たわらや酒店 宇野功一 三里木区
(146)分かりやすい日本酒の世界@
日本酒の味の秘密と豆腐で一献
◆なんといっても日本酒が一番
世界中の酒類の中で、最も繊細な美酒といわれている日本酒。私は大学で醸造学を専攻したこともありますが、「こんな不思議な酒を、よくも造ったものだなぁ〜」と感心するぐらい日本酒が大好きです。身近にありすぎて、日本人が意外と知らない日本酒の話題を分かりやすく解説したいと思います。
◆ふくよかな米の味を表現
日本酒の原料は何ですか? みなさん即答できると思います。そう、「お米」です。厳密にいうと、私たちが普段食べているお米は、食用米といい、日本酒を造るために適しているお米を酒米と区別します。だけど、お米には変わりはありません。原料のお米に、麹菌と日本酒酵母を加えて発酵させた液体を、濾したものが、日本酒です。ですから、味の大半は原料となるお米に由来するのです。
そして、「甘口、辛口」という日本酒の味を左右する糖分も、原料となるお米から由来しています。お米は、主にデンプンでできています。麹菌の作り出すアミラーゼという糖化酵素の働きで、デンプンはグルコースという甘い糖に分解されます。ちなみに、日本酒には2〜5%のグルコースが含まれています。コカ・コーラーの1/6程度の濃度です。
◆日本酒の味を決める4本柱
ご存じの方もいるかもしれませんが、日本酒の味は昆布の旨みのグルタミン酸、貝の旨みのコハク酸、グルコースの甘味、辛味のアルコール。これら4つが相互作用で複雑に絡み合い、日本酒の味を決めています。日本酒の味に地域性があるのは、そのバランスが地域や風土によって異なっているからです。
糖と酸で、甘・辛と濃さを表現します。苦渋成分は味の濃さを表現します。グルタミン酸やさまざまなアミノ酸が味の奥行を表現します。
◆宇野功一おススメの肴(さかな)は湯豆腐
木枯らしが吹く季節がやってきました。なんといっても冬の日本酒の肴には「豆腐」が一番だと思います。簡単だし、お財布にも優しいし、健康的な食べ物だし、日本酒の熱燗にぴったりですね。
大豆は「畑のお肉」と言われていますが、国産大豆は国内流通量のわずか4%のシェアしかありません。その中で、国産大豆、それも熊本県あさぎり町産「フクユタカ」という品種の大豆だけで作った大島屋(菊陽町原水)和吉の豆腐「匠」をおススメします。濃厚な豆乳で仕込んでいますので、豆腐も濃厚です。まるでチーズを思わせるクリーミーさがあります。豆腐は容器に水が入れてありますが、「匠」は仕込みに使う濃厚な豆乳が入っています。ちょっとぜいたくなお豆腐を湯豆腐にして、ちょっとぜいたくな吟醸酒をご家庭で楽しんでみませんか?
大島屋「匠」 価 格 1丁300円(税込み)
|