオケなどの出し物で楽しいひと時を過ごしました。

沖野区
9月8日(日)
あさひヶ丘区
9月8日(日)
境の松区
9月8日(日)
大堀木区
9月15日(日)
三里木区
9月16日(月)
合志杉並台
9月16日(月)

  三里木区  たわらや酒店  宇野功一

(155)酒の神様 野白金一物語 その4

◆赤酒を退治する
 明治42年に酒造研究所が、熊本市川尻の瑞鷹の敷地内に完成しました。この研究所は後に熊本県酒造研究所・香露の醸造元の母体となるのですが、完成した当時は単に「酒造研究所」でした。国立でも、県立でも、市立でもない。あえて言えば、瑞鷹の吉村家とそれに同調する酒蔵の私塾的な存在の「酒造研究所」でした。資金的にバックアップしたのは吉村家で、私立といっても過言ではないのですが、瑞鷹に特化して醸造技術向上を目指すのではなく、熊本県内をボトムアップするという意味においては「私塾」的な存在であったでしょう。
 吉村家はもっとも被害者だったかもしれません。資金を提供した上に、肥後伝統の「赤酒」の駆逐の政策に野白金一は出ました。講義において、野白は徹底して「赤酒の退治」を説きました。「赤酒」が今や時流の酒ではないにしても、徹底した「赤酒退治」は、吉村家をはじめ、多くの熊本の蔵元には厳しいものでした。大らかな吉村彦太郎も黙ってはいませんでした。
 

「野白先生のおっしゃることは重々分かっております。そるばってん、赤酒が嗜好に取り残された酒ですが、昔から伝統的に造っておりますし、今も造っとります。どげんか、共存の道はなかとでしょうか。蔵の中の指導で赤酒退治ば唱えられますと蔵人もびびってしまって…。困っとです」

 
「吉村さん、私は赤酒を憎んでいません。郷土の山陰にも赤酒と似た地酒があります。球磨焼酎も、赤酒も熊本の風土が生み出した、風土に根差した酒であると理解しています。日本の中で、清酒の技術が一番優れているのは存知のことでしょう。政府が招聘(しょうへい)したアトキンソン博士もそれを認めています。世界の中の醸造酒で、アルコール度数が20度にまでなる清酒は世界一の技術であると認めています。清酒は容易にできるものではありません。清酒を仕込んでいて、モロミのようすがおかしいから赤酒にするとか、蒸留をして焼酎にするとかしているようでは、いつまで経ってもまともな清酒は造れません。伝統的な赤酒、蒸留をした焼酎づくりの技術、そして、今からの清酒づくりの技術。この3つを両立させれば、熊本は日の下一の酒の先進地になるでしょう。清酒づくりにおいて、熊本は真っ白なキャンパスも同然。清酒を作ってこなかった。明治になり、醸造技術が確立されつつあります。真っ白なキャンパスに、醸造技術の先進的な技術を描けば、灘や伏見にいち早く追いつくことができるでしょう。妥協の酒づくりでは、何年やっても同じです。清酒づくりをとことん追求する風紀が熊本に求められるのです」

 

 吉村はただうなずくだけでした。

【千代の園 大吟醸 エクセル】

原料米   兵庫県産山田錦
精米歩合  40%
日本酒度  +2.0

酸   度  1.2ml
アミノ酸度  1.3ml
度   数  15.5%
酵   母  熊本酵母
価   格   720ml 3500円(税別)


  矢原正治 

(150)ハトムギ(Coix lacryma-jobi L. var. ma-yuen) イネ科

    

 今月は、ハトムギです。植物の写真を見て、見たことがあると思われる人があるかもしれないが、それは昔、道端に生えていたジュズダマ(Coix lacryma-jobi L)です。ハトムギの種子は、種皮がジュズダマに比べ柔らかく、指で押して割れるぐらいで、雌蕊の随を除くと、溝が出来ます。ジュズダマは中央に穴が開き、糸を通し数珠(ジュズ)状に繋ぐことができるのでジュズダマと言われます。

 

 ハトムギの植物名の後に( )書きしてあるラテン名のCoix はヤシ科の植物。lachrymaは涙。jobiはJobという人物で、「Jobの涙」となります。たしかに果実は涙のような形をしています。
 ハトムギの果実は、生薬名、ヨクイニン(Coicis Semen)といい、筋肉の異常緊張、関節痛などの目的で、麻杏?甘湯(マキョウヨッカントウ)【麻黄4、杏仁3、苡仁10、甘草2】は汗疱状白癬(水虫)、腫脹、疼痛等に。他にヨクイニン湯に配合されます。民間薬では、イボ取り、美肌に用います。また、抗腫瘍活性があり?苡仁+サルノコシカケ+桂枝茯苓丸が結構効果があることがあります。
 ジュズダマの果実は川穀(センコク)といい、ヨクイニンの代用薬として、根は川穀根といい、リウマチ、神経痛、肩こりに民間薬で用います。
 ハトムギから、成分として、脂肪酸、油脂(脂肪油)、多糖(coixan類、CA-1,2)、ステロイドの脂肪酸エステルなどの報告があります。薬理作用では、アセトンエキスに抗腫瘍作用、多糖のcoixan類に血糖降下作用が解明させています。更にCA-1,2に抗補体作用があることが分かっています。意外に脂肪酸にも薬効があるのではと考えられます。

 

 植物の成分で、何々に機能・効果が有る等とテレビ等で言われますが、分かっているのは、ほんの一握り(10%位)でしょうか。自然界のことは分からないことが沢山ありますが、偉い人は全て分かっているかのように話されます。
 皆さんは、自分にあった機能性食品と食品を摂取して下さい。人の遺伝子は各人違いますので“私が良いから、あなたも良い”と強制しないようにされた方が良いでしょう。「私に良かったから、あなたも試してみませんか?」と紹介して下さい。それで試されて、良ければ続け、あわなければ止めて下さい。

 

 少し乾燥してきましたが、食欲の秋にようやくなりそうです。胃腸を調え、免疫力をアップし、風邪を引かない冬をお迎え下さい。花粉症の方は、緑の葉物野菜が少なくなる12月ごろから、なるべく葉物野菜を沢山食べると、花粉症が軽減する可能性がありますので、鍋等で、緑の葉物野菜を多めに食べ、お試し下さい。皆さまの益々のご健康をお祈りいたします。


第74回熊本県美術協会展 洋画部門 協会賞受賞

杉村喜久江さん

◆なぜこの絵を描かれましたか
  リンゴの皮をむいていて皮のフォルムが面白そうだと思いました。この構図は5年位前から色々な角度から描いていて、受賞した絵は今年の4月頃から下塗りを4回程行い、6月頃から描き始めました。

◆描いて苦労したこと、楽しかったことは
  自分の思い通りに描けないと思ったところが苦労したところでしょうか。絵を描く時は楽しみながら描くようにしています。遊べている絵の方が自分の満足した絵が描けるように思います。

◆受賞した時は
  「受賞したらめっけもん」と賞を期待せずに毎年出品しています。受賞した時は驚きました。嬉しかったです。

◆次回作品は
  やっと終わってほっとしているところで、まだ何も考えていません。これから考えます。